【2024年版】運動失調の評価:SARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)のメリット/デメリットは? – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
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【2024年版】運動失調の評価:SARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)のメリット/デメリットは?

 

SARAを動画で解説

SARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)とは?

「SARA(Scale for the Assessment and Rating of Ataxia)」は、協調性やバランスの欠如などの神経学的障害を特徴とする運動失調の重症度を評価するための臨床評価ツールです。以下は、SARAの概要と評価項目の説明です。

概要: SARAは、運動失調の重症度を評価する信頼性と妥当性の高い臨床ツールであり、臨床研究や臨床実践で広く使用されています。この尺度は、歩行、姿勢、四肢協調性、言語、指の動きなど、運動失調の様々な側面を評価する8つの項目から構成されています。得点が高いほど、重度の運動失調を示します。SARAの総合スコアは、0(運動失調なし)から40(重度の運動失調)までの範囲で評価されます。

評価項目:

  1. 歩行:歩行能力が評価されます。バランス、協調性などが含まれます。
  2. 立位:足をそろえる、タンデムでの立位バランスが評価されます。揺れやバランスのために上肢を使うかどうかも評価されます。
  3. 座位:上肢の支持なしで静止する能力が評価されます。バランスや揺れも含まれます。
  4. 言語障害:話し方がどのような異常を示すかが評価されます。
  5. 指追い試験:検査者の指を正確に追えるかが評価されます。
  6. 鼻-指試験:指で鼻を触る際の振戦が評価されます。
  7. 手の回内-回外運動:手の回内外が正確に素早く行えるかが評価されます。
  8. 踵-すね試験:反対側のすねに沿ってかかとを滑らせる能力が評価されます。

全体的に、SARAは運動失調の重症度を評価するための有用な臨床ツールであり、運動失調の様々な側面を評価し、疾患の進行を追跡するために療法士が継続的に利用できる包括的なスコアを提供しています。臨床現場において運動失調の重症度を定量的に評価するために有用なツールであり、治療の進行状況をモニターするためにも役立ちます。運動失調の重症度を評価する際に、他の評価尺度と比較しても有用であるとされています。

➀歩行

以下の2種類で判断する。➀壁から安全な距離をとって壁と平行に歩き、方向転換し、②帰りは介助なしでつぎ足歩行(つま先に踵を継いで歩く)を実施する。

0:正常。歩行、方向転換、つぎ足歩行が困難なく10歩より多くできる。(1回までの足の踏み外しは可)
1:やや困難。つぎ足歩行は10歩より多くできるが、正常歩行ではない。
2:明らかに異常。つぎ足はできるが10歩を超えることができない。
3:普通の歩行で無視できないふらつきがある。方向転換できるが支えは要らない。
4:著しいふらつきがある。時々壁を伝う。
5:激しいふらつきがある。常に、1本杖か、片方の腕に軽い介助が必要。
6:しっかりとした介助があれば10mより長く歩ける。2本杖か歩行器か介助者が必要。
7:しっかりとした介助があっても10mには届かない。2本杖か歩行器か介助者が必要。
8:介助があっても歩けない。

②立位

被験者に靴を脱いでいただき、開眼で以下の方法で立っていただく。
①自然な姿勢
②足を揃えて(親趾同士をつける)
③つぎ足で(両足を一直線に、踵とつま先に間を開けないようにする)
各肢位は3回まで施行可能、最高得点を記載する。

0:正常。つぎ足で10秒より長く立てる。
1:足を揃えて動揺せずに立てれるが、つぎ足で10秒より長く立てない。
2:足を揃えて、10秒より長く立てるが動揺する。
3:足を揃えて立つことはできないが、介助なしに、自然な肢位で10秒より長く立てる。
4:軽い介助(間欠的)があれば、自然な肢位で10秒より長く立てる。
5:常に片方の腕を支えれば、自然な肢位で10秒より長く立てる。
6:常に片方の腕を支えても、10秒より長く立つことができない。

③坐位

開眼し、両上肢を前方に伸ばした姿勢で、足を浮かせてベッドに座る。

0:正常。困難なく10秒より長く坐っていることができる。
1:軽度困難、間欠的に動揺する。
2:常に動揺しているが、介助なしに10秒より長く坐っていられる。
3:時々介助するだけで10秒より長く坐っていられる。
4:ずっと支えなければ10秒より長く坐っていることが出来ない。

④言語障害

通常の会話で評価する。

0:正常。
1:わずかな言語障害が疑われる。
2:言語障害があるが、容易に理解できる。
3:時々、理解困難な言葉がある。
4:多くの言葉が理解困難である。
5:かろうじて単語が理解できる。
6:単語を理解できない。言葉が出ない。

⑤指追い試験

被験者は楽な姿勢で座ってもらい、必要があれば足や体幹を支えても良い。検者は被験者の前に座る。検者は被験者の指が届く距
離の中の位置に、自分の人差し指を示す。被験者に、自分の人差し指で、検者の人差し指の動きに、できるだけ早く正確についていくように命ずる。検者は被験者の予測できない方向に、2秒かけて、約30cm、人差し指を動かす。これを5回繰り返す。被験者の人差し指が、正確に検者の人差し指を示すかを判定する。5回のうち3回の平均を評価する。

0:測定障害なし。
1:測定障害がある。5cm未満。
2:測定障害がある。15cm未満。
3:測定障害がある。15cmより大きい。
4:5回行えない。

⑥指‐鼻試験

被験者は楽な姿勢で座ってもらい、必要があれば足や体幹を支えてよい。検者はその前に座る。検者は、被験者の指が届く距離の
90%の位置に、自分の人差し指を示す。被験者に、人差し指で被験者の鼻と検者の指を普通のスピードで繰り返し往復するように命ずる。運動時の指先の振戦の振幅の平均を評価する。

0:振戦なし。
1:振戦がある。振幅は2cm未満。
2:振戦がある。振幅は5cm未満。
3:振戦がある。振幅は5cmより大きい。
4:5回行えない。

⑦手の回内‐回外運動

被験者は楽な姿勢で座ってもらい、必要があれば足や体幹を支えてよい。被験者に、被験者の大腿部の上で、手の回内・回外運動
を、できるだけ速く正確に10回繰り返すよう命ずる。検者は同じ事を7秒で行い手本とする。運動に要した正確な時間を測定する。

0:正常。規則正しく行える。10秒未満でできる。
1:わずかに不規則。10秒未満でできる。
2:明らかに不規則。1回の回内・回外運動が区別できない、もしくは中断する。10秒未満でできる。
3:きわめて不規則。10秒より長くかかるが、10回行える。
4:10回行えない。

⑧踵‐すね試験

被験者をベッド上で横にして下肢が見えないようにする。被験者に、片方の足をあげ、踵を反対の膝に移動させ、1秒以内ですねに
沿って踵まで滑らせるように命ずる。その後、足を元の位置に戻す。片方ずつ3回連続で行う。

0:正常
1:わずかに異常。踵はすねから離れない
2:明らかに異常。すねから離れる(3回まで)
3:きわめて異常。すねから離れる(4回以上)
4:行えない。(3回ともすねに沿って踵をすべらすことができない)

SARAのメリットデメリットは?

以下は、SARA(運動失調の評価と評定のための尺度)の利点と欠点を詳細に解説した表です。

利点 欠点
1. 管理が迅速で簡単 ・SARAは短時間(10〜15分)で実施できる。 ・軽度の運動失調の患者の症状変化を正確に把握できない。
・効率的な評価が可能。 ・病気の初期段階での進行や悪化を把握できない可能性がある。
2. 信頼性と妥当性が高い ・高い内部一致性および評価者間信頼性を持つ。 ・主に運動症状に焦点を当て、認知、感情等の非運動症状の評価が不十分であるため、患者の全体的な状態を把握しきれない。
・強い構造的妥当性がある。
3. 運動症状の幅広いカバー ・歩行、立位、座位、発話、指追い試験、鼻指試験、手の回内外運動、踵-すね試験の8項目で運動失調に関連する幅広い症状を評価。 ・特定の治療の効果が反映されない場合があり、介入の真の効果を測定するのが難しい。
・状態の重症度を徹底的に評価できる。
4. 普及率が高く国際的に認知されている ・研究者や臨床医間でのデータ共有や連携が容易。 ・運動失調の重症度が極端に軽度または重度の場合、適切に評価できない可能性がある。
・治験データや患者ケアの解釈と比較が改善される。 ・天井効果と床効果がSARAの有用性を制限する。

この表では、SARAの管理の迅速さと簡易さ、信頼性と妥当性の高さ、運動症状の幅広いカバーして国際的な認知度といった利点が示されています。しかし、軽度の運動失調への感度が低いこと、非運動症状の評価が不十分であること、治療効果への反応性が限定的であること、天井効果と床効果の可能性があることなど、欠点も指摘されています。

運動失調患者を評価する際に適切な手法を選択するためには、SARAの利点と欠点を理解することが重要です。各臨床状況に応じて、SARAを適切に活用することで、運動失調患者の症状把握や治療効果の評価に役立てることができます。

SARAとICARSとの比較

 

評価項目 運動失調評価尺度SARA 国際協力運動失調評価尺度ICARS

構成

8つの項目:歩行、立位、座位、言語障害、指追い試験、鼻‐指試験、手の回内外運動、踵‐すね試験。

4つの部分評価:姿勢と歩行の障害、四肢の運動失調、発語障害、眼球運動障害 合計19項目が含まれている。

スコア範囲

0〜40点 0点:正常 40点:重度の運動失調を示す。

0〜100点 0点:正常 100点:重度の運動失調を示す。

実施時間

通常は10〜15分、実施時間が短い。

通常は約30分、実施時間が長い。

複雑さ

複雑さが少なく、実施やスコアリングが容易。

複雑で、正確に実施やスコアリングを行うためにはより多くの訓練が必要。

発語障害と

眼球運動機能の評価

発語障害が評価されるが、眼球運動機能は含まれていない。

発語障害と眼球運動障害の両方が評価される。

SARAのカットオフ値は?

【歩行自立度】

  • 8点以下:フリーハンド歩行自立
  • 11.5点以下:四点杖歩行自立
  • 12.25点以下:歩行器歩行自立

【日常生活レベル】

  • 5.5点以下:最小介助
  • 10.0点以下:中等度介助
  • 14.25点以下:最大介助
  • 23点以上:全介助

SARAの実施例

金子先生は、50歳の女性患者丸山さんに対して運動失調の評価とリハビリテーションを行います。丸山さんは、脳出血の後遺症で運動失調があり、日常生活に支障をきたしています。金子先生はSARA(運動失調の評価と評定のための尺度)を使用して、丸山さんの運動失調の重症度を評価し、リハビリテーションの計画を立てます。

初回評価

① 歩行

金子先生:「丸山さん、まずは歩行を見せていただけますか?壁から安全な距離をとって歩いていただき、方向転換をしていただきます。その後、帰りはつぎ足歩行をお願いします。」

丸山さん:「わかりました。」

丸山さんは、つぎ足歩行を10歩以上行うことができましたが、通常の歩行では軽いふらつきが見られました。

  • スコア:2(明らかに異常。つぎ足はできるが10歩を超えることができない。)

② 立位

金子先生:「次に、立位のテストを行います。自然な姿勢、足を揃えた姿勢、つぎ足の姿勢で立っていただきます。」

丸山さんは、足を揃えて10秒以上立つことができましたが、軽い動揺が見られました。

  • スコア:2(足を揃えて、10秒より長く立てるが動揺する。)

③ 坐位

金子先生:「次に、坐位のテストです。ベッドに座っていただき、両上肢を前方に伸ばしていただきます。」

丸山さんは、軽い動揺が見られましたが、10秒以上坐ることができました。

  • スコア:2(常に動揺しているが、介助なしに10秒より長く坐っていられる。)

④ 言語障害

金子先生:「日常会話を少ししていただけますか?」

丸山さん:「はい、今日は天気が良いですね。」

  • スコア:1(わずかな言語障害が疑われる。)

⑤ 指追い試験

金子先生:「次に、私の指を追っていただきます。指を動かしますので、目で追ってください。」

丸山さんは、指を追う動作で軽い測定障害が見られました。

  • スコア:1(測定障害がある。5cm未満。)

⑥ 鼻‐指試験

金子先生:「次に、鼻と私の指を交互に触っていただきます。」

丸山さんは、振戦が見られましたが、正確に行うことができました。

  • スコア:2(振戦がある。振幅は5cm未満。)

⑦ 手の回内‐回外運動

金子先生:「次に、手の回内・回外運動を行ってください。」

丸山さんは、不規則な動きが見られましたが、10秒以内に完了しました。

  • スコア:2(明らかに不規則。10秒未満でできる。)

⑧ 踵‐すね試験

金子先生:「最後に、踵をすねに沿って滑らせる試験を行います。」

丸山さんは、すねから離れることなく正確に行いました。

  • スコア:1(わずかに異常。踵はすねから離れない。)

総合評価とスコア

丸山さんのSARAスコアは以下の通りです。

  1. 歩行:2
  2. 立位:2
  3. 坐位:2
  4. 言語障害:1
  5. 指追い試験:1
  6. 鼻‐指試験:2
  7. 手の回内‐回外運動:2
  8. 踵‐すね試験:1

総合スコア:13(中等度の運動失調)

リハビリテーション計画

金子先生は、丸山さんの運動失調の重症度を評価し、以下のリハビリテーション計画を立てました。

  1. 歩行訓練:安定した歩行を目指し、バランス訓練を含む歩行訓練を行う。つぎ足歩行の練習を増やす。
  2. 立位訓練:動揺を減らすためのバランス訓練を行い、足を揃えた立位姿勢の維持を目指す。
  3. 坐位訓練:坐位バランスの向上を目指し、動揺を減らすための訓練を行う。
  4. 言語訓練:軽度の言語障害に対する言語訓練を行い、発話の明瞭さを向上させる。
  5. 指追い試験の練習:指を正確に追う練習を増やし、測定障害を減らす。
  6. 鼻‐指試験の練習:振戦を減らすための指の運動訓練を行う。
  7. 手の回内‐回外運動の練習:手の回内・回外運動の精度と速度を向上させる。
  8. 踵‐すね試験の練習:正確に踵をすねに沿って滑らせる訓練を行う。

金子先生:「丸山さん、今日の評価を基に、今後のリハビリテーション計画を立てました。焦らず、少しずつ進めていきましょう。一緒に頑張りましょう。」

丸山さん:「ありがとうございます。よろしくお願いします。」

  1. Marsden J, Harris C. “Cerebellar ataxia: pathophysiology and rehabilitation.”

    • 内容:この論文は、小脳失調の病態生理とリハビリテーションについて詳細に解説しています。SARAがどのように患者の運動失調の評価に役立つかも説明されています。患者の評価やリハビリテーションの計画にSARAがどのように活用されるかについて述べています。
  2. Klockgether T, et al. “Scale for the assessment and rating of ataxia: development of a new clinical scale.” Neurology.

    • 内容:この研究はSARAの開発過程、信頼性、妥当性について詳しく述べています。SARAの各評価項目とその基準が紹介され、臨床研究での応用例も含まれています。
  3. Weyer A, et al. “Reliability and validity of the scale for the assessment and rating of ataxia.” Mov Disord.

    • 内容:この論文では、SARAの信頼性(再現性)と妥当性(正確性)を検証しています。異なる評価者間での一致度や、同一患者に対する繰り返し評価の安定性について調査しています。

これらの論文は、SARAを使用する際の具体的な指針とその有効性に関する貴重な情報を提供しています。詳細な内容については、それぞれの論文を参照してください​ (SpringerLink)​。

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