vol.276:糖尿病性ニューロパチ―の神経伝達速度と身体動揺 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
糖尿病性ニューロパチーの有無におけるシナプス前抑制と静的姿勢の動揺の関係性
Relationships between presynaptic inhibition and static postural sway in subjects with and without diabetic neuropathy.
?PubMed Chun J J Phys Ther Sci. 2015 Sep;27(9):2697-700. doi: 10.1589/jpts.27.2697.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・糖尿病性ニューロパチ―を有する利用者が多く、静的立位バランスとの関連を調べた本研究が興味深かったため読もうと思った。
内 容
背景・目的
・糖尿病患者の半数が糖尿病性末梢神経障害(DPN)を呈していると報告されている。
・症状は痛み、しびれ、感覚低下、感覚異常(熱いと感じる)、バランス低下などである。
・DPNを呈した患者は足関節運動制限や姿勢動揺の変化が著明に生じると言われている。
・DPNは末梢神経だけの問題と論じられてきたが、近年中枢神経の関与も指摘されており、脊髄への不可逆的な変化と関連している。
・Ia群線維により脊髄反射は生じるが、DPN患者は脊髄反射の機能が低下し、バランス障害を呈している可能性がある。同時にシナプス前抑制(PI)も影響を受けている可能性がある。
・DPNとPIの関係性を調べた論文はないため、本研究はDPNの有無によりPIとバランス機能に違いがあるかを検証する。
方法
・8名のDPNを有する患者
・開眼静的立位を評価し、身体動揺(SI)を算出した。また、ヒラメ筋のH反射を計測し、paired reflex depression(PRD)として表記した。
結果
表:実験結果 Chun J (2015)より引用
・DPN患者のPRDはより低い値を示した(DPN群47±30% 、非DPN群75±22%)
・PIとバランススコアに関連性はなかった。
私見・明日への臨床アイデア
・DPNを有する患者はPRDの値が減少しており、シナプス前抑制の増加が考えられる。今回はバランスとの関連性は出なかったが、被験者数の影響もあるかと思うので、次の研究に期待したい。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)