Vol.541.身体能力に対する水分補給の重要性
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カテゴリー
タイトル
●身体能力に対する水分補給の重要性
●原著はHydration and physical performanceこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●「運動前に水分を取りましょう」と言うことが多い。体の動きに対する水分の重要性を何となく知っていたため。しかし、その背景を十分に理解していないと思い本論文を読むに至った。
内 容
体の水分の重要性
●体の水分の重要性は一般的に知られていますが、多くのアスリートは、運動中および運動後の水分補給の影響を真剣に考えていません。
●水は血液量を維持し、体温を調節し、筋の収縮に関与します。
●発汗は自律神経系によって調節され、視床下部によって無意識下に制御されます。
●水分を摂取すると、運動中に失われた水分が補給されます。体の水分の状態が回復すると、正常な筋機能が維持され、身体能力の低下を防ぎ、熱ストレスのリスクを軽減します。
●熱ストレスの症状は、頻脈、低血圧、過呼吸、嘔吐、下痢、発作、昏睡です。これらの深刻な影響にもかかわらず、多くのアスリートは水分補給が運動能力に及ぼす影響を真剣に考えていません。
●体重の2%に相当する汗が失われると、身体的および精神的パフォーマンスが著しく低下します。
●身体活動中に体重が5%以上減少すると、作業能力が約30%低下する可能性があります。脱水症状が仕事の能力に影響を与えることに加えて、体重の2%を超える発汗の喪失は、吐き気、下痢、嘔吐、胃腸の問題のリスクを高めます。
●脱水症は、血液量の減少、皮膚の血流の減少、発汗量の減少、熱放散の減少、体の深部温度の上昇、およびグリコーゲンの使用率の増加を引き起こす可能性があります。脱水により血漿量が減少し、血液の粘度が上昇すると、中心静脈圧が低下し、心臓に戻る血液の量が減少します。運動強度のピーク時には、これらの変化により、拡張期に心臓に入る血液の量が減少する可能性があります。心臓に入る血液が少なくなると、収縮期、つまり心臓が収縮する段階で心臓から出る可能性のある血液の量が減少し、その結果、心拍出量が減少します。
● 18歳以上の成人男性は約4リットルを消費する必要があります。 18歳以上の女性は約3リットルの水を飲む必要があります。
●水は、運動能力に関係する化学反応の大部分に関与しています。アスリートが最大限の身体能力を発揮するには、身体活動の前、最中、後に水分補給することが重要です。
私見・明日への臨床アイデア
●水分がどれ程大事か本論文を読むことで再確認できた。高齢者では「飲みたくない」と水分を飲むことを拒否する方も多い。療法士もその重要性を理解していないと、「後で飲みましょうか」と口にする人もいると思う。水分は運動時にこそ重要と思われる。上記の血液・自律神経系の問題等をはじめ物理的にも影響するのではないかと思う。飲みたくないという点からトラブルを生じていると評価し、患者を再教育していく必要があると思われる。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)