脳性麻痺の子どもの装具(AFO)と靴|成長に合わせた見直し方
PVLの発達を、見通し・家族支援・運動の変化から整理する
「PVLと言われたけれど、この子は歩けるようになるのだろうか」「家で何をしてあげればいいのだろう」——診断名を聞いたあと、保護者の不安は一気に現実になります。PVLのリハビリで大切なのは、脳画像だけで未来を決めつけず、姿勢・筋緊張・遊び・生活の中で、今どの動きが育とうとしているかを見続けることです。医療・健診が先、私たちは併走です。その前提で、発達の見通しと家庭での関わりを整理します。

PVLと言われた保護者へ。
PVLという診断名を聞くと、保護者はまず未来を考えます。寝返り、お座り、立つ、歩く、手を使う、園や学校で過ごす。検索すればするほど不安になることもあります。
この記事では、PVLを「病名」だけで終わらせず、白質の通り道が、姿勢や動きにどう表れるかという視点で整理します。
PVLのリハビリで最も避けたいのは、早い段階で「この子はここまで」と決めつけてしまうことです。もちろん、画像所見や医療評価はとても大切です。一方で、日々の姿勢、手足の使い方、視線、遊び、疲れやすさは、成長とともに変わります。だからこそ、医療機関の評価とあわせて、発達の中で動きを見続けることが必要です。
STROKE LABは、PVLそのものを診断したり、医学的治療を決めたりする場ではありません。私たちは、脳の機能解剖と動作分析をもとに、今のお子さんに必要な姿勢・動作・家庭環境を整理し、医療・療育・園や学校とつながるための併走役として関わります。
PVLとは。
PVLは、脳室の周囲にある白質という場所が障害される状態です。白質は、脳の中で情報を行き来させる通り道のような役割を持ちます。とくに運動に関わる通り道が影響を受けると、足のつっぱり、座位の崩れ、はさみ足、つま先立ち、手の使いにくさなどとして見えることがあります。
PVLの詳しい病態・画像所見・診断については、既存の専門職向け記事で詳しく整理しています。本記事では定義を繰り返すのではなく、保護者が知りたい「発達の見通し」と「家庭でどう支えるか」に絞って説明します。
PVLの定義・病態・画像所見を詳しく知りたい方は、既存記事「PVL(脳室周囲白質軟化症)とは」も参考にしてください。
PVLの定義と病態を詳しく見る

画像で見える白質の変化が、実際の姿勢・筋緊張・歩き方・手の使い方にどう表れているかを見ていくことで、家庭での関わりやリハビリの目標が具体的になります。
なぜ、運動発達に影響が出るのか。
脳から身体へ向かう運動の指令は、白質の通り道を通って手足へ届きます。PVLでは、この通り道の一部が影響を受けるため、筋肉が弱いだけでは説明できない姿勢や動きの難しさが出ることがあります。
とくに保護者が気づきやすいのは、足のつっぱり、はさみ足、つま先立ち、寝返りや座位の遅れ、立つときに足が交差する、手を伸ばすと身体が崩れる、といった変化です。これらは足だけの問題ではなく、骨盤・体幹・股関節・膝・足部、さらに視線や手の使い方までつながっています。
| 見えやすい変化 | 動作分析で見るポイント |
|---|---|
| 足がつっぱる | ふくらはぎだけでなく、骨盤の向き、股関節の開き方、足裏の接地、体幹の安定を合わせて見る |
| はさみ足になる | 股関節を開く力、骨盤の支え、足を前に出すときの体幹の使い方を確認する |
| 座ると崩れる | 首、胸郭、骨盤、手で支える力のどこに負担が集まるかを見る |
| 手を伸ばすと身体が硬くなる | 肩甲骨、肋骨、体幹の支え、視線と手の協調を合わせて見る |

見逃さないサインと、医療優先の目安。
PVLと診断されている場合でも、すべての変化をリハビリで様子見してよいわけではありません。顔色が悪い、呼吸が苦しそう、けいれんのような動きがある、哺乳が急に悪い、意識がぼんやりする、急に片側の手足が動かしにくい、強い頭痛や繰り返す嘔吐がある場合は、リハビリ相談より医療機関が先です。
また、筋緊張や姿勢の変化も、感染、痛み、睡眠不足、便秘、成長、装具の不適合などで変わることがあります。いつもと違う変化が続く場合は、主治医や地域の医療機関に相談したうえで、リハビリの内容を調整することが安心です。
| リハビリで相談しやすいこと | 医療機関へ急ぐサイン |
|---|---|
| 座り方、立ち方、歩き方、手の使い方、家庭での姿勢、遊びの工夫、装具を使った生活動作の相談 | 顔色や呼吸の異常、けいれん様の動き、哺乳不良、意識の変化、急な片麻痺、強い頭痛、繰り返す嘔吐 |

STROKE LABの視点:白質の通り道を、動作で見る。
PVLでは、白質の損傷が「足のつっぱり」「座れない」「歩けない」という表面的な困りごととして見えます。しかし、実際のリハビリでは、足だけを伸ばす、歩行だけを反復する、という見方では足りません。骨盤が支えられるか、股関節が開けるか、足裏に体重を乗せられるか、視線を使って手を伸ばせるかを合わせて見ます。
私たちが大切にしているのは、「できない動き」を探すことより、「次に育ちそうな動き」を見つけることです。たとえば、まだ一人で座れなくても、骨盤を少し支えると手が伸びる。立つとつっぱるけれど、足裏の位置を整えると膝が少しゆるむ。そうした変化は、家庭での関わりを具体化する重要な手がかりになります。
PVLでは下肢の症状が目立ちやすい一方、座る土台、骨盤の向き、胸郭の動き、視線、手を伸ばす動きまで連鎖しています。歩行だけを切り取らず、生活の中で使える姿勢と動きとして見ます。

研究でわかっていること。
PVLの見通しは一人ひとり違います。研究では、MRIで見えるPVLの重症度と、運動発達・歩行能力に関連があることが示されています。ただし、画像だけで生活のすべてが決まるわけではありません。実際の姿勢、筋緊張、視覚、手足の使い方、家庭環境を合わせて評価することが大切です。
MRIでPVLと診断された子どもを追跡した研究では、PVLのグレードが高いほど運動・発達の遅れが強い傾向がありました。一方で、軽度PVLでは正常な精神運動発達を示す子もいました。つまり、画像は大切な手がかりですが、早い段階で未来を一つに決めるものではありません。
限界注記:研究結果は対象年齢、画像所見、併存症、評価時期によって変わります。個人差が大きく、診断・治療・投薬・装具・手術などの医学的判断の代替ではありません。
出典:Imamura T, et al. Pediatrics & Neonatology. 2013;54(6):367-372.
早産で生まれ、PVLによる脳性麻痺がある子どもを調べた研究では、PVLの重症度と将来の粗大運動機能が関連していました。軽度では移動能力の見通しが比較的良い傾向、重度では慎重な見通しが必要とされています。
限界注記:研究結果は対象年齢、画像所見、併存症、評価時期によって変わります。個人差が大きく、診断・治療・投薬・装具・手術などの医学的判断の代替ではありません。
出典:van Haastert IC, et al. Developmental Medicine & Child Neurology. 2008;50(9):684-689.
CPまたはCPハイリスクの0〜2歳児への国際ガイドラインでは、条件を満たしたらできるだけ早く介入につなげること、保護者の力を高めること、家族と一緒に目標を決めることが重視されています。PVLのお子さんでも、家庭で続けられる姿勢・遊び・生活場面の工夫が重要になります。
限界注記:研究結果は対象年齢、画像所見、併存症、評価時期によって変わります。個人差が大きく、診断・治療・投薬・装具・手術などの医学的判断の代替ではありません。
出典:Morgan C, et al. JAMA Pediatrics. 2021;175(8):846-858.
専門リハで取り組めること。
PVLの診断、画像評価、投薬、装具、ボツリヌス療法、手術などの医学的判断は医療機関で行います。STROKE LABは、姿勢・動作・生活・家庭連携の側から、お子さんの「使える動き」を一緒に整理します。
PVLのリハビリでは、足だけ、歩行だけを練習するのではなく、姿勢・手足・感覚・家庭環境をつなげて考えます。STROKE LABでは、以下の3本柱で評価と介入を組み立てます。
首・胸郭・骨盤・股関節・足部のつながりを見て、座る、支える、手を伸ばす、立つ動きの土台を整えます。
寝返り、座位、立位、歩行、手の使い方、学校生活など、年齢とGMFCSの見通しに合わせて目標を具体化します。
家庭での抱っこ、床遊び、座位環境、立位練習、装具使用、園や学校での過ごし方まで、続けやすい形に落とします。
効果や経過には個人差があり、成長や体調、装具、手術、療育環境によって変動します。医学的判断は主治医と相談しながら、私たちは「今できる動き」と「次に育ちそうな動き」を生活につなげます。
CP領域の介入レビューでは、目標志向、課題ベース、家庭プログラム、十分な量の練習が重視されています。PVLはCPの原因となることがあり、介入は診断名だけでなく、実際の姿勢・粗大運動・手の機能・生活参加に合わせて調整します。限界注記:研究は対象年齢や重症度が異なり、個別の治療効果を保証するものではありません。出典:Novak I, et al. Current Neurology and Neuroscience Reports. 2020;20(2):3. Jackman M, et al. Developmental Medicine & Child Neurology. 2022;64(5):536-549.

発達の見通し:歩く、座る、手を使うを分けて考える。
保護者が最も知りたいのは「歩けるか」だと思います。ただ、PVLの見通しは歩行だけではありません。座る姿勢、手を伸ばす力、足裏で支える力、視線の使い方、疲れやすさ、園や学校での参加まで含めて考える必要があります。
歩行を目標にする場合でも、まずは座位や立位で身体を支える力、足裏に体重を乗せる経験、股関節を開いて足を出す準備が大切です。歩行器や装具、車いすを使うことは「負け」ではありません。移動手段を上手に使うことで、遊び、学び、社会参加が広がることがあります。
| 発達場面 | 見るポイント | 家庭での考え方 |
|---|---|---|
| 寝返り・床遊び | 体幹をねじる、手を伸ばす、視線で追う、足をばたつかせる | おもちゃの位置を少し横に置き、成功できる範囲で向きを変える |
| 座位 | 骨盤の支え、背中の丸まり、手を使う余裕、足の位置 | 倒れないことだけでなく、座ったまま手を使える環境を作る |
| 立位 | 足裏接地、膝の向き、股関節の開き、骨盤の位置 | 無理に立たせず、支え方と足の位置を整えて短時間から始める |
| 歩行・移動 | 一歩の出し方、はさみ足、つま先立ち、装具や歩行器との相性 | 歩くことだけでなく、参加が広がる移動手段を一緒に考える |

家庭・園・学校でできる関わり。
家庭での関わりは、特別な時間を長く作ることより、毎日の生活に小さく入れることが続きやすい方法です。抱っこの向き、座る場所、おもちゃの置き方、立つときの足の位置、装具を履くタイミングなど、少しの調整でお子さんの動きが変わることがあります。
園や学校では、移動、座位、体育、トイレ、更衣、給食、疲れやすさなどが課題になります。保護者だけで抱え込まず、医療機関、地域療育、訪問リハ、園や学校と情報を共有し、「できる形」を一緒に探していくことが大切です。
反り返りやつっぱりが強くなる抱き方を避け、骨盤と体幹が落ち着く位置を探します。
おもちゃを少し横や斜めに置き、手を伸ばす、体を向ける、足で支える経験を作ります。
座位保持椅子やクッションは、ただ固定する道具ではなく、手を使いやすくする環境として考えます。
移動手段、机と椅子、体育、休憩、補助具の使い方を共有し、参加しやすい形を作ります。

PVLのお子さんの姿勢・動作・生活環境を、専門家と一緒に確認できます。医療機関での診断・治療方針を尊重しながら、家庭で続けやすい方法を考えます。
よくある質問。
STROKE LABの小児リハビリ。
STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。PVLのお子さんに対しても、脳画像や診断名だけではなく、姿勢・筋緊張・手足の使い方・家庭や園での生活を合わせて見ます。診断・投薬・装具・手術などの医学的判断は主治医を尊重し、私たちは生活と動きの側から併走します。
育ちに寄り添う関わりへ。

PVLという診断名を聞いた保護者の不安は、とても自然なものです。私たちは大学病院などで、多くの脳血管障害や運動発達に課題を持つお子さんとご家族に出会ってきました。
お伝えしたいのは、診断名だけで未来を決めず、今育とうとしている動きを生活の中で支えられるということです。姿勢と動作をほどき、家庭・園・学校で続けられる形に組み立てていきます。
医療機関での治療とあわせて、家庭での関わりや発達の見通しを整理したい方は、どうぞ一度ご相談ください。お子さんの育ちに寄り添いながら、一緒に考えます。
代表取締役 金子 唯史

小児の運動発達では、診断名だけではなく、脳の通り道と姿勢・動作のつながりを見ていくことが重要です。PVLのお子さんの発達を、機能解剖と生活動作の両面から整理します。
- National Institute of Neurological Disorders and Stroke. Periventricular Leukomalacia. Updated 2026. NINDS
- Centers for Disease Control and Prevention. About Cerebral Palsy. Updated 2026. CDC
- Centers for Disease Control and Prevention. Treatment and Intervention for Cerebral Palsy. Updated 2026. CDC
- Imamura T, et al. Neurodevelopmental outcomes of children with periventricular leukomalacia. Pediatrics & Neonatology. 2013;54(6):367-372.
- van Haastert IC, et al. Gross motor functional abilities in preterm-born children with cerebral palsy due to periventricular leukomalacia. Developmental Medicine & Child Neurology. 2008;50(9):684-689.
- Morgan C, et al. Early Intervention for Children Aged 0 to 2 Years With or at High Risk of Cerebral Palsy. JAMA Pediatrics. 2021;175(8):846-858.
- Novak I, et al. State of the Evidence Traffic Lights 2019: Systematic Review of Interventions for Preventing and Treating Children with Cerebral Palsy. Current Neurology and Neuroscience Reports. 2020;20(2):3.
- Jackman M, et al. Interventions to improve physical function for children and young people with cerebral palsy. Developmental Medicine & Child Neurology. 2022;64(5):536-549.
- 金子唯史. 脳の機能解剖とリハビリテーション. 医学書院. 2024.

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)