2017.04.25神経系
vol.100:パーキンソン病のすくみ足 論文~色の違いによる影響~ パーキンソン病論文
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カテゴリー
歩行・神経系
タイトル
パーキンソン病のすくみ足に対する視覚的手掛かり:色の違いによる影響A pilot study: influence of visual cue color on freezing of gait in persons with Parkinson’s disease.?Pubmedへ Mon Bryant, PT et al.(2010)
本論文を読むに至った思考・経緯
•PDのすくみ足が出現する患者様で、自宅での転倒が増加されていた。部屋はベッドや家具で幅を取られ狭く閉鎖的で、トイレへの導線上に方向転換も要し、環境として芳しくなかった。環境変更の提案を出すも、御家族が非協力的なため動かすに動かせない状況であった。代償的なCueへの反応は良い方であったので、苦肉の策として床にテープを貼ることとした。テープとテープの間の間隔は、歩幅を広げられる幅にした。しかし、色を検討する際に、何色にするか迷い、本論文に至った。
論文内容
研究目的
•パーキンソン病患者の歩行における赤色光および緑色光が歩行およびすくみ足にどのような影響を与えるか調べることです。
研究方法
•赤色光、緑色光、光のない杖で歩き、歩行と転倒のパフォーマンスを研究しました。また、抗パーキンソン病薬を「オフ」と「オン」の状態で行いました。歩行速度、歩行率、ストライド長が記録されました。50feetの歩行と360°の旋回の間に、すくみ足が起こるまでの時間および回数が記録されました。
結果
•抗パーキンソン病薬が「オフ」中は、無光と比較して、緑色光を使用するとストライド長が改善されるが、赤色は改善されなかった。
•50feet歩行中、赤色光と無色光の両方に比べて緑色光を使用すると、すくみ足が減少した。
•360°回転中、赤色光および無色光と比較して緑色光を使用して、時間、ステップ数およびすくみ足の数が減少した。
•抗パーキンソン病薬「オン」中は、歩行速度および歩幅の長さは、赤色光と比較して緑色光により多く改善された。
結論
緑色光は、歩行を改善し、赤色光または無色光よりもすくみ足を軽減する。
興味深かった内容
•赤色の方が、目を引き、興奮性を高める色である印象でしたが、緑色の方が結果が良い事に驚きました。論文中に、以前の研究では「白」と「黄色」が結果として優れているエビデンスがあると書かれています。それ以外の色の効果を調べるために当研究がされています。
•発光色が良いと書かれていました。同じ色でも、薄い・濃い等あるため、今後はそこまで学習を深めていこうと感じました。
私見・明日への臨床アイデア
•他論文では、赤も良いと書いてあったとの情報もあり、他論文も読む必要性があります。
•実際、緑、白、黄色など試し個別性もある可能性があり本人の反応も見ていく必要があります。
•線以外にも、よりリアルなCueを提供する為に、足跡などの形を貼付することも有効かと思われます。
・実際行った結果、意識が向けばスムーズにすくみ足なく歩行可能であったが、1週間試用した所、注意が向かない事も多く、実用的ではなかった。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします