vol.270:空間認知訓練が脳卒中運動機能をより高める 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
脳科学系
タイトル
空間認知訓練が脳卒中運動機能をより高める
Spatial cognitive rehabilitation and motor recovery after stroke?PMC A.M. Barrett et al.(2014)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
● 臨床において空間認知面の問題が、大きく運動機能に影響を与える事を実感し、空間認知に関わる論文を検索した。
内 容
はじめに
● 脳卒中は、米国および世界的な公衆衛生上の大きな問題である。毎年米国で約795,000人が脳卒中を発症し、脳卒中は医療サービスの費用、投薬、生産性の損失を含む386億ドルとなっています。脳卒中リハビリテーションは、脳卒中者の機能障害を改善するために大きな前進をしていく必要があります。
本論文について
● 本記事では、空間再訓練が脳卒中後の麻痺に対する運動リハビリの効率と有効性を大幅に高めることを提案しています。
空間認知能力とリハビリテーション
● 空間無視は、患者が適切なリハビリテーションを受けて筋力・巧緻性・持久性を構築した場合でも運動の回復・運動学習を阻害してしまいます。Pattersonらは、空間認知能力・バランスおよび身体認識能力等の因子が筋力以上に歩行(移動性)を予測することを見出した。
● Giaquintoらは運動機能は脳卒中後の機能的転帰の重要な予測因子ではないことを報告している。この研究では空間無視・四肢失調・年齢・認知および排泄を行うための認知能力がFIMにおける回復の72%を予測したことを示している。Jehkonenらの研究では、空間無視は日常生活機能を回復する能力を予測し、機能的転帰の独立した予測因子であった。
● Cosettreは、左半球の脳卒中患者グループの言語および運動能力を観察し、頭頂葉病変を有する患者の約半数が、左空間における性能と比較して、右側の空間で運動能力が低いことを見出した。
● Vallarら、Paolucciらは空間無視の視覚的オリエンテーションを改善するための介入が脳卒中後麻痺および運動回復を改善することも報告している。
● Paolucciらは、視覚探索、読書、描写等を用いた空間再訓練をより多くの時間行った脳卒中者が少ない時間の患者よりも運動障害の改善を示したことを報告した。
● 最近の研究では、空間無視を改善するために、集中的な視覚運動訓練を伴うプリズム治療が結果として運動機能の改善をもたらすことが具体的に示されている。 GoedertらおよびMizunoらは空間無視を有する患者は、プリズム適応治療の10日後(2週間、5セッション/週)に有意な運動改善(FIM)を示したことを報告した。
● 運動療法の一部としてルーチンの空間認識再訓練は、脳卒中リハビリテーションの有効性の大きな改善をもたらし得る。
私見・明日への臨床アイデア
● 私はPTだが、高次脳面での問題がある場合は、POS、病棟、チームで協力して介入する大切さを感じる。OT・ST・病棟での認知・高次脳面への特有の介入が身体機能面へのアプローチをより高めてくれることに繋がっていると思う。
氏名 Shuichi kakusho
職種 理学療法士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)