2017.02.28歩行
vol.80:殿部テーピングが脳卒中/片麻痺後の歩行に与える影響 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイメカニクス,歩行
タイトル
殿部のテーピングは、脳卒中後歩行の立脚相における股関節伸展を改善する Gluteal taping improves hip extension during stance phase of walking following stroke?PubMedへ Kilbreath SL et al:Aust J Physiother. 2006;52(1):53-6
内 容
Introduction
•脳卒中後に影響を受けた下肢の股関節伸展の低下は、よく見られる障害である。
テーピングについて
•大殿筋のテーピングはMcConnellが慢性腰痛の股関節および骨盤の力学を改善する戦略として記述されている。
•テーピングは、筋肉の有効長さを減少させ、より機械的に有利な長さに配置することができる。
•テーピングはまた、機械的に屈曲を制限するか、または股関節の固有受容を改善することができる。
•テーピングは筋肉の腹を持ち上げ、ストレッチし、アクチンとミオシンフィラメントとの重なりを増やし、潜在的なクロスブリッジ相互作用を増加させる(Morrissey 2000)。
•他の説明は、皮膚刺激による筋肉活性化をテーピングが改善する。(Garnett and Stephens 1981)
•皮膚上のテープを引っ張ることによって固有受容性鋭敏度を改善することである(Robbins et al1995)。
目 的
•本研究の目的は、脳卒中後の歩行の歩行段階において、患側の殿部のテーピングにより股関節伸展が改善するかどうかを評価することであった。
•また、時空間歩行パラメータを変更したかどうかを判断することであった。
方 法
•脳卒中の既往を有する15人のボランティアが、3つの条件下で歩行を評価した
①テーピングを使用しないCON群②殿部テーピング群③プラセボ効果テーピング群
•被験者は、歩行にて脳卒中の影響を受けていたが、介助なく歩くことができた。
①臀部の内側の側面から、側方に引っ張る方向に貼付 ②臀部の内側面から臀部の上端まで、大臀筋の上の筋腹の上まで、殿部を持ち上げるように貼付 ③テープの第2の部分の上端から大転子まで貼付
•プラセボのテーピングは殿部のテーピングと同様に、皮膚を最初に保護し、スポーツテープを大殿筋の筋腹の真ん中に張力をかけずに水平に置いた。 Kilbreath SL et al:2006?PubMedへ
結 果
Kilbreath SL et al:2006?PubMedへ
•相対的な股関節の伸展角度は、プラセボのテーピングまたはテーピングなしの場合よりも殿部のテーピングの方が大きかった。
•さらに、速く歩くよりも、自身のペースで歩いた方がより伸展角度が大きかった。
•股関節伸展角度は自身のペースで歩いた群と何もしなかった群CONと比べ、14.1度の差が観察された。(CON-3.0、tape-11.1°)
•非麻痺側のステップ長は、CONまたはプラセボ条件と比較して、殿部のテーピングで有意に増加した。
•テーピングされた状態では、骨盤は中立のままであったか、または後方にわずかに回転したが、CONおよびプラセボの状態では骨盤は前方に回転した。
•臀部のテーピングに続いて行われた試験では、テープが取り除かれるとすぐに改善が失われたことが明らかになった。
•殿部のテーピングは、現行のリハビリテーション歩行訓練戦略の補助となる可能性がある。
•脳卒中の既往のある人や、変化を引き起こすメカニズムの人の股関節伸展を改善し、維持するために、それをどのように使用することができるかを決定するために、さらなる検討が必要である。
私見・明日への臨床アイデア
•歩行時、麻痺側の骨盤が後方に引け、股関節も外旋し、十分股関節伸展活動が出ていない方を見受ける。
•テーピングだけでなく、徒手的な誘導方向や弱化部に張力を作っていく必要性を示唆する内容である。
氏名 Syuichi Kakusyo
職種 理学療法士
病院内 スタッフ育成サポート
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