vol.310:異なる座位姿勢のアライメントと殿部圧 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
バイオメカニクス
タイトル
異なる座位姿勢が腰椎骨盤角度と殿部圧に及ぼす影響
Differences in lumbar and pelvic angles and gluteal pressure in different sitting postures ?PubMed Ji-Su Yu J Phys Ther Sci. 2015 May; 27(5): 1333–1335.
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・異なる座位姿勢から殿部圧を比較した論文をみつけ、腰痛患者の生活指導時に役立つのではないかと感じ読むことにした。
内 容
背景・目的
・パソコンやテレビなど座位時間の延長が問題視されている。
・アップライト姿勢(骨盤前傾、腰椎前彎、リラックスした胸椎)は椎間板の圧を減少させるが、この姿勢を長く維持して座ると筋疲労が生じるため持続が難しい。
・そのため足を組んだ姿勢など座位姿勢を変えるのが一般的である。
・しかし足を組んだ姿勢は腰椎後彎、骨盤後傾が強く、殿部にかかる圧も強くなると報告がある。
・本研究はアップライト姿勢、腰椎後彎姿勢、アップライト姿勢に足を組んだ場合の3条件を腰椎骨盤角度と殿部圧で比較する。
方法
・17名の健常成人
・腰椎と骨盤角度はVICONを使用し、殿部圧はpressure matにて計測した。
・座位姿勢は股膝関節90°、以下の3条件とした。
①アップライト姿勢(骨盤前傾、腰椎前彎、ES)
②足を組んだ姿勢(骨盤後傾、腰椎後彎、SCS)
③足を組んだアップライト姿勢(骨盤前傾、腰椎前彎、ECS)
・右足を左足の上に組むことにする。
結果
表:実験結果 Ji-Su Yu (2015)より引用
・腰椎、骨盤前傾、骨盤外側傾斜角度に3群間の有意差がみられた。
・SCSの腰椎屈曲角度、骨盤後傾角度、左方骨盤傾斜角度はESに比べて有意に大きかった。
・ECSの腰椎屈曲角度、骨盤後傾角度はESに比べて有意に大きかった。
・SCSの腰椎屈曲角度、骨盤後傾角度はECSに比べて有意に大きかった。
・SCSとECSの左の殿部圧はESに比して有意に大きかった。またSCSとECSの比較ではSCSのが左殿部圧が強かった。
私見・明日への臨床アイデア
・足を組んだ姿勢(腰椎後彎)では腰椎屈曲・骨盤後傾が強く、下になった側の殿部圧が強かった。上記姿勢は椎間板へのストレスが予想され、腰痛の一因になると思われる。足を組んでいても脊柱伸展位を保てば殿部圧が減少することは姿勢指導時に有意義な知識だと思われる。
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)