摂食状況のレベル(FILS)|10段階の判定・FOISとの違いと食事支援への活用 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
  1. HOME
  2. ブログ
  3. 高次脳機能障害
  4. 摂食状況のレベル(FILS)|10段階の判定・FOISとの違いと食事支援への活用
高次脳機能障害

摂食状況のレベル(FILS)|10段階の判定・FOISとの違いと食事支援への活用

STROKE LAB / FOOD INTAKE LEVEL SCALE

摂食状況のレベル
Food Intake LEVEL Scale / FILS

「いま、どう食べているか」を
次の支援につなぐ。

訓練・経口摂取・栄養補給。10段階を、食生活の言葉で読み解く。

10段階の境目FOISとの違い臨床記録PDF付き
食事場面の観察と記録から、実際の摂取状況を共有する
食事場面の観察と記録から、実際の摂取状況を共有する(説明用オリジナルイラスト)

01|FILSでわかるのは、いまの食生活の到達点

FILS(フィルス)は、実際の経口摂取と代替栄養の状況を1〜10のレベルで表す尺度です。食べられる可能性ではなく、現にどのように食べているかを共有します。食事記録、本人・家族からの情報、食事場面の観察を組み合わせて判定します。[1], [2], [3]

覚える軸は3つ。①訓練か食事か、②非経口の栄養補給を併用しているか、③食物の制限や摂食嚥下の問題が残るか。

これは10項目を足して点数を出す検査ではありません。最も合うレベルを1つ選びます。FILSを判定するために、その場で水や食物を追加して試す必要はありません。

02|実施時間・準備・評価者

項目 臨床での準備
評価者 食事・栄養の実態を把握する職種が使用できます。判断が分かれたら、看護・リハビリ・栄養・医師で事実を確認します。
用意する情報 食事指示と実際の摂取量、朝昼夕の食事内容、経管・静脈からの補給、嚥下訓練の内容、食事中の症状。
実施時間 確認した原著抄録・日本語解説には標準所要時間の指定はありません。情報がそろえば分類・記録は数分程度を見込む運用が考えられますが、これは本記事の実務上の目安です。食事観察や情報収集の時間は別に必要です。
評価対象の期間 「本日の3食」「直近の通常の食事状況」など、参照期間を記載。これは比較をしやすくする本記事の記録提案で、原法の固定期間ではありません。

食札だけでなく、何をどの程度食べ終えたかを確認します。休日の食事や家族の差し入れ、夜間の補給が判定に影響する場合もあります。[1], [2]

03|10段階を読む:レベルの境目をつかむ

以下は判定の理解を助ける要約です。厳密な文言は参考文献[2]の日本語定義を参照してください。1〜3は訓練段階、4〜6は経口摂取と代替栄養の併用、7〜9は経口摂取のみ、10は問題のない状態として整理します。[1], [2]

FILS 状態の要約
1 嚥下訓練を実施していない段階
2 食物なしの嚥下訓練を実施
3 ごく少量の食品で嚥下訓練を実施
4 食事1回分に満たない楽しみ程度の摂取。栄養の主体は非経口
5 嚥下食を1〜2食とり、非経口の栄養補給も併用
6 嚥下食3食を中心に、不足分を非経口で補給
7 嚥下食3食を経口摂取。代替栄養なし
8 特に飲み込みにくい食品を避け、3食を経口摂取
9 食品の制限なく3食を経口摂取
10 摂食嚥下に関する問題がない状態
レベル3でも食品を口に入れます。尺度上の「経口摂取なし」という大区分は、訓練で使うごく少量の食品まで一律に否定する意味ではありません。食事として栄養を摂取する段階とは分けて考えます。

「嚥下食」は飲み込みやすく調整した食品、「代替栄養」は経管栄養・点滴など非経口の栄養法を指します。口から飲む栄養補助飲料は経口摂取です。輸液は存在だけで判断せず、栄養・水分補給の目的と内容を記録してください。[2]

04|新人がたどる判定の流れ

まず、食事として食べているか。食べていなければ、訓練の実施状況と食品使用の有無を確認します。「禁食」の指示だけでレベル1にせず、実施中の訓練まで聞き取ります。

次に、経口と非経口の補給を整理。併用していれば、食事としての量・回数と、栄養の主体がどちらにあるかを確認。3食の配膳があっても、各食ひと口程度しか食べていないなら、配膳数だけでレベル6にはしません。

経口のみなら、食物の制限と症状を確認。嚥下食を継続しているか、食べにくい食品だけを避けているか、食物の制限がないかを整理します。最後に、むせ・こぼれ・残留など摂食嚥下の問題が残っていないかを確認します。

決定したレベルに、判断理由を一文添える。「FILS 6:嚥下食3食が主体。不足分の経管栄養を継続」のように残すと、次の担当者が判定を検証できます。上記は定義に沿った本記事の実務的な確認順です。[2]

食品を使わない嚥下訓練と、食事としての経口摂取を区別する
食品を使わない嚥下訓練と、食事としての経口摂取を区別する(説明用オリジナルイラスト)

05|よく迷う4つの境界

迷う組合せ 確かめるポイント
3と4 ごく少量を訓練として用いているのか、楽しみの食事として継続しているのか。口数だけでなく実施目的・位置づけを確認。
5と6 1〜2食の経口摂取と併用なのか、3食の経口摂取が栄養の主体となり不足分を補っているのか。
6と7 3食食べていても、実際に非経口の補給が続けば6を検討。チューブが留置されているだけで使用していない場合は、留置の有無のみで決めない。
9と10 食品の制限がないことと、摂食嚥下に問題がないことは別。普通食を食べていてもむせ・こぼれ・残留があれば、問題を記録して評価する。

糖尿病食・減塩食などの制限は、嚥下のための物性制限と分けて記載します。施設独自の「全粥」「軟菜」といった名称だけで7か8かを即断せず、実際の食品と避けているものを確認しましょう。境界が定義に当てはまりにくい場合は状況を併記し、チームで判断をそろえます。

06|臨床ストーリー:レベル5から6、そして7へ

以下は理解のための架空例です。脳卒中後のAさんは、昼と夕に嚥下食を食べ、残りの栄養を経管から補給しています。チームはFILS 5と記録し、食事後半の疲労と摂取量を確認しました。

経口摂取と経管栄養を併用している場合は、食事量と栄養の主体を確認する
経口摂取と経管栄養を併用している場合は、食事量と栄養の主体を確認する(説明用オリジナルイラスト)

朝食も継続して食べられ、3食の経口摂取が主体になりました。ただし不足分の経管補給が必要です。この時点はFILS 6。まだ栄養補給の経路が残っていることを引き継ぎます。

その後、チームが摂取エネルギー・水分、体重の推移、食事中の状態を確認し、代替栄養を終了。嚥下食3食の経口摂取を続けているのでFILS 7と記録します。「7にするために補給をやめる」のではなく、実際に成立した摂取状況を7と表します。

07|点数は、何を予測できるのか

FILSは摂食状況の指標であり、個人の誤嚥確率・肺炎発症日・経管栄養離脱日を直接計算する予測式ではありません。低いレベルは支援の多さを考える手がかりになりますが、低い理由には嚥下機能のほか、覚醒、全身状態、治療上の制限、食事環境も関わります。

レベル7以上は、尺度上「代替栄養を用いず経口摂取する区分」に入る境目です。誤嚥しないこと、必要な栄養量が充足していること、自力で食事できることを一括して保証するカットオフではありません。

1〜10は順序尺度です。3→4と8→9はどちらも1段階ですが、変化の内容は違います。「何点上がった」だけでなく、訓練から食事へ進んだ、補給が不要になった、食品制限が減った、という実態を記載します。確認した資料から、どの患者にも共通する「何点改善すれば臨床的に重要」という最小変化量は提示できません。

08|信頼性と近年のエビデンス

原著(2013年)では、30人を3人の臨床家が評価した信頼性検討で、評価者間の重み付きκは0.70〜0.90、評価者内は0.83〜0.90でした。FOISとの相関はρ=0.96〜0.99、経口摂取への患者満足度との相関はρ=0.89。相関が高いことは同じ点数へ換算できることとは異なり、著者らも反応性などの追加検討を求めています。[1]

日本の研究(2025年刊行、2026年J-STAGE公開)は、誤嚥性肺炎の高齢患者115人を摂食状況で分類しました。経口摂取のみの群でも42%がGLIMによる重度低栄養に該当。生存退院は経口摂取のみの群88.3%、経口摂取なしの群59.4%でしたが、これは集団の関連であり、FILSだけを変えれば転帰が改善するという因果関係ではありません。口から食べていても栄養評価を続ける理由になる結果です。[5]

2026年7月オンライン公開の研究では、誤嚥性肺炎の高齢患者180人を後ろ向きに検討し、禁食期間のエネルギー充足と退院時FILSの関連を報告しました。特定施設の観察研究であり、個人の予後計算や一律の栄養処方には使えません。臨床への示唆は、経口摂取の練習だけでなく、食べられない期間の栄養管理も並行して考えることです。[6]

09|FOIS・藤島グレード・嚥下検査と使い分ける

尺度・検査 主にみるもの FILSと組み合わせる目的
FOIS 7段階で経口摂取の状態を記述 国際的な報告・研究で併記。FILSの番号をそのまま流用しない。
藤島グレード 食べられる能力の評価 能力と、実際の食生活の差を整理する。FILSと混同しない。
VF・VE 嚥下動態、侵入・誤嚥や残留、条件変更の効果 食べにくい理由と安全・効率を検討。FILSは生活での摂取状況を記録する。
栄養評価・食事観察 摂取エネルギー・水分、体重、食事時間・介助など 同じFILSでも違う支援ニーズを具体化する。

FOISの原著は脳卒中患者302人で検討されたものです。FILSとの高い相関は参考になりますが、分類の分け方が違うため、このページでは自動換算表を設けません。[1], [3], [4]

10|レベルの先に、具体的な支援を決める

以下は点数から自動処方する方法ではなく、問題を確かめて次の行動を選ぶ実務例です。

実際の困りごと 次の行動の例 経過をみる項目
訓練はしているが食事に進めない 覚醒、口腔、呼吸、指示理解、栄養状態を共有。食品使用の可否・条件を担当チームで検討。 訓練条件、実施可否、症状、非経口の補給内容
3食出るが、後半に食べられない 時間帯・介助・姿勢・疲労・食品の物性を見直し、栄養士と不足量を確認。 各食の実摂取量、食事時間、後半の症状
食品制限が残る 何が食べにくいかを具体化。咀嚼・口腔処理と嚥下のどこが障壁かを評価し、調理方法を検討。 対象食品、食べ方、摂取量、残留・むせ
普通食でもこぼれ・むせがある 食物制限の有無とは別に観察。必要に応じてVF・VE等で条件を検討。 症状が出る食品・量・時点、変えた条件と反応
家族の説明と食事記録を照合し、実際に食べた内容を確かめる
家族の説明と食事記録を照合し、実際に食べた内容を確かめる(説明用オリジナルイラスト)

例えば「FILS 8」の一言で退院連携を終えず、「避ける食品」「飲料の調整」「食具・介助」「摂取量の確認方法」「相談する症状」を伝えると、家族が実行しやすくなります。

11|記録例・再評価・ダウンロード

記録例(架空)
10月29日/直近の通常3食を参照。FILS 6。嚥下食3食が経口摂取の主体で、不足分の経管栄養を併用。夕食後半に疲労があり摂取量が低下。各食の摂取量・食事時間・症状を記録し、栄養士と補給量を再検討する。担当:○○。

再評価は施設の定期評価に加え、食事回数・形態・補給経路の変更時、肺炎などの体調変化時、退院・転院時に検討します。前回と評価期間が異なる場合や、検査・手術のため一時的に禁食している場合は、その事情も添えます。

A4・2ページ。原定義の要点を整理した10段階の一覧、今回・前回のレベル、食事と補給の状況、生活での観察・支援・再評価をまとめています。

出典をもとに、記録しやすい形式に整理しています。実施・採点の詳細は原版をご確認ください。追加の臨床記録は得点に含めません。

摂食状況のレベル 評価・記録シート(PDF)

12|参考文献・確認範囲

  1. Kunieda K, et al. Reliability and validity of a tool to measure the severity of dysphagia: the Food Intake LEVEL Scale. J Pain Symptom Manage. 2013;46(2):201–206. doi:10.1016/j.jpainsymman.2012.07.020. 原著抄録確認。
  2. 日医工.摂食嚥下障害Q&A:嚥下障害の重症度の評価方法.藤島一郎監修.日本語のレベル定義・用語解説を確認。
  3. 國枝顕二郎,藤島一郎.摂食嚥下障害のグレード(藤島グレード),摂食状況のレベル(FILS).J Clin Rehabil. 2024;33(14):1430–1434. 公開文献概要確認。
  4. Crary MA, Carnaby Mann GD, Groher ME. Initial psychometric assessment of a functional oral intake scale for dysphagia in stroke patients. Arch Phys Med Rehabil. 2005;86(8):1516–1520. 原著抄録確認。
  5. Shigemasa M, et al. The Relationship Between Energy Intake and Outcomes Based on Food Intake Levels in Patients with Aspiration Pneumonia. 日摂食嚥下リハ会誌.2025;29(2):61–71. 公開抄録確認。
  6. Matsuo H, et al. Associations of energy and protein adequacy during the nil per os period with discharge Food Intake Level Scale and Functional Independence Measure motor scores in very old patients with aspiration pneumonia: a retrospective observational cohort study. Nutrition. 2026;152:113376. 2026年7月31日オンライン公開、12月号掲載予定。PubMed抄録確認。

確認日:2026年10月29日。本文は日本語の定義と原著・研究抄録を照合して構成。原著全文を確認したとの表記はしていません。臨床ストーリーと支援例は説明用の架空例・実務提案です。

STROKE LAB|口腔・嚥下評価シリーズ
CATEGORY

 

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

CATEGORY

関連記事

誠心誠意の機能向上に向けたリハビリ支援
脳卒中・パーキンソン病に特化した個別リハビリ支援。
病院で培った機能をつなぎ、可能性を広げる施設です。
〒113-0033 東京都文京区本郷2-8-1 寿山堂ビル3階・5階
03-6887-5263
〒158-0082 東京都世田谷区等々力7-2-31 The Room 等々力West 201号 2026.3 OPEN
03-6887-5263
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満6-3-16 梅田ステートビル202号
06-7220-4733
ACCESS
会社案内
事業案内
その他