vol.236:ラットの坐骨神経損傷と運動による機能回復 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
神経系
タイトル
坐骨神経損傷ラットの後肢に対し、運動による機能回復の検討
Effects of physical exercise on the functional recovery of rat hindlimbs with impairments of the sciatic nerve as assessed by 2D video analysis?PubMed Sang-Hun Jang J Phys Ther Sci. 2015 Mar; 27(3): 935–938.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・神経損傷に対し運動がどういった効果をもたらすのか、今回動物研究ではあるが知りたいと思い読むことにした。
内 容
背景・目的
・末梢神経損傷は支配領域の運動感覚機能の低下を生じるが、中枢神経に比べて高い再生能力を持つ。
・損傷した末梢神経に対する研究でラットの坐骨神経はよく使われている。その際、回復を表す指標として運動学的データを用いることが多い。
・ラット足関節に着目した論文はあるが、後肢全体(足、膝、股関節)を調べた論文は見当たらない。そのため、本研究ではトレッドミル歩行による神経回復の徴候を足・膝・股関節の運動を分析することで検討する。
方法
・24匹のラットを3群に分けた
・SG:プラセボ群(皮膚切開のみを行い、坐骨神経はそのまま)
・TG:訓練群(坐骨神経損傷処理を行い、トレッドミルによるトレーニングを処理後実施)
・CG:非訓練群(坐骨神経損傷処理を行い、トレーニングは行わない)
・処理後2日目からトレッドミルトレーニングを週5回、4週間実施した。最初の1週間は分速5mで20分間、それ以降は分速15mで1時間とした。
・動画解析により初日と処理後28日後のラットのトレッドミル歩行時の下肢各関節角度(股・膝・足関節)を計測した。
結果
表:実験結果 Sang-Hun Jang (2015)より引用
・つま先離地において、TG群の足関節はCG群・SG群より介入後の改善具合が大きかった(より底屈角度がみられた)。
・膝関節角度に着目すると、TG群は初期接地、立脚中期、つま先離地のどの相でも介入前後の改善が他の2つの群より大きかった。
・股関節角度では、立脚中期とつま先離地においてTG群の改善具合が他の2つの群より大きかった。
私見・明日への臨床アイデア
・トレッドミル歩行により坐骨神経損傷後の改善具合がその他の群よりも大きかった。介入後の関節角度もSG群に近い値を取ることが多く、神経の回復が予想される。末梢神経の回復には、損傷神経の支配領域を多用することが回復のポイントになるのだと考えられる。
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)