パーキンソン病の転倒予防ガイド|転びやすい場面と家の見直しポイント – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
  1. HOME
  2. ブログ
  3. パーキンソン病
  4. パーキンソン病の転倒予防ガイド|転びやすい場面と家の見直しポイント
パーキンソン病

パーキンソン病の転倒予防ガイド|転びやすい場面と家の見直しポイント

FALLS PREVENTION

パーキンソン病の転倒とリスク|減らすための理解とポイント

転倒は、骨折や外出への不安につながり、生活を一気に狭めてしまいます。けれど、やみくもに恐れて動かなくなると、かえって転びやすくなります。転倒は、減らせます。危ない場面を知り、練習と家の工夫を重ねれば、安全に動き続けられます。

UPDATED2026
READ約14分
FORご本人・ご家族へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで)』(2025年・448頁)の著者が執筆しています。バランスと歩行の評価・介入は、書籍連動のYouTube動画でも実際の様子をご覧いただけます。

パーキンソン病の転倒写真

Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
パーキンソン病の方は転倒が多いですが、練習と工夫で回数は減らせます
02
転ぶのは歩いているときだけでなく、動作が切り替わる瞬間が危険です
03
バランスと下肢の筋力の練習が、転倒を減らすと分かっています
04
転倒の多くは家の中。動線・手すり・照明・履物の見直しが効きます
05
恐れて動かないと逆効果。安全を確保して動き続けることが大切です
01
The Reality

転倒は、防げる現象です。

A Family’s Voice
「一度転んでから、外に出るのがこわくなりました」

転んで痛い思いをしてから、また転ぶのがこわくて動かなくなった。動かないでいると、足腰が弱り、姿勢も丸くなる。すると、ますます転びやすくなる——。この悪循環に、多くの方がはまってしまいます。

でも、知ってほしいことがあります。転倒は、運と体質だけで決まるものではありません。危ない場面と原因を知り、備えれば、回数は減らせます。恐れて止まるのではなく、安全に動き続けることが目標です。

パーキンソン病の方は、年間でおよそ6割が転倒し、その多くが繰り返し転ぶと報告されています。これは同年代の一般の高齢者に比べて高い頻度です。転倒は骨折や頭のけがにつながるだけでなく、「また転ぶかもしれない」という不安から活動が減り、体力と自信を奪っていきます。だからこそ、転倒予防は単なるけがの防止ではなく、生活の広さを守る取り組みなのです。

この記事は、パーキンソン病リハビリの全体像を扱うリハビリ完全ガイドの中から、転倒予防だけを取り出して、家庭での実践に絞って掘り下げるものです。歩き出しで足が固まるすくみ足や、歩行障害は、転倒と深く関わるため、あわせてご覧ください。

02
Why Falls Happen

なぜ、転びやすくなるのか。

パーキンソン病の転倒には、いくつかの原因が重なっています。ひとつではなく、複数が組み合わさって起こるのが特徴です。ご自身に当てはまるものを確認してみてください。

原因 どう転倒につながるか
姿勢を立て直す反応の低下 バランスを崩したとき、とっさに足を出して立て直す反応が弱く、そのまま倒れやすい
すくみ足 足が急に止まり、上半身だけ前に行って転ぶ。方向転換や狭い場所で起こりやすい
前かがみ姿勢と突進 重心が前に偏り、足が追いつかず加速して止まれない
下肢の筋力低下 立ち上がりや踏ん張りが弱くなり、ふらついたときに支えきれない
注意の分散(ながら動作) 何かを持つ・話すなど、歩行以外に注意が向くと、とたんに歩きが乱れる
薬の切れ目・立ちくらみ 薬が切れて動きにくい時間や、血圧が下がって立ちくらみが起こると転びやすい

転倒の危険因子マップ

03
Risky Moments

どんな場面で、転びやすいか。

転倒は、いつでも同じ確率で起こるわけではありません。危ない場面には、はっきりした傾向があります。ご自身やご家族が「どこで危ないか」を知っておくと、その場面に絞って備えられます。

危ない場面 なぜ危ないか 備えの方向
方向転換・振り向き 体をひねる瞬間にバランスを崩しやすく、すくみも出やすい 大きく回る、一度止まってから向きを変える練習
立ち上がり・座り 重心の移動が必要で、途中でふらつきやすい。立ちくらみも重なる 手すりや肘掛けを使う、ゆっくり立つ、立ち上がりの練習
ながら動作 物を持つ・話す・考えると、歩行への注意が減って乱れる 歩くときは一つのことに集中、両手を空ける工夫
狭い場所・出入り口 ドアや家具の間ですくみが出やすく、あわてて転ぶ 動線を広げる、あわてない、リズムで通る
夜間・暗い場所 見えにくく、寝起きで体が動きにくい。トイレへの動線で多い 足元灯、手すり、就寝前の動線確認
薬が切れている時間 動きが鈍り、すくみやバランス低下が強まる 動きやすい時間に活動を寄せる、無理な移動を避ける

転びやすい6つの場面

04
Exercise That Works

転倒を減らす、運動の柱。

転倒予防の運動には、大きく3つの柱があります。バランスの練習、下肢の筋力の練習、そして転びやすい動作そのものの練習です。薬が効いている時間に、手すりや壁の近くで、無理のない範囲で行ってください。

01
バランスの練習

片足立ち、つぎ足歩行(かかととつま先をつけて一直線に歩く)、重心を前後左右に移す練習など。必ず手すりや壁の近くで、支えられる状態で行います。ふらつきに対して立て直す反応を養うことが目的です。

02
下肢の筋力の練習

椅子からの立ち座りの繰り返し、かかと上げ、太ももを上げる運動など。立ち上がりや踏ん張りに必要な力を保ちます。回数より、正しい姿勢でゆっくり行うことを優先してください。

03
転びやすい動作の練習

方向転換、立ち上がり、振り向きといった、実際に転びやすい動作を、安全な環境でゆっくり練習します。大きく回る、一度止まってから向きを変えるなど、その人に合う手順を身につけることが、実生活の転倒を減らします。

Evidence
研究でわかっていること

パーキンソン病の方210名を対象にした比較試験では、参加者を筋力を鍛える運動、動作の戦略を学ぶ運動、対照の3つのグループに分け、1年間追跡しました。その結果、運動に取り組んだグループは、対照のグループより転倒の回数が少なかったと報告されています。運動が転倒予防の実際の手段であることを示す結果です。ただし、効果を保つには続けることが前提で、症状の重さによって効き方が異なる点にも注意が必要です。

出典:Morris ME, et al. A Randomized Controlled Trial to Reduce Falls in People With Parkinson’s Disease. Neurorehabil Neural Repair. 2015;29(8):777-785
05
Our Perspective

STROKE LABの視点:転ぶのは、動作の継ぎ目。

転倒予防というと、歩行の練習に目が向きがちです。けれど当施設で実際の転倒を伺っていると、多くはまっすぐ歩いているときではなく、動作が切り替わる「継ぎ目」で起きています。立ち上がって歩き出す瞬間、歩いていて振り向く瞬間、方向を変える瞬間、荷物を持ち上げようとかがむ瞬間。ひとつの動作から次の動作へ移るその一瞬に、バランスが崩れやすいのです。

この見方に立つと、備え方が変わります。歩行だけを練習するのではなく、生活の中の「継ぎ目」を見つけて、そこに手すりを置き、その動作をゆっくり練習する。ご家族には、ぜひ「どの動作の切り替わりで危なかったか」を一緒に思い出してほしいのです。転んだ場面ではなく、転ぶ直前に何をしようとしていたか。そこに、その人だけの対策のヒントがあります。私たちは、この動作の継ぎ目を一つずつ評価し、練習と環境の両面から備えを組み立てます。

動作のつなぎ目に転倒は出現しやすい

06
Home Environment

家の中を、見直す。

転倒の多くは家の中で起こります。運動と同じくらい、住環境の調整が効きます。お金をかけなくてもできる工夫から、手すりの設置まで、部屋ごとに見直しましょう。

場所 見直すポイント
廊下・居間 床のコード・新聞・ラグを片づける。動線に手すりやつかまれる家具を置く。物を減らして通り道を広げる
寝室・夜間の動線 ベッドからトイレまでを足元灯で照らす。起き上がりやすい高さのベッド。手すりや伝い歩きできる家具を配置
浴室・トイレ 滑り止めマット、手すり、シャワーチェア。立ち座りを支える工夫。ぬれた床に注意
玄関・段差 上がり框に手すり、腰かけて靴を履く椅子。段差を分かりやすく(色や照明で)。小さな段差も見直す
履物・衣類 かかとのある滑りにくい靴。脱げやすいスリッパは避ける。裾を踏まない丈の衣類

転倒予防の家環境チェック

Watch & Practice
バランスの体操を、動画で。

脳リハ.comのYouTube(登録者約6.4万人)では、転倒予防に役立つバランスと歩行の体操を配信しています。手すりや壁の近くで、無理なく取り入れてください。

転倒しないカラダへ・体操動画を見る

07
If a Fall Happens

もし、転んでしまったら。

どれだけ備えても、転倒をゼロにはできません。転んだときにあわてず対応できるよう、手順を知っておきましょう。

What to Do
1
まず、あわてず確認する。すぐに起き上がろうとせず、頭を打っていないか、強い痛みがないか、手足が動くかを確かめます。
2
危険なら、動かず助けを呼ぶ。頭を打った、強い痛みがある、起き上がれないときは、無理に動かず人を呼びます。頭部打撲は、後から症状が出ることもあるため受診を検討します。
3
大丈夫なら、落ち着いて起き上がる。いったん休み、近くの安定した家具に手をついて、ゆっくり起き上がります。起き上がり方を事前に練習しておくと安心です。

繰り返し転ぶ、転倒への不安が強い、転んだあと動きが変わった、という場合は、我慢せず主治医やリハビリの専門家に相談してください。転倒には必ず理由があり、原因を整理すれば対策が立てられます。

08
Medication & Falls

薬の時間と、転倒。

転倒と薬には、深い関係があります。薬が切れて体が動きにくくなる時間は、すくみ足やバランスの低下が強まり、転びやすくなります。反対に、薬が効きすぎて体が勝手に動いてしまう時間にも、思わぬ転倒が起こることがあります。

対策の第一歩は、記録です。動きやすい時間・動きにくい時間、転びかけた場面を簡単にメモしておくと、主治医が薬の調整を考える材料になり、運動や外出をどの時間に置くかの設計にも役立ちます。薬は決して自己判断で変えず、気になることは主治医に相談してください。薬の効き方の変動については、ウェアリングオフの記事(今後公開)でも詳しく扱う予定です。

09
Professional Rehab

専門リハで、できること。

専門のリハビリでは、その人がどの場面で・なぜ転ぶのかを、動作分析で細かく評価します。バランス反応、筋力、歩行、そして動作の継ぎ目を確認し、練習と環境調整を組み合わせた、その人だけの転倒予防プログラムを設計します。言葉だけでは伝わりにくいので、実際のバランスと歩行への介入の様子をご覧ください(30万回再生)。

バランスと歩行への評価・介入(30万回再生)。効果には個人差があります。

より専門的に、バランス障害や姿勢反射の神経メカニズム、評価・治療のアプローチを知りたい医療者の方は、医療者向けの解説記事もあわせてご覧ください。

転倒予防のプログラム、体操

10
FAQ

よくある質問。

Q. パーキンソン病では、どのくらい転びやすいのですか?

パーキンソン病の方は、年間でおよそ6割が転倒し、その多くが繰り返し転ぶと報告されています。これは同年代の一般の高齢者に比べて高い頻度です。ただし、バランスや筋力の練習、家の環境の見直しによって、転倒の回数を減らすことは十分に可能です。過度に恐れて動かなくなると、かえって体力と姿勢が落ちて転びやすくなるため、安全を確保しながら動き続けることが大切です。

Q. どんな場面で転びやすいですか?

まっすぐ歩いているときよりも、方向転換、立ち上がり、振り向き、何かをしながら歩くといった、動作が切り替わる瞬間に転びやすくなります。狭い場所、方向を変えるとき、薬が切れている時間、暗い場所も危険が高まります。ご自身がどの場面で危ないかを知っておくと、備えやすくなります。

Q. 転倒を防ぐには、どんな運動がよいですか?

バランスの練習と、下肢を中心とした筋力の練習が有効です。研究でも、バランスと筋力を組み合わせた運動プログラムが、転倒の回数を減らしたと報告されています。あわせて、方向転換や立ち上がりといった転びやすい動作そのものを、安全な環境で練習することが役立ちます。薬が効いている時間に、手すりや壁の近くで行うのが基本です。

Q. 家の中で気をつけることはありますか?

多くの転倒は家の中で起こります。床のコード類やラグを片づける、動線に手すりやつかまれる家具を配置する、足元を明るくする、滑りにくい履物にする、といった環境の調整が有効です。特に夜間のトイレへの動線、浴室、玄関の段差は重点的に見直すとよいでしょう。

Q. 転んでしまったとき、どうすればよいですか?

まずあわてず、頭や体を打っていないかを確認します。強い痛み、頭を打った、起き上がれない場合は無理に動かず、助けを呼んでください。自分で起き上がれる場合も、いったん落ち着いてから、近くの安定した家具につかまって起き上がります。繰り返し転ぶ場合や、転倒への不安が強い場合は、主治医やリハビリの専門家に相談し、原因と対策を整理することをおすすめします。

Q. 薬と転倒には関係がありますか?

あります。薬が切れて動きにくくなる時間帯は、すくみ足やバランスの低下が強まり、転倒のリスクが上がります。反対に、薬が効きすぎて体が動きすぎる時間にも、思わぬ転倒が起こることがあります。動きやすい時間・動きにくい時間を記録して主治医に伝えると、薬の調整や運動の時間帯の設計に役立ちます。薬は自己判断で変えないでください。
11
STROKE LAB

転倒の不安は、STROKE LABへ。

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中とパーキンソン病を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。転倒予防では、その人がどの場面で・なぜ転ぶのかを動作分析で評価し、バランス・筋力の練習、動作の継ぎ目の練習、住環境の調整までを一続きに設計します。保険リハとの併用も歓迎です。

書籍『パーキンソン病の機能促進 動作分析から自主トレーニングまで』(医学書院)の表紙
Book
パーキンソン病の機能促進
動作分析から自主トレーニングまで
医学書院/2025年/448ページ

バランスや姿勢、歩行を含む転倒に関わる問題の評価と介入を、動作分析の視点から体系化。本文と連動するYouTube動画62本で、実際の動きも確認できます。

Amazonで書籍を見る

Message from CEO
恐れて止まるより、
安全に動き続けるために。
STROKE LAB代表 金子唯史

転倒でいちばんこわいのは、けがそのものより、「また転ぶかも」という不安から動かなくなることです。動かないでいると、体力も姿勢も落ちて、かえって転びやすくなります。

私が臨床で大切にしているのは、転んだ場面だけでなく、転ぶ直前に何をしようとしていたかを一緒にたどることです。動作の継ぎ目に備えを置けば、同じ場面でも結果が変わります。

転倒が心配になったら、どうぞ一度ご相談ください。診断名ではなく、あなたの生活の場面から、安全に動き続けるための一手を一緒に考えます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

無料相談を予約する

References

本記事は、国内外の診療ガイドライン・公的情報と、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。診断・薬物治療に関する判断は、必ず主治医にご相談ください(最終確認日:2026年7月4日)。

CATEGORY

 

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

CATEGORY

関連記事

誠心誠意の機能向上に向けたリハビリ支援
脳卒中・パーキンソン病に特化した個別リハビリ支援。
病院で培った機能をつなぎ、可能性を広げる施設です。
〒113-0033 東京都文京区本郷2-8-1 寿山堂ビル3階・5階
03-6887-5263
〒158-0082 東京都世田谷区等々力7-2-31 The Room 等々力West 201号 2026.3 OPEN
03-6887-5263
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満6-3-16 梅田ステートビル202号
06-7220-4733
ACCESS
会社案内
事業案内
その他