2017.03.12神経系
vol.84:LSVT BIGから学ぶパーキンソン病のリハビリ パーキンソン病論文
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カテゴリー
神経系
タイトル
LSVT BIGから学ぶパーキンソン病LSVTLOUDandLSVTBIG:BehavioralTreatmentProgramsfor SpeechandBodyMovementinParkinsonDisease?PMCへ Cynthia Fox et al:Hindawi . 2012 .article ID 391946 page 12
内 容
Introduction
•神経科学の進歩により、運動に基づく行動療法は、パーキンソン病(PD)患者の運動機能の改善および運動症状の進行を遅らせる可能性があることが示唆されている。
•現在の治療法のほとんどは、不足している基底核機能を迂回するために代償行動および外部のCueに依存している。
•LSVTプログラムは、LSVT LOUDに着目して始まり、最近ではLSVT BIGと広げられている。LSVTプログラムのユニークな側面は、
a)振幅 increasing amplitude (動き)の大きさのみに焦点を当てる。
b)感覚の再教育/再較正sensory recalibrationに焦点を当てる。
c)治療成果の長期的な維持を促進するため意識的な努力を促す。(能動性、動機づけ)
さらに頻度・反復を要する集中的な訓練プログラムで活動依存性の神経可塑性および運動学習を促進する。
という点である。
プログラムの目的の詳細
•LSVT BIGでは、速度訓練はより速い運動を誘発することができるが、振幅および精度を一貫して改善しないため、速度よりも振幅の訓練が、動作緩慢/運動低下を克服するための治療の主な焦点として選択された。振幅の訓練は結果として、動きを大きくするだけでなく、より速く、より正確な動きを生む。
•LSVT BIGは患者の運動実行の知覚を再較正することによって正常な運動振幅へ回復させることを目指している。より大きな動きに必要な運動出力を生成し、この増加した出力が、正常な動きの範囲内に入るということをPD個人に教えます。この感覚不一致に直接的に対処することは、個人が習慣的に(すなわち、自己cue)、治療終了時のより大きな動きで動くことを学ぶのに役立ち得る。
•LSVT BIGは、運動の正常な振幅の感覚的知覚を再調整することに焦点を当て、高頻度で集中的な治療を行い、単一治療パラメータとしての運動振幅の訓練においてPDにおける他の形態の理学療法とは異なる。
研究
•研究では、PD患者18人におけるLSVT BIGの効果を評価した。データは、4週間の訓練の後、歩行およびリーチ運動の速度が適度に(12%-14%)増加することを実証した。
•LSVT BIG研究では、LSVT BIG、ノルディックウォーキング、監督なしの訓練の無作為に割り付けられた60人のPDと、運動能力の改善が比較された。LSVT BIGを受けた被験者におけるUPDRS motor scoreの平均改善は、4ヶ月のフォローアップ時に5.05であった。対照的に、UPDRS motor scoreは、ノルディックウォーキングの訓練を受けている対照群および監督を受けていない訓練を受けた被験者においてわずかに悪化した。LSVT BIGの有益な成果は、標準的なTUGや10メートル歩行などのさらなる評価の改善によっても反映されました。
今後の展望
•単一の学習キュー(より大きな動き)が認知負荷および精神的労力を最小限に抑え、治療室の外での治療戦略の維持および一般化を容易にすると仮定する。この仮説はまだ正式にテストされておらず、将来の研究のための領域です。例えば、LSVTプログラム前後で改善された振幅を維持するためにPDを有する個人に二重課題機能が及ぼす影響を試験することは、PD患者が振幅のための新しい自己キューを学習する能力を解明すると思われる。
私見・明日への臨床アイデア
•自主練習を「単一」の「cue」のみを提供するという点は患者指導に大事と思われる。様々なことを伝えても、多くのことを意識して人は日常を過ごせない。いかにシンプルに大事なことを伝えられるという能力はセラピストに求められると思われる。
•運動学習には頻度がHebb則の側面からも大事である。
•健常人でも気づきの機会がなければ、身体運動イメージが崩れている方が多い。姿勢、運動と特有の症状が出てしまうが故に身体、運動イメージを維持するという視点も必要である。
氏名 Syuichi Kakusyo
職種 理学療法士
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