Vol.432.足の位置を変えるだけで立ち上がり練習の効果が変わる!?Berg Balance Scale「バーグバランススケール」などを用いた脳卒中患者の起立訓練効果への影響
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カテゴリー
タイトル
●足の位置を変えるだけで立ち上がり練習の効果が変わる!?脳卒中患者の足部位置の変化による起立訓練効果への影響
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●足の位置を変化させると立ち上がり方が変化するのは臨床で頻繁に観察される。その方法が、どのレベルの人であれば有用なのか学ぶべく本論文に至る。
内 容
背景
●以前の研究では、体重の左右分布がより非対称である脳卒中患者において転倒の発生率が高いことが分かっています。脳卒中者の立位では、座位から立位への運動中に麻痺側において、健常者よりも荷重量が少ない事が報告されています。脳卒中患者は、座位から立位へのトレーニング後、両脚でより対称的な荷重率を示したことがわかりました。
●脳卒中片麻痺患者のバランス機能に対する足の位置を修正した座位から立位へのトレーニングの有効性を調査する。
方法
●脳卒中片麻痺患者の合計50人(各群25人ずつ)がランダムに対照群と実験群に割り当てられた。対象患者は、初発の脳血管障害の方、手を使わずに標準の椅子から自立して立ち上がることが出来る、Berg Balance Scaleスコアが48未満、Brunnstrom stage段階IIIにある、 指示を理解し、指示に従う能力があるでした。
●対照群の患者は対称的な足の位置で座位から立位へのトレーニングを受けました。実験群は麻痺側の足を後方に置く修正された座位姿勢から立位への訓練を受けた。両グループの被験者は、4週間、週5回、30分間の立ち座りトレーニングを受けた。
●主なアウトカムは、座位から立位へかかった時間と左右荷重率、制止立位時の動揺の圧力中心からの長さ、動的立位での圧力中心の揺れの範囲、およびBerg Balance Scaleであり、それらが介入前後に評価された。
結果
●トレーニング前と比較して、2つのグループ共にの立位バランスと座位から立位への動きが大幅に改善されたことが示されています。
●トレーニング後、立ちあがり時間は実験群(平均変化、0.90±0.25秒)で対照群(平均変化、0.42±0.18秒)よりも大幅に短縮された。
●荷重の非対称性は、対照群よりも実験群で有意に大きな改善を示した。圧力中心の変動の長さは、対照群(平均変化、21.95±8.19 cm)よりも実験群(平均変化、27.85±10.58 cm)で有意に小さかった。
●圧力中心の変動領域は、実験群(平均変化、84.24±26.48 cm2)の方が対照群(平均変化、67.74±22.84 cm2)よりも有意に大きかった。
●BBSは、実験群(平均変化、8.4±3.1)が対照群(平均変化、5.8±2.8)よりも有意に高かった。
●麻痺側足を後方に正した座位から立位へのトレーニングは、脳卒中片麻痺患者のバランス機能を改善させた。
私見・明日への臨床アイデア
●練習をする時に、本論文のように足を引いたり、座面を高くする低くする、浅く座る深く座るなど物理的に変化させることで練習の難易度や質を変化させることができる。今回の論文では、麻痺側の足を引くことで非麻痺側下肢より先に荷重がかかる、上半身質量が足部上に乗せやすくなるなどメリットが考えられる。その効果が、自立して起立が出来て、理解力の良い、Brunnstrom StageⅢレベルの人には有用であることが示唆された。今回のような、工夫は在宅での家族指導や自主トレ等でも活かしやすいため熟知しておくと有用である。
立ち上がりに役立つ動画
https://youtu.be/VKtmqXoLYJk
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)