4AT-Jの実施方法とカットオフ|せん妄評価・他尺度との使い分け【PDF評価付き】 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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4AT-Jの実施方法とカットオフ|せん妄評価・他尺度との使い分け【PDF評価付き】

STROKE LAB / ASSESSMENT GUIDE実施 → 解釈 → 介入

4AT-J

せん妄スクリーニング

「昨日と違う」を、見逃さない。

静かに眠っている人にも、せん妄は起こります。4項目の内訳と「いつから変わったか」を合わせ、原因の評価とケアへつなぐための実践ガイドです。

4AT-Jの実施全体像

4AT-Jの実施全体像・場面1
4AT-Jの実施全体像・場面2
4AT-Jの実施全体像・場面3
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4点以上せん妄を疑い、臨床評価へ
0〜12点重症度の百分率ではない
約2分家族・病棟への情報確認は別途

医療・リハビリ専門職向け | 内容確認:2026年11月4日

01 / 4AT-J

最初に、点数と次の行動を結びつける

合計 意味 その場で行うこと
4〜12点 せん妄の可能性。認知機能障害を伴うこともある。 内訳と急性変化を医療チームへ共有し、診察・原因評価につなぐ。
1〜3点 認知機能障害の可能性。 普段の状態と比較。急な変化があれば点数に関係なく評価を続ける。
0点 この時点では示唆する所見が乏しい。 項目④の情報が十分か確認。新しい変化があれば再評価する。

4AT-Jはスクリーニングです。合計を出したら、必ず覚醒・AMT4・注意・急性変化の内訳を読みます。[1][2]

02 / 4AT-J

準備|普段の状態を知る人につながる

眼鏡・補聴器を確認し、一人ずつ話しかけます。失語・難聴・使用言語など、回答に影響する条件は得点と一緒に記録してください。

本人への評価は約2分が目安です。家族や病棟から普段の様子を確認する時間は別に確保します。確認が後になる場合も、情報不足を「変化なし」に置き換えません。[2]

03 / 4AT-J

4項目の実施と採点

日本語版Ver 1.0に沿って、観察した反応と配点を照合します。画像の番号は場面の順序、以下の①〜④は採点項目です。[1]

覚醒度の観察

覚醒度の観察・場面1
覚醒度の観察・場面2
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① 覚醒度

眠っていれば話しかけるか、やさしく肩に触れて起こします。氏名・住所を尋ねるときも、答えの正誤だけでなく覚醒の様子を観察します。

0点評価中、完全に覚醒し、興奮していない。
0点起きてから10秒以内の軽い眠気はあるが、その後は正常。
4点明らかに異常。著しい眠気、興奮・多動など。

氏名の誤答だけを理由に、覚醒度を4点にしません。

AMT4と注意力の口頭課題

AMT4と注意力の口頭課題・場面1
AMT4と注意力の口頭課題・場面2
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② AMT4

年齢・生年月日・場所(病院または建物の名前)・今日の日付を尋ね、回答をそのまま残します。

0点全て正解。
1点1つ間違い。
2点2つ以上の間違い、または実施困難。

③ 注意力

正式な教示「今からいう単語をうしろ(逆)から言って下さい」
「セカイチズ」

評価者確認用の正答はズ・チ・イ・カ・セ。患者さんに正答を見せず、文字カードの並べ替え課題にも変更しません。

0点5文字を正しい位置・音節で言える。
1点位置・音節の誤りが1〜2つ、または途中で辞退。
2点3つ以上の間違い、または実施困難。

②・③の実施困難には、日本語版原票で気分不良・活気のなさ・注意不足・拒否が挙げられています。「途中で辞退」と「始められなかった」を分け、理由と実際の発言を残します。

家族・病棟から急性変化を確認

家族・病棟から急性変化を確認・場面1
家族・病棟から急性変化を確認・場面2
家族・病棟から急性変化を確認・場面3
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④ 急な変化または変動する経過

覚醒・認知・その他の精神機能(妄想・幻覚など)の著しい変化や変動について、2週間以内に生じ、直近24時間にも明らかに残っているかを確認します。

0点該当する変化がない。
4点該当する変化がある。

「昨日は会話が続いた」「昨夜は病室を自宅と思っていた」など、具体的な出来事と情報源・確認時刻を残します。未確認ならその旨を記載し、合計点だけで陰性と決めません。

04 / 4AT-J

3つの採点例|合計と内訳を一緒に読む

CLINICAL EXAMPLE · 架空例

日中は答えられるが、昨夜から混乱

内訳
覚醒0+AMT4 0+注意0+急性変化4=4点。
読み方
今の受け答えが良くても、直近24時間の明らかな変動を拾った結果。
次の行動
夜間の言動、開始時刻、持続時間、薬の変更や身体症状をまとめて報告。日中の正常な回答だけで終了しません。
CLINICAL EXAMPLE · 架空例

認知症があり、普段から回答が難しい

内訳
0+2+2+0=4点。
読み方
慢性の認知障害が加点へ影響した可能性。
次の行動
「いつもと同じ」を家族・記録で確認。普段より食べない、反応が遅いなどの新情報がないか照合します。
CLINICAL EXAMPLE · 架空例

昨日から眠気が強く、課題を始められない

内訳
4+2+2+4=12点。
読み方
覚醒低下と急性変化が重なる。静かな低活動型でも迅速な評価が必要。
次の行動
全身状態を確認して連絡。予定していた高負荷の練習を進める前に、原因と実施可能な活動を医療チームで判断します。
05 / 4AT-J

陽性後の対応|連絡・原因確認・ケアを並行する

報告・ケア・再評価

報告・ケア・再評価・場面1
報告・ケア・再評価・場面2
報告・ケア・再評価・場面3
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  1. 原因を調べる情報を集める

    職種の範囲でバイタル、呼吸状態、発熱、食事・水分、排尿・排便、痛み、睡眠、薬の変更を確認します。診断と治療は医療チームへつなぎます。

  2. その人が参加できる条件をつくる

    短い説明、時計・カレンダー、なじみのある人、眼鏡・補聴器を活用。睡眠を妨げる刺激を減らし、水分・栄養は嚥下や循環の制約に合わせます。全員を一律に臥床させず、状態に応じた離床を検討します。

これらはNICEの多面的な予防・管理の推奨に沿う対応です。[4]

カルテ・申し送りの記載例|架空例

14:00:4AT-J 8点(覚醒0/AMT4 2/注意2/急性変化4)。昨日は会話が続いたが、本日は応答が途切れる。昨夜からの混乱を病棟看護師に確認。

対応:担当看護師へ14:05に共有し、医師の評価を依頼。予定していた高負荷練習は保留。指示された対応後、覚醒・会話・食事の様子と4項目の内訳を再確認する。

06 / 4AT-J

点数が予測すること/しないこと

4AT-Jの4点以上は、現在のせん妄の可能性を評価するための境界です。「せん妄になる未来の確率」や「退院までの日数」の点数ではありません。8点から4点への低下も、障害が50%改善した意味にはなりません。内訳のどこが変化し、普段の活動にどれだけ戻ったかを追います。

日本語版の検証:65歳以上150人

Hasegawaら(2022)は日本語版を検証し、4点を閾値とする妥当性を報告しました。日本語版を使う直接の根拠です。海外版の研究値は、別の集団・言語の情報として読み分けます。[3]

4AT全般の診断精度:感度・特異度とも約88%

Tiegesら(2021)の17研究・3,702評価のメタ解析では、統合感度88%、特異度88%でした。感度88%は「陽性者の88%がせん妄」という意味ではありません。[5]

2026年巻の認知症集団のメタ解析

Keaneらの5研究のメタ解析には1,304人(うち認知症482人)が含まれ、認知症集団の統合感度88%・特異度79%でした。陽性だけで確定せず、普段からある障害との違いを確かめる必要があります。日本語版だけの性能ではありません。[6]

07 / 4AT-J

他尺度との使い分け・再評価

評価 4AT-Jと違う役割
CAM 急性発症・変動、注意障害などの特徴の組み合わせで判定。単純合計ではない。
CAM-ICU/ICDSC NICEがICU・術後回復室で推奨する評価経路。
RASS 興奮・鎮静の程度を共有。0だからせん妄なし、ではない。
HDS-R・MMSE・MoCA 認知機能の評価。急性期の低値から慢性の認知症の程度を決めない。
CAT-R 状態が安定してから、注意をさらに詳しく調べる。

ICUでの使い分けはNICEに従います。[4]

再評価では時刻、睡眠、薬剤・処置、補聴器、急性変化の情報源をそろえて記録します。日常観察と状態変化時の評価を組み合わせ、合計が下がったかだけでなく、食事・会話・睡眠が普段へ戻ったかを確認します。

反復評価を支える2025年の研究

McCartneyらは、せん妄のある70歳以上の入院患者120人を9日以内に2〜4回評価しました。反復評価でも診断精度が保たれ、経過観察への活用が示唆されています。ただし、日本語版の「何点改善すれば回復」という基準を定めた研究ではありません。[7]

4AT-J評価・採点シートの実物プレビュー
DOWNLOAD / 評価と申し送りを一冊に

反応を採点し、変化を残す。

A4縦・2ページ
1枚目:4項目の実施・配点・合計
2枚目:普段との差・情報源・対応・再評価

評価・記録シートを開く ↓

日本語版Ver 1.0の項目・配点を保持し、説明・レイアウト・記録欄を編集。追加の臨床記録は得点に含めません。

公式日本語版の原票・配布ページ ↗

REFERENCES

参考文献・実施資料

  1. 4AT公式.日本語版Ver 1.0(配布ページ・原票).
  2. 4AT公式.User guide and scoring.
  3. Hasegawa T, et al. Reliability and validity of the Japanese version of the 4A’s Test for delirium screening in the elderly patient. Asian J Psychiatr. 2022;67:102918.
  4. NICE. Delirium: prevention, diagnosis and management. CG103, Recommendations(2023年更新).
  5. Tieges Z, et al. Diagnostic accuracy of the 4AT for delirium detection in older adults: systematic review and meta-analysis. Age Ageing. 2021;50:733–743.
  6. Keane A, et al. 4AT screening for delirium in dementia: meta-analysis of diagnostic performance. Dement Neuropsychol. 2026;20:e20250378.
  7. McCartney H, et al. Validation of the 4AT for assessing recovery from delirium in older hospital patients. Age Ageing. 2025;54:afaf166. 2026年訂正(共同筆頭著者表記)

実施・採点は日本語版Ver 1.0に沿って行います。事例は架空例です。ケアは医療チームの診断・治療と合わせて調整します。

STROKE LAB / 4AT-J 臨床で使える評価ガイド

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