【2024年最新ガイド】視床痛の治療・リハビリテーション方法:予後予測とMRI画像診断まで徹底解説 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2024年最新ガイド】視床痛の治療・リハビリテーション方法:予後予測とMRI画像診断まで徹底解説

予後予測の動画↓↓↓

視床とは?

視床は脳の主要な中継基地としての役割を担っています。運動経路、大脳辺縁系経路、嗅覚以外の感覚経路はすべてこの中枢を通過しています。

視床は核と呼ばれる約60の領域に分割することができます。それぞれの核は、入力として独自の経路を持ち、出力として様々な突起を持ち、そのほとんどが大脳皮質に情報を送っています。

大脳皮質の下にある視床と呼ばれる一対の卵形の構造は、進化の過程で(私たちの大脳皮質と同様に)大きく複雑になり、その配線は哺乳類が爬虫類から分岐するにつれてより複雑になりました。

視床は、視覚、味覚、触覚、平衡感覚など、感覚情報の98%を大脳皮質に伝達しています。

また、視床は運動信号の伝達や、脳幹から大脳皮質への情報の中継を行い、目覚めや入眠などの意識の変化を調整する役割も担っています。

視床の機能は?

視床は大脳辺縁系の一部であり、情動に大きく関連する脳の領域で、記憶と学習に不可欠です。

視床は、感覚情報をより解釈しやすく、管理しやすい形にして高次の領域に送ることを目的とする機能を担います。

視床は大脳皮質と密接な関係にあり、多数の相互接続があります。視床皮質ループを構成し、覚醒メカニズムを調節し、覚醒を維持し、感覚的な事象に注意を向けさせます。

機能的には、視床は以下の5つの主要な機能に分かれています。

5つの機能は?

①覚醒と痛みの調節を扱う網様体核と視床内側核。網様体は、これらの活性化パターンを生成している感覚対象が何であるかについて、常に知的な推測を行っています。神経回路はこれらのパターン推測を記憶の中の類似パターンと比較します。これらの回路はすべて、入力された感覚データを解釈するための首尾一貫した枠組みを作り出すために協力しています。
②嗅覚を除くすべての感覚領域を制御
③運動言語機能
④認知機能
⑤気分と意欲

 

 

視床の障害は?

視床は広範な重要な機能に寄与しています。視床損傷の副作用は、人によってさまざまです。

視床損傷の最も一般的な副作用には、以下のようなものがあります。

①しびれ、麻痺、知覚過敏、痛みなどの感覚的な問題
②視力低下または光感受性
③運動障害
④振戦
⑤注意力低下
⑥記憶障害
⑦不眠症
視床は睡眠と覚醒を制御しているため、視床の損傷が激しいと昏睡状態になることもあります。

視床のMRI

引用元:画像診断Cafe

引用元:画像診断Cafe

引用元:画像診断Cafe

視床痛について

視床痛について講義形式で解説していきます。

ある日、医師の金子先生は新人療法士の丸山さんを呼び出し、脳卒中後の視床痛(thalamic pain)について詳しく講義を行うことにしました。

金子先生「丸山さん、今日は視床痛について詳しく話しますね。視床痛は、脳卒中後に生じる難治性の痛みで、感覚系に重大な障害が生じた場合に発生するものです。視床痛は、神経病理性疼痛の一種で、特に脳卒中後疼痛の一つとして知られています。まず、この痛みがどのように発生するか、脳科学的な視点から説明します。」

丸山さん「よろしくお願いします!視床痛は難治性で治療が難しいと聞いていますが、詳しく教えていただけるのはありがたいです。」

1. 視床痛のメカニズム

金子先生「視床痛は、視床に損傷が生じた場合に発生しますが、視床自体が感覚の中継核として非常に重要な役割を果たしているためです。視床は、脳幹からの感覚情報を大脳皮質に中継する場所です。脳卒中によって視床が損傷されると、感覚の伝達経路が乱れ、痛みの信号が過剰に伝達されるようになるのです。」

丸山さん「なるほど、感覚情報の調整役である視床がダメージを受けると、痛みが過敏になるわけですね。」

金子先生「その通りです。視床は、視覚、聴覚、触覚などの多様な感覚を統合して大脳皮質に伝える役割を担っているので、ここが損傷されると、感覚が正しく処理されなくなります。結果として、本来痛みを感じるはずのない触覚や温度感覚が、痛みとして感じられるようになるのです。」

2. 視床痛の経過と予後

金子先生「視床痛は発症直後には目立たない場合が多いのですが、数週間から数か月後に痛みが増してくるケースが多いです。発症から1年以内に、患者の約10%が視床痛を経験するとされています。また、痛みの強さや持続性もさまざまで、予後に関しても非常に不確定です。」

丸山さん「予後が不確定というのは、患者にとっては大変ですね。何か予後を良くするための要因はあるんでしょうか?」

金子先生「視床痛の予後は、早期発見と治療がカギになります。発症から早い段階で痛みが生じる患者の方が、痛みが長期化しやすいことが分かっています。ただし、治療に関しては、神経系の複雑な機能に依存するため、完全な痛みの消失は難しい場合もあります。」

3. 視床痛に対するアプローチ

金子先生「さて、次に視床痛に対するアプローチについて詳しく説明しましょう。視床痛の治療は、多角的なアプローチが必要です。まずは、神経科学的な視点からの治療法を見ていきます。」

薬物療法

金子先生「視床痛に対する第一選択肢は、薬物療法です。抗うつ薬(例:アミトリプチリン)や抗けいれん薬(例:ガバペンチン、プレガバリン)などが使用されることが一般的です。これらの薬は、神経の興奮を抑える効果があります。」

丸山さん「抗うつ薬が痛みにも効果があるんですね。」

金子先生「そうです。視床痛は神経系の過剰な興奮に基づく痛みなので、神経の過活動を抑制することが痛みの軽減に繋がります。これに加えて、低用量のオピオイドが併用されることもありますが、オピオイドは長期使用に伴うリスクがあるため、慎重な管理が必要です。」

神経刺激療法

金子先生「次に、薬物療法が効果を示さない場合、神経刺激療法が選択肢となります。例えば、脊髄刺激法視床深部刺激法などの方法です。これらは、神経の異常な活動を抑えるための電気的刺激を加える手法で、視床の過剰な興奮を抑制することを目的としています。」

丸山さん「脳や脊髄に電気的な刺激を加えることで痛みが軽減するんですね。でも、これって手術ですよね?」

金子先生「そうです。これは外科的なアプローチで、薬物療法が効果を示さない場合の最終的な選択肢です。視床痛は通常の疼痛管理では対処しきれない場合が多いため、こういった高度な治療法が必要になることも少なくありません。」

リハビリテーションの役割

金子先生「視床痛に対するアプローチでは、リハビリテーションも重要な役割を果たします。リハビリを通じて、痛みを管理しながら機能を回復させることが求められます。」

丸山さん「具体的にどのようなリハビリが効果的なのでしょうか?」

金子先生「視床痛に対しては、まず感覚統合訓練が役立ちます。痛みを引き起こす感覚刺激に対して、少しずつ順応する訓練を行います。例えば、振動刺激温冷刺激を用いて、過敏な感覚系を慣れさせることが目的です。」

4. リスク管理と臨床応用のポイント

金子先生「視床痛の治療には、患者ごとに異なるリスクが伴います。例えば、過度に強い感覚刺激は逆効果で、痛みを悪化させることがあります。そのため、訓練は段階的に進めることが非常に重要です。」

丸山さん「痛みが敏感な状態なので、急激な変化を避けるということですね。」

金子先生「その通りです。また、リハビリの進行に応じて、患者自身が痛みをコントロールできるように自律的なリハビリプログラムを導入することも効果的です。たとえば、深呼吸法や瞑想などを併用することで、痛みの知覚を緩和させるアプローチも有効です。」

5. 予後改善のためのアプローチ

金子先生「視床痛は長期的な管理が必要で、患者のQOL(生活の質)を向上させるためには、痛みだけでなく全体的な機能回復を目指すアプローチが大切です。適切な薬物療法と神経刺激療法、そしてリハビリを組み合わせて、痛みを最小限に抑えながら機能回復を図ることが重要です。」

丸山さん「薬物療法とリハビリ、そして必要に応じて神経刺激療法を組み合わせて、長期的な視点で患者さんの生活の質を改善していくんですね。」

最後に

金子先生「視床痛は、患者にとって非常に辛い症状ですが、適切なアプローチを取れば、痛みを管理しながら生活の質を向上させることが可能です。丸山さんもこれから、多角的な視点で視床痛に対応できるようにしっかり学んでくださいね。」

丸山さん「ありがとうございます。今日の講義で、視床痛に対する理解が深まりました!」

リハビリテーションは?

介入方法は多岐に渡ります。以下の動画はSTROKE LABの利用者様の経過と介入動画です。

視床痛における最新の知見は?

視床痛(中枢性疼痛)についての最新知見 まとめ(1)

視床痛(中枢性疼痛)についての最新知見 まとめ(2)

カテゴリー

脳科学、視床、痛み

タイトル

●視床痛(中枢性疼痛)についての概要と最新知見

●原著はThalamic Pain Syndromeこちら

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

●視床痛を有する患者の治療に関わり、難渋したため世界的にどのような治療が施されているのか学びたく本論文に至った。

内 容

視床痛の基本

●視床痛の有病率は脳卒中症例の8%程度と比較的多くなっています。すぐに疼痛が生じるわけではなく、数ヶ月後に生じる場合もあります。

●患者が経験する痛みは神経障害性で体温の変化にも関連しています。

●視床痛症候群は現在は脳卒中後の中枢性疼痛として一般的に知られていますが、歴史的にはDejerine–Roussy syndromeとして知られていました。視床痛症候群は脳卒中後の中枢性疼痛の一種です。ただし、中枢性疼痛のすべてのケースが視床起源であるわけではありません。正確で広い定義としては、脊髄視床路の損傷に続発する痛みです。

視床痛の評価・治療

●痛みと生活の質を改善するために、治療に対する代替的かつ統合的なアプローチが推奨されています。薬理学的には、神経因性疼痛治療薬とオピオイド鎮痛薬があります。より侵襲的な治療は、脳深部刺激療法、手術などもあります。

●International Classification of Headache Disorders 3rd edition(ICHD-3)によると、脳卒中後の中枢性の疼痛の診断基準には、以下のすべてが必要となります。1)虚血性または出血性脳卒中後6か月以内の顔面および頭の痛みの出現。2)MRIなどの画像診断で、適切な場所に血管病変が確認されること。その他の情報源からは痛みの原因が説明されないこと。画像診断は、他の考えられる診断を除外し、物議を醸す症例の視床脳卒中の病歴を確認するのに役立ちます。また MRIは、脳卒中後の視床梗塞の解釈に役立ち、梗塞が大きければ大きいほど、損傷が大きくなり、予後が悪くなることがあります。

●視床痛に対する経皮的電気神経刺激(TENS)は様々な結果を示しており、一部の患者では痛みが改善され、他の患者では悪化しています。

経頭蓋磁気刺激法(TMS)の小規模な研究では、脳卒中後の中枢性の痛みを伴う患者において介入後4週間で中程度の改善が見られました。運動野の刺激にて1つの研究で最大77%の成功率という報告されました。 運動野の刺激は、特に顔面痛を訴える患者において、効果的な治療法であると報告があります。

脳深部刺激療法は、他の種類の痛みと比較し、中枢神経性の痛みにはあまり効果的ではありません。しかし、脳深部刺激療法は、脳卒中後の中枢神経性の痛みを伴う患者の50〜70%で短期的には効果的な治療法となる可能性があります。

【視床】の関連論文

vol.405:末梢神経損傷後に視床感覚受容野のリモデリングは起こるのか?-異所性疼痛に関する研究-  脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー

vol.97:視床病変ではないプッシャー症候群についての考察 脳卒中/脳梗塞リハビリに関わる論文サマリー

視床痛に対する臨床アプローチ:脳科学的視点を踏まえた手順解説

視床痛は脳卒中などの中枢神経系の損傷後に生じる神経病理性疼痛で、視床の損傷が原因となり、異常な痛みの知覚を引き起こします。脳科学的視点を踏まえると、視床は感覚の中継核としての役割を果たし、正常な感覚入力と痛みの調整を担っています。この機能が破綻することで、視床痛が発生します。以下に、視床痛に対する臨床的アプローチを、脳科学的視点を組み込みながら具体的に解説します。

ステップ1:初期評価と痛みの評価

1-1. 神経学的評価

脳科学的視点:視床は感覚入力の統合に関与し、視覚、触覚、痛覚、温度感覚などを調整しています。損傷部位や範囲に応じて、感覚障害が異なるため、感覚テストを実施して、特定の感覚経路の障害の有無を確認します。

手順
  • 軽い触覚刺激(綿やブラシを用いる)や温度刺激を使って、患者の感覚反応をテスト。
  • 患者にどのような感覚を感じるか質問し、異常な感覚(過敏、無感覚、異常感覚)の範囲を特定。

1-2. 痛みの性質評価

脳科学的視点:視床の損傷により、痛みの知覚が異常に増幅されることが特徴です。痛みの性質(鋭い、鈍い、灼熱感など)を詳細に評価することが重要です。

手順
  • 視床痛特有の痛み(灼熱感、刺すような痛み、触られても痛みを感じるなど)の有無を確認。
  • 痛みの強さや影響をVisual Analogue Scale (VAS) や Numeric Rating Scale (NRS)で評価。
  • 日常生活や動作時の痛みの変化も観察し、トリガーとなる動作や姿勢を確認。

ステップ2:薬物療法の導入

2-1. 抗けいれん薬と抗うつ薬の使用

脳科学的視点:視床痛は神経伝達物質の過剰な放出と過敏な受容体活動に関連しています。抗けいれん薬や抗うつ薬は、痛覚信号の伝達を調整し、神経興奮を抑制する作用があります。

手順
  • 抗けいれん薬(例:ガバペンチン、プレガバリン)を低用量から開始し、副作用に注意しながら漸増。
  • 抗うつ薬(例:アミトリプチリン、デュロキセチン)は、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、痛みの緩和に寄与。
  • 患者の反応を評価し、薬剤の効果が現れるまで数週間かかる場合があるため、定期的に再評価を行う。

2-2. オピオイドの併用

脳科学的視点:中枢神経系での痛みの信号処理に影響を与えるため、特に難治性の場合は低用量のオピオイドを使用しますが、依存リスクに注意する必要があります。

手順
  • オピオイドは、慢性化した視床痛に対して慎重に使用し、患者の依存リスクを管理する。
  • 痛みが極めて強い場合に限り、短期間の使用を検討し、他の治療法と併用する形で導入。

ステップ3:神経刺激療法の適用

3-1. 脊髄刺激法 (Spinal Cord Stimulation: SCS)

脳科学的視点:脊髄刺激法は、神経伝達を調整し、視床からの過剰な痛み信号を遮断する効果があります。脊髄に電極を挿入し、電気的な刺激を与えることで、痛覚信号を調整します。

手順
  • 薬物療法が効果を示さない場合、脊髄刺激療法を検討。
  • 外科的手術により、脊髄の痛みの伝達経路を電気刺激で抑制するためのデバイスを埋め込み、痛みの軽減を図る。

3-2. 視床深部刺激療法 (Deep Brain Stimulation: DBS)

脳科学的視点:視床や他の痛み関連中枢に電極を埋め込み、電気刺激を与えることで、過剰な興奮を抑え、痛み信号の異常な伝達を抑制します。

手順
  • 薬物療法や脊髄刺激法が効果を示さない場合、視床や視床下部への深部刺激を適用。
  • 深部刺激の効果を定期的に評価し、設定を調整する。

ステップ4:感覚統合リハビリテーション

4-1. 感覚刺激による痛み管理

脳科学的視点:視床痛は、感覚系の過敏性に関連しています。感覚統合訓練を通じて、痛みを引き起こす刺激に順応させ、過剰な反応を抑制します。

手順
  • 振動刺激や温冷刺激など、軽度な感覚刺激から徐々に強度を上げ、感覚過敏を軽減。
  • 痛みを伴わない刺激から始め、患者が徐々に慣れるように段階的にアプローチを進める。
  • 患者の感覚の状態に応じて、リハビリテーションプログラムを個別化し、痛みのコントロールと共に機能回復を促進。

4-2. 運動療法と痛みの再認識

脳科学的視点:運動療法は脳の可塑性を利用して、視床が損傷を受けた後でも新しい感覚経路を強化し、痛みの認識を再調整します。

手順
  • 軽度の運動から開始し、痛みを引き起こすことなく筋力強化や可動域の改善を図る。
  • 患者が自ら痛みの知覚をコントロールできるように、深呼吸法やリラクゼーション技法を併用。
  • ミラーセラピーバーチャルリアリティ訓練を使用し、脳の再統合を促進。

ステップ5:心理的アプローチと自律神経系の調整

5-1. 心理的サポートと痛みの認識

脳科学的視点:痛みの知覚は心理的要因とも深く関連しており、ストレスや不安が視床痛を増幅させることがあります。心理的アプローチを併用することで、脳の痛みの認識を変えることが可能です。

手順
  • 認知行動療法(CBT)や痛み教育を通じて、患者に痛みのメカニズムを理解させる。
  • 痛みと共に生きる方法を学ぶために、ストレス管理やマインドフルネスを導入。
  • 自律神経系の調整を行うために、深呼吸や瞑想を通じて交感神経系の活動を抑制。

ステップ6:長期的なフォローアップと痛み管理

脳科学的視点:視床痛は長期的な管理が必要で、持続的なフォローアップが痛みの改善に寄与します。脳の可塑性を活用し、機能回復と痛みの緩和を目指します。

手順
  • 定期的な評価とリハビリテーションの見直しを行い、進行状況に応じてアプローチを調整。
  • 家族や介護者にも痛み管理の方法を伝え、日常生活での痛みの予防と管理をサポート。
  • 進行する痛みや症状の変化に対応するため、早期に医師と連携し、追加の介入を検討。

これらのアプローチは、視床痛を多角的に捉え、患者の個別の状態に合わせた治療を行うことが重要です。脳科学的視点を取り入れた臨床的アプローチは、患者のQOLを向上させ、生活機能の改善に繋がります。

新人療法士が視床痛に対するリハビリテーションを行う際のポイント

新人療法士が視床痛を有する患者に介入する際には、視床痛の複雑さやその神経学的背景を理解し、個々の患者に合わせた対応が求められます。以下に、視床痛患者への介入で注意すべき重要なポイントを挙げます。

1. 痛みの評価は慎重に行う

視床痛は痛みの知覚が異常に増幅されるため、患者の痛みの強さや性質に敏感に対応することが重要です。過度に刺激を与えると痛みが悪化する可能性がありますので、患者の痛みの訴えを正確に評価し、適切な尺度(VASやNRS)を使用して主観的な痛みを把握しましょう。

2. 感覚過敏の程度を確認しながら進める

視床痛患者は触覚や温度感覚に過敏であることが多いため、感覚統合訓練や軽度な感覚刺激のアプローチ時には、慎重な進行が必要です。振動刺激や触圧覚刺激を行う際は、少量の刺激から始め、患者の感覚反応を観察しながら徐々に強度を増加させます。

3. 心理的状態の影響を考慮する

視床痛は心理的な要因と深く結びついています。ストレスや不安が痛みを増幅させるため、患者の心理的状態に注意を払い、適切なタイミングで心理的サポート(リラクゼーション技法やマインドフルネスの導入)を併用することが推奨されます。

4. 運動療法は痛みを悪化させないように配慮

運動療法では、痛みのない範囲での動作を選び、徐々に負荷を増やします。視床痛患者は動作中に痛みが急激に増加することがあるため、セッション中は痛みのモニタリングを欠かさず、痛みの閾値を超えないように注意します。

5. 患者とのコミュニケーションを密にする

視床痛は個々の患者で痛みの感じ方が大きく異なるため、介入中は患者と密にコミュニケーションを取り、痛みや不快感を逐次確認しながら進めます。痛みが増した場合は、すぐに介入を中止し、対応を調整する柔軟性が求められます。

6. 薬物療法との連携を考慮する

視床痛の治療には薬物療法(抗けいれん薬や抗うつ薬)がよく使用されますが、新人療法士としては、薬物療法の影響(副作用や効果)を把握しながらリハビリを進めることが重要です。薬の服用状況や痛みの変化を確認し、医師と連携を図ります。

7. 自己管理能力の向上を促進する

視床痛は慢性的であり、患者の自己管理能力を向上させることが重要です。リラクゼーション法、深呼吸法、軽いストレッチなど、痛みの自己コントロール技術を指導し、日常生活でも実践できるようサポートします。

8. 触覚と痛覚の再統合を目指すアプローチ

脳の可塑性を利用して、失われた触覚と痛覚の統合を図ることが重要です。例えば、ミラーセラピーや軽度の振動刺激を用いて、脳が異常に感じる痛みを軽減し、正常な感覚パターンの再構築を目指します。

9. 運動のリハビリ計画は段階的に設定する

運動や機能回復の訓練を行う際は、患者の感覚過敏や痛みの閾値に合わせた段階的なリハビリ計画が重要です。急激な負荷増加や長時間の訓練は痛みを悪化させる可能性があるため、まずは短時間のセッションから始め、徐々に耐久性を高めていきます。

10. トリガーとなる活動や環境を把握する

視床痛患者は特定の動作や環境で痛みが増加することがあります。寒冷、振動、特定の姿勢などが痛みを悪化させる場合があるため、患者の生活環境や日常の動作パターンを把握し、痛みを引き起こすトリガーを特定・回避するための指導を行います。

これらのポイントを踏まえて、視床痛患者に対するリハビリ介入を行うことで、痛みの悪化を避けながら、機能回復や生活の質の向上を目指すことが可能になります。

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