Vol.435.ELYテストは大腿直筋の機能異常の評価に有効!?ELYテストによるEMG評価及び運動学的データ異常の陽性適中率
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タイトル
●ELYテストは大腿直筋の機能異常の評価に有効!?ELYテストによるEMG評価及び運動学的データ異常の陽性適中率
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●大腿直筋の機能異常によりswing相など歩行時の問題を示す患者は多い。大腿直筋の機能異常を客観的データとして示すELYテストについてより詳細に学ぼうと思い本論文に至る。
内 容
背景
●Elyテスト(またはDuncan-Elyテスト)は、患者がリラックスしたうつ伏せの状態で膝を素早く受動的に屈曲させることにより大腿直筋の痙縮を評価するための臨床ツールです。
●本レビューでは、70人(患者の平均年齢は13歳で4歳5ヶ月から54歳の範囲の脳性麻痺患者、全ての患者は歩行可能)の歩行中の患者の膝の動的な可動域(ROM)と筋電図(EMG)がElyテストの結果と比較されました。
方法
●本研究では、対象とする問題は大腿直筋の異常としました。現在の大腿直筋の異常を評価するための標準的基準は、動的な筋電図評価および運動学的データを含む歩行分析です。
●Elyテストの結果と比較された基準には、以下が含まれました。
①歩行中の患者の膝の動的可動域(ROM)がElyテストの結果と比較された。異常な動的膝ROMは、スイング相で<40˚であると見なされた。
② 患者の動的な筋電図をElyテストの結果と比較した。障害のない患者の膝の屈曲のピークは歩行サイクルの71%で発生し、大腿直筋筋電図活動が停止するポイントであった。したがって、EMGは歩行サイクルの71〜92%の異常な活動について分析された。
③歩行周期のパーセンテージとしての最大膝屈曲のタイミングも監視され、Elyテストの結果と比較された。非麻痺側の患者の膝屈曲のピークは、歩行周期の71%で発生した。タイミングの遅延は、歩行サイクルの71%以上と定義された。
④動的なROMと異常なEMGも組み合わせ、Elyテストの結果と比較した。異常なROMとEMGによるElyテストが陽性であれば、Elyテストが敏感であることを示します。通常のROMとEMGでのElyテストが陰性であれば、Elyテストの特異性が実証されます。
結果
●Elyテストは、歩行中の大腿直筋の機能障害、特に動的膝ROMの減少、スイング時の膝屈曲のピークタイミングの遅延およびスイング相の大腿直筋の異常な筋電図に対し、良好な陽性予測値を示すことが示されました。
私見・明日への臨床アイデア
●臥位でELYtestを実施する事で、歩行時のstiff knee gait(動的膝ROMの減少、スイング時の膝屈曲のピークタイミングの遅延およびスイング相の大腿直筋の異常な筋電図)が予測できることが分かった。逆に大腿直筋の影響か評価する際にELYtestが有用であることが分かる。主観的評価だけでなく、客観的評価を用いることは、一般的な基準と本人を比較する事で少なからず問題がありとした方が良いのか、他の問題を考えた方が良いのか判断の整理がつきやすい為お勧めする。