小児の脊髄腫瘍・骨腫瘍と運動麻痺|まれな原因を見逃さない – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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小児の脊髄腫瘍・骨腫瘍と運動麻痺|まれな原因を見逃さない

PEDIATRIC SPINAL TUMOR

小児の脊髄腫瘍・脊椎骨腫瘍と運動麻痺|進行する変化を見逃さない

「背中を痛がる」「歩き方が変わった」「最近よく転ぶ」。多くは別の原因ですが、変化が続き、少しずつ強くなるときは医療での確認が必要です。本記事では、脊髄や脊椎の腫瘍で起こりうる症状と、治療後の運動麻痺をどう支えるかを簡潔に整理します。

UPDATED2026
READ約10分
FORお子さんの保護者へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』(2024年・408頁)の著者が執筆しています。診断、画像検査、手術、薬物療法、骨の安定性に関する判断は医療機関が担います。新しい麻痺や排尿・排便の変化がある場合は、リハビリより先に受診してください。

歩行評価

Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01 痛みだけで腫瘍とは判断できません
02 進行する弱さ・しびれ・歩行変化は早めに受診します
03 排尿・排便の新しい変化は重要なサインです
04 治療後は運動・感覚・排泄を分けて経過を見ます
05 施設で歩けることと学校で過ごせることは別に評価します
01
Location Matters

脊髄の内側か、外側か、骨からか。

脊髄腫瘍は、脊髄の中にできるもの、脊髄の外側から圧迫するものに分かれます。脊椎骨や周囲の組織から生じた腫瘍が、神経を圧迫する場合もあります。

重要なのは名称を覚えることではなく、痛み、筋力、感覚、排尿・排便の変化がどのように進んでいるかです。診断には医師の診察とMRIなどの画像検査が必要です。

脊椎・脊髄の病変の3つのタイプ

02
Red Flags

「少しずつ悪くなる」は、受診の手がかり。

早めに医療機関へ相談したい変化
続く首・背中の痛み/手足の弱さやしびれ/転倒の増加/歩き方の変化/尿が出にくい・漏れる/便の感覚の変化

突然または急速に麻痺が進む、立てない、排尿できない、強い痛みがある場合は、通常のリハビリ予約を待たず医療機関へ連絡してください。脊髄圧迫は原因によって緊急対応が必要です。

時間の経過ととおに、症状が強くなる

03
Clinical Observation

筋力の合計ではなく、麻痺の分布を見る。

脊髄や神経根の影響では、すべての筋が同じように弱くなるとは限りません。股関節は動くのに足首が上がらない、片側から両側へ変化する、感覚だけが遅れて変わることもあります。

STROKE LAB VIEW
そこまで見るのか、という二つの視点。

速く歩いたときだけ足が引っかからないか。午前は保てても、午後に左右差が広がらないか。

動作の崩れが出る条件まで確認すると、筋力不足、感覚低下、痛み、疲労、代償動作を分けやすくなります。

04
Recovery Over Time

運動・感覚・排泄は、同じ速さで戻らない。

術後の経過は腫瘍の位置、治療前の症状、手術内容によって異なります。小児の髄内腫瘍を追跡した報告では、運動、感覚、排尿機能が長い経過で改善した例があり、運動の変化が感覚や排尿より先にみられることも示されました。

Evidence and Limits
短期間だけで、回復を決めつけない。

ただし、脊髄腫瘍に対する特定のリハビリ方法を比較した小児研究は限られています。研究結果をすべてのお子さんへ当てはめず、主治医の医学的管理と個別評価を優先します。

05
Home and School

家庭では、変化を「時間軸」で残す。

無理なストレッチや筋力訓練を始めるより、痛みの場所、歩ける距離、転倒、排尿・排便、午前と午後の差を記録してください。短い動画は、診察時に変化を共有する助けになります。

治療後は、主治医の運動制限を家庭・学校・専門家で共有します。階段、長い廊下、トイレ、体育、座位時間など、負担が増える場面を具体的に伝えることが大切です。

From Safety to Participation
家庭では変化を見逃さない。専門施設では、変化の仕組みを分けて生活へ戻す。

画像、手術、薬、骨の安定性は主治医が判断します。専門施設は、その安全条件の中で動作と参加を再設計します。

06
Specialized Rehabilitation

専門施設で、さらに期待できること。

専門施設では「足が弱い」という一つの言葉を、神経高位、筋ごとの弱さ、感覚、反射、痛み、疲労、骨の安全性へ分けます。そのうえで、移動や学校生活に必要な方法を選びます。

評価で分ける 介入を選ぶ 生活で再評価する
足首だけが弱い/感覚が不確か 足部の位置を確認しやすい課題、装具・補助具の比較 廊下での引っかかり、階段、転倒
痛みや術後制限で体幹を固める 支持面と動作手順を調整し、起き上がり・移乗を再学習 ベッド、トイレ、授業中の座位
短時間は歩けるが疲労後に崩れる 成功率を保てる距離と休憩を設定し、練習量を段階化 午後の移動、体育、翌日の疲労
STROKE LABの臨床推論

評価所見から一つの方法を固定せず、課題を変えた直後の反応を確認します。速度を下げると安定するのか、視覚情報を増やすと足が運びやすいのか、補助具で痛みと代償が減るのかを比較します。

その場で良く見えても、学校で再現できなければ設計を見直します。施設内の能力ではなく、移動、排泄、授業、遊びへ使えることを最終指標にします。

Evidence in Pediatric Oncology

小児がん領域では、リハビリへの紹介、疲労や痛みへの対応、身体活動を個別化する重要性が示されています。一方、運動の頻度・強度・内容を脊髄腫瘍へ一律に当てはめる根拠は十分ではありません。主治医の制限と、その日の症状に合わせて量を調整します。

脊椎・脊髄腫瘍治療後の小児リハビリ臨床推論マップ

07
FAQ

よくある質問。

Q. 子どもの脊髄腫瘍では、どのような症状が出ますか?
首や背中の痛み、手足の弱さやしびれ、歩き方の変化、排尿・排便の変化などがみられることがあります。症状だけで腫瘍とは判断できませんが、徐々に強くなる場合は小児科や専門医へ相談してください。
Q. 背中の痛みだけで、腫瘍を疑うべきですか?
背中の痛みの多くは腫瘍以外の原因です。ただし、痛みが続く、夜間にも強い、しびれや筋力低下を伴う、歩き方が変わった場合は、早めに医療機関で確認することが大切です。
Q. 歩き方の変化は、どこを見ればよいですか?
足の引っかかり、片側への傾き、歩幅の左右差、階段での変化、転倒の増加を確認します。速く歩いたときや疲れた後だけ変化が出ることもあるため、時間帯と一緒に記録すると役立ちます。
Q. 排尿・排便の変化があるときは、受診が必要ですか?
新しく尿が出にくい、漏れる、便の感覚が分かりにくいなどの変化があり、手足の弱さや感覚変化を伴う場合は、早急に医療機関へ相談してください。脊髄や神経への圧迫を除外する必要があります。
Q. 手術後の麻痺は、どのくらい回復しますか?
回復は腫瘍の種類、位置、治療前の神経症状、手術内容などで異なります。運動、感覚、排尿機能は同じ速度で変化するとは限らず、長い経過で改善する例もあるため、継続した評価が大切です。
Q. 専門施設では、どのようなことを行いますか?
主治医の安静度や骨の状態を確認したうえで、筋力、感覚、反射、痛み、疲労、動作を分けて評価します。その結果から練習量や補助具を調整し、移動、トイレ、授業、体育など生活での変化を再評価します。
For Parents
医療で確認した安全条件を、生活の動きへつなぎます。

治療後の歩行、手足の使い方、疲労、学校での過ごし方を整理したい方は、小児リハビリのページをご覧ください。

小児リハビリについて見る

株式会社STROKE LAB代表取締役 金子唯史
Message
変化を細かく読み、できる動きを生活へ。

脊髄や神経の症状は、筋力だけでは捉えきれません。感覚、痛み、疲労、排泄、学校環境まで含めて初めて、必要な支援が見えてきます。

医療機関での治療を土台に、その子が再び取り組みたい生活へつながるよう、評価と練習を丁寧に組み立てます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史
書籍『脳の機能解剖とリハビリテーション』の表紙
Book
脳の機能解剖とリハビリテーション
医学書院/2024年/408頁|脳の領域別からリハビリテーション方法を提案する専門書

機能解剖と臨床観察を結び、症状を生活動作から読み解くための専門書です。

書籍の詳細を見る

References
  1. National Cancer Institute. Childhood Ependymoma, Patient Version. Updated 2024.
  2. National Cancer Institute. Childhood Chordoma, Patient Version. Updated 2025.
  3. National Cancer Institute. Neuroblastoma Treatment PDQ, Health Professional Version. Spinal Cord Compression section. Updated 2025.
  4. McGirt MJ, et al. Resection of intramedullary spinal cord tumors in children: assessment of long-term motor and sensory deficits. J Neurosurg Pediatr. 2008;1(1):63-67.
  5. L’Hotta AJ, et al. Clinical practice guideline and expert consensus recommendations for rehabilitation among children with cancer: A systematic review. CA Cancer J Clin. 2023;73(5):524-545.
  6. Wurz A, et al. The international Pediatric Oncology Exercise Guidelines. Transl Behav Med. 2021;11(10):1915-1922.
  7. 金子唯史. 脳の機能解剖とリハビリテーション. 医学書院; 2024.
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