2017.06.28神経系
vol.133:パーキンソン病の姿勢変形への垂直知覚 脳卒中/脳梗塞リハビリ論文サマリー
目次
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カテゴリー
神経系
タイトル
パーキンソン病患者の固有受容感覚と姿勢の垂直性PubMed: Vaugoyeau, M. Neuroscience. 2007 May 11;146(2):852-63.
?pubmedへ
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・症例コースにてpostural orientation(身体のアライメントと筋緊張をアクティブに制御する能力)と、それを遂行するために固有受容感覚が重要であることを学んだ。
・Vaugoyeau (2011)はパーキンソン病の姿勢コントロール障害が固有受容感覚の統合に問題あると述べており、その根拠となる本論文を読んでみたいと思った。
内 容
背景・目的
・姿勢のコントロールには視覚、平衡覚よりも固有受容感覚(皮膚、筋、関節からの求心性情報)が重要と言われている。
・姿勢の垂直性に大脳基底核が関与しており、それを障害されるパーキンソン病患者は垂直性が崩れた前屈姿勢を取ることが多い。
・固有受容感覚の統合障害はパーキンソン病の姿勢コントロール障害の原因であるのか検討する。
方法
・11名のパーキンソン病患者と10名の対照群
・被験者は動揺するプラットホーム上で垂直位の姿勢を保持する。
・動揺は前後方向と左右方向の二種類。
・動作解析装置にて身体のアライメント計測(乳様突起、C7、肩峰、ASIS、仙骨、大転子、外果)。
図1:頭部、体幹動揺の計測方法
Vaugoyeau (2007)より引用 θrを図のように求める。
結果
図2:左右方向の頭部、体幹動揺
Vaugoyeau (2007)より引用 EO:開眼、EC:閉眼
・対照群では頭部、体幹動揺が少なく、閉眼によって動揺の増加を認める。
・パーキンソン病群は対照群に比べ動揺が大きく、閉眼でさらに動揺が大きくなった。
・開眼位では両群の頭部動揺に有意差はなかったが、閉眼位ではパーキンソン病群で有意に頭部動揺が大きかった。
私見・明日への臨床アイデア
・動揺する床に対し、垂直位の姿勢を保持することがパーキンソン病患者では難しく、特に閉眼位で姿勢の崩れが大きかった。これは視覚に大きく依存していることを意味しており、固有受容感覚の低下を視覚で代償していることが予想される。
・臨床コースでは、対象者が普段取ることのない姿勢にセラピストが誘導し、普段使っていない低緊張な筋の緊張を高め、同時に固有受容感覚の入力も促す実技を習う。
・この徒手アプローチによって、パーキンソン病患者のpostural orientationを整え、転倒予防につなげることが可能かもしれない。
職種 理学療法士
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国家資格(作業療法士取得)
順天堂大学医学部附属順天堂院にて10年勤務後,
御茶ノ水でリハビリ施設設立 7年目
YouTube2チャンネル登録計40000人越え
著書はアマゾン理学療法1位 単著「脳卒中の動作分析」他
「近代ボバース概念」「エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション」など3冊翻訳.
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