【2026年版】ヒューゲルメイヤー評価表!下肢編 /fugl meyer assessment/カットオフと予後予測
FMA下肢の採点で迷わないための完全ガイド。
脳卒中後の下肢機能を「ここまで」評価できれば予後が見えてくる。FMAは世界標準の疾患特異的評価スケールです。深部腱反射から協調性・バランス・感覚・関節可動域まで、採点基準・実施手順・つまずきポイントを完全網羅した新人臨床家必携のリファレンスガイドです。
— FMA下肢評価の実施手順を動画で確認できます。採点基準と合わせてご活用ください。
FMA下肢 要点5項目。
臨床現場でこう出会う。
【患者背景】68歳・男性。左中大脳動脈領域の脳梗塞(ICD-10: I63)発症後3週間。回復期病棟に転棟してきたばかりで、ブルンストロームステージは下肢Ⅲ(共同運動パターンが主体)。NIHSS初回:12点(中等度)。主訴は「足がうまく動かなくて、立てるかどうか不安」。
【初回評価所見】背臥位で股・膝・足関節の屈筋共同運動は一部可能(各1点)。伸筋共同運動も部分的。立位保持は軽介助で1分未満。感覚は左下肢の触覚が鈍麻(1点)、受動運動覚は股関節3/4正答(1点)。この時点でFMAを系統的に実施し、回復段階と残存機能を数値化することが第一歩です。
「何からFMAを始めればいいか分からない」「採点の細かい基準が覚えられない」——そんな声をよく聞きます。FMAは評価項目が多いですが、評価の順序は脳卒中後の神経回復段階に沿って設計されています。まず全体像を理解し、次に各項目の採点基準を体系的に覚えていきましょう。
FMAとは何か。定義と背景。
FMA(Fugl-Meyer Assessment:フューゲルメイヤーアセスメント)は、1975年にFugl-Meyerらによって開発された脳卒中疾患特異的評価スケールです。運動機能・感覚・バランス・関節可動域・関節痛の6領域を定量的に評価し、合計226点満点で採点します。
運動(0〜100点:上肢66点+下肢34点)/感覚(0〜24点:軽触覚8点+位置感覚16点)/バランス(0〜14点:座位6点+立位8点)/関節可動域(0〜44点)/関節痛(0〜44点)。各項目は0・1・2点の3段階で採点します。臨床では特に運動機能(上下肢計100点)がアウトカム指標として単独で使われることが多いです。
ガイドラインにおける位置づけ
「行うよう勧められる」グレードB。国内の脳卒中リハビリテーションにおける標準的評価として位置づけられています。
海外ではブルンストロームよりもメジャーな評価スケールとして定着しています。Winters et al.(2016)のシステマティックレビューでも、脳卒中後上肢回復の評価として最も広く使用・検証された指標と結論づけられています。
ブルンストロームに比べ、運動機能の変化検出感度が高く、重度から軽度まで幅広い患者に使用できます。介入効果の検証・経時変化の追跡に優れています。
— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします
不安を感じているご家族へ。
STROKE LABは脳卒中後の機能回復を専門とする自費リハビリ施設です。神経系に特化した療法士が、FMAなどエビデンスに基づく評価を踏まえた個別プログラムを提供します。まずは無料相談からお気軽にどうぞ。
FMAが捉える神経回復のメカニズム。
FMAの評価項目は、Twitchellら(1951)が記述した脳卒中後の運動回復段階に基づいて設計されています。弛緩→腱反射出現→共同運動→部分的分離→完全分離というプロセスを追います。
E-Ⅰ(深部腱反射)は弛緩期からの回復を示す最初のサイン。E-Ⅱ(共同運動)はピラミッド路の一部が再活性化した段階。E-Ⅲ(共同運動での組み合わせ)は共同運動パターンからの部分的な分離が始まった段階。E-Ⅳ(非共同運動)は選択的随意運動が可能になった段階を評価します。FMAのスコアが上がるほど、より高次の神経機能が回復していることを意味します。
比例回復モデルとFMAスコアの関係
Prabhakaran et al.(2008)の比例回復モデル(Proportional Recovery Model)は、初期障害の程度に関わらず、潜在的なFMAスコア向上幅の約70%を回復することを示しています。この知見は、初回評価時のFMAスコアが予後予測の基準となることを支持しています。
比例回復モデル [単独RCT相当・前向きコホート]:Prabhakaran S, et al. Post-stroke upper limb recovery: the proportional recovery model revisited. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2008; n=57. 発症後3〜6ヶ月の時点で、初期FMAスコアが低い患者でも潜在回復幅の約70%を達成することが示されました。
バイオマーカーとの組み合わせ予測 [SR]:Stinear CM, et al. Prediction of motor recovery after stroke: advances in biomarkers. Lancet Neurology. 2017. FMAスコアを神経生理学的測定(MEP、TMS)や神経画像と組み合わせることで、予後予測精度が向上することが示されました。
FMAの信頼性・妥当性 [SR]:Winters C, et al. How to measure upper limb recovery after stroke. Clin Rehabil. 2016. FMAは脳卒中後上肢回復評価において最も広く使用・検証された指標であり、級内相関係数(ICC)は0.97以上(検者間信頼性)と高い信頼性が確認されています。
FMAとブルンストローム:使い分けの鑑別。
FMAとブルンストロームステージは、どちらも脳卒中後の運動機能回復を評価するツールですが、設計思想・情報量・所要時間が異なります。臨床目的に応じた使い分けが重要です。
| 比較項目 | Fugl-Meyer Assessment(FMA) | ブルンストロームステージ | 臨床的な鑑別ポイント |
|---|---|---|---|
| 評価の焦点 | 運動障害の定量的評価(数値化) | 回復段階の定性的記述 | 経時変化・効果検証→FMA。スクリーニング・情報共有→ブルンストローム |
| 項目数・スコア | 155項目・最大226点 | 6段階(Ⅰ〜Ⅵ) | FMAは微細な変化を捉えられる。ブルンストロームはステージ間の感度が低い |
| 所要時間 | 30〜45分 | 5〜10分 | 多忙な急性期ではブルンストローム、研究・回復期精査にはFMAが向く |
| 適応患者層 | 広範囲の脳卒中患者(重度〜軽度) | 重度の運動障害患者に特に有用 | 研究エビデンスの参照にはFMAが圧倒的に多い |
| 参考検査・補完指標 | MEP(運動誘発電位)・MRI・NIHSS と組み合わせ | FIM・NIHSS との組み合わせで包括的評価 | どちらも単独で予後予測するより複数指標の組み合わせが精度を高める |
評価尺度と採点基準(完全版)。
FMA下肢の評価は、E-Ⅰ〜E-Ⅴの運動機能、F(協調性)、G(バランス)、H(感覚)、I(関節痛)、J(関節可動域)で構成されます。各項目の実施手順と採点基準を完全網羅します。評価用紙のPDFはこちら
E-Ⅰ. 深部腱反射

| 評価内容 | 採点基準 | 実施のポイント |
|---|---|---|
| 測定部位:屈筋(ハムストリングス)/伸筋(大腿四頭筋腱・アキレス腱) | 反射消失:0点 反射出現:2点 (1点なし) |
背臥位で実施。非麻痺側でも反射がない場合、消失していても正常と判断します。 |
E-Ⅱa. 屈筋共同運動
股関節・膝関節の屈曲、足関節の背屈の共同運動を評価します。可動域制限がない範囲で随意運動ができれば満点となります。

①背臥位になります。②股関節・膝関節の屈曲と足関節の背屈を同時に行います。その際、股関節が外転・外旋しても問題ありません。③膝関節は重力に従い自然と屈曲するため、踵を上に持ち上げるよう(膝関節が伸展するよう)軽く抵抗をかけます。
⚠ 注意:膝関節への抵抗は下方向へ引くと股関節屈曲への抵抗にもなってしまいます。方向に注意しましょう。
| 評価関節 | 採点基準 | 解釈 |
|---|---|---|
| 股関節屈曲 | 不可:0点 一部分可:1点 全可動域:2点 | 各関節を個別に採点します |
| 膝関節屈曲 | 不可:0点 一部分可:1点 全可動域:2点 | 3関節の合計は最大6点 |
| 足関節背屈 | 不可:0点 一部分可:1点 全可動域:2点 | 評価前に可動域確認を忘れずに |

E-Ⅱb. 伸筋共同運動
股関節伸展・内転、膝関節伸展、足関節底屈の4つを評価します。検査前に可動域の確認を行っておきましょう。

①屈筋共同運動の終了肢位(股関節・膝関節屈曲・足関節背屈)からスタートします。②股関節の伸展・内転、膝関節の伸展、足関節の底屈を同時に行います。③内転の動き以外は従重力活動になるため抵抗をかけます。
| 評価関節 | 採点基準 | 解釈 |
|---|---|---|
| 股関節伸展 | 不可:0点 一部分可:1点 全可動域:2点 | 各関節を個別に採点 |
| 股関節内転 | 不可:0点 一部分可:1点 全可動域:2点 | 4関節の合計は最大8点 |
| 膝関節伸展 | 不可:0点 一部分可:1点 全可動域:2点 | 従重力方向の動きは必ず抵抗をかける |
| 足関節底屈 | 不可:0点 一部分可:1点 全可動域:2点 | 前もって可動域確認を実施 |
E-Ⅲa. 共同運動での組み合わせ(座位での膝関節屈曲)

①膝裏とベッド(椅子)の間が10cm空くように座ります。②足裏を床につけたまま、後ろに滑らせながら膝関節を屈曲していきます。
⚠ ハムストリングスを触診して収縮を確認。大腿や足底が浮く場合は「屈筋共同運動(E-Ⅱa)」になるため注意。骨盤回旋などの代償動作を見逃さないことが精度の鍵です。
| 項目 | 採点基準 | 解釈 |
|---|---|---|
| 座位膝関節屈曲 | 随意運動なし:0点 90°未満:1点 90°以上:2点 |
共同運動パターンから部分的に脱却できているかを確認するための項目。触診で代償の有無を判断してください。 |
E-Ⅲb. 共同運動での組み合わせ(座位での足関節背屈)

①ベッドや椅子に座り、足関節の可動域を確認します。②自分の力で足関節を背屈してもらいます。
⚠ 大腿や踵が浮いてしまう場合は「屈筋共同運動」になるため注意しましょう。採点基準:随意運動なし→0点、一部分可能→1点、全可動域可能→2点。
E-Ⅳa. 非共同運動(立位での膝関節屈曲)

①股関節伸展位にて立ちます。バランスのテストではないため、支持物を持って構いません。②股関節を伸展位のまま、膝関節のみを90°屈曲していきます。
| 点数 | 採点基準 |
|---|---|
| 0点 | 随意運動なし、または開始直後から股関節が屈曲する |
| 1点 | 90°未満、または運動に伴って股関節が屈曲する |
| 2点 | 90°以上屈曲可能 |
E-Ⅳb. 非共同運動(立位での足関節背屈)

①股関節伸展位にて立ちます。支持物を持って構いません。②股関節を伸展位のまま、足関節のみを背屈していきます。
⚠ 骨盤前傾位の方は股関節伸展が強くなるため、足を少し前に出して評価しましょう。採点基準:随意運動なし→0点、一部分可能→1点、全可動域可能→2点。
E-Ⅴ. 腱反射の程度(E-Ⅳ両項目満点者のみ)

背臥位にてハムストリングス・大腿四頭筋・アキレス腱の腱反射を麻痺側・非麻痺側ともに評価します。非麻痺側に比べ麻痺側の腱反射がどの程度亢進しているかを評価します。
| 点数 | 採点基準 | 解釈 |
|---|---|---|
| 0点 | 3本中2本以上が著名な亢進 | 痙縮が強度な状態 |
| 1点 | 3本中1本のみ著名な亢進 | 部分的な痙縮残存 |
| 2点 | 1本のみ亢進(非麻痺側と同等レベル) | ほぼ正常範囲の反射 |
F. 協調性(踵-膝試験)

踵を反対下肢の膝蓋骨につけた状態から、膝関節の伸展・屈曲を5回繰り返します。所要時間(非麻痺側との差)・測定障害の程度・振戦の程度をそれぞれ評価します。

| 評価軸 | 採点基準(各2点満点) | 解釈 |
|---|---|---|
| 所要時間(非麻痺側比) | 6秒以上遅い→0点 2〜5秒遅い→1点 2秒以内→2点 | 非麻痺側との時間差で採点 |
| 測定障害 | 顕著・不一定→0点 わずか・一定→1点 なし→2点 | 軌跡のぶれ・ターゲット誤差を観察 |
| 振戦 | 著明→0点 わずか→1点 なし→2点 | 小脳機能障害との鑑別にも重要 |
G. バランス(全5項目・14点満点)
バランスは座位保持・パラシュート反応・立位保持(軽介助・介助なし)・片脚立位の5項目で評価します。各項目の詳細を以下にまとめます。
| 項目 | 採点基準 | 実施上の注意 |
|---|---|---|
| 端座位保持(5分) | 背もたれ必要→0点 時々介助→1点 5分以上自立→2点 | 他の評価中に5分以上自立できていれば改めて評価不要 |
| パラシュート反応(麻痺側・非麻痺側) | 反応なし→0点 一部分あり→1点 肘伸展・肩外転が出現→2点 | 転倒リスクが高い。安全管理・環境調整・説明を徹底すること |
| 立位保持(軽介助・1分) | 保持不可→0点 介助量増加→1点 1分間可能→2点 | 肩に触れる力は軽く。過介助にならないよう注意 |
| 立位保持(介助なし・1分) | 保持不可→0点 動揺あり→1点 動揺なく1分間→2点 | 転倒リスクあり。必ずすぐ支えられる位置で評価 |
| 片脚立位(麻痺側・非麻痺側) | 3秒以下→0点 4〜9秒→1点 10秒以上→2点 | 非麻痺側も神経学的影響を受ける場合あり。非麻痺側評価時も油断禁止 |


H. 感覚(触覚・受動運動覚)

| 評価種類 | 採点基準 | 実施のポイント |
|---|---|---|
| 触覚(軽いタッチ) | 脱失→0点 鈍麻・異常感覚→1点 非麻痺側と同等→2点 | 麻痺側・非麻痺側に同じ力で触れ、患者に比較してもらいます |
| 受動運動覚(股・膝・足・母趾の4箇所、各4回) | 2/4以下正答→0点 3/4正答→1点 4/4正答→2点 | 側面から手の全面で触れる。上下から把持すると触圧覚で方向が分かってしまうため不可 |

I. 関節痛 / J. 関節可動域(同時評価)
I(関節痛)とJ(関節可動域)は同じタイミングで評価します。股関節・膝関節・足関節・距骨下関節を対象に、必ずゴニオメーターを使用してください。
| 評価領域 | 関節痛の採点基準 | 可動域の採点基準 |
|---|---|---|
| 股関節(屈曲・外転・内旋・外旋) | 著明→0点 わずか→1点 なし→2点 | わずかな可動域→0点 制限あり→1点 非麻痺側と同等→2点 |
| 膝関節(屈曲・伸展) | 著明→0点 わずか→1点 なし→2点 | わずかな可動域→0点 制限あり→1点 非麻痺側と同等→2点 |
| 足関節(背屈・底屈) | 著明→0点 わずか→1点 なし→2点 | わずかな可動域→0点 制限あり→1点 非麻痺側と同等→2点 |
| 距骨下関節(内反・外反) | 著明→0点 わずか→1点 なし→2点 | ゴニオメーター必須。距骨下関節の評価は特に慎重に |



信頼性 [SR/MA]:検者間信頼性ICC=0.95〜0.99、検者内信頼性ICC=0.97以上と報告されています(Gladstone DJ, et al. Neurorehabil Neural Repair. 2002)。
妥当性 [SR]:FMA上肢スコアはBarthel Index・FIMと強い相関(r=0.72〜0.88)が確認されています(Winters C, et al. Clin Rehabil. 2016)。
MCID(臨床的最小変化量)[複数RCT]:FMA上肢では4.25〜7.25点、FMA下肢では2〜3点がMCIDとして報告されています(Page SJ, et al. Phys Ther. 2012)。介入前後の変化をこの値と照らし合わせることで、臨床的に意味ある改善かを判断できます。
重症度カットオフ値 [観察研究]:Duncan PW, et al. Stroke. 1994;25(6):1181-8. 運動機能100点満点:0〜35点=非常に重度、36〜55点=重度、56〜79点=中等度、80点以上=軽度。
患者スコア例(重症度別)
| 患者ID | 上肢運動(/66) | 下肢運動(/34) | バランス(/14) | 重症度区分 |
|---|---|---|---|---|
| 001 | 30/66 | 28/34 | 10/14 | 重度(上肢主体の障害) |
| 002 | 40/66 | 30/34 | 12/14 | 中等度(上肢中心) |
| 003 | 25/66 | 22/34 | 8/14 | 重度(全体的な障害) |
| 004 | 50/66 | 32/34 | 14/14 | 軽度(上肢に残存障害) |
| 005 | 35/66 | 26/34 | 10/14 | 重度〜中等度境界域 |
FMAスコアを活かした介入のエビデンス。
FMAを評価したら、それをどう介入に活かすかが重要です。スコア帯に応じた介入の方向性と、エビデンスのある介入プログラムを確認しましょう。
ポジショニングによる拘縮予防、早期座位・立位練習、促通手技による感覚フィードバック強化。介入頻度:1日2〜3回、各30分以上を推奨します(専門家合意)。
選択的随意運動を引き出す課題指向型練習。歩行練習(平地→段差)、座位での膝屈曲・背屈選択運動。週5日・1回45分のセッションで有意な改善が報告されています(専門家合意・観察研究)。
バランス強化・歩行速度・持久力の向上。トレッドミル歩行(速度:0.3〜0.8m/s、週3〜5回、20〜30分)は歩行機能改善に有効とのエビデンスがあります [複数RCT]。
ADL・IADLへの応用、地域活動・就労への参加支援。自費リハビリ(週1〜2回・各60分)と自主訓練の組み合わせによる維持・改善が現実的な選択肢になります。
FMAと機能的予後の相関 [観察研究]:Nijland RH, et al. Predicting functional outcome after stroke: the influence of neglect on basic ADL. Stroke. 2010;41(1):e84-90. FMAスコアが高いほど機能的回復が良好であり、半側無視は負の予測因子と報告されました。
FMAを用いた上肢回復測定法 [SR/MA]:Winters C, et al. How to measure upper limb recovery after stroke. Clin Rehabil. 2016. FMAが脳卒中後上肢回復の測定において最も使用・検証されており、さらなる補完指標の研究継続を提言しています。
バイオマーカーとの統合予測 [SR]:Stinear CM, et al. Prediction of motor recovery after stroke: advances in biomarkers. Lancet Neurol. 2017. FMAとMEP・MRIを組み合わせることで予後予測精度が向上すると結論づけています。

STROKE LABでは、FMAスコアに基づいた個別プログラムを神経系専門の療法士が立案します。評価から介入計画まで、脳科学に裏打ちされたアプローチで回復をサポートします。まずはお気軽にご相談ください。
多職種連携と環境調整。
FMAの結果は療法士だけのものではありません。多職種チームで共有し、それぞれの専門性を活かした介入につなげることが、患者の回復を最大化します。
多職種連携テーブル
| 職種 | FMA関連の評価項目 | 主な介入内容 | 他職種との連携ポイント |
|---|---|---|---|
| PT(理学療法士) | 下肢運動機能(E-Ⅰ〜Ⅴ)・バランス(G)・関節可動域(J)・協調性(F) | 歩行練習・バランストレーニング・下肢選択運動促通・拘縮予防 | FMAスコアをOT・看護師と共有し、ADLへの応用を調整する |
| OT(作業療法士) | 感覚(H)・上肢運動機能・ADLへの応用可能性 | ADL訓練・感覚再教育・自助具検討・屋内環境調整 | PTの下肢機能改善に合わせてADL目標を段階的に更新する |
| ST(言語聴覚士) | 評価指示の理解度・言語障害の有無(FMA実施への影響) | 失語症・高次脳機能障害への対応・代替コミュニケーション手段の確立 | FMA実施前に失語・認知機能の影響を確認しておくことが採点精度に直結する |
| 看護師 | 日常的なADL場面での下肢機能・バランス・疼痛の変化 | 移乗介助・転倒予防・夜間のポジショニング管理 | FMAで可能になった動作を病棟ADLに反映するため、看護師への情報共有が不可欠 |
| 医師 | 責任病巣・合併症(痙縮・疼痛)・薬物療法の効果 | 痙縮治療(バクロフェン・ボトックス)・画像解釈・退院判定 | FMAスコアの推移をカンファレンスで報告し、薬物療法の調整判断に活用する |
| MSW(医療ソーシャルワーカー) | FMAスコア帯と退院後の生活環境との整合性 | 退院支援・社会資源(自費リハビリ含む)の紹介・家屋調査調整 | FMAスコアで「この機能なら一人暮らし可能か」を具体的に説明できると退院先検討がスムーズになる |
「FMAの数字を看護師に伝えても伝わりにくい。でも『端座位を5分保てるようになりました(G項目2点)』という表現に変えると、病棟での見守りレベルの変更につながります。」
「医師へのカンファレンスでは『下肢FMAが22→28点に改善(MCIDを超えています)』と数値で示すと、退院判定の説得力が増します。FMAの強みはこの定量性にあります。」
つまずきポイントと臨床判断のコツ。
FMA評価でよくある失敗パターンを把握しておくと、採点精度が格段に上がります。先輩から引き継ぐ前に、これだけは押さえておきましょう。
臨床判断のコツ:採点に迷ったときのフロー
「採点で迷ったら『これは本当に随意的な動きか?』と自問しましょう。重力・代償・痙縮による動きを随意運動と誤認することが採点誤差の最大の原因です。」
「評価用紙を見ながらではなく、まず患者の動きを観察して、後から用紙に記録する習慣をつけると、用紙を読む時間ではなく患者を見る時間が増えて採点精度が上がります。」
予後とゴール設定。
FMAスコアは予後予測ツールとして活用できます。初回評価スコアと比例回復モデルを掛け合わせることで、理論的な到達目標を推定できます。
【計算式】回復予測スコア=初回FMAスコア+(最大FMAスコア-初回FMAスコア)×0.7。例:下肢FMA初回10点の場合→10+(34-10)×0.7=26.8点が3〜6ヶ月時点の予測値。ただし、MEP反応なし・皮質脊髄路の重度損傷例ではこのモデルが当てはまらない場合があります(Stinear 2017)。バイオマーカーとの統合的な予後予測が推奨されます。
比例回復モデルの実証 [観察研究]:Prabhakaran S, et al. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2008; n=57. 脳卒中後上肢回復において、初期FMA障害程度に関わらず、回復ポテンシャルの約70%を3〜6ヶ月で達成することを示しました。中等度〜重度患者での予測精度が高いと報告されています。
FMAと日常生活機能回復の相関 [観察研究]:Nijland RH, et al. Stroke. 2010;41(1):e84-90. FMAスコアが高いほど日常生活活動の機能的転帰が良好であり、半側無視が共存すると負の予測因子になることが示されました。
よくある質問。
FMA下肢の運動機能スコアは34点満点です。FMA全体(運動・感覚・バランス・関節可動域・関節痛)の合計は226点満点ですが、下肢運動機能34点+バランス14点+感覚(下肢相当分)+関節可動域・関節痛(下肢相当分)を合わせた合計点が臨床で主に参照されます。
Duncan PW(1994)らが提唱した運動機能100点満点での区分では、0〜35点=非常に重度、36〜55点=重度、56〜79点=中等度、80点以上=軽度と分類されます。この区分は上下肢運動機能合計を対象としており、予後予測や介入目標の設定に活用されます。
大腿や足底が浮いてしまう場合は「屈筋共同運動」になってしまうため、E‐Ⅱa(屈筋共同運動)として評価してください。E‐Ⅲaは「共同運動パターンから部分的に脱却できているか」を見る項目です。ハムストリングスを触診して収縮を確認することが、代償動作を見抜く鍵です。
E‐Ⅴは、E‐Ⅳの2項目(立位での膝関節屈曲・足関節背屈)がどちらも満点(2点)の患者さんのみ実施します。重度麻痺の方には実施しないため、採点表に空欄が生じることがありますが、それは正しい評価手順です。
FMAは運動・感覚・バランス・関節機能を数値で定量評価でき(226点満点・155項目)、研究アウトカムや経時変化の追跡に優れています。ブルンストロームは6段階の定性的評価で、実施時間が5〜10分と短く、日常的なスクリーニングや情報共有に向いています。海外の研究ではFMAが標準的に使用されており、エビデンスの比較・参照にもFMAが有利です。
関節を動かす際は、なるべく側面から手の全面で触れましょう。上下から把持すると触圧覚で動きの方向が分かってしまい、固有感覚(深部感覚)の純粋な評価にならないため注意が必要です。また、母趾・膝関節の評価では近位の関節が動かないよう固定することが重要です。各部位を4回ずつ行い、正答数で採点します。
STROKE LABのプログラム。
STROKE LABは脳卒中後の機能回復を専門とする自費リハビリ施設です。厳しい採用基準と継続的な教育を経た神経系特化の療法士が、FMAなどエビデンスに基づいた評価から個別の介入計画を立案し、回復期退院後の継続的なリハビリテーションをサポートします。
— STROKE LABでの実際のリハビリテーションの様子をご覧いただけます。
「回復期病棟で担当した60代男性の患者さんは、入院時のFMA下肢スコアが8点(重度)でした。当初は『歩けないだろう』という空気がありましたが、私はFMAの項目を一つひとつ丁寧に評価し、E-Ⅱaの足関節背屈に1点が残っていることに気づきました。この残存機能を起点に選択的な背屈訓練を継続し、3ヶ月後には独歩での退院を達成しました。FMAは『できないこと』ではなく『残っているもの』を見つけるためのツールだと、その経験から学びました。」— PT・臨床経験8年・回復期リハビリテーション専門
「新人のころ、FMAのG項目(バランス)でパラシュート反応を評価中に患者さんがバランスを崩しそうになったことがあります。転倒には至りませんでしたが、安全管理が不十分でした。それ以来、必ずリスク説明・環境調整・評価者のポジション確認を行ってから評価するように徹底しました。FMAは詳細な評価だからこそ、安全管理の細かい配慮が採点精度と同じくらい大切です。」— OT・臨床経験5年・脳血管疾患専門
諦めないでください。

「退院したら、あとは自分たちでなんとかしなければ」と感じているご家族の方が、たくさんいらっしゃいます。でも、脳卒中後の回復は退院で終わりではありません。
FMAのスコアが示すように、神経系は適切な刺激を与え続ければ、回復期を過ぎても改善を続ける可能性があります。STROKE LABは、その可能性を最大限に引き出すために存在しています。
まずは無料相談で、現状と目標をお聞かせください。神経系特化の療法士が、一人ひとりに合ったアプローチをご提案します。
代表取締役 金子 唯史
参考文献。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)