【2026年版】上腕骨骨折への保存・手術 / リハビリテーション / 自主トレーニングまで解説!
上腕骨骨折後のリハビリ、どこまで回復できるのか。
転倒や交通事故で上腕骨を骨折した後、「腕はもとに戻るのか」「リハビリはどこまですればいいのか」と不安を抱えるご家族は少なくありません。この記事では、骨折の種類・治療法の選択から、段階的なリハビリの進め方と自宅でできる訓練まで、専門家の知見をもとにわかりやすく解説します。

続きをお読みください。
こんなお悩みはありませんか。
転倒や事故で腕を骨折した後、「手術は必要なのか」「リハビリはいつから始めるのか」「退院後、自宅でどう過ごすのか」と、ご家族が多くの不安を一度に抱えることは珍しくありません。
医師からの説明は短く、専門用語が多くて聞き返しにくい。入院中は病院任せにしていたが、退院が近づいてきて「これからどうすれば」と焦り始めた方も多いのではないでしょうか。
この記事では、骨折の基礎知識から治療の選択、段階ごとのリハビリの進め方、ご家族のサポート法、そして利用できる公的支援制度まで、体系的にご説明します。
上腕骨骨折とは。
上腕骨(じょうわんこつ)とは、肩から肘までをつなぐ腕の主要な骨のことです。外傷によってこの骨が折れた状態を「上腕骨骨折」と呼びます。
— 上腕骨骨折の主な発生部位(引用:OTA/整形外科外傷学会)
骨折の場所は大きく3つ。肩に近い「近位部骨折」、骨の中央の「骨幹部骨折」、肘に近い「遠位部骨折」です。
それぞれ固定方法・手術の適応・リハビリの開始時期が異なります。「どこが折れているか」を主治医に必ず確認してから、リハビリの計画を立てましょう。
主な症状。
骨折直後から骨折部位に強い痛みが生じます。動かさなくても持続する安静時痛を伴うことが多いです。
骨折部位を中心に腫れ(浮腫)が生じます。骨のずれが大きい場合は、腕の形に変形が見られることもあります。
腕を上げる・曲げるといった動作が困難になります。固定期間が長いと、肩・肘の関節拘縮(かんせつこうしゅく:関節が固まる状態)に移行しやすくなります。
骨折部位の周囲に青あざが現れます。重力で皮下出血が広がり、数日後に肘や手の甲まで及ぶことがあります。
— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします
STROKE LABには脳神経疾患・整形外科疾患のリハビリに精通したセラピストが在籍しています。現在の状態を丁寧に確認した上で、最適な回復プログラムをご提案します。まずは無料相談からどうぞ。
なぜ起こるのか。
骨が折れる原因は大きく「直接的な外力」と「間接的な力」の2種類です。転倒や交通事故による直接打撃は、外力が加わった部位が折れます。
一方「手を伸ばして転んだ」場合は、地面から肘・肩へと力が伝わり、骨幹部や近位部で骨折することがあります。これを「介達外力(かいたつがいりょく)による骨折」と呼びます。
2つの主な発生原因。
直接的な外力:転倒して腕に強い衝撃が加わった場合や、交通事故による直接的な打撃によって発生します。高齢者の転倒や、スポーツ中の衝突が代表的です。
間接的な力(介達外力):手を伸ばして転倒した際に、肘から肩にかけての力が上腕骨に伝わって骨折します。子どもや高齢者に多く見られるタイプです。
骨幹部骨折と橈骨神経麻痺:上腕骨骨幹部骨折では橈骨神経(とうこつしんけい)が骨に沿って走行するため、骨折による牽引・圧迫で橈骨神経麻痺(下垂手)を合併するリスクがあります。発生率は約10〜18%とされています。
近位部骨折の分類:Neer分類(1・2・3・4パート骨折)が広く用いられます。パート数が増えるほど骨片が多く、手術適応・予後予測の判断に使用されます。
治療法の選択。
治療法は骨折のタイプ・患者さんの年齢・全身の健康状態・活動レベルをもとに選択されます。大きく「保存的治療」と「手術治療」の2つです。
内固定術(ORIF:Open Reduction and Internal Fixation)では、全身麻酔または腕神経叢ブロック麻酔のもと、骨折部を露出させてプレート・ネジ・ピンで骨片を固定します。術後は透視(X線を使ったリアルタイム確認装置)で位置を確認し、感染予防の抗生物質が投与されます。
— プレートとネジによる内固定術のイメージ
| 治療法 | 適応状況 | 主な利点 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 保存的治療 | 転位(ずれ)が少ない安定型骨折 | 非侵襲的・感染リスク低・体の負担が少ない | 長期固定で筋萎縮・関節拘縮を招きやすい |
| 手術治療(ORIF) | 転位が大きい・複雑骨折(複数骨片) | 早期安定化・早期リハビリが可能・骨癒合促進 | 感染・血腫・神経血管損傷・プレート破損のリスク |
リハビリの評価方法。
リハビリを進めるにあたり、セラピストはいくつかの視点から現在の機能を評価します。評価の結果に基づいて、訓練の種類・強度・開始タイミングが決定されます。
「なぜ2種類のセラピストが来るのか」と疑問に思うご家族もいらっしゃいます。理学療法士(PT)は「体を動かす機能」の回復を担い、作業療法士(OT)は「生活の中で手を使う機能」の回復を担います。
両者が連携することで、身体機能の改善と日常生活の質向上を同時に進めることができます。
回復への道のり。
上腕骨骨折後のリハビリは、患者さんの回復を最大限に引き出すために「段階的に」進めるのが基本です。焦って次の段階へ進むことは、再損傷のリスクにもつながります。
痛みと腫れを管理し、手術部位・骨折部位を保護します。軽度の可動域訓練(手指・手首の動かし)、アイシングによる冷却療法、軽い筋の収縮運動が中心です。
可動域を徐々に拡大し、基本的な筋力を回復させます。抵抗を伴う運動・水中療法(プール)・特定の筋群をターゲットにした筋力訓練を導入します。
日常生活に必要な機能の完全回復と、仕事・スポーツへの復帰を目指します。具体的な活動・動作の練習、高強度の筋力訓練、調整とバランスの向上を目的にした訓練が中心です。
振り子エクササイズ・壁登りエクササイズ(可動域向上)、エラスティックバンドやダンベルを使った筋力訓練、片足立ちや軽い投球動作(バランス・調整能力)が代表例です。必ずセラピストの指示を受けた上で行いましょう。
Arthroscopy, Sports Medicine, and Rehabilitation 掲載論文:上腕骨骨折後のリハビリにおける振り子運動の肩の運動学を、患者特有のイメージングとモーションキャプチャ技術を用いた生体力学モデルで調査。
BMC Musculoskeletal Disorders(RCT):「Task-oriented exercises improve disability of working patients with surgically-treated proximal humeral fractures. A randomized controlled trial with one-year follow-up」—日常生活や職場活動を模倣するタスク指向運動を含むプログラムが、上肢機能・痛み・生活の質を有意に改善することを示した。(出典:BMJ / BMC Musculoskeletal Disorders)
臨床上のポイント:急速な進行や過度な負荷は二次的な損傷リスクを高めます。患者の痛みの程度とリハビリ進捗に応じて、エクササイズの強度と種類を個別に調整することが重要です。

STROKE LABは脳神経疾患・整形外科疾患のリハビリに特化した自費リハビリ施設です。退院後、「病院のリハビリが終わってしまった」「このままでよいのか不安」という方に向けて、継続的・集中的なプログラムをご提供しています。
ご家族ができるサポート。
回復において、ご家族の関わり方は大きな意味を持ちます。ただし「何でも手伝いすぎること」は本人の自立を妨げることもあります。適切な距離感でサポートしていきましょう。
声かけの工夫。
「今日の訓練、どんな感じだった?ちょっと聞かせて。」
「昨日よりここが動くようになったんじゃない?少し変わって見えるよ。」
「できなくても大丈夫。一緒に練習していこう。」
避けてほしい関わり方と推奨する関わり方。
| 場面 | △ 避けたい関わり方 | ◎ 推奨する関わり方 |
|---|---|---|
| 日常生活動作 | すべて代わりに行ってしまう | できることは見守り、困難な部分だけ手伝う |
| 自主訓練 | 「もっとやりなさい」と強く促す | 訓練の時間帯を一緒に決め、「一緒にやろう」と伴走する |
| 不安・落ち込み | 「大丈夫!絶対よくなる!」と過度に励ます | 「つらいね」と気持ちをまず受け止める |
— 看護師・PT・OTが連携してケアを進めます
在宅復帰と公的支援制度。
退院後の生活を安全に再開するためには、「家の環境を整えること」と「使える制度を把握すること」の両方が欠かせません。まずは退院前に準備すべき項目を確認しましょう。
在宅復帰チェックリスト。
主な公的支援制度。
| 制度名 | 主な対象 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 身体障害者手帳 | 上肢機能障害が認定された方 | 福祉サービス・補装具・税制優遇等の利用が可能になる |
| 介護保険 | 65歳以上・40歳以上の特定疾病該当者 | 訪問リハビリ・デイケア・福祉用具貸与・住宅改修費の補助 |
| 障害福祉サービス | 障害者総合支援法の対象となる方 | 居宅介護・移動支援・就労支援など |
| 高額療養費制度 | 健康保険加入者全員 | 月の医療費自己負担に上限が設けられ、超過分が還付される |
| 自立支援医療 | 身体障害者手帳保有者等 | 指定医療機関での自己負担を1割に軽減する制度 |
回復の期間と予後。
回復の速さは、骨折の重症度・治療法・年齢・全身状態・リハビリへの取り組みによって個人差があります。焦りは禁物ですが、「早期に適切な訓練を開始すること」が予後を大きく左右します。
骨癒合(こつゆごう:骨がくっつく):軽度骨折で約4〜6週間、複雑骨折や手術後では8〜12週間以上かかることがあります。
日常生活動作の自立:骨折の程度にもよりますが、3〜6ヶ月を目安に食事・着替えなどの動作が自立できるケースが多くみられます。
仕事・スポーツへの復帰:軽作業であれば3ヶ月前後、力仕事や競技スポーツは6ヶ月以上かかることが一般的です。
注意点として、患者さん個々の進捗に合わせた調整が必須です。過剰な運動・急激な負荷増加は二次的な損傷を招く可能性があります。常にセラピストと相談しながら進めてください。
— セラピストと一緒に進める段階的な訓練のイメージ
よくあるご質問。
骨のずれ(転位)が少ない安定型骨折には、ギプスやスリングによる保存的治療が選ばれます。骨のずれが大きい場合や複数の骨片がある複雑骨折には、プレートやネジで固定する内固定術(ORIF)が検討されます。
どちらを選ぶかは、年齢・骨折の形状・全身状態を踏まえて主治医と相談して決めましょう。
一般的に、急性期(0〜4週)は痛みと腫れの管理が中心、回復期(4〜12週)は可動域と基本的筋力の回復、機能回復期(3〜6ヶ月)は日常生活動作や仕事・スポーツへの復帰を目指します。
骨折の重症度・手術の有無・年齢により個人差があります。
振り子エクササイズ(前後・左右に腕を小さく揺らす)、壁登りエクササイズ(指先で壁を伝って腕を上げる)、エラスティックバンドを用いた筋力強化、軽いダンベルリフトなどが代表的です。
必ず医師・理学療法士の指示のもとで行い、痛みが強い場合は中断してください。
理学療法士(PT)は可動域・筋力・歩行など身体機能の回復を専門とし、作業療法士(OT)は食事・着替えなど日常生活動作(ADL)の自立支援と道具の活用を専門とします。
両者が連携することで、身体機能の改善と生活の質の向上を同時に進めることができます。
身体障害者手帳(上肢機能障害に該当する場合)、介護保険(65歳以上または40歳以上の特定疾病)、障害福祉サービス(居宅介護・訪問リハビリ等)、高額療養費制度、自立支援医療などが利用できる場合があります。
主治医や医療ソーシャルワーカー(MSW)にご相談ください。
はい、STROKE LABでは脳神経疾患・整形外科疾患のリハビリに特化したセラピストが、退院後の機能回復を徹底的にサポートします。
まずは無料相談で現在のお体の状態をお聞かせください。
STROKE LABのプログラム。
STROKE LABは脳神経疾患・整形外科疾患のリハビリに特化した自費リハビリ施設です。上腕骨骨折後の機能回復においても、徒手療法(手を使った技術的な介入)と運動療法を組み合わせた専門的なアプローチで、お一人おひとりの回復を支援します。

— STROKE LABでのリハビリの実際の様子です。
「退院後、腕が全然動かなくて途方に暮れていました。STROKE LABで丁寧に段階を踏んで訓練してもらい、3ヶ月後には自分で着替えができるようになりました。諦めなくてよかったです。」— 60代女性・右上腕骨近位部骨折・術後2ヶ月から通所開始
「病院のリハビリは週2回しか受けられず、このまま回復が止まるかと不安でした。こちらで集中的に取り組んだところ、肩の可動域が大きく改善し、仕事に復帰できました。」— 50代男性・上腕骨骨幹部骨折・手術後4ヶ月から通所開始
諦めないでください。

「病院のリハビリが終わってしまった」「もうこれ以上は回復しないと言われた」。そのような言葉を聞くたびに、私は「それは本当にそうなのか」と問い続けてきました。
適切なタイミングに、適切な訓練を続けること。それが、上腕骨骨折後の回復においても、私たちが変わらず信じていることです。
STROKE LABでは、退院後の回復に向けて、お一人おひとりの状態に合わせた専門的なプログラムをご提供しています。まずは無料相談で、今の状況をお聞かせください。
代表取締役 金子 唯史
参考文献。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)