vol.317:皮膚受容器の加齢 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
脳神経系論文に関する臨床アイデアを定期的に配信中。 Facebookで更新のメールご希望の方はこちらのオフィシャルページに「いいね!」を押してください。」 臨床に即した実技動画も配信中!こちらをClick!!(YouTube)
STROKE LABでは療法士向けの脳科学講座/ハンドリングセミナーを行っています!上記写真をClick!!
PDFでもご覧になれます。→PDF
カテゴリー
神経系
タイトル
体性感覚器の加齢:翻訳的視点
Aging of the somatosensory system: a translational perspective.?PubMed Shaffer SW Phys Ther. 2007 Feb;87(2):193-207. Epub 2007 Jan 23.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
筋紡錘の加齢の論文に、皮膚受容器について記載があり、知りたい内容だったため読もうと思った。
内 容
皮膚受容器 構造と機能
図:皮膚と皮膚受容器 Shaffer SW (2007)より引用
・無毛部の皮膚にはマイスナー小体(MC)、メルケル細胞、パチニ小体、ルフィニ終末がある。
・これらの4受容器は環境面の情報を脳に送る。
・皮膚受容器は一般的には固有受容器とは考えられていないが、関節覚や運動覚の補助を担っていると言われている。
・例えば足底の皮膚受容器は荷重の部位や力の感覚に関わっている。
・下肢筋活動に皮膚受容器が関わっているとの報告もある。これは同側もしくは対側の皮膚刺激により大腿四頭筋の興奮性や神経反応が増加するとの報告だった。これは皮膚受容器からγ運動ニューロンやα運動ニューロンへの影響を示唆するものである。
加齢変化
・PC数は加齢に伴い減少し、構造的変容も認められた。PCは振動刺激に反応するが、若年では250Hzで反応するのに対し、老年ではより高周波数でないと反応しなくなった。
・マイスナー小体も構造的変容を示し、数や横断面積の減少がみられた。それに付随して皮膚刺激に対する反応も老年になると低くなった。
・足底皮膚を調べた近年の論文では(13名、22歳~50歳)、マイクロニューログラフィーにて膝窩にある脛骨神経を調べると、足底にある70%の皮膚受容器は速い速度の機械変化を受容できる感覚器であることがわかった。この部位に関する加齢変化はまだ十分に研究されていない。
私見・明日への臨床アイデア
・皮膚受容器からα、γ運動ニューロンにどう影響しているのか、少し調べてみたいと思う。
・徒手的アプローチは当然皮膚の上から行うことになる。触刺激はどう利用者に影響するのか、整理してみたい
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)