若年性パーキンソン病と仕事|症状マネジメントと職場での工夫 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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パーキンソン病

若年性パーキンソン病と仕事|症状マネジメントと職場での工夫

YOUNG-ONSET PARKINSON’S & WORK

辞めるかどうかより先に、できる工夫があります。

働き盛りでの若年性パーキンソン病の診断は、暮らしと将来の見通しを一度に揺さぶります。でも、症状の出方を知り、伝え方と働き方を整えることで、続けられる道は広がります。症状マネジメントと、職場でのリアルな工夫を整理しました。

UPDATED2026
READ約11分
FORご本人・ご家族へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで)』(2025年・448頁)の著者が執筆しています。仕事の続け方や制度の使い方は状況によって大きく異なります。判断に迷うときは、主治医・産業医・お住まいの自治体の窓口にご確認ください。
Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
若年性パーキンソン病は、一般に進行がゆるやかな傾向があります
02
症状には一日の中で波があり、パターンを知ることが対策の出発点です
03
伝えるなら、症状が目立つ前がスムーズだと言われています
04
使える制度は複数あり、組み合わせて活用できます
05
一人で抱え込まず、専門家と職場を早めに巻き込みましょう
01
The Day You Were Told

診断された、その日から。

A Patient’s Voice
「まだ子どもも小さいのに、この先どうやって働いていけばいいのか」

30代、40代でパーキンソン病と診断された方の多くが、まずキャリアと家計への不安を口にします。住宅ローン、子どもの教育費、親の介護——働き盛りだからこそ背負っているものが大きく、「辞める・辞めない」の二択で頭がいっぱいになってしまいます。

けれど実際には、辞めるかどうかを決める前に、できる工夫がたくさん残っています。まずはそれを知ることから始めましょう。

若年性パーキンソン病は、一般的に40歳未満(研究によっては50歳未満)で発症するパーキンソン病を指します。仕事、子育て、住宅ローンなど、多くの役割を担う時期に重なるため、生活への影響が大きく感じられやすい病気です。海外の調査では、パーキンソン病のある人は発症後、平均して約5年ほど早く離職する傾向があると報告されています。ただしこれは平均であり、症状の出方や仕事内容、周囲の理解によって、続けられる期間は大きく変わります。まずはしくみを知り、そのうえで今日からできる工夫を見ていきましょう。全体的なリハビリの考え方はリハビリ完全ガイドにまとめています。

02
YOPD And Work

若年性パーキンソン病と、仕事の関係。

高齢発症のパーキンソン病と比べ、若年性パーキンソン病には進行がゆるやかな傾向がある一方、薬の効果に波(オン・オフ)が出やすいという特徴が指摘されています。この違いが、仕事への影響の出方にもつながります。整理してみましょう。

特徴 仕事にどう関わるか
進行がゆるやか 早期から対策を重ねることで、長く働ける可能性が広がる
症状に一日の波がある 薬の効果が続く時間と弱まる時間で、動きやすさが変わる
疲労が出やすい フルタイム勤務の継続に、体力面の負担を感じやすい
外見からわかりにくい 周囲に伝わりにくく、誤解や過度な我慢につながりやすい

ここからわかるのは、「頑張って隠す」より「波を把握して仕組み化する」ほうが、長く働き続けやすいということです。次の章から、その具体的な進め方を見ていきます。

03
Three Steps To Manage

STROKE LABの視点:症状マネジメントの3ステップ。

仕事を続けるうえでいちばん力になるのが、自分の症状のパターンを「見える化」して、業務の組み方に反映することです。特別な道具がなくても、次の3ステップで今日から始められます。

Three Steps

ステップ1:1週間、症状と時間の記録をつける。朝・昼・夕方・夜で、動きやすさ・疲労感・集中力を簡単にメモします。服薬時間も一緒に書いておくと、薬の効き方との関係が見えてきます。

ステップ2:業務を「時間帯」で仕分ける。調子の良い時間には集中力や細かい動きが必要な業務を、調子の落ちる時間には会議・確認作業など負担の軽い業務を割り当てます。

ステップ3:仕組みとして職場と共有する。記録をもとに「この時間帯は集中作業を入れてほしい」「短い休憩を挟みたい」など、具体的な形にして人事や上司に相談します。

大切なのは、症状を根性で乗り切ろうとするのではなく、記録というデータをもとに、業務の組み方そのものを変えていくことです。合う記録の取り方や業務の組み立て方は人それぞれなので、作業療法士や産業医と一緒に調整すると近道になります。

04
Workplace Adjustments

症状別・職場での工夫。

症状ごとに、職場ですぐ試せる工夫があります。大がかりな制度改革でなくても、小さな調整の積み重ねで負担はかなり軽くなります。代表的なものを整理しました。

困りごと 職場での工夫の例
動作緩慢・こわばり 移動の少ない座席配置、こまめな立位ストレッチの許可、締切に余裕を持たせる
疲労・倦怠感 短時間の休憩をあらかじめ勤務スケジュールに組み込む、在宅勤務や時差出勤の活用
書字・PC入力のしにくさ 音声入力ソフトの活用、キーボードの調整、署名以外の書類は入力に切り替える
声の小ささ・話しにくさ 対面会議をチャットやメール併用に、マイク・スピーカーの活用、静かな環境での面談

認知面の変化(同時に複数のことをするのが難しくなる、切り替えに時間がかかるなど)を感じる方もいます。その場合は、一度に一つの業務に集中できる環境や、指示を書面で残してもらう工夫が助けになります。体力面の土台づくりには、無理のない範囲での運動も有効です。体操・自主トレ大全もあわせてご覧ください。

Evidence
運動療法で、生活動作と生活の質が改善した研究

パーキンソン病の方を対象に、薬物療法に加えて運動療法を行った群と、薬物療法のみの群を比べた小規模な準ランダム化試験では、運動療法を受けた群で日常生活動作や自覚的な健康状態、生活の質が有意に改善したと報告されています。

限界:対象人数が24名と少ない小規模研究で、参加者の平均年齢は50代後半と、若年性パーキンソン病より高めです。効果には個人差があり、進行度によっても変わります。運動療法は薬の代わりではなく、組み合わせて使うものです。

出典:Yousefi B, et al. Exercise therapy, quality of life, and activities of daily living in patients with Parkinson disease: a small scale quasi-randomised trial. Trials. 2009;10:67.
隠して耐えるより、記録して、仕組みにする。

ここまでは、職場でできる工夫でした。続いては、伝え方と使える制度、そして専門リハでできることです。
Watch & Practice
体力の土台づくりを、体操動画で。

脳リハ.comのYouTubeでは、自宅でできる体操を配信しています。仕事の合間や休日に、無理のない範囲で続けてみてください。

体操動画を見る

05
Disclosure, Support Systems & Rehab

伝え方、使える制度、専門リハ。

病気のことを会社にいつ、どこまで伝えるかは、ご本人が決めることです。ただし、症状が仕事に影響し始めてから慌てて説明するより、影響が目立つ前に、必要な配慮を添えて伝えるほうがスムーズだという指摘があります。まずは産業医や保健師など、守秘義務のある窓口に相談し、そこから人事・上司へと段階的に伝えていく方法もあります。

使える制度には、次のようなものがあります。指定難病の医療費助成、健康保険の傷病手当金、身体障害者手帳、障害年金など。どれが当てはまるかは、症状の程度・働き方・加入している制度によって異なります。一つに絞らず、組み合わせて使えることも多いため、まずは主治医・医療ソーシャルワーカー、お住まいの自治体、難病相談支援センターに相談してみてください。

専門のリハビリでは、実際に困っている業務や動作を一緒に確認し、症状の記録の取り方、業務の組み立て、道具の工夫、職場に伝える内容の整理までを、その人に合わせてサポートします。「実際の仕事の場面」を練習と相談の題材にすることで、工夫がそのまま生活と仕事に活きます。薬の調整は主治医の役割で、私たちは動作と生活・仕事の側から支えます。専門的な費用や施設の選び方は自費リハビリの費用・施設の選び方にまとめています。

Evidence
早期からの就労支援リソースの重要性を示した調査

パーキンソン病のある人16名と、臨床専門家10名を対象にした就労支援に関する調査では、診断の開示のタイミング、退職と就労継続の比較、職場での配慮の求め方といったテーマが、当事者にとって特に重要だと整理されました

限界:これは主に米国での質的調査で、対象人数も限られています。国や職場の制度によって、実際に使える支援内容は異なります。就労を続けるかどうかの判断は、症状・仕事内容・本人の希望を踏まえ、個別に検討する必要があります。

出典:Armstrong MJ, et al. Employment Resources for People with Parkinson’s Disease: A Resource Review and Needs Assessment. J Occup Rehabil. 2021. doi:10.1007/s10926-020-09915-w
06
FAQ

よくある質問。

Q. 若年性パーキンソン病と診断されても、仕事は続けられますか?

続けられる方は多くいます。若年性パーキンソン病は、一般に進行がゆるやかな傾向があり、早期から症状に合わせた工夫を重ねることで、仕事を続けながら生活している方は少なくありません。ただし業務内容や症状の出方によって難しさは変わるため、主治医・産業医・職場と早めに情報を共有し、無理のない働き方を一緒に考えることが大切です。

Q. 会社に病気のことをいつ、どう伝えればよいですか?

伝えるタイミングや範囲は、最終的にはご本人が決めることです。ただし多くの専門家は、症状が仕事に影響し始めてから慌てて説明するより、影響が目立つ前に、必要な配慮を添えて伝えるほうがスムーズだとしています。人事や産業医など、守秘義務のある窓口から伝え始めるのも一つの方法です。

Q. 症状が変動して、調子の悪い時間帯があります。どう対応すればよいですか?

パーキンソン病では、薬の効き方によって調子の良い時間と悪い時間ができることがあります。まずは1週間ほど、時間帯ごとの調子を記録し、パターンを把握することから始めます。そのうえで、調子の良い時間に重要な業務を、悪い時間に負担の軽い業務を配置するなど、業務の組み方を主治医・職場と相談しながら調整していきます。

Q. 使える制度にはどのようなものがありますか?

指定難病の医療費助成、傷病手当金、障害者手帳、障害年金など、状況に応じて利用できる制度があります。どれが使えるかは症状の程度や働き方によって異なるため、まずは主治医やソーシャルワーカー、自治体の窓口、難病相談支援センターに相談することをおすすめします。制度は組み合わせて使うことも多くあります。

Q. 疲れやすさで、仕事の続行が不安です。対処法はありますか?

疲労は、パーキンソン病でとても多くみられる症状の一つです。一日の中に短い休憩をあらかじめ組み込む、負担の大きい作業を調子の良い時間にまとめる、通勤の負担を減らす、といった工夫が助けになります。運動療法によって疲労感や生活動作の負担感が軽くなったという報告もあり、無理のない範囲での運動も一つの対処法です。

Q. 家族はどのようにサポートすればよいですか?

本人の力を奪わない距離感でのサポートが大切です。できることまで先回りして代わりにやってしまうと、本人の自信や役割感が減ってしまうことがあります。困っている場面を一緒に確認し、工夫を考える伴走者でいること、そして本人が一人で抱え込まないよう、専門家や制度につなぐ声かけをすることが助けになります。
07
STROKE LAB

仕事の続け方の相談は、STROKE LABへ。

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中とパーキンソン病を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。実際に困っている仕事の場面を一緒に確認し、症状の記録の取り方、業務の組み立て、動作の工夫、職場に伝える内容の整理までを、その人に合わせてサポートします。薬の調整は主治医を尊重し、動作と生活・仕事の側から支えます。保険リハとの併用も歓迎です。

書籍『パーキンソン病の機能促進 動作分析から自主トレーニングまで』(医学書院)の表紙
Book
パーキンソン病の機能促進
動作分析から自主トレーニングまで
医学書院/2025年/448ページ

運動を通じて心身の状態を整える考え方を、動作分析の視点から体系化。本文と連動するYouTube動画62本で、実際の動きも確認できます。

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Message from CEO
辞めるかどうかを決める前に、
一緒に工夫を探しましょう。
STROKE LAB代表 金子唯史

働き盛りでの診断は、病気そのものへの不安に加えて、家族や仕事という「守りたいもの」への責任がのしかかります。「辞めるしかないのか」と、一人で結論を急いでしまう方に、たくさん出会ってきました。

でも、症状の波を知り、業務の組み方や伝え方を工夫することで、続けられる道はまだ残っています。それを一人で見つけるのは、とても大変なことです。

仕事のことでお困りなら、どうぞ一度ご相談ください。困っている場面そのものを題材に、その方に合う働き方を一緒に見つけます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

無料相談を予約する

References

本記事は、国内外の診療ガイドライン・公的情報と、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。制度の利用条件や職場での配慮の内容は、個々の状況によって異なります。必ず主治医・産業医・お住まいの自治体窓口にご確認ください(最終確認日:2026年8月5日)。

  • 日本神経学会:パーキンソン病診療ガイドライン2018
  • 難病情報センター:パーキンソン病(指定難病6)
  • Yousefi B, et al. Exercise therapy, quality of life, and activities of daily living in patients with Parkinson disease: a small scale quasi-randomised trial. Trials. 2009;10:67.(運動療法群で生活動作・生活の質が有意に改善したと報告。第4章エビデンスボックスの出典)
  • Armstrong MJ, et al. Employment Resources for People with Parkinson’s Disease: A Resource Review and Needs Assessment. J Occup Rehabil. 2021. doi:10.1007/s10926-020-09915-w(開示のタイミングや就労継続に関するテーマの重要性を報告。第5章エビデンスボックスの出典)
  • 金子唯史:パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで).医学書院.2025.
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