vol.82:足部とコアスタビリティに及ぼす肥満の影響 脳卒中/脳梗塞 リハビリに関わる論文サマリー
目次
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カテゴリー
運動学
タイトル
足部とコアスタビリティに及ぼす肥満の影響 Effects of body mass index on foot posture alignment and core stability in a healthy adult population?PubMedへ AlAbdulwahab SS et al:J Exerc Rehabil. 2016 Jun 30;12(3):182-7
内 容
はじめに
●足のバイオメカニクスとコアスタビリティ (CS)は、立位と歩行の質において重要な役割を果たします。
●肥満(過体重)を有する人の数は、多くの国で急速に増加しています。
●全成人の3分の1以上が現在体重超過または肥満です。(Kitahara et al,2014)
●肥満は、筋骨格疼痛および傷害のリスクに関連しています。(Peltonen et al.2003)
●このようなBMIの増加に関連する異常は、CSおよびFoot Posture Index(FPI)に影響を及ぼし得ます。
目 的
●本研究の目的は、健康成人におけるFoot Posture Index(FPI)およびコアスタビリティに対する肥満指数(BMI)の影響を調べることでした。
方 法
●平均年齢24.3±6.4歳、25~29.9の体重超過のBMI値を有する健康な成人被験者39名が本研究に参加した。
●Foot Posture Index(FPI)を用いて足の生体力学を分析した。 コアスタビリティはplank testにてどれくらい耐えられるかという方法で評価した。
結 果
●スピアマン順位相関係数は、BMIはFPIおよびCSの両方と有意な相関を示した。 補足:スピアマンの順位相関係数(じゅんいそうかんけいすう)は統計学において順位データから求められる相関の指標である. (AlAbdulwahab SS et al:2016)?PubMedへ
まとめ
●これらの知見は、肥満女性は扁平足の傾向があり、肥満の男性はより発達した足を有する傾向があることを観察した以前の研究と一致している(Aurichio et al。2011)。
●脂肪量は、肥満者における偏平足の原因である可能性が示唆されている(Wearing et al。、2012)。
●高レベルの筋肉内脂肪は、健康な高齢者の機能低下と関連している(Hicksら、2005)。また、脂肪組織は肥満個体の腹部に蓄積することが知られている。
●増加するBMIとFPIとの間の負の関係の1つの可能な説明は、体重が過剰であると足の機械的負荷が大きくなることである。
●本研究は、体重過多のBMIがfoot posture alignment とCSに影響を与えると結論付けた。この研究結果は、予防的リハビリテーションの際に考慮すべきである。
私見・明日への臨床アイデア
●コアスタビリティや足部は近年注目され、臨床においても着目し介入されている方も多いと思われる。
●その根本的な問題として、肥満といった機能低下を及ぼす因子は案外見逃されやすいかもしれない。まず介入すべき問題として挙げられる因子と推察される
臨床後記:記事更新2021/2/17
●重量分筋力は当然求められる。過体重は直接的に筋に負荷をかける。筋で制御できない部分は偏平足など構造的変化が起こる可能性がある。筋力をつけるのも大事であるが、減量することも求める筋力を減じさせてあげることにつながる。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)