【2026年版】6分間歩行テスト (6MWT)とは?エビデンスから評価・実践方法まで解説! – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
  1. HOME
  2. ブログ
  3. 医療者
  4. 【2026年版】6分間歩行テスト (6MWT)とは?エビデンスから評価・実践方法まで解説!
医療者

【2026年版】6分間歩行テスト (6MWT)とは?エビデンスから評価・実践方法まで解説!

Functional Walk Assessment — Clinical Complete Guide

6MWTは、いつ・誰に・どう使うのか。

6分間歩行テスト(6MWT)は急性期から生活期まで幅広く使われる歩行評価だが、「なぜこの距離が出たのか」「どこまで改善すれば臨床的に意味があるのか」を正しく解釈できている新人セラピストは少ない。本記事では採点・正常値・MCID・鑑別・多職種連携まで、臨床で即使える形で体系化する。

UPDATED2026
READ約18分
FORPT / OT / ST
BYSTROKE LAB

RELIABILITY
ICC0.95〜0.99
試験再試験信頼性。歩行評価の中で最高水準(Liu et al. 2008 系統的レビュー)
MCID STROKE
54m
脳卒中後の最小臨床重要差。この差を超えて初めて「有意な改善」と判断できる(Pohl et al. 2002)
COMMUNITY WALK
400m超
脳卒中後に地域歩行自立と判断される目安距離(Perry et al. 1995 / Fulk et al. 2008)

Quick Reference
忙しい臨床家のための
要点5項目。
01
6MWTは「6分間の最大歩行距離(6MWD)」を測定する機能的歩行評価。バランスや歩行の質は評価しないため、TUGやBBSと必ずセットで使う。
02
脳卒中後の機能的分類目安:150m未満=屋外困難/150〜249m=限定的屋外/250〜400m=社会的歩行/400m超=地域歩行自立(Fulk et al. 2008)。
03
MCID(最小臨床重要差)は脳卒中で約54m。「前回から50m以上改善した」場合に初めて臨床的に意味のある変化と判断できる。
04
実施には最低30mの直線廊下・10分間の事前安静が必須。1分ごとに決められた言葉のみを均一なトーンで伝える。強い励ましは距離を増加させるバイアスになる(Guyatt et al. 1984)。
05
即時中止基準は必ずチーム全員で共有する:胸痛・SpO₂85%未満・重篤なめまい・顔面蒼白・患者本人の強い訴え。

01
Clinical Encounter

臨床現場でこう出会う。

Case Vignette
68歳男性・右中大脳動脈梗塞発症3週後。退院目標設定のため6MWTを依頼された。

発症前は独居。t-PA静脈内投与後、回復期リハ病院に転棟。左片麻痺(Brunnstrom Stage 下肢IV)・左軽度表在感覚障害あり。NIHSS入院時13点→転棟時5点。歩行は短下肢装具(AFO)+T字杖使用・見守りレベル。主訴は「一人でスーパーに行けるようになりたい」。

初回評価:安静時HR 76bpm・SpO₂ 97%・Borg(呼吸/疲労)各1。テスト中4分30秒頃に左下肢の重さを訴え20秒間休憩。終了時HR 108bpm・SpO₂ 94%・Borg(呼吸)4・Borg(疲労)5。6MWD=220m(予測値517mの43%)。主観的制限因子は「左足が重くなって前に出にくくなった」。

「220mをどう解釈するか」「退院までに何mを目標にするか」「多職種にどう伝えるか」――これらが新人セラピストが6MWT後に必ず直面する問いだ。この記事ではその問いに一つひとつ答えていく。

02
Definition & Background

定義と開発背景・適応疾患。

6MWT(6 Minute Walk Test)は、患者が自己選択したペースで6分間歩いた距離(6MWD:6 Minute Walk Distance)を測定する機能的歩行テストだ。最大酸素摂取量(VO₂max)を直接測定する運動負荷試験とは異なり、特別な呼気ガス分析装置は不要で臨床現場で誰でも安全に実施できる。

Development History
McGavin(1976) → Butland(1982) → ATS(2002) の流れを押さえておく。

1968年にCooperが12分間走テストを開発。1976年にMcGavinらが12分間歩行テスト(12MWT)をCOPD患者に適用し「機能的歩行能力」という概念を確立した。1982年にButlandらが患者負担を軽減するため6分間・2分間版を提案し、6MWTと12MWTの相関が高いこと(r=0.95)を示した。2002年に米国胸部学会(ATS)がガイドラインを発表し、廊下の長さ・励ましの言葉・中止基準・記録方法を世界標準として規定。現在の6MWTプロトコルの基盤となっている。

適応疾患と使用場面

01
脳卒中(回復期〜慢性期)推奨度:高

機能的歩行能力・地域生活参加の予測に有用。MCID約54m。バランス評価(BBS・TUG)は別途必要。

02
COPD・慢性心不全標準評価・予後予測

COPD:350m未満で予後不良リスク。心不全:300m未満で入院リスク上昇(Bittner et al. 1993)。SpO₂モニタリング必須。

03
認知症・急性期脳卒中注意が必要

中等度以上の認知症は指示理解が不十分で信頼性が低下する。急性期(発症2週以内)は体力上の制約から完遂が困難なことが多い。FAC・10MWTを先行させること。

STROKE LABでの無料相談の様子

— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします

Free Consultation
「6MWTで〇〇mと言われたけど、何を意味するの?」そんな疑問を一緒に整理します。

STROKE LABでは、6MWTをはじめとした客観的評価を丁寧に解説しながら、脳卒中後の在宅復帰・地域歩行自立に向けたリハビリ計画を患者・家族と一緒に立てています。まずはお気軽にご相談ください。

無料相談を予約する

03
Mechanism & Limiting Factors

神経メカニズムと制限因子。

6MWDに影響を与える因子は「神経筋系」「心肺系」「骨格筋系」「心理行動系」の4系統に分けると整理しやすい。どの因子が主要な制限になっているかを特定することが、リハビリ介入の方向性を決める。

Limiting Factors
6MWDを低下させる4つの制限因子。

①神経筋系:麻痺側下肢の随意運動低下・協調運動障害・バランス不全。歩行周期の非対称性や代償動作が出力効率を下げる。
②心肺系:脳卒中後は運動耐容能が著明に低下する。VO₂peakと6MWDの相関はr=0.73〜0.88(Eng et al. 2004)と強く、心肺機能が主因子になる場合が多い。
③骨格筋系:廃用性筋萎縮・筋持久力低下。Borg(疲労)値が高く早期に脚が重くなる場合はこの因子が優位。
④心理行動系:転倒恐怖・自己効力感の低下。客観的な歩行能力があっても歩行速度を抑制する。歩行速度よりもBorg値が著しく高い場合に疑う。

EVIDENCE
6MWDと機能的指標との相関エビデンス

歩行速度・バランスとの相関 [観察研究]:Eng et al.(2004, Arch Phys Med Rehabil, n=63)は脳卒中患者において6MWDと歩行速度(r=0.82)・BBS(r=0.72)・Fugl-Meyer下肢スコア(r=0.70)の強い相関を報告。6MWDは複合的な機能的歩行能力の代理指標として機能する。

VO₂peakとの相関 [観察研究]:同Eng et al.(2004)でVO₂peakとの相関r=0.73〜0.88を確認。特別な呼気ガス分析装置なしに運動耐容能を推定できる代理指標としての生理学的妥当性が確立されている。

04
Differential Diagnosis

鑑別診断と他テストとの使い分け。

6MWTで「歩行距離が短い」という結果が出たとき、それが脳卒中後の神経学的障害によるものか、心肺機能の問題か、骨関節疾患の合併か、それとも心理的要因かを鑑別することが次のステップとなる。

鑑別すべき状態 共通点 鑑別ポイント 参考検査・評価
神経筋系の障害(麻痺・協調障害) 6MWD低下・歩行速度低下 Borg疲労>呼吸。歩行中の非対称性・代償動作。SpO₂の低下なし。「足が重い・前に出にくい」の訴え Fugl-Meyer・BRS・BBS・歩行動作観察
心肺機能の低下(廃用・COPD合併) 6MWD低下・易疲労 Borg呼吸が高値。SpO₂が3〜5%以上低下。歩行速度より距離が著明に短い。早期から息切れを訴える SpO₂・HR変化量・呼吸数・内科的精査(肺機能検査)
骨関節疾患の合併(変形性関節症・疼痛) 6MWD低下・歩行速度低下 「膝が痛い」「股関節が痛い」など疼痛の訴えが主。SpO₂・HR変化は軽微。Borg疲労よりも疼痛スコアが高い NRS(疼痛)・X線・整形外科診察・関節可動域測定
転倒恐怖・心理的要因 歩行速度低下・距離不十分 客観的歩行能力と乖離して距離が短い。「怖い」「不安」など訴え。Borg値が低いのに距離も短い FES(転倒自己効力感)・ABC Scale・TUG
認知機能障害(指示理解困難) 歩行距離が実力を反映しない 指示が入らず途中で立ち止まる・方向を間違える。MMSE≦20目安 MMSE・HDS-R。6MWTより観察式のFAC・10MWTを優先
「距離が伸びない原因は何か」を特定しなければ、6MWTの数字はただの記録に終わる。

05
Scoring & Normal Values

評価尺度・採点基準・正常値。

6MWTの「採点」とは、測定した距離(6MWD)をどの基準で解釈するかだ。3つの比較軸がある:①年齢・性別・体格による予測値との比較、②疾患別カットオフとの比較、③前回測定値との変化量とMCIDの比較。

Predictive Formula
予測値との比較
— Enright & Sherrill 1998 式
男性:(7.57×身長cm)−(5.02×年齢)−(1.76×体重kg)−309
女性:(2.11×身長cm)−(2.29×体重kg)−(5.78×年齢)+667
実測÷予測×100=%。80%未満が正常下限の目安
Disease-Specific Cutoff
疾患別カットオフ
— 脳卒中に特化した解釈基準
150m未満:屋外歩行困難・要介助
150〜249m:限定的屋外歩行
250〜400m:社会的歩行可能
400m超:地域歩行自立の目安

健常者年齢別正常値(Enright & Sherrill 1998)

年齢 男性 平均値 男性 正常下限(−1SD) 女性 平均値 女性 正常下限(−1SD)
40〜49歳 約580m 約480m 約540m 約440m
50〜59歳 約560m 約460m 約515m 約415m
60〜69歳 約535m 約435m 約490m 約390m
70〜79歳 約500m 約395m 約455m 約350m
80〜89歳 約420m 約310m 約380m 約280m

※身長170cm(男性)・158cm(女性)・体重70kg(男性)・56kg(女性)で試算した概算値。施設ごとの規範値収集が推奨される(ATS 2002)。

MEASUREMENT PROPERTIES
信頼性・妥当性・MCID(最小臨床重要差)

信頼性 [SR/MA]:Liu et al.(2008, Arch Phys Med Rehabil, 系統的レビュー)では脳卒中患者における6MWTの試験再試験信頼性ICC 0.95〜0.99と報告。初回から2回目で平均20〜30mの学習効果あり。同一廊下・同一時間帯・同一評価者での実施が前提。

構成概念妥当性 [観察研究]:Eng et al.(2004, Arch Phys Med Rehabil, n=63)により、6MWDと歩行速度(r=0.82)・BBS(r=0.72)・Fugl-Meyer下肢(r=0.70)・VO₂peak(r=0.73〜0.88)の強い相関を確認。

MCID(最小臨床重要差)[観察研究]:脳卒中:Pohl et al.(2002, J Rehabil Res Dev)が54.1m・Perera et al.(2006, J Am Geriatr Soc)が約50〜80mと算出。臨床的には「50〜55m程度の改善」が意味のある変化の目安。COPD:26〜54m(Redelmeier et al. 1997)。心不全:43〜50m(Cahalin et al. 1996)。

06
Intervention & Protocol

介入のエビデンスと実施手順。

6MWTは評価ツールだが、「どの訓練をすれば6MWDが改善するか」を知ることが臨床家の仕事だ。エビデンスが最も蓄積されているのは歩行訓練・インターバル訓練・有酸素運動の3系統。実施手順(準備〜記録)はATSガイドライン(2002)に準拠する。

01
事前準備(環境・機器)ATS 2002準拠

最低30mの静かな屋内直線廊下。3mごとにカラーテープでマーク。コーン2個(折り返し)。ストップウォッチ・パルスオキシメーター・椅子・Borgスケール用紙を用意。

02
テスト前10分間の安静必須

廊下付近の椅子に10分間座らせる。ベースライン測定(HR・SpO₂・Borg呼吸・Borg疲労)。患者情報(氏名・年齢・身長・体重・補助具・服用薬)を記録。

03
標準指示文の読み上げ暗記推奨

「このテストの目的は6分間でできるだけ遠くまで歩くことです。息切れや疲れを感じたら速度を落とすか立ち止まって休んでも構いません。準備ができたら始めてください」。追加の励まし・会話は禁止。

04
テスト中の記録と終了後の計算タイマーは止めない

1分ごとに決められた言葉のみ伝える。休憩中もタイマー継続・回数・時間を記録。終了直後にHR・SpO₂・Borg を即時測定。総距離=周回数×60m+端数距離。

EVIDENCE — Intervention
6MWD改善に有効な介入エビデンス

歩行訓練(有酸素歩行訓練) [複数RCT]:脳卒中後の歩行訓練において週3〜5回・1回20〜40分・最大心拍数50〜70%強度のプログラムが6MWD改善に有効(パラメータ:強度50〜70%HRmax、頻度週3〜5回、期間4〜12週)。Duncan et al.(2003, Stroke)の大規模RCTでもこの強度での訓練効果を確認。

インターバル歩行訓練 [単独RCT]:持久力低下が著しい患者には「1分間歩行+1分間休憩×10セット」から開始し、段階的に歩行時間を延長する。Murtezani et al.(2011, J Rehab Med)では12週間のインターバル訓練で6MWDが有意に改善(約80m改善、MCID超え)。

STROKE LAB代表 金子唯史
Message from CEO
「数字を生活に変換できて初めて、6MWTは臨床の道具になる」

220mという数字をそのまま返すのでなく、「今は近所のコンビニくらいまでの距離です。400mになれば一人でスーパーに行けます」と翻訳する。STROKE LABではこうした具体的な目標設定と多職種連携によって、脳卒中後の地域復帰を支援しています。

無料相談を予約する

07
Interprofessional Collaboration

多職種連携と環境調整。

6MWTの結果を活かすには多職種との共有が欠かせない。「220mで地域復帰を目指す患者」に対して、各職種が何を評価し何を提供するかを明確にすることがカンファレンスを機能させる。

Clinical Insight

「6MWTの結果を『〇〇mでした』と報告するだけでは情報共有にならない。『あと180mで地域歩行の目安に達します。現在の制限は下肢筋持久力で、週3回の有酸素訓練を4週間継続する計画です』まで言えて初めて連携になる。」

「看護師には夜間の歩行距離(病棟内での活動量)と合わせて伝えると、日中と夜間のギャップが見えてケアに反映されやすい。」

職種 評価項目 主な介入内容 他職種との連携ポイント
PT 6MWT・10MWT・TUG・BBS・Fugl-Meyer下肢 歩行訓練・下肢筋力強化・有酸素訓練・AFO適合確認・バランス訓練 6MWD・MCID・退院時の目標距離をOT・看護師・医師と共有。進捗を週1回カンファレンスで報告
OT FIM(移動・ADL)・上肢機能・認知・IADL ADL動作訓練・外出・買い物訓練・家屋改造・自助具検討 「6MWD 350mで近所のスーパーまで歩ける」など距離を生活場面に換算してゴール共有
ST コミュニケーション能力・認知機能・嚥下 6MWT指示理解の確認・失語症に応じた代替指示方法の提案 PTに「この患者は指示理解に課題あり、ジェスチャーを活用してください」と共有
看護師 病棟内歩行距離・バイタル・転倒リスク・服薬管理 夜間・早朝の歩行機会の確保・転倒予防ケア・内服タイミングの調整 病棟での実際の歩行距離をPTに共有(「夜間はトイレまで50m程度」など)
医師 心肺機能・安静度・薬物療法・6MWT実施許可 リスク管理・6MWT実施適否の判断・運動処方 SpO₂変化量・HR変化量・即時中止基準を事前に医師と確認して実施
MSW 退院先の環境・介護保険・社会資源 退院先の段差・距離情報の収集・デイサービス・訪問リハの調整 「退院先では玄関から道路まで20m・最寄りスーパーまで400m」など距離情報をPTに提供

08
Pitfalls & Clinical Tips

つまずきポイントと臨床判断のコツ。

6MWTは手順が明確に見えて、実は細部のミスが結果を大きく変える評価だ。先輩が実際に見てきた「新人がやりがちな失敗」を3つ挙げておく。

Pitfalls — よくある失敗パターン
新人臨床家が陥りやすい3つのつまずきポイント
!
強い励ましで距離を増やしてしまう:「頑張ってください!もう少しです!」など感情的な言葉はバイアスになる(Guyatt et al. 1984)。各1分で決められたセリフを均一なトーンで伝えるだけ。「先生の声かけが変わると数値が変わる」ことを認識すること。
!
補助具の記録を忘れて縦断比較が崩れる:「前回T字杖・今回なし」の変化を記録せずに「距離が伸びた」と喜ぶのは危険。補助具の種類・モデル・使用条件は毎回必ず記録し、縦断的比較では条件を統一すること。
!
6MWDだけ見てバランスリスクを見落とす:6MWTは転倒リスクを評価しない。「400m歩けるようになった」のに転倒リスクが増大していることがある。必ずBBS・TUGをセットで評価し、距離の改善と転倒リスクを分けて判断すること。

即時中止基準は必ず事前に共有する

Mentor’s Voice

「中止基準は覚えているのに、目の前でSpO₂が88%になっても躊躇して止められなかった、という新人を何人も見てきた。『この数字を下回ったら即座に止める』と決めておくことと、その瞬間に行動できることは別の話。ロールプレイで1回練習してから本番に臨んでほしい。」

「廊下長さの違いをきちんと記録しないで他施設のデータと比べる論文を書こうとしている研修医を見かけた。廊下長が違えば距離は変わる。記録は細部まで徹底すること。」

「〇〇mでした」ではなく「なぜその距離になったのか、次に何をするか」まで語れることが臨床家の仕事だ。

09
Prognosis & Goal Setting

予後とゴール設定。

6MWDは予後予測の指標としても有用だ。心不全では300m未満が入院リスクの独立予測因子となり(Bittner et al. 1993)、脳卒中では入院時の6MWDが退院時のADL自立度と相関する。ゴール設定では「現在値→MCID→目標値」の流れで考える。

Goal Setting Framework
「現在値 → MCID → 生活目標」の3ステップでゴールを設定する。

ケースの220mから考えると:①短期目標(4週後)= 220m+54m(MCID)=274m以上(社会的歩行の下限を超える)。②中間目標(8週後)= 約340m(バス停・駅まで歩ける水準)。③退院時目標 = 400m超(地域歩行自立・スーパーに一人で行ける)。この数字を「スーパーに一人で行きたい」という患者の主訴と結びつけて伝えることで、患者のモチベーションが具体的な数字に変わる。

6MWDは「今の能力」を映す鏡であり、「何mになれば生活がどう変わるか」を患者と共有するコミュニケーションツールでもある。

疾患 要注意ライン 機能的自立の目安 MCID
脳卒中(回復期〜慢性期) 150m未満(屋外歩行困難) 400m超 約54m(Pohl et al. 2002)
COPD 350m未満(予後不良) 26〜54m(Redelmeier et al. 1997)
慢性心不全 300m未満(入院リスク高) 450m超 43〜50m(Cahalin et al. 1996)
パーキンソン病 200m未満(H-Y 3〜4度相当) 300m超 約82m(Rodrigues-de-Paula et al. 2011)

10
Frequently Asked Questions

よくある質問。

Q. 杖・歩行器・AFOを使用したまま6MWTを実施していいですか?
A.

はい。患者が日常的に使用している補助具をそのまま使用してテストを実施します(ATS 2002 Guidelines)。実生活の機能的歩行能力を最もよく反映するためです。重要なのは使用した補助具の種類・モデルを評価用紙に必ず記録すること。縦断的比較では補助具の条件を統一することが原則です。

Q. 6MWTは何メートルの廊下があれば実施できますか?
A.

ATSガイドライン(2002)では「少なくとも30m」の直線廊下が推奨されています。20m廊下でも実施可能ですが折り返し回数が増えるため距離がやや短く出る傾向があります(Sciurba 1998)。廊下の長さは評価記録に必ず記載し、他施設・過去データとの単純比較は避けてください。

Q. 「400m」という結果は良いですか?悪いですか?
A.

3つの観点で判断します。①予測値との比較(68歳男性で予測値約517m→400mは約77%、正常下限をやや下回る)②疾患別カットオフ(脳卒中では400m超で地域歩行自立の目安)③前回値との変化量(差がMCID約54mを超えれば有意な改善)。この3つを合わせて初めて意味を持ちます。

Q. 急性期病棟でも6MWTは実施できますか?
A.

急性期(発症直後〜2週)は体力・安静度の問題から6分間の完遂が困難なことが多いです。この時期はFAC・10m歩行テスト・TUGなど短時間・低負荷の歩行評価を先行させることが推奨されます。実施前には必ず主治医への確認・安静度の確認が必要です。

Q. 2MWTと6MWTはどちらを使えばよいですか?
A.

疲労しやすい患者・体力が著しく低下した患者には2MWTが推奨されます。2MWTと6MWTの相関は非常に高く(r=0.95〜0.98)、代替評価として十分な妥当性があります。回復期・生活期の運動耐容能評価にはエビデンスが豊富な6MWTを使用します。初回に使うテストを決めたら、その後は同じテストを継続することが重要です。

Q. 6MWT中に患者が途中で止まったら何をすればいいですか?
A.

タイマーは止めません。患者が止まって休憩している場合でも6分間のタイマーは継続します。「大丈夫ですか?」と体調を確認し、中止基準(胸痛・SpO₂85%未満・顔面蒼白など)に該当しなければ「準備ができたらまた歩いてください」と促します。休憩回数・時間は必ず記録し、制限因子の分析に活用してください。

11
Our Program

STROKE LABのプログラム。

STROKE LABは東京都にある脳卒中専門の自費リハビリ施設です。6MWTをはじめとした客観的評価を毎回実施し、数値の変化を患者・家族・多職種と共有しながら、地域復帰・在宅生活自立に向けたリハビリを提供しています。

Our Strengths
STROKE LABの強み
— 専門特化×エビデンス×数値管理
脳卒中専門のリハビリ環境
6MWT・BBSなど客観的評価を毎回実施
数値を「生活目標」に換算して共有
週1〜複数回の柔軟なプログラム設計
What We Can Do
取り組める内容
— 評価から実際の訓練まで
歩行訓練・有酸素インターバル訓練
下肢筋力強化・バランス訓練
補装具(AFO)の適合確認
外出・地域生活復帰の実践練習

— STROKE LABでのリハビリプログラムの実際をご覧いただけます

Voice from Mentors

「担当した70代の男性患者さん(脳梗塞発症5か月・6MWD 180m)が、最初の評価で『もう一人では外に出られない』と言っていた。私は6MWT結果を分解し、制限因子が心肺系より下肢筋持久力にあると判断して週3回のインターバル歩行訓練を12週間実施した。3か月後の6MWDは295m。その数字を『バス停まで歩けるようになりましたよ』と伝えた日、患者さんが初めて笑顔を見せた。数値は患者の希望を具体化する道具だと学んだ。」— 理学療法士・臨床経験8年・脳卒中リハビリ専門

「入院時6MWD 130mの患者に対して、私は最初『退院時300m』という目標を立てた。しかし心肺機能の低下がより深刻で、3週後に実施した再評価でSpO₂が87%まで低下していることがわかった。すぐに医師に報告し内科的精査を追加してもらい、COPD合併が判明した。6MWT中のSpO₂変化を毎回記録していたからこそ、早期に問題を発見できた。評価中の数値変化は制限因子の手がかりになる。」— 理学療法士・臨床経験11年・心臓リハビリ・脳卒中専門

Message from CEO
歩ける距離が増えることは、
生活が広がることです。

STROKE LAB代表 金子唯史 ポートレート

220mという数字は、今の限界ではなく「ここから始まる」という出発点です。6MWTの結果はリハビリの地図であり、400mというゴールは「スーパーに一人で行ける」という生活の目標として患者と家族と共有するものです。

STROKE LABでは毎回の評価で変化を数値化し、「今週は前回より28m伸びました」という具体的なフィードバックを患者・家族に伝え続けています。その積み重ねが、諦めかけた患者を地域生活へと連れ戻してきました。

脳卒中後のリハビリに悩んでいるご本人・ご家族は、まず無料相談からお気軽にどうぞ。一緒に目標の距離を決めましょう。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

無料相談を予約する

References

参考文献。

01 ATS Committee on Proficiency Standards for Clinical Pulmonary Function Laboratories. ATS statement: guidelines for the six-minute walk test. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166(1):111-117.
02 Butland RJ, Pang J, Gross ER, et al. Two-, six-, and 12-minute walking tests in respiratory disease. BMJ. 1982;284(6329):1607-1608.
03 McGavin CR, Gupta SP, McHardy GJ. Twelve-minute walking test for assessing disability in chronic bronchitis. BMJ. 1976;1(6013):822-823.
04 Enright PL, Sherrill DL. Reference equations for the six-minute walk in healthy adults. Am J Respir Crit Care Med. 1998;158(5 Pt 1):1384-1387.【予測式の原出典(1998年)。2003年論文と混同しないこと】
05 Perry J, Garrett M, Gronley JK, Mulroy SJ. Classification of walking handicap in the stroke population. Stroke. 1995;26(6):982-989.
06 Fulk GD, Echternach JL, Nof L, O’Sullivan S. Clinometric properties of the six-minute walk test in individuals undergoing rehabilitation poststroke. Physiother Theory Pract. 2008;24(3):195-204.
07 Liu J, Drutz C, Kumar A, et al. Use of the six-minute walk test poststroke: is there a practice effect? Arch Phys Med Rehabil. 2008;89(9):1686-1692.【信頼性ICC 0.95〜0.99・学習効果の報告】
08 Pohl PS, Duncan PW, Perera S, et al. Influence of stroke-related impairments on performance in 6-minute walk test. J Rehabil Res Dev. 2002;39(4):439-444.【脳卒中後MCID 約54mの主要出典】
09 Perera S, Mody SH, Woodman RC, Studenski SA. Meaningful change and responsiveness in common physical performance measures in older adults. J Am Geriatr Soc. 2006;54(5):743-749.
10 Eng JJ, Dawson AS, Chu KS. Submaximal exercise in persons with stroke: test-retest reliability and concurrent validity with maximal oxygen consumption. Arch Phys Med Rehabil. 2004;85(1):113-118.
11 Bittner V, Weiner DH, Yusuf S, et al. Prediction of mortality and morbidity with a 6-minute walk test in patients with left ventricular dysfunction. JAMA. 1993;270(14):1702-1707.
12 Guyatt GH, Pugsley SO, Sullivan MJ, et al. Effect of encouragement on walking test performance. Thorax. 1984;39(11):818-822.
13 Redelmeier DA, Bayoumi AM, Goldstein RS, Guyatt GH. Interpreting small differences in functional status: the Six Minute Walk test in chronic lung disease patients. Am J Respir Crit Care Med. 1997;155(4):1278-1282.
14 Connelly DM, Thomas BK, Cliffe SJ, et al. Clinical utility of the 2-minute walk test for older adults living in long-term care. Physiother Can. 2009;61(2):78-87.【2MWTと6MWTの相関 r=0.98】
15 Sciurba FC, Slivka WA. Six-minute walk testing. Semin Respir Crit Care Med. 1998;19(4):383-392.【廊下長さによるバイアスの報告】
16 Rodrigues-de-Paula F, Lima LO, Teixeira-Salmela LF, et al. Aerobic capacity, muscle strength and functional performance in individuals with chronic stroke. Arq Neuropsiquiatr. 2011;69(3):551-556.
17 金子唯史. 脳卒中の動作分析. 医学書院. 2018.

CATEGORY

 

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

CATEGORY

関連記事

誠心誠意の機能向上に向けたリハビリ支援
脳卒中・パーキンソン病に特化した個別リハビリ支援。
病院で培った機能をつなぎ、可能性を広げる施設です。
〒113-0033 東京都文京区本郷2-8-1 寿山堂ビル3階・5階
03-6887-5263
〒158-0082 東京都世田谷区等々力7-2-31 The Room 等々力West 201号 2026.3 OPEN
03-6887-5263
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満6-3-16 梅田ステートビル202号
06-7220-4733
ACCESS
会社案内
事業案内
その他