Vol.592.脳卒中片麻痺患者の体温は変化するの??
目次
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カテゴリー
タイトル
●脳卒中片麻痺患者の体温の評価
●原著はEvaluation of body temperature in individuals with strokeこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●コロナの影響で検温することは多い。ふと、麻痺側の体温と非麻痺側の体温で違いがないか興味を持ち本論文に至った。
内 容
背景
●脳卒中は熱感度の変化を引き起こす可能性があります。本研究目的は脳卒中後の片麻痺患者の体温の状態を健常者と比較検証すること、また熱感受性と性別・年齢・BMI・障害側・脳卒中発症からの期間、熱の報告、運動性などとの関係性を確立することでした。
方法
●この横断的研究には、脳卒中片麻痺患者100名と健常者30名が参加しました。
●末梢神経病変、糖尿病、末梢血管疾患または腫瘍を有する患者はこの研究に含まれていませんでした。
●参加者は皮膚温度計を使用した腋窩温度評価と、赤外線センサー(ThermaCAMTM SC 500-FLIR Systems)を用いて赤外線サーモグラフィによって測定された手足の皮膚温の評価を受けました。
結果
●結果は、健常者は体のどちらの側でも同じような体温を持っていることを示しています。
●片麻痺の被験者は、麻痺側の温度が低く、健常者と比較して両足の体温は低かった。
●結果はまた年齢、BMIおよび脳卒中後の経過時間が体温の変化に影響を与えないことを示しています。
●麻痺側については、右側(右足)の片麻痺者は左側の片麻痺者よりも体温が低いことが分かりました。
●運動性は手足間の温度差とは関係がありませんでした。
●要約すると、健常者は両側で温度対称性がありますが、脳卒中患者は麻痺側、特に下肢の温度が低くなります。
私見・明日への臨床アイデア
●脳卒中患者では麻痺側は代謝が低くなりやすく体温が低下しやすい。特に高齢の痩せた患者ではより低体温になる可能性があり、日常生活上のケア上で考慮したい部分である。
●体温とはまた違うが、温度に関わる部分では、温熱療法にて痙縮を抑制できたとの報告もある。温度を考慮することは痙縮や皮膚感覚等への影響を与える可能性もあり、臨床上考慮したい部分である。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
併せて読みたい【脳卒中・脳梗塞】関連論文
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)