パーキンソン病で便秘がつらい|原因と対策・自宅でできる工夫 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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パーキンソン病

パーキンソン病で便秘がつらい|原因と対策・自宅でできる工夫

CONSTIPATION

便秘は、意志の弱さではありません。

水を飲んでも、繊維をとっても、なかなか出ない。パーキンソン病の便秘は、腸を動かす神経そのものが影響を受けて起こる、体のしくみの問題です。原因は一つではありません。しくみを知り、今日から自宅でできる立て直し方を整理します。

UPDATED2026
READ約10分
FORご本人・ご家族へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで)』(2025年・448頁)の著者が執筆しています。血便・体重減少・強い腹痛などがある場合は、工夫を試す前に医療機関を受診してください。
Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
パーキンソン病では60〜80%の方が便秘を経験するとされます
02
運動症状より何年も前から便秘だけが先に始まることがあります
03
原因は一つではなく、複数の要因が重なって起こります
04
水分・姿勢・運動という生活の工夫で整いやすくなります
05
血便や急な体重減少など、危険な兆候があればすぐ受診を
01
The Silent Struggle

「出ない」が、毎日つらい。

A Patient’s Voice
「食事にも気をつけているのに、何日も出ないことがあって」

繊維の多い食事を心がけ、市販の便秘薬も試した。それでもお腹の張りが取れず、トイレでいきんでも出ない。食べる量が減り、気持ちまで沈んでしまう——。便秘は「食生活の乱れ」と思われがちですが、パーキンソン病の便秘は、それだけでは説明できないことがあります。

お伝えしたいのは、便秘は意志の弱さではなく、腸を動かす神経のはたらきが変化することで起こる、体のしくみの問題だということです。

実際に、パーキンソン病では60〜80%の方が便秘を経験するとされ、しかも運動症状が出るより10〜20年ほど前から、便秘だけが先に始まっていることも報告されています。つまり便秘は、活動量が減ったから起こる二次的な症状というだけでなく、病気そのものと深く結びついた症状のひとつなのです。まずはそのしくみを知り、そのうえで今日からできる工夫を見ていきましょう。リハビリの全体像はリハビリ完全ガイドにまとめています。

02
Not A Single Cause

便秘の原因は、ひとつではない。

パーキンソン病の便秘は、いくつもの要因が重なって起こるのが特徴です。原因を一つに決めつけず、自分にあてはまるものを整理してみましょう。

原因のタイプ どういうことか
通過遅延型 腸を動かす神経のはたらきが変化し、便が大腸を進む速さそのものがゆっくりになる
出口通過障害型 いきむときに肛門まわりの筋肉がうまく連携せず、便が出口まで来ても出にくい
水分・食事の要因 飲み込みへの不安から水分を控えがちになる、食事量そのものが減ることがある
薬剤の影響 治療薬やあわせて使う薬の中に、便秘を起こしやすいものが含まれることがある
活動量・姿勢の要因 動く機会が減って腹圧をかける力が弱まる、円背などで腹部が圧迫されやすくなる

ここで大切なのは、「通過遅延型」と「出口通過障害型」では、有効な工夫の方向性が違うという点です。ゆっくり進む便を促すには生活リズムや水分・運動が助けになり、出口で詰まる感覚が強い場合は姿勢やいきみ方の工夫が助けになります。両方が重なっている方も少なくありません。次の章から、それぞれに対応する立て直し方を見ていきましょう。

03
Three Switches A Day

STROKE LABの視点:腸を動かす3つのスイッチ。

腸は、一日じゅう均等に動いているわけではありません。動きやすいタイミングに、体の側から働きかけると、無理なく便通を促しやすくなります。1日のリズムに沿った3つのスイッチを押していきましょう。

Three Switches

スイッチ1:朝、起きてすぐの水と体幹ひねり。起床後にコップ1杯の水を飲むと、胃に食べ物が入った刺激で腸が動き出す反応(胃結腸反射)が起こりやすくなります。そこに座ったまま体幹を左右にゆっくりひねる動きを10回ほど加えると、より腸への刺激になります。

スイッチ2:日中、座りっぱなしを崩す。1時間に一度は立ち上がる、テレビを見ながら足踏みをする、といった小さな動きの積み重ねが、腸の動きを保つ助けになります。腹部や骨盤を軽く動かす体操も効果的です。

スイッチ3:トイレで、前傾姿勢といきみのタイミング。便座に座ったら、かかとを少し上げた足台の上に足を乗せ、上半身を前に倒します。この姿勢は肛門から直腸までの角度がまっすぐに近づき、出口の通過障害があっても出しやすくなるとされています。息を止めて力むより、息を吐きながら下腹部に力を入れるいきみ方のほうが、体への負担が少なく済みます。

3つとも完璧にやろうとする必要はありません。まずは自分の生活に取り入れやすいものからひとつ、続けてみてください。合う方法や強度は人によって異なるため、体調に合わせて作業療法士と一緒に調整するのがおすすめです。

04
Daily Habits

自宅でできる、生活の工夫。

3つのスイッチに加えて、日々の積み重ねが便通を左右します。無理のない範囲で、できるものから取り入れてみてください。

水分は目安をもって。1日の目安として900ml以上の水分摂取を意識してみましょう。飲み込みに不安がある方は、とろみをつける、少量を回数多く摂る、といった工夫も有効です。食物繊維は種類を意識して。野菜・海藻・きのこ・全粒穀物などをバランスよく。水分が不足した状態で不溶性の繊維だけを増やすと、かえってお腹が張ることもあるため、水分とあわせて摂ることが大切です。お腹のマッサージ。仰向けで、おへそを中心に「の」の字を描くように、時計回りに手のひらでやさしくさすります。腸の走行に沿ったこの方向で行うのがポイントです。

Evidence
水分摂取の少なさと便秘の関連を示した調査

パーキンソン病患者の生活習慣とリスクを調べた研究では、水分摂取量が少ないことと便秘の重さとの間に関連がみられたと報告されています。パーキンソン病の方は、飲み込みへの不安などから水分を控えがちになりやすい傾向があることも指摘されています。

限界:観察研究であり、水分摂取だけが便秘の原因とは限りません。心臓や腎臓の状態によって水分摂取量に制限がある方もいるため、水分を増やす際は主治医に確認してください。

出典:Ueki A, Otsuka M. Life style risks of Parkinson’s disease: association between decreased water intake and constipation. J Neurol. 2004;251(Suppl 7):vII18-23

発酵食品・プロバイオティクスを試す。ヨーグルトや発酵乳など、乳酸菌・ビフィズス菌を含む食品を日常的に取り入れることも選択肢のひとつです。次のような研究報告もあります。

Evidence
プロバイオティクスを含む発酵乳で排便回数が増えたRCT

パーキンソン病に伴う便秘のある方を対象にした無作為化比較試験では、複数の乳酸菌・食物繊維を含む発酵乳を4週間摂取した群で、プラセボ群より完全な排便の回数が有意に増えたと報告されています。

限界:対象は120名の一施設研究で、効果には個人差があります。便の硬さそのものへの効果は明確ではありませんでした。特定の製品や菌株を推奨するものではなく、体質に合わない場合もあるため、続ける場合は体調の変化をみながら行ってください。

出典:Barichella M, et al. Probiotics and prebiotic fiber for constipation associated with Parkinson disease: An RCT. Neurology. 2016;87(12):1274-1280
水と姿勢と、少しの運動。腸のリズムは、生活から整えられます。

ここまでは、自宅でできる工夫でした。専門施設では、出口の通過障害そのものに働きかけるアプローチまで踏み込めます。
+

Second Track — At STROKE LAB
専門施設で、さらに期待できること
生活の工夫で整わない部分に、動作の側から働きかける。

水分・食事・姿勢を整えても改善が乏しい場合、出口の筋肉がうまく連携できていない「出口通過障害型」が関わっていることがあります。専門リハビリでは、原因のタイプを見極めながら、大きく3つの方向から組み立てます。

1. いきみ方の再学習。息を止めて力むのではなく、呼吸と下腹部の力の入れ方を連動させ、出口の筋肉が自然にゆるむいきみ方を、体で覚え直していきます。

2. 体幹・骨盤の運動療法。体幹の回旋や骨盤の動きを引き出す運動を通じて、腸そのものへの物理的な刺激と、腹圧をかける力の両方を高めていきます。

3. 生活リズムの調整。その方の1日の過ごし方を確認し、水分・食事・活動のタイミングを、腸が動きやすいリズムに近づくよう一緒に組み立てます。

STROKE LABが軸足を置くのは、原因のタイプを見極めたうえで、生活の工夫と体の使い方の両輪で立て直すという流れです。効果には個人差があり、進行に伴って変動します。薬の調整は主治医の役割で、私たちは動作と生活の側から支えます。

Watch & Practice
体幹をひねる体操を、動画で。

脳リハ.comのYouTubeでは、体幹や骨盤まわりを動かす体操を配信しています。腸のスイッチのひとつとして、無理のない範囲で習慣にしてみてください。

体幹を動かす体操を見る

05
Rehab & When To See A Doctor

専門リハと、受診の目安。

専門のリハビリでは、その方の便秘が通過遅延型・出口通過障害型のどちらに近いか、生活のどの場面が引き金になっているかを一緒に確認し、姿勢・いきみ方・運動・生活リズムを、その人に合わせて調整します。薬の調整は主治医の役割で、私たちは体の使い方と生活の側から支えます。専門的な費用や施設の選び方は自費リハビリの費用・施設の選び方にまとめています。

次のような場合は、工夫を試す前に医療機関を受診してください。血便がある。体重が急に減る。お腹が強く痛む、または張って苦しい。吐き気や嘔吐がある。これまでと明らかに違う便通の変化が続く。これらは便秘以外の原因が隠れている可能性があるため、自己判断は禁物です。それ以外の慢性的な便秘についても、市販薬に頼り続ける前に神経内科や主治医、薬剤師に相談することをおすすめします。

06
FAQ

よくある質問。

Q. パーキンソン病だと、なぜ便秘になりやすいのですか?

パーキンソン病では、体を動かす神経だけでなく、腸を動かす神経のはたらきも変化しやすいことがわかっています。そのため便が大腸を進む速さがゆっくりになったり、出口の筋肉がうまく連携せずいきんでも出にくくなったりします。そこに水分不足や薬の影響、活動量の低下が重なるため、便秘は一つの原因ではなく複数の要因が重なって起こると考えられています。

Q. 水をたくさん飲めば、便秘は良くなりますか?

水分摂取は便秘対策の基本のひとつです。パーキンソン病の方は飲み込みへの不安などから水分を控えがちになり、それが便秘と関連することが報告されています。ただし水分だけですべてが解決するわけではなく、出口の通過障害など水分以外の原因が関わっていることもあります。改善しない場合は、原因を主治医に確認してください。

Q. いきんでも出ないのですが、これも便秘の一種ですか?

はい。いきんでも出にくいという症状は、出口の筋肉がうまく連携しない状態(骨盤底筋の協調運動障害)でみられることがあります。便が大腸を進む速さの問題とは別のしくみで起こるため、対策の方向性も異なります。姿勢の工夫やいきみ方の練習が助けになることがあるので、気になる場合は専門家に相談してみてください。

Q. 薬のせいで便秘になることはありますか?

あります。パーキンソン病の治療薬や、あわせて使う薬の中には、便秘を起こしやすいものがあります。自己判断で薬を減らしたり中止したりせず、便秘が気になることを主治医や薬剤師に伝えてください。薬の種類や量の調整は、医師の領域です。

Q. 運動やリハビリは便秘に効果がありますか?

体を動かすことは、腸の動きを助ける生活の土台になります。座りっぱなしを崩す、体幹をひねる、骨盤を動かすといった工夫は、無理なく続けやすい対策です。ただし効果には個人差があり、水分や姿勢の工夫とあわせて行うことが大切です。運動は薬の代わりではなく、組み合わせて使うものです。

Q. 便秘で、すぐに受診したほうがよいのはどんなときですか?

血便がある、体重が急に減る、お腹が強く痛む・張って苦しい、吐き気や嘔吐がある、といった場合は、便秘の工夫を試す前に医療機関を受診してください。それ以外の慢性的な便秘についても、自己判断で市販薬を使い続けず、神経内科や主治医に相談することをおすすめします。
07
STROKE LAB

便秘の相談は、STROKE LABへ。

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中とパーキンソン病を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。便秘のタイプや生活場面を一緒に確認し、水分・姿勢・いきみ方・運動を、その人に合わせて組み立てます。薬の調整は主治医を尊重し、体の使い方と生活の側から支えます。保険リハとの併用も歓迎です。

書籍『パーキンソン病の機能促進 動作分析から自主トレーニングまで』(医学書院)の表紙
Book
パーキンソン病の機能促進
動作分析から自主トレーニングまで
医学書院/2025年/448ページ

運動を通じて心身の状態を整える考え方を、動作分析の視点から体系化。本文と連動するYouTube動画62本で、実際の動きも確認できます。

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Message from CEO
便秘は、我慢するものではなく、
一緒に立て直せるものです。
STROKE LAB代表 金子唯史

便秘は、口にしにくい悩みです。食事に気をつけているのに出ない、いきんでも出ない——そのつらさを「自分の頑張りが足りないせいだ」と抱え込んでしまう方に、たくさん出会ってきました。

お伝えしたいのは、パーキンソン病の便秘は、腸を動かす神経のはたらきの変化からくる、体のしくみの問題だということです。原因のタイプを見極め、水分・姿勢・運動という生活の側から、少しずつ立て直していくことができます。

便秘でお困りなら、どうぞ一度ご相談ください。困っている場面そのものを題材に、その方に合う立て直し方を一緒に見つけます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

無料相談を予約する

References

本記事は、国内外の診療ガイドライン・公的情報と、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。血便・体重減少・強い腹痛などがある場合は、必ず医療機関を受診してください(最終確認日:2026年8月27日)。

  • 日本神経学会:パーキンソン病診療ガイドライン2018
  • 難病情報センター:パーキンソン病(指定難病6)
  • Ueki A, Otsuka M. Life style risks of Parkinson’s disease: association between decreased water intake and constipation. J Neurol. 2004;251(Suppl 7):vII18-23.(水分摂取量の少なさと便秘の重さとの関連を報告。第1エビデンスボックスの出典)
  • Barichella M, Pacchetti C, Bolliri C, et al. Probiotics and prebiotic fiber for constipation associated with Parkinson disease: An RCT. Neurology. 2016;87(12):1274-1280.(プロバイオティクス・食物繊維を含む発酵乳で完全な排便回数が有意に増加したことを報告した無作為化比較試験。第2エビデンスボックスの出典)
  • Pedrosa Carrasco AJ, Timmermann L, Pedrosa DJ. Management of constipation in patients with Parkinson’s disease. NPJ Parkinsons Dis. 2018;4:6.(便秘の原因が水分摂取・薬剤・疾患由来の機序など複合的であることを整理したシステマティックレビュー)
  • 金子唯史:パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで).医学書院.2025.
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