CAHAIとは|両手の生活課題で見る麻痺手の役割・採点・臨床活用 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
  1. HOME
  2. ブログ
  3. 上肢
  4. CAHAIとは|両手の生活課題で見る麻痺手の役割・採点・臨床活用
上肢

CAHAIとは|両手の生活課題で見る麻痺手の役割・採点・臨床活用

STROKE LAB / BILATERAL ARM ACTIVITY

動かす手も、支える手も。
暮らしへの参加を見つける。

Chedoke Arm and Hand Activity Inventory(CAHAI)
両手の生活課題から、麻痺手の役割と必要な支援を捉える。

13課題各1〜7点合計13〜91点約30分
瓶を保持する手と蓋を回す手。麻痺手がどの役割を担い、どの支援を必要としたかを観察します。
瓶を保持する手と蓋を回す手。麻痺手がどの役割を担い、どの支援を必要としたかを観察します。

01|CAHAIとは|麻痺手が「参加する力」を見る

Chedoke Arm and Hand Activity Inventory(CAHAI)は、脳卒中後の麻痺側上肢が両手を使う生活課題にどの程度貢献するかを評価します。瓶を開ける、布を絞るなど、本人や介護者にとって大切な活動から課題が選ばれました。[5]

例えば、右手で蓋を回す間、左手が瓶を持ち続ける。蓋を回す手だけでなく、物を安定させる手の働きも評価の対象です。片手だけで生活動作が自立している方でも、麻痺手の参加は別に確かめる必要があります。

最初に押さえること

  • 原版CAHAI-13は13課題、各1〜7点、合計13〜91点。
  • 高得点ほど、課題での麻痺側上肢の自立した参加が大きい。
  • 所要時間は13項目版で約30分。短縮版を含め公式の目安は約15〜30分。
  • 右手と左手を別々に満点換算する検査ではない。

準備・説明・休憩には別に余裕を取ります。この記事は英語版の日本語解説です。公式公開一覧に日本語版はなく、今回の検索でも日本語版の検証論文は確認できませんでした。[1][3][9]

02|13課題と短縮版|同じ版で比較する

以下は課題の概要です。物品の寸法・重さ、配置、終了条件は公式マニュアルの各課題ページで確認します。家庭の道具に置き換える場合も、同じ名前の物なら同条件になるとは限りません。[2][3]

No. 課題の概要
1 コーヒーの瓶を開ける
2 電話で911をダイヤルする模擬課題
3 定規を使って線を引く
4 コップに水を注ぐ
5 洗面用の布を絞る
6 5個のボタンを留める
7 タオルで背中を拭く
8 歯ブラシに歯磨き剤をつける
9 中等度の抵抗のパテを切る
10 ファスナーを閉める
11 眼鏡を拭く
12 容器を机上へ置く
13 袋を持って階段を上る

電話課題は原版の模擬課題です。実際の緊急通報は行いません。日本の番号やスマートフォンへ変更した実施は、原版と同条件として扱わず変更を記録します。

版 課題数 合計の範囲
CAHAI-13 13 13〜91点
CAHAI-9 9 9〜63点
CAHAI-8 8 8〜56点
CAHAI-7 7 7〜49点

短縮版には公式の採点用紙があります。任意に選んだ7課題をCAHAI-7とは呼びません。再評価では同じ版を使用し、異なる版の合計点を直接引き算したり、単純な百分率で同じ能力と解釈したりしないようにします。[9]

03|実施の流れ|役割・操作・保持を順に見る

  1. 1.版と用具をそろえる

    マニュアル、公式採点表、指定物品を準備し、麻痺側・利き手・肩の痛み・座位や立位の安全性を確認します。基本は肘掛けのない椅子などで、足底を接地。机は最下位肋骨の高さ、肘が机の縁に来る距離を目安に、手を机上に置いて開始します。

  2. 2.両手で行う目的を伝え、実演する

    課題を1回、必要なら2回実演します。本人は各課題を2回まで試せます。難しい課題があることも先に伝え、両手でできる範囲の努力を促します。

  3. 3.麻痺手が何を担当したか記録する

    瓶なら本体と蓋のどちらか、定規なら固定と鉛筆操作のどちらかを確認。手を伸ばしてつかむ操作と、位置や把持を保つ働きを観察します。

  4. 4.課題別基準で点数を決める

    一般的な7段階の説明だけでなく、各課題の構成要素と条件に照合します。出来栄えが異なる場合は低い側の点数を採用するという原則があり、最高の一瞬だけで判定しません。

  5. 5.同じ役割で再評価する

    麻痺手の担当、用具、姿勢、支持、声かけを残します。役割が変わった場合は、その変更も結果と一緒に報告します。

詳しい実演・採点の確認には公式マニュアルを併用してください。[2]

定規を押さえる手と鉛筆を動かす手。どちらの役割を麻痺手が担ったかを記録します。イラストは説明用です。
定規を押さえる手と鉛筆を動かす手。どちらの役割を麻痺手が担ったかを記録します。イラストは説明用です。

04|採点の考え方|「完成した」から一歩踏み込む

点数 段階の概要
7 通常の範囲の時間・安全性で、補助なしに自立
6 自助具、時間延長、安全性への配慮を伴う自立
5 見守りや言葉による支援が必要
4 最小介助の段階
3 中等度介助の段階
2 最大介助の段階
1 全介助の段階

上表は読み方の概要で、正式な採点表の代用ではありません。点数は麻痺手が担う操作・安定化と、他の手や環境からの支えも含めて判断します。[3]

説明の声かけをしたら、必ず5点?

いいえ。課題理解を確かめるための実演や許容される確認と、遂行を成立させるために必要な継続的な声かけは区別します。公式FAQでは、両手使用や肘を机に置かないことの確認を各2回まで行えるとしています。声かけの回数だけで機械的に減点せず、なぜ必要だったかを記録します。[4]

療法士が触れていなければ、自立?

机や体が麻痺手を支えている場合も確認します。公式FAQでは、腕を一瞬机に触れて支える例は4点、継続して支持する例は3点として説明されています。これはすべての机との接触を一律に採点する意味ではなく、その課題でどのように支持を得たかが重要です。[4]

片手で速く終わった場合は?

CAHAIは両手課題への麻痺手の貢献を見ます。非麻痺手だけで遂行した場合、生活上は有効な工夫であっても、CAHAIの高得点にはなりません。自立した生活方法と、麻痺手を参加させる練習の両方を大切にします。

布を両手でねじって絞る場面。保持する力、ねじる操作、両手の協調を観察します。
布を両手でねじって絞る場面。保持する力、ねじる操作、両手の協調を観察します。

05|得点の解釈|6.3点と生活自立を混同しない

2005年の脳卒中者39人の研究では、検者間信頼性ICC 0.98、最小可検変化(MDC)6.3点が報告されています。13項目版で整数の変化なら7点以上が一つの目安になりますが、対象集団・版・実施条件をそろえて読む必要があります。[6]

MDCが答えるのは「誤差を超えた変化か」

6.3点は「本人にとって意味のある改善の最小値(MCID)」や「退院できる点数」ではありません。例えば42点から49点へ変化したら、まず条件差を確認し、どの課題のどの支援が減ったのかを見ます。次に本人の生活目標で同じ変化が起きたかを確認します。

公式FAQでは、合計点の範囲を一律に重症・中等症・軽症へ分類する研究は行っていないと説明しています。点数だけで食事・更衣の自立や復職を予測する使い方はせず、項目別の役割と支援内容を意思決定に生かします。[4]

2024年の研究が示す、自己報告との併用

慢性期脳卒中113人の研究では、CAHAIとABILHANDの妥当性・反応性が検討されました。CAHAIと生活での上肢使用を聞くMALとの相関は初回0.60〜0.62でしたが、変化量の相関は0.27〜0.31でした。検査室での能力の変化と、暮らしの中で使う変化は完全には一致しません。療法士による観察に、本人の実感や使用状況を加えることが実践的です。[7]

06|臨床ストーリー|「支える手」を生活へ戻す

説明用の架空例:左片麻痺の方が「右手だけなら容器を開けられる」と話します。両手課題を観察すると、左手は容器へ届きますが、蓋を動かすと本体が回り、保持が続きません。

まず、つかむ前の手の開き、把持位置、肩・肘の姿勢、触れた感覚、回転に耐える保持を分けて確かめます。練習では軽い容器と緩い蓋を使い、左手で安定させる時間を短く設定。必要な支えを加え、安定してきたら支えを減らします。

家では「昼食の準備で容器を1つ支える」など、実際の機会を決めます。家族には先回りして蓋を開けず、必要な場面だけ支える方法を共有。再評価は元の標準条件で行い、点数、保持の安定、家庭で使った回数を別々に確認します。

練習で用具や支持を調整することと、標準検査の条件を変更することは分けて記録します。痛みや負担が出る場合は、無理に麻痺手の参加を増やさず条件を見直します。

生活への応用例。容器を支える役割から参加を増やし、家族は必要な分だけ手伝います。正式な検査場面ではありません。
生活への応用例。容器を支える役割から参加を増やし、家族は必要な分だけ手伝います。正式な検査場面ではありません。

07|BBT・ARAT・FMA-UEとの使い分け

評価 中心となる問い
CAHAI 両手を使う生活課題で、麻痺手がどれだけ操作・安定化に参加するか
BBT 片手でブロックを60秒間に何個運べるか
ARAT 把握・握り・つまみ・粗大運動の課題をどの程度行えるか
FMA-UE 上肢の運動障害がどの程度か
MAL・ABILHANDなど 生活での使用状況や、本人が感じる活動のしやすさはどうか

BBTで速さが変わらなくても、物を支える持続が改善すればCAHAIで異なる変化が見える場合があります。反対に、検査では参加できるのに家庭では使っていない場合は、動作能力に加えて生活機会・環境・習慣を確認します。

Chedoke-McMaster Stroke Assessment(CMSA)とCAHAIは別の評価です。CMSAの研究結果や段階を、そのままCAHAIの得点として扱わないようにします。

08|公式採点表と臨床補助PDF

公式CAHAI-13採点表を開く

公式実施・採点マニュアルを開く

STROKE LAB 臨床補助PDFを開く

補助PDFには、版・麻痺手の役割・介助の場所・生活目標・再評価を記録できます。正式な採点は公式用紙を併用してください。原版は改変せず利用する旨が示されているため、採点表の翻訳再編集版は作成していません。[3][10]

参考文献・公式資料

  1. CAHAI公式:概要・所要時間・各版
  2. CAHAI Administration Guidelines, English Version 2:実施・採点手順
  3. CAHAI-13公式採点表
  4. CAHAI公式FAQ:採点・声かけ・机の支持
  5. Barreca SR, et al. Development of the Chedoke Arm and Hand Activity Inventory: theoretical constructs, item generation, and selection. Top Stroke Rehabil. 2004;11(4):31–42.
  6. Barreca SR, et al. Test-retest reliability, validity, and sensitivity of the Chedoke arm and hand activity inventory: a new measure of upper-limb function for survivors of stroke. Arch Phys Med Rehabil. 2005;86:1616–1622.
  7. Tsai HT, et al. Responsiveness and construct validity of two outcome measures of bilateral upper limb function in patients with chronic stroke. Front Neurol. 2024;15:1352365.
  8. CAHAI公式:計量心理学的特性
  9. CAHAI公式:マニュアル・短縮版採点表一覧
  10. CAHAI公式:ライセンス

確認日:2026年10月31日。公式マニュアル・FAQと英語原著を照合。日本語資料も検索しましたが、日本語版CAHAIの公式公開・検証論文は確認できていません。課題名は解説用の日本語表記、事例・イラストは説明用です。

CATEGORY

 

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

CATEGORY

関連記事

誠心誠意の機能向上に向けたリハビリ支援
脳卒中・パーキンソン病に特化した個別リハビリ支援。
病院で培った機能をつなぎ、可能性を広げる施設です。
〒113-0033 東京都文京区本郷2-8-1 寿山堂ビル3階・5階
03-6887-5263
〒158-0082 東京都世田谷区等々力7-2-31 The Room 等々力West 201号 2026.3 OPEN
03-6887-5263
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満6-3-16 梅田ステートビル202号
06-7220-4733
ACCESS
会社案内
事業案内
その他