vol.326:脳卒中後の指の動きの選択性 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
目次
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カテゴリー
上肢
タイトル
脳卒中後の指の動きの選択性
Selective Activation of Human Finger Muscles after Stroke or Amputation?PubMed MH Schieber et al.(2009)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・脳卒中後の手指のリハに関わることが多い。手指機能に関わる知見を学びたく本論文に至る。
内 容
背景
・手の個々の指の動きは、筋肉の特定のセットの選択的な活性化を必要とします。このような選択的活性化は、主に皮質脊髄路を介した運動皮質によって制御されます。病変が皮質脊髄路に損傷を与えると、この選択性は失われるのでしょうか?
内容
・①健常者②ラクナ梗塞により純粋に皮質脊髄路を損傷した者における指の動きについて研究を実施した。
・これらの脳卒中から実質的に回復した後でさえ、指の個々の動きは屈曲/伸展および内転/外転双方に動きが減少したままであった。
・脳卒中者は指示された指の動きを正常範囲内に動かす能力を取り戻したが、他指の意図しない動きが増加した。この増加は、指同士の受動的な生体力学的結合の変化に起因するものではなく、むしろ意図した指を動かす筋の自発的な収縮は、他の指に作用する筋の不適切な収縮を伴う。これらの観察は、正常な皮質脊髄システムが、特定の筋を選択的に活性化するだけでなく、意図した指を動かす自発的な努力間に、他の筋の活性化を抑制することで、個別の指の動きを生じることを示唆している。
・他の研究では、指の筋の選択的な活性は、手首において虚血させることによる神経ブロックの影響を受けなかった。皮質が随意選択的にそれらを活性化する能力を変化させなかった。
・対照的に、皮質脊髄路に損傷を与え、直接皮質の制御から脊髄を遮断する病変は、EMG活性の選択的パターンを生成する能力の長期的な障害をもたらす。
私見・明日への臨床アイデア
・臨床では、他指さらには非麻痺側手指の同時活動が観察される。また、同じレベルの患者でも個別性がある。
各指の選択性においては、手指のmapは広く、損傷部位により各指における機能も個人個人で変化し得る。また、脳卒中では筋シナジーの結合、分離可能でもrecruitmentの減少などが言われる。
脳卒中の手指に関わり始め、未だ経験が少ない為多くの事は言えないが、各患者の手指機能を十分観察・仮説検証しながら関わっていき、理解を深めていきたい。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)