vol.168:関節の固定と姿勢の安定 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
姿勢の安定性と筋活動における足関節と膝関節の固定の効果
The Effect of Fixed Ankle and Knee Joints on Postural Stability and Muscle Activity
?pubmed Daehee Lee Journal of Physical Therapy Science Vol. 25 (2013) No. 1 January p. 33-36
本論文を読むに至った思考・経緯
・足関節、膝関節ともに可動域制限を有し、バランス障害を呈する利用者は多い。今回、両関節を制限した場合の重心動揺と筋活動を計測した論文を見つけたため、臨床に役立てられるのではないかと考え、読むことにした。
論文内容
論文背景・目的
・姿勢制御には足関節と股関節制御が重要な役割を果たす。またその中間関節である膝関節も運動連鎖の中継地点として非常に重要である。
・脳卒中者や高齢者は上記足関節、膝関節の可動域制限を有するものも多い。本研究では足関節、膝関節を固定した場合の姿勢制御を検討する。
研究方法
・若年健常成人48名を3群に分けた。
・足関節固定群
・足関節、膝関節固定群
・対照群(固定なし)
・固定はギプス固定の際に用いられるテープと弾性包帯を使用
・被験者はBiodex Balance System(図)上でOSI(足圧中心(COP)移動量)、APSI(COPの矢状面上の移動量)、MLSI(COP前額面上の移動量)を計測した。
・筋電図を大腿直筋、大腿二頭筋、前脛骨筋、内側腓腹筋に貼付した。
図:Biodex Balance System
http://www.pbs.com.hr/eng/biodex.php より引用
研究結果
表:実験結果
・足関節固定群、足関節膝関節固定群は対照群に比し有意に身体動揺が大きかった。
・前脛骨筋、腓腹筋、大腿直筋に群間の差がみられた。
・対照群は固定群二つと比較し、前脛骨筋の活動が有意に大きかった。
・足関節固定群では腓腹筋の活動が最大で、対照群、足関節膝関節固定群の順に筋活動が低下していった。
・大腿直筋の活動が最大だったのは足関節固定群だった。大腿二頭筋も有意差はなかったが
足関節固定群で最も活動が大きかった。
私見・明日への臨床アイデア
・足関節固定では大腿直筋、大腿二頭筋と股関節に作用する筋の活動が高まっており、制限のある関節を代償していることが予想される。
・足関節膝関節固定群では大腿直筋、大腿二頭筋の活動は大きく変化せず、腸腰筋や大殿筋などの股関節を制御する筋の活動がおそらく高まっていると思われる。足関節や膝関節を意図的に固定し、上部に位置する股関節の活動を促すことができるかもしれない。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)