【2026年版】脳卒中発症後にやるべき3つの評価とは?内包の機能解剖と手の回復を目指して
内包損傷の神経メカニズムと臨床推論を、新人セラピストのために体系化する。
「MRIに内包の病変があった」と言われても、何を評価してどこから介入すればいいのか、最初はわからないものです。この記事では内包の解剖・血液供給・神経ネットワークから、予後予測のための3ステップ評価と臨床推論の組み立て方まで、先輩から後輩へ伝えるつもりで体系化しました。
— 「脳の機能解剖とリハビリテーション」(金子唯史、医学書院)の内容を元に提示しています
要点5項目。
臨床現場でこう出会う。
主訴:「左の手足が動かない」。発症から5日目に回復期病棟に転棟。BRS(Brunnstrom Recovery Stage)は左上肢Ⅱ・手指Ⅰ・下肢Ⅲ。NIHSS 8点。ADLはFIM運動項目33点(全介助〜最大介助)。高血圧・糖尿病の既往あり。
初回評価:左上肢の随意運動はほぼ不能。左下肢は軽度屈曲共同運動のみ。左顔面の表情は保たれている(膝部温存)。感覚検査では左半身の触覚・位置覚が著しく低下。「麻痺と感覚障害が同側に揃った場合、内包後脚が第一候補」という推論を立てる。
内包損傷のある患者と最初に向き合うとき、多くの新人セラピストは「どの評価から始めればいいのか」で迷います。まず知っておくべきことは、内包は脳の中で「神経線維の高速道路が密集するジャンクション」だということです。ここが少し障害されるだけで、多彩な症状が一度に出現します。
この章では、症例の全体像を把握するために必要な「内包損傷の典型像」を解説します。続く章で解剖・評価・介入を順番に整理していきます。
内包とは何か。定義と疫学。
内包(Internal Capsule)とは、大脳半球の深部に位置する白質の束です。尾状核・被殻・視床に囲まれ、大脳皮質から脳幹・脊髄へ、また脊髄から皮質へと向かうほぼすべての主要な投射線維が、ここを通過します。
大脳皮質では、運動野・感覚野・連合野がそれぞれ広範な領域に散在しています。しかし内包ではこれらの線維がすべて「圧縮」されて通過します。ピンポン球ほどの小さなラクナ梗塞でも、皮質の広範な損傷と同等の症状が出る理由がここにあります。
内包損傷の主な原因と疫学
穿通枝動脈(レンズ核線条体動脈など)の閉塞による小梗塞。高血圧・糖尿病・脂質異常症が主な危険因子。内包はラクナ梗塞が最も好発する部位の1つ。
高血圧性の被殻出血は、隣接する内包後脚を血腫が直接圧迫・破壊する。重症例では皮質脊髄路が完全遮断され、重度麻痺が残存する。
中大脳動脈の深部穿通枝が梗塞すると、内包全体に影響が及ぶ場合がある。皮質症状(失語・半側空間無視)を伴うことが多く、鑑別の視点が重要。
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一度私たちにご相談ください。
STROKE LABは脳卒中後遺症の自費専門リハビリ施設です。内包損傷による片麻痺・感覚障害・認知機能変化に対して、神経可塑性の最新エビデンスに基づくオーダーメイドプランを提供しています。
神経メカニズムと責任病巣を読む。
内包の各部位がどの線維を含み、どの症状に対応するかを整理します。MRI画像の病変部位と臨床症状を結びつけることが、臨床推論の出発点です。
内包は大きく5つの区画に分かれます。それぞれの位置・通過線維・想定症状を覚えると、MRIレポートを見たときに「この部位が障害されているなら、この症状が出るはず」という仮説が立てられるようになります。
①前脚(尾状核頭部とレンズ核の間):前頭橋線維・前視床放線・視床皮質路。障害では前頭葉機能低下(注意・遂行機能)や認知的症状が前景に出ます。
— 内包前脚:尾状核頭部とレンズ核の間に位置する。前頭橋線維・前視床放線が通過する
②膝(Genu):皮質延髄路(顔面・舌・発声の運動制御)。障害では顔面麻痺・構音障害・嚥下障害が生じます。
— 内包膝部:顔面・舌の運動制御を担う皮質延髄路が通過する
③後脚(視床とレンズ核の間、最大部):皮質脊髄路・体性感覚路・皮質網様体路。障害では対側の片麻痺と半身感覚障害が同時に出現します。
— 内包後脚:皮質脊髄路が密集する最大の区画。ラクナ梗塞が最も好発する部位
④後部(Retrolenticular):視放線。障害では同名半盲。⑤下部(Sublenticular):聴放線・側頭葉連結線維。障害では聴覚処理の変化。
— レンズ核後部(視放線)とレンズ核下部(聴放線・側頭葉連結線維)
血液供給と梗塞リスク
前脚の血液供給:ACA(前大脳動脈)のホイブナー反回動脈が主に担います。尾状核頭部・被殻前方にも血液を供給します。
— 前脚の血液供給:ACAのホイブナー反回動脈
膝の血液供給:MCA(中大脳動脈)のレンズ核線条体動脈によって供給されます。ラクナ梗塞が発生しやすい部位として知られています。
— 膝部の血液供給:MCAのレンズ核線条体動脈。ラクナ梗塞の好発部位
後脚の血液供給:主にMCAのレンズ核線条体動脈から供給されますが、前脈絡膜動脈からも追加供給を受けます。いずれも終動脈の穿通枝であり、側副血行が少ないため、高血圧性のラクナ梗塞が生じやすい特性があります。
— 後脚の血液供給:MCAレンズ核線条体動脈+前脈絡膜動脈の二重供給
神経ネットワーク:主要な経路と線維
皮質脊髄路(Corticospinal Tract):内包の後脚を通り、四肢の随意運動制御に関与します。内包損傷による片麻痺の主たる責任線維です。
— 皮質脊髄路:後脚を通り脊髄前角運動ニューロンへ投射する
視床皮質路 & 皮質視床路(Thalamocortical & Corticothalamic Fibers):前脚および膝を通り、視床と皮質の間で感覚・運動情報を双方向に伝達します。
— 視床皮質路・皮質視床路:前脚・膝を通る双方向の情報伝達路
側頭葉連結(Temporal Lobe Connections):レンズ核下部を通り、側頭葉への接続に関与します。聴覚処理・記憶・言語に関わる線維が含まれます。
— 側頭葉連結:レンズ核下部を通る聴覚・記憶・言語関連線維
— 頭頂・後頭・側頭結合(Parieto-occipitotemporal Connections):後脚を通り高次感覚統合に関与する
皮質網様体路(Corticoreticular Tracts):後脚を通り、脳幹の網様体系を介して筋緊張・覚醒・姿勢制御に関与します。内包損傷後の筋緊張亢進に関わる経路の一つです。
— 皮質網様体路:後脚を通り筋緊張・姿勢制御・覚醒に関与する
MRI読解のポイント
内包はT2強調画像では前脚・膝・後脚からなるV字型の高信号構造として現れます。高信号が途切れる・不規則になる部位が損傷部位です。DTIではFA値低下が予後予測に有用です。
— 内包のMRI評価:T2強調画像でのV字型構造と病変部位の読み解き方
Schiemanck et al. (J Rehabil Med, 2008) [観察研究] :脳卒中後1年の手の運動機能回復に内包損傷が与える影響を調査(n=87)。運動皮質と内包の両方が損傷した群の良好な回復確率は13%。内包単独損傷ではより高い回復率が見られた。皮質遠心路線維(CFT)の保存度が回復の鍵であることを示す。
— 回復確率と病変位置の関係(Schiemanck et al., 2008)。運動皮質+内包の両方が損傷された群は13%と低い。
Wu et al. (Front Neurol, 2021) [観察研究・前向き研究] :運動イメージBCIトレーニングを含む包括的リハビリ後の回復予後不良因子を分析(n=63)。出血性脳卒中では前被殻・内包・視床・脳室周囲白質・運動前野の損傷が回復不良に関連。慢性虚血性脳卒中でも内包損傷が予後不良因子と確認。
— 初期上肢機能と病変位置が回復予後を左右することを示す(Wu et al., 2021)
鑑別診断と症状の読み解き方。
「麻痺と感覚障害がある」だけでは、病巣を内包とは断言できません。責任病巣の候補を絞るための鑑別思考を整理します。臨床ではMRI確認前に仮説を立てる訓練が重要です。
| 鑑別疾患・病巣 | 内包損傷との共通点 | 鑑別ポイント | 参考検査・評価 |
|---|---|---|---|
| 放線冠梗塞 | 対側片麻痺・感覚障害 | 内包より上位で皮質脊髄路が分散しているため、上肢優位や下肢優位の部分麻痺になりやすい。顔面麻痺は軽度。 | MRI DWI(FLAIR)・DTI FA値比較 |
| 視床梗塞・出血 | 対側感覚障害・認知変化 | 感覚障害が前景、運動麻痺は軽度。デジェリン・ルーシー症候群(視床痛)を伴う場合あり。意識障害・眼球運動障害が出ることも。 | MRI・NRS(痛み評価)・MMSE |
| MCA皮質枝梗塞 | 対側片麻痺 | 失語(左半球)・半側空間無視(右半球)・失認・失行などの皮質症状が必ず合併する。内包単独損傷には皮質症状が出ない。 | BIT(半側空間無視)・SLTA(失語) |
| 被膜警告症候群(CWS) | 片側の脱力・しびれ | 症状が一過性・反復性。数分〜数時間で回復する。内包のTIAが繰り返されている状態。完全梗塞前の緊急サイン。 | DWI(超急性期MRI)・即時神経科コンサル |
| 脳幹梗塞(橋) | 片麻痺・感覚障害 | 交叉性麻痺(同側顔面麻痺+対側四肢麻痺)が特徴。眼球運動障害・小脳失調・嚥下障害を合併しやすい。 | MRI(後頭蓋窩)・眼球運動評価 |
評価尺度と採点基準の完全ガイド。
内包損傷の評価は「①予後予測」と「②治療効果判定」の2つの目的で行います。発症早期の3ステップ評価アルゴリズムと、経過観察に使う標準的尺度を覚えておきましょう。
発症3日以内の予後予測アルゴリズム(Margit et al., 2022)
— 発症3日以内の3ステップ評価アルゴリズム(Margit et al., 2022)。立方体把握→握力→肩挙上の順で上肢回復クラスを予測する。
標準的評価尺度:採点基準・カットオフ値・解釈
| 評価尺度 | 採点基準 | カットオフ値 | 解釈・臨床的意義 |
|---|---|---|---|
| BRS(Brunnstrom Recovery Stage)上肢 | Ⅰ:弛緩性麻痺。Ⅱ:共同運動の出現(痙性)。Ⅲ:随意的共同運動。Ⅳ:部分的共同運動からの離脱。Ⅴ:独立した関節運動。Ⅵ:正常に近い。 | ステージⅢ未満は手の道具的操作の自立困難。ステージⅤ以上で日常的な上肢使用が可能。 | 内包損傷発症初期の多くはⅠ〜Ⅱ。2週間以内にⅢ以上に改善しない場合、良好な手機能回復の確率が低下。 |
| FIM(機能的自立度評価表)運動項目 | 1点(全介助)〜7点(完全自立)×13項目=最高91点。7:自立、6:修正自立、5:監視、4:最小介助(75%以上自力)、3:中等度介助(50〜74%)、2:最大介助(25〜49%)、1:全介助(25%未満)。 | MCID(臨床的最小変化量):運動FIMで約17点(Beaton et al.)。退院時FIM運動≥80点が在宅退院の目安(専門家合意)。 | 内包損傷では麻痺+感覚障害が複合するため、移乗・移動・整容などが特に低下しやすい。毎週のFIM変化がリハビリ効果を可視化する。 |
| NIHSS(神経学的重症度評価) | 意識・視野・顔面麻痺・上下肢運動・感覚・失語・構音障害など11項目。0〜42点。 | 0〜4点:軽症、5〜15点:中等症、16〜20点:重症、21点以上:最重症。MCID:約4点。 | 内包後脚梗塞では上下肢運動・感覚の項目が高スコア。皮質症状(失語・視野)が低ければ内包限局を示唆。 |
| Fugl-Meyer Assessment(FMA)上肢 | 0〜66点(上肢のみ)。各動作を0(不可)・1(部分的に可能)・2(完全に可能)の3段階で評価。 | MCID:5.2〜6.8点(Page et al., Stroke 2012)。0〜20点:重度障害、21〜50点:中等度、51〜66点:軽度。 | 内包後脚損傷初期はFMA上肢0〜20点が多い。治療効果判定にMCIDを基準として使う。発症後3か月でのFMAスコアが長期予後を反映。 |
| Jamar握力計 | kg単位で測定。「測定可能かどうか」自体が予後予測のスクリーニングに使用される(Margit et al., 2022)。 | 測定可能(0kgを超える)なら次のステップへ。健側との比較で50%未満なら機能制限ありと判断。 | 床効果の問題があるため、重度麻痺では「握れる・握れない」の2値評価として使う。 |
Margit et al. (Neurorehabili Neural Repair, 2022) [観察研究・前向き縦断] :脳卒中発症3日以内のベッドサイド評価3項目を使った上肢機能転帰予測アルゴリズムを検証(n=多施設)。立方体把握→握力→肩挙上の順で評価し、転帰クラスを分類。感度・特異度ともに良好。測定者間信頼性ICC>0.85。
FMA上肢のMCID:Page SJ et al. (Stroke, 2012)によりMCID=5.2〜6.8点と報告。介入効果の臨床的有意性判断に必ず使用すること。FMAの測定者内信頼性ICC>0.97、測定者間ICC>0.96(専門家合意水準)。
介入のエビデンスとパラメータ。
内包損傷後の介入は「神経可塑性を最大化するために何を・どれくらい・どのくらいの頻度で行うか」という視点が核心です。具体的なパラメータを把握してから臨床に適用してください。
日常生活に直結した具体的な課題(コップを持つ、ボタンを留めるなど)を繰り返し練習する。パラメータ:1セッション30〜60分、週3〜5回、4〜8週間継続(Hatem SM et al., Eur J Phys Rehabil Med, 2016のSRより)。難易度を段階的に上げることが神経可塑性を促進します。
随意運動が不可能な重度麻痺に対し、運動イメージ中の脳波を用いてロボット・電気刺激を制御するアプローチ(Wu et al., 2021)。初期上肢機能が乏しいほど効果は限定的であり、補完的な位置づけ。パラメータ:週3回、4〜8週間が一般的。
デュアルタスク(歩きながら話す、作業しながら計算するなど)は、前頭葉—内包—小脳ループを効率的に活性化させます。David FJ et al. (2015, 24か月RCT, n=48) では運動+認知課題でワーキングメモリと注意力が有意改善。週3回・各45〜60分。
前脚・連合線維障害による認知機能低下には、段階的な意思決定練習が有効です(専門家合意)。①少ない選択肢の二択から始め → ②日常的選択(服・食事) → ③一日の活動計画立案の順に負荷を漸増。失敗体験を少なくしながら自己効力感を回復させます。
— 意思決定支援の段階:基本(二択)→ 中間(日常的選択)→ 高度(活動計画立案)の3レベルで認知負荷を漸増させる
Hatem SM et al. (Eur J Phys Rehabil Med, 2016) [SR/MA] :上肢リハビリのSR。発症後6か月以降でもFMAおよびARATが有意改善することを示した。課題指向型・ロボット・電気刺激などの手技に共通して「十分な反復量(試行数1000回以上/セッション)」と「即時フィードバック」が効果を左右する重要因子。自費リハビリを含む長期継続介入の根拠となる。

という言葉に、根拠はありません。
内包損傷後でも、神経可塑性は続いています。Hatem SMらのSR(2016)が示すように、発症6か月以降でも適切な課題指向型訓練でFMAが有意に改善します。STROKE LABでは神経リハビリに精通したセラピストが、最新エビデンスに基づくオーダーメイドプランを週2回以上の頻度で集中的に提供しています。
多職種連携と環境調整の要点。
内包損傷は運動・感覚・認知・嚥下・視覚など多領域に影響するため、PT/OT/ST・看護師・医師・MSWが密に連携する必要があります。「自分のセッションで何に注目し、誰に何を伝えるか」を明確にしてください。
CWSへの緊急対応とチーム連携
Capsular Warning Syndrome(CWS:被膜警告症候群)は、一過性の片側脱力・しびれを繰り返す緊急性の高い状態です。リハビリセッション中に気づくことも多いため、セラピストは「一過性・反復性の症状=即座に報告」を徹底してください。
— CWS(被膜警告症候群)の症状チェックリストと緊急対応。一過性症状を見逃さないことがセラピストの最重要任務。
①セッション中に「手の力が急に抜けた」「しびれが出た」と患者が訴える → ②セラピストはその場でバイタルと神経症状を簡易確認 → ③数分後に回復しても「報告不要」とは絶対に判断しない → ④担当医師・看護師に即時報告。MRI(DWI)の緊急確認を依頼する → ⑤Martínezら(2023 SR)の知見に基づき、DAT+抗凝固療法の検討は医師が行う。
職種別役割分担テーブル
| 職種 | 内包損傷での評価項目 | 主な介入内容 | 他職種との連携ポイント |
|---|---|---|---|
| PT(理学療法士) | BRS(下肢)・筋緊張評価・歩行解析・転倒リスク評価・感覚検査 | 立位バランス訓練・歩行練習・抗重力筋活動の促通・感覚フィードバック訓練・転倒予防環境整備 | OTへ上下肢連動の動作分析を共有。看護師へ病棟歩行の安全条件を伝達。医師へ疼痛・痙縮の状態報告。 |
| OT(作業療法士) | BRS(上肢・手指)・FIM・Jamar握力・更衣/整容評価・認知スクリーニング | 手指巧緻性訓練・ADL練習(更衣・食事)・補助具の選定・認知的意思決定支援・段階的課題設定 | PTへ上肢機能の現状を共有。STへ食事場面の上肢動作と認知的問題を伝達。看護師へ病棟ADLの介助方法を指導。 |
| ST(言語聴覚士) | 構音障害評価・嚥下評価(RSST・VF)・高次脳機能スクリーニング(注意・記憶・遂行機能) | 構音訓練・嚥下訓練・食形態調整の提案・認知的介入(注意訓練・記憶補助策) | OTへ認知機能の詳細を伝え、作業課題の難易度調整に活かす。看護師へ食事中の誤嚥リスクと安全な食形態を伝達。 |
| 看護師 | バイタル管理・CWS症状の日常観察・麻痺側の皮膚状態・感情・行動変化の観察 | CWS症状の即時報告・麻痺側のポジショニング・排泄・入浴介助・精神的支援 | 一過性症状は即座に医師へ報告。PTOTSTが指導したADL介助方法を病棟で実施。感情変化は全職種で共有。 |
| 医師(神経内科) | MRI・NIHSS・血液検査・危険因子管理・薬物療法の評価 | 抗血栓療法・血圧・血糖コントロール・CWS対応・痙縮へのボツリヌス療法の判断 | リハスタッフからの神経症状変化の報告を受け、薬物調整・検査オーダーに反映。退院先・リハ継続の方針を多職種と決定。 |
| MSW(医療ソーシャルワーカー) | 社会的背景・家族支援状況・退院先・介護保険申請状況・経済的問題 | 退院支援計画・介護保険申請・自費リハ選択肢の情報提供・地域連携 | セラピストから「退院後も継続リハが必要か」「介助量の予測」を受け取り、退院調整に活用。自費リハの選択肢を患者・家族に提示。 |
「リハビリセッション中に患者さんが『さっきから手がしびれる』と言ったら、まずセッションを止めて観察してください。CWSを疑う緊急サインです」
「『数分で治った』と本人が笑っていても、看護師と医師に報告する。それがセラピストの最重要の役割のひとつです」
つまずきポイントと臨床判断のコツ。
内包損傷の患者を担当し始めたとき、多くの新人セラピストが同じパターンで失敗します。先輩が実際に経験した「よくある落とし穴」を共有します。
臨床推論を組み立てるコツ
「MRIで内包後脚に病変があった時、私がまず考えるのは『どの線維がどれだけ障害されているか』です。後脚の前方なら皮質脊髄路、後方なら感覚路という位置関係を思い浮かべながら、評価の仮説を立てます」
「評価の結果が仮説と合わなかった場合、それが一番の学びです。なぜずれたのかを考えることで、次の患者への推論精度が上がります」
予後の見立てとゴール設定の実際。
内包損傷後の予後は「どの部位が・どれだけ障害されているか」と「初期評価で何ができるか」の組み合わせで判断します。回復の可能性を過小評価することも、過大評価することも患者にとって有害です。
①病巣サイズと部位:内包後脚の損傷が大きいほど、皮質脊髄路の遮断度が高い。MRIでの損傷範囲と予後相関がある(Schiemanck et al., 2008)。
②発症3日以内の初期機能(3ステップ評価):立方体把握・握力・肩挙上のすべてがクリアできれば良好な回復が期待できる(Margit et al., 2022)。
③2週間以内のBRS変化:BRS上肢が発症2週間以内にⅢ以上に改善しない場合、1年後の手の良好な機能回復確率が大きく低下。ゴール設定を「道具的上肢使用」から「非麻痺側主体のADL自立」へシフトするタイミングを医師・OTと検討する。
よくある質問。
前脚には前頭橋線維(前頭葉と橋をつなぐ)と前視床放線が通ります。膝には皮質延髄路(顔面・舌・発声の運動制御)が通ります。後脚には皮質脊髄路(四肢の随意運動)・体性感覚路・皮質網様体路が通り、内包で最も大きい部分です。レンズ核後部には視放線、レンズ核下部には聴放線があります。
皮質脊髄路の障害により対側上下肢の随意運動障害(片麻痺)が生じます。同じく後脚を通る体性感覚路の障害で対側の触覚・痛覚・位置覚低下が起こります。後脚はMCAのレンズ核線条体動脈が主な供給源であり、ラクナ梗塞が多い部位です。
Schiemanck ら(2008年)の研究では、運動皮質と内包の両方が損傷された場合の良好な手機能回復率は13%と報告されています。一方、内包のみの損傷では回復率が高くなります。発症3日以内の初期上肢機能(立方体把握・握力・肩挙上の3ステップ評価)が予後予測の重要な指標です。
CWSは内包領域の一過性虚血により、突然の片側脱力・しびれが繰り返し出現する症候群です。ラクナ梗塞の前触れとなることがあります。危険因子は高血圧・喫煙・糖尿病・脂質異常症です。Martínezら(2023)のSRでは抗血小板2剤併用療法と抗凝固療法の組み合わせが82.6%の成功率を示しました。
内包はT2強調画像でV字型の高信号構造として観察されます。前脚・膝・後脚の位置関係を確認し、高信号が途切れる・不規則になる部位が損傷部位です。DTI(拡散テンソル画像)では皮質脊髄路のFA値(fractional anisotropy)低下が予後予測に有用です。
運動学習の効率化には週2回以上、3か月以上の継続が推奨されています(専門家合意・運動学習エビデンス)。BCIを用いた運動イメージトレーニングの研究でも、集中的な反復練習と十分なフィードバックが機能回復を促進することが示されています。
STROKE LABのプログラム。
STROKE LABは、脳卒中後遺症に特化した自費リハビリ施設です。保険リハビリの日数・時間の制限にとらわれず、「本当に回復したい」というご要望に応えるオーダーメイドプランを提供しています。内包損傷による片麻痺・感覚障害・認知機能変化に対して、神経可塑性の最新エビデンスに基づいた集中的なアプローチを行います。

— STROKE LABのリハビリの様子。変化を動画で記録し、成果を可視化します。
「右内包後脚のラクナ梗塞後、発症2週間でBRS上肢Ⅱのままだった方を担当しました。最初は手の回復を主目標にしていましたが、感覚検査で位置覚・触覚が著しく低下していることに気づき、戦略を変えました。感覚フィードバックを強化しながら非麻痺側主体のADL自立を先に目指したところ、3か月後にはFIM運動が33→72点まで改善。手の機能は限定的でも、生活の自立度は大きく上がりました。『症状の組み合わせ』を見て戦略を柔軟に変えることの大切さを学びました。」— 作業療法士・臨床経験8年・脳卒中リハビリ専門
「回復期病棟で内包損傷後の患者さんのリハビリ中、突然『左手がしびれる』と訴えられました。数分後に治まりましたが、CWSを疑い即座に担当医へ報告。緊急MRIでTIAが確認され、抗血小板療法の強化につながりました。あのとき『大丈夫そうだから様子を見よう』と判断していたら、完全梗塞になっていたかもしれません。一過性症状を絶対に見過ごさない、という姿勢がセラピストには必要です。」— 理学療法士・臨床経験12年・神経疾患専門
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諦めないでください。

内包損傷という診断を聞いたとき、多くのご家族が「この先どうなるのか」と不安になります。でも、神経可塑性のエビデンスが示すように、適切なリハビリを続ければ発症6か月以降でも回復は続きます。
STROKE LABでは、神経リハビリに精通したセラピストが、その方の病変部位・初期機能・生活目標に合わせた個別プランを設計します。保険外だからこそ、時間・回数・内容を自由に組み立てられます。
「まずは話を聞いてほしい」というところからで構いません。初回20分の無料相談で、現在の状態と目標をお聞かせください。
代表取締役 金子 唯史
参考文献。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)