パーキンソン病でオンラインリハビリ相談はできるか|原因と対策・自宅でできる工夫
通えない日も、つながる方法があります。
オフの時間が読めない、外出そのものが大仕事、付き添うご家族も大変——パーキンソン病では、通院を難しくする理由がいくつも重なります。オンラインでも、できるリハビリ相談があります。何ができて何ができないのか、自宅での準備の仕方まで整理します。

通うこと自体が、大仕事になった。
薬の効き目が切れるタイミングは、日によって少しずつ違います。準備をして家を出ようとした矢先に動けなくなり、予約をキャンセルする。付き添うご家族も仕事や介護のやりくりで疲弊してしまう——そんな声を、私たちはたくさん聞いてきました。
でも、知ってほしいのです。通院が難しい日でも、オンラインという形でつながり、リハビリの相談を続けられるということを。
パーキンソン病では、症状そのものだけでなく、通院という行為自体が負担になる場面が少なくありません。移動、待ち時間、人混み——どれもオフの時間や疲れやすさと相性が悪いものです。だからといって、リハビリを諦める必要はありません。オンラインでできることを知り、うまく組み合わせていく方法を見ていきましょう。リハビリの全体像はリハビリ完全ガイドにまとめています。
通院が難しくなる、いくつもの原因。
「通院がつらい」と一口に言っても、その背景にある原因は人によって違います。原因が違えば、合う対策も違うので、まずは自分やご家族がどれに当てはまるかを整理してみましょう。
| 原因 | どういうことか |
|---|---|
| オフの予測しにくさ | 薬の効き目が切れる時間帯が読めず、外出の予定が立てにくい |
| すくみ足・移動の負担 | 駅の乗り換えや人混みで、足が出にくくなりやすい |
| 疲れやすさ | 往復の移動だけで体力を使い果たし、肝心の練習に力が残らない |
| 付き添うご家族の負担 | 仕事や自分の予定を調整して同行する必要がある |
| 距離・地域の事情 | 専門的なリハビリを行う施設が近くにない |
| 感染症への不安 | 免疫の状態や体調によって、人混みを避けたい時期がある |
こうした原因のどれか一つでも当てはまるなら、オンラインという選択肢が、リハビリを続ける支えになります。次の章では、オンラインで実際にどこまでできるのかを具体的に見ていきます。

STROKE LABの視点:画面越しにできること、できないこと。
オンライン相談を有効に使うコツは、画面越しでもできることと、対面でしかできないことを、はっきり分けて考えることです。過大な期待も、過小な評価も、どちらも損をします。

オンラインでできること:歩く様子や立ち上がり、書字、手指の動きをカメラで確認し、フォームの修正や自主トレーニングの提案を行うこと。運動の頻度や量の見直し、生活動作のちょっとしたコツの共有、ご家族への声かけの練習も可能です。
対面が向いていること:実際に体を支えながら行うバランスの評価、力の入り具合を手で確認する検査、転倒のリスクが高い動作の練習。画面越しでは奥行きや細かな力加減が伝わりにくいためです。
両方の橋渡し:対面で評価した内容をもとに、オンラインで自主トレーニングの進み具合を確認し、必要なら次の対面でやり方を調整する、という流れが現実的です。
「オンラインは補助的なもの」と割り切ると、かえって使い道が明確になります。通えない日の穴を埋め、通える日には対面でしっかり評価してもらう。続けやすさを優先しながら、大事な評価は対面で担保するという考え方です。
自宅を、小さな「相談室」に。
オンライン相談の質は、事前の準備でかなり変わります。画面の向こうの療法士が「見える」状態を作ることが目的です。

ステップ1:全身が映る場所にカメラを置く。スマートフォンやタブレットを、頭から足先まで映る高さと距離に固定します。歩く様子を見てもらうなら、2〜3メートルの動線が映る位置が目安です。
ステップ2:明るさと服装を整える。逆光にならないよう、光は自分の正面側から。体のラインが見えるよう、太めのズボンより体に沿った服装のほうが、動きを確認しやすくなります。
ステップ3:支えとご家族を近くに。椅子や手すりなど、ふらついたときに支えになるものをそばに置きます。可能であれば、ご家族に近くにいてもらうと、より安全に取り組めます。
通信環境も大切な要素です。Wi-Fiの電波が弱いと映像が乱れ、細かい動きが伝わりにくくなります。可能であれば、ルーターに近い部屋を選ぶか、有線接続を検討してみてください。運動の土台づくりには体操・自主トレ大全もあわせてご覧ください。
パーキンソン病の方を対象に、自宅でのビデオ通話による診療と通常の通院を比較した大規模な無作為化比較試験では、在宅でのビデオ通話診療でも、運動症状の変化や満足度は通院と同程度に保たれ、通院にかかる移動時間は大きく短縮されたと報告されています。
限界:この研究は医師によるビデオ診療を対象にしたもので、リハビリの動作評価そのものを検証したわけではありません。効果には個人差があり、通信環境や本人の状態によっても左右されます。オンラインは対面診療・対面リハビリの代わりではなく、組み合わせて使うものです。
自宅での準備が、オンライン相談をその場で成立させるための土台だとすれば、専門施設で目指すのは、対面とオンラインを計画的に組み合わせ、状態の変化を継続的に見守る体制です。働きかけは、大きく3つの方向から組み立てます。
1. 初回は対面で評価。歩行・バランス・筋力など、手で触れて確認すべき項目を対面でしっかり評価し、個別のプログラムを組み立てます。
2. 通えない週はオンラインで継続。体調やオフの時間に合わせて、オンラインで自主トレーニングの進み具合を確認し、フォームを修正します。
3. 定期的に対面で見直す。数週間おきに対面で全体の状態を確認し、プログラムを更新します。オンラインだけに頼りきらない設計です。
STROKE LABが軸足を置くのは、通院できる日・できない日、どちらであってもリハビリが途切れないようにするという考え方です。効果には個人差があり、進行に伴って変動します。薬の調整は主治医の役割です。
パーキンソン病の方を対象に、オンラインで運動プログラムを継続的に指導した研究では、生活の質や運動面の指標に改善がみられ、非運動症状の面でも良い変化が確認されたと報告されています。
限界:対象人数は多くなく、進行度もさまざまでした。効果には個人差があり、通信環境や本人の意欲によっても左右されます。オンラインでの運動指導は、対面での評価や薬物療法と組み合わせて使うものです。
脳リハ.comのYouTubeでは、自宅で無理なく続けられる体操を配信しています。オンライン相談までの間、まずはここから始めてみてください。
対面との組み合わせ方と、受診の目安。
専門のリハビリでは、初回はできるだけ対面で身体の状態を確認し、そのうえでオンラインを使う頻度や場面を一緒に決めていきます。「今週は対面、来週はオンライン」といった柔軟な使い分けが、続けやすさにつながります。薬の調整は主治医の役割で、私たちは動作と生活の側から支えます。
受診の目安は、転倒が増えてきた、急に動きにくさが強まった、といったときです。こうした変化はオンラインだけでは判断が難しく、対面での確認や神経内科への相談が必要です。自己判断せず、早めに専門家に相談してください。専門的な費用や施設の選び方は自費リハビリの費用・施設の選び方にまとめています。
よくある質問。
Q. パーキンソン病でも、オンラインでリハビリ相談は受けられますか?
Q. なぜオンライン相談を選ぶ人が多いのですか?

Q. オンラインでは、どこまで見てもらえますか?
Q. 自宅でオンライン相談を受けるとき、何を準備すればよいですか?

Q. オンライン相談だけで、リハビリは完結しますか?
通える日も、通えない日も、STROKE LABへ。
STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中とパーキンソン病を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。初回は対面で身体の状態をしっかり評価し、その後は通院とオンラインを、体調やご事情に合わせて組み合わせます。困っている場面を一緒に確認し、自主トレーニングの進み具合をオンラインで見守るので、通えない日があってもリハビリが途切れません。薬の調整は主治医を尊重し、動作と生活の側から支えます。保険リハとの併用も歓迎です。
動作分析から自主トレーニングまで
運動を通じて心身の状態を整える考え方を、動作分析の視点から体系化。本文と連動するYouTube動画62本で、実際の動きも確認できます。
つながっていられます。
「今日はオフがひどくて行けそうにない」。そう言って予約を諦めかけるご家族を、これまで何度も見てきました。通院そのものが症状によって難しくなる、それがパーキンソン病の現実です。
お伝えしたいのは、通えない日があっても、画面を通じてリハビリはつながっていけるということです。対面でしっかり評価し、オンラインで日々を支える。その組み合わせが、続ける力になります。
通院のことでお悩みなら、どうぞ一度ご相談ください。その方の生活に合わせた続け方を、一緒に見つけます。
代表取締役 金子 唯史
本記事は、国内外の診療ガイドライン・公的情報と、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。オンライン相談は対面診療・対面リハビリの代わりではありません。体調に変化があるときは、必ず神経内科・主治医にご相談ください(最終確認日:2026年9月5日)。
- 日本神経学会:パーキンソン病診療ガイドライン2018
- 難病情報センター:パーキンソン病(指定難病6)
- Beck CA, et al. National randomized controlled trial of virtual house calls for Parkinson disease. Neurology. 2017;89(11):1152-1161.(在宅ビデオ通話診療が対面診療と同程度に評価され、移動時間が短縮されたと報告。第1エビデンスボックスの出典)
- Isernia S, et al. Effects of an innovative telerehabilitation intervention for people with Parkinson’s disease on quality of life, motor, and non-motor abilities. Front Neurol. 2020;11:846.(オンライン運動指導で生活の質・運動機能に改善がみられたと報告。第2エビデンスボックスの出典)
- 金子唯史:パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで).医学書院.2025.

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)