vol.273:10mmのインソールが麻痺側の筋活動を高める!? 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
目次
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
10mmのインソールが麻痺側の筋活動を高める!?
Effect of constrained weight shift on the static balance and muscle activation of stroke patients?PMC Kyung Woo Kang et al.(2015)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・脳卒中後では、痙縮や装具、筋活動の左右差含め多くの要因で機能的脚長差を生じると感じる。そのような日々の臨床感から本論文の概要を見て、興味を持ち読むに至る。
内 容
目的
・研究目的は、脳卒中患者の非麻痺側下肢の靴の中敷きの高さを変化させることで引き起こされる麻痺側への体重シフトと麻痺側下肢のバランス機能および筋電図を評価することであった。
方法
・被験者は ①インソールなし ②インソール 5mm ③インソール 10mmを挿入し、靴の高さを変えた。
・静的バランスは、立位中の圧力中心の動きを用いて評価した。バランスの測定中、表面EMGを測定して筋肉のパフォーマンスに関する情報を収集した。表面EMGは大腿直筋・大腿二頭筋・前脛骨筋および内側腓腹筋の筋活動を収集した。
・片麻痺患者12人(男性7人、女性5人)がボランティアとして参加した。脳血管傷害による片麻痺、支持物なし・補装具または補助具なしで立位が5分以上とれる方を対象とした。除外基準は視覚障害または前庭障害、認知機能障害(MMSEで24未満のスコア)、下肢整形外科問題または脳卒中以外の神経学的状態である。
結果
・非麻痺側への10mmインソール挿入にて、インソールなしと比較して、左右方向の揺れの平均速度を減少させた。
・5mm、10mmインソール挿入にて、なしと比較し、前後の揺れの平均速度が減少した。高さが増加するにつれ、麻痺側の大腿直筋・大腿二頭筋・前脛骨筋および内側腓腹筋の筋活動が次第に増加した。
・結果は、非麻痺側への5mmインソールの挿入は、インソールなしと比較し筋活動が8-11%増加し、10mm挿入にて14-24%増加させた。
・非麻痺側への10mmインソール挿入によって誘発される麻痺側への体重シフトは、脳卒中患者の静的なバランスを改善することができ、麻痺側下肢の筋活動の14-24%の増加をもたらした。
私見・明日への臨床アイデア
・10mmのインソールを挿入したことで①短下肢化する②非麻痺側の不安定要素が増えた(インソール挿入による環境変化または厚み変化による足部感覚変化など)ことで麻痺側の筋活動が増したと思われる。
・装具の挿入などで数ミリ単位の左右差も生じやすいと思われる。そのような脚長差も考慮していく必要があると感じた。
氏名 shuichi kakusho
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)