【2026年版】除脳硬直と除皮質硬直の違いとは?姿勢・GCS・原因・リハビリを専門家が徹底解説 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2026年版】除脳硬直と除皮質硬直の違いとは?姿勢・GCS・原因・リハビリを専門家が徹底解説

DECEREBRATE & DECORTICATE POSTURING — A CLINICAL REASONING GUIDE
“

除脳硬直と除皮質硬直は、なぜ腕の向きひとつで重症度が変わるのか。

意識障害の患者で異常姿勢を見たとき、新人が最初に迷うのは「除脳か除皮質か、どちらが緊急か」という判断です。神経解剖・GCS対応・ヘルニア進行の見極めからROM訓練とBoNT併用リハまで、臨床でそのまま使える判断基準を先輩の視点で整理しました。

UPDATED2026
READ18分
FORPT / OT / ST
BYSTROKE LAB

GCS MOTOR
M2/6点満点中
除脳硬直(異常伸展)に対応するGCS運動スコア。M3(除皮質=異常屈曲)より重篤とされる2
BoNT DURATION
3〜6ヶ月
ボツリヌス毒素注射による筋緊張抑制効果の持続期間の目安。効果発現は注射後2〜4週7,15
ICP THRESHOLD
20mmHg
頭蓋内圧(ICP)がこの値を超えると積極的治療介入の目安となる12

Quick Reference
忙しい臨床家のための
要点5項目。
01
上肢が「伸びていれば除脳(M2)」「曲がっていれば除皮質(M3)」が最速の鑑別ポイント。
02
除皮質→除脳への移行はテント切痕ヘルニア進行の危険信号。瞳孔変化・Cushing三徴と合わせて即時報告する。
03
赤核が温存されているかどうかが2つの姿勢を分ける鍵。赤核脊髄路が残ると上肢は屈曲する。
04
ROM訓練は「速く動かすと痙縮成分が誘発される」ため、1日2〜3回・各10〜15回・ゆっくり一定テンポで行う。
05
BoNT注射は単独より、注射後1〜4週以内の集中リハ併用で機能改善が有意に大きい[SR/MA]。

01
Clinical Encounter

臨床現場でこう出会う。

急性期病棟・ICUで新人PT/OT/STが最初に戸惑うのが、意識障害のある患者に見られる「異常姿勢反応」です。カルテに「除皮質硬直あり」「GCS M3」とだけ書かれていても、それが何を意味し、どう評価を引き継ぐべきかが分からないと不安になります。

Case Vignette
「昨日より腕が伸びてきた気がする」という家族の一言から始まった介入

50代男性。左被殻出血発症3日目(急性期)。血腫除去術後、ICUで人工呼吸器管理中。重症度はGCS E1V1M3(開眼なし・発声なし・上肢屈曲反応)で、意識レベルは深昏睡に近い状態でした。主訴は本人からの申告ではなく、付き添う家族からの「昨日より腕が伸びてきた気がする」という報告でした。

初回評価では、痛み刺激(爪床圧迫)に対し右上肢は屈曲、左上肢は伸展という左右差があり、瞳孔はわずかな不同を認めました。この「昨日と違う」という家族の観察が、実は除皮質から除脳へのヘルニア進行を示す重要な初期サインである可能性がありました。

この記事では、こうした場面で新人セラピストが「何を見て」「どう判断し」「誰に何を伝えるか」を、神経解剖学的根拠とともに一つずつ整理していきます。

02
Definition & Classification

除脳硬直・除皮質硬直の定義と分類。

除脳硬直(decerebrate rigidity)は、中脳(赤核より下方)〜橋上部レベルの脳幹損傷により生じる、四肢すべてが伸展・内旋する異常姿勢で、GCS運動スコアM2(異常伸展)に対応します。除皮質硬直(decorticate rigidity)は、大脳皮質・白質・内包の損傷(脳幹は基本的に温存)により生じる、上肢屈曲・下肢伸展の異常姿勢で、GCS M3(異常屈曲)に対応します。損傷が脳幹に近いほど重篤であり、除皮質から除脳への姿勢変化は脳ヘルニア進行の重大なサインです。

History
「除脳」の呼称は125年以上前の動物実験に由来する

1898年、Charles Sherringtonは猫を用いた動物実験で、中脳レベルで脳幹を切断すると四肢が全伸展する現象を報告し、これが「除脳硬直」という呼称と概念の起点になりました1[観察研究]。なお、カルテや検索で「徐脳硬直」という誤字が見られますが、正しくは「除脳硬直(じょのうこうちょく)」です。「徐」(ゆっくり)ではなく「除」(取り除く)であり、脳幹や皮質の機能が「除かれた」状態を意味します。

なぜこの2つの姿勢に分かれるのか ― 制御階層の喪失という視点

01
正常時:大脳皮質が脳幹・脊髄を抑制している

通常の運動制御は「大脳皮質(最上位)→脳幹(中間)→脊髄(最下位)」という階層構造で行われ、上位の皮質が下位中枢の活動を適切に抑制・調節しています。

02
損傷が生じると:上位からの抑制が断ち切られ下位中枢が「解放」される

大脳皮質や脳幹に損傷が及ぶと、上位からの制御が失われ、より原始的な脳幹・脊髄レベルの反射回路が優位になります。これが異常姿勢反応の神経科学的な本質です。

03
損傷レベルの深さが姿勢パターンを決める

損傷が大脳皮質にとどまれば除皮質硬直、脳幹(中脳〜橋レベル)まで及べば除脳硬直が出現します。脳幹には呼吸中枢・循環中枢があるため、除脳硬直はより重篤なサインとして扱われます。

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— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします

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STROKE LABでは、急性期・回復期を経て在宅・生活期に移行された方の拘縮予防・痙縮管理・機能回復を専門とするセラピストが、神経学的な状態とご本人・ご家族のゴールに合わせて個別にプログラムを設計します。

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03
Neural Mechanism

神経メカニズム・責任病巣。

Key Structure
赤核(Red Nucleus)の温存が、2つの姿勢を分ける鍵

赤核は中脳被蓋部に位置し、赤核脊髄路(rubrospinal tract)を介して主に上肢の屈曲筋を促進します。除皮質硬直では赤核が温存されるため、この屈曲促進作用が「解放」されて上肢が屈曲します。一方、下肢は皮質脊髄路の遮断により前庭脊髄路(伸展促進)が相対的に優位となり伸展します。

除脳硬直では損傷が赤核より下方(橋上部)に及ぶため赤核脊髄路も機能しません。残るのは前庭脊髄路・網様体脊髄路のみとなり、これらは主に伸展筋(抗重力筋)を促進するため、四肢すべてが伸展します。

経路のまとめ

除皮質硬直:皮質・内包の損傷→皮質脊髄路が遮断→赤核は温存→赤核脊髄路(屈曲筋促進)が上肢に優位→上肢屈曲・下肢伸展。
除脳硬直:赤核より下方(橋上部レベル)の損傷→赤核脊髄路も遮断→前庭脊髄路・網様体脊髄路(伸展促進)のみ残存→四肢すべて伸展・内旋。

EVIDENCE
神経解剖モデルの根拠と限界

動物実験モデル[観察研究]:Sherrington CS. J Physiol 1898;猫の中脳レベル切断実験で四肢全伸展を確認し、除脳硬直の概念的基盤となった。

臨床神経学の標準的解釈[専門家合意]:Posner JB, Saper CB, Schiff ND, Plum F. Plum and Posner’s Diagnosis of Stupor and Coma. 4th ed. 2007;ヒトでは動物実験と解剖学的差異があり、赤核脊髄路の役割はげっ歯類より小さい可能性が指摘されている。ヒトの上肢屈曲パターンには皮質脊髄路の選択的遮断も関与すると考えられている。

04
Differential Diagnosis

主な原因疾患と鑑別診断。

異常姿勢反応を見たとき、構造的原因(出血・梗塞)を疑いがちですが、代謝性・毒性原因は速やかに対処すれば可逆的に改善することがあるため見逃してはなりません。特に低血糖は最優先で除外すべき原因です。

鑑別疾患 共通点 鑑別ポイント 参考検査
びまん性軸索損傷(DAI) 意識障害+異常姿勢反応 頭部外傷歴。除皮質・除脳の両方が混在しうる 頭部MRI(DWI・SWI)
橋出血 意識障害+異常姿勢反応 急激発症・縮瞳・除脳硬直が典型的 頭部CT(緊急)
低血糖 意識障害+異常姿勢反応 ブドウ糖投与で速やかに改善しうる=可逆性 簡易血糖測定(最優先)
単純ヘルペス脳炎 意識障害+異常姿勢反応 発熱・数日の経過・けいれんを伴うことが多い 髄液検査・頭部MRI
非けいれん性てんかん重積(NCSE) 意識障害の遷延・説明のつかないGCS低下 姿勢反応は目立たないが持続的意識障害を呈する。見た目でヘルニアと誤認しやすい 脳波(EEG)モニタリング
「構造的原因」を疑う前に、血糖・電解質・血液ガスを頭部CTと並行して確認する。

05
Scoring Criteria

GCSと評価尺度・採点基準。

GCS(Glasgow Coma Scale)は「開眼(E)」「言語反応(V)」「最良運動反応(M)」の3要素で意識レベルを評価する国際標準スケールです2。異常姿勢反応は最良運動反応(M)のスコアに直接対応します。

M2 — DECEREBRATE
除脳硬直(異常伸展)
— 上肢が体側にまっすぐ伸びる
→肘伸展・前腕回内・肩内転内旋
→下肢は伸展・底屈・内旋
→呼吸不規則・生命予後への直接的リスク
M3 — DECORTICATE
除皮質硬直(異常屈曲)
— 上肢が胸に引き寄せられる
→肘屈曲・前腕回内・手指屈曲
→下肢は伸展・底屈・内旋(上肢と対照的)
→呼吸比較的安定・予後相対的に良好
項目 採点基準 カットオフ値 解釈
M6 従命 簡単な指示に従って動作する — 正常な随意運動制御
M5 回避 痛み刺激部位に手を伸ばして払いのける — 有目的な反応あり
M4 逃避 痛みを避けるように四肢を引っ込める — 一定の皮質下制御あり
M3 異常屈曲 上肢が屈曲し胸部方向へ引き寄せられる(除皮質硬直) GCS合計8点以下で重症意識障害の目安 大脳皮質機能の広範障害。脳幹は比較的温存
M2 異常伸展 四肢が伸展・内旋する(除脳硬直) GCS 8点以下で気道確保・集中管理の目安 脳幹損傷を示唆。呼吸・循環障害リスク高
M1 無反応 痛み刺激に対して全く動きがない — 最重篤。深昏睡・脳死レベル
SCORING CRITERIA
GCSの測定特性(信頼性・妥当性・運用ルール)

標準化された評価手順[専門家合意]:Cook N, et al. Br J Neurosci Nurs. 2025;GCSは「確認(Check)・観察(Observe)・刺激(Stimulate)・採点(Rate)」の4段階の構造化アプローチで評価することが評価者間信頼性を高めるとされている。爪床への圧刺激が推奨される標準的な痛み刺激部位である。

予後予測精度の拡張[観察研究]:Brennan PM, Murray GD, Teasdale GM. J Neurosurg. 2018;128(6):1612-1620;GCSに瞳孔反応性を組み合わせたGCS-Pupilsスコアが、外傷性脳損傷の予後予測精度を高める指標として報告されている。

運用ルール:左右差がある場合は「より良い(スコアが高い)側」を採用する。鎮静薬・筋弛緩薬投与下ではGCSが正確に評価できないため、薬剤の影響を考慮して解釈する。数値だけでなく「どの肢が・どう動いたか」の記述併記が悪化の早期発見につながる。

06
Intervention Evidence

介入のエビデンス。

高度な筋緊張が持続すると「関節拘縮→褥瘡→深部静脈血栓症→廃用症候群」という悪循環が急速に進行します。一旦形成された拘縮は治療が極めて困難であり、急性期からのROM訓練・ポジショニング・スプリントは「今できる最大の予防」です。

01
拘縮予防のROM訓練パラメータ明記

痙縮は速度依存性の筋緊張亢進のため、速く動かすとストレッチ反射が誘発され緊張が増悪します。ゆっくり・滑らかに・一定のテンポで、1日2〜3回、各関節10〜15回を目安に、硬直の逆方向(除脳・除皮質共通で足関節背屈、除皮質では肘・手関節伸展)へ動かします。

02
24時間のポジショニング管理

ROM訓練は1日30分〜1時間程度に過ぎず、残りの23時間はポジショニングが拘縮予防の主役です。除脳硬直では体幹・股関節・膝関節を軽度屈曲位に、除皮質硬直では肘・手首・手指を伸展位スプリントで保持し、いずれも2時間ごとの体位変換で褥瘡を予防します。

03
段階的な離床と感覚刺激

バイタルが安定した段階から、ヘッドアップ→座位→立位へと段階的に離床を進めます。ICU患者の早期モビライゼーションは神経筋機能・身体機能の改善に有効とされます11[複数RCT]。意識障害が深い段階(GCS 3〜5)での積極的離床は血圧変動・ICP上昇のリスクがあるため、主治医・集中治療医と連携して実施します。

04
ボツリヌス毒素(BoNT)注射併用リハSR/MA

急性期後の慢性期筋緊張管理としてBoNT注射が用いられます。効果発現は注射後2〜4週間、持続期間は3〜6ヶ月が目安です。単独投与よりも、注射後1〜4週以内に集中的なリハビリ(ストレッチング・スプリント・課題指向型訓練)を組み合わせることで、機能改善がより大きいことが複数のシステマティックレビューで示されています。

EVIDENCE
BoNT+リハ併用のエビデンスとパラメータ

併用療法の有効性[SR/MA]:Demetrios M, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2013;(6):CD009689;BoNT注射後に集中的な多職種リハビリを組み合わせることで、単独療法より優れた機能改善が得られる可能性が示されている。

ICF全領域での効果検証[SR/MA]:Andringa A, et al./Picelli A, et al. Ann Phys Rehabil Med. 2019;62(5):291-296;BoNT注射に併用される補助療法(スプリント・電気刺激・ストレッチング)の効果を概観し、可動域改善と介護負担軽減に寄与すると報告している。

近年の併用療法研究[複数RCT]:Du YN, Li Y, Zhang TY, et al. Front Neurol. 2024;15:1342545;体外衝撃波療法(ESWT)とBoNT-Aの併用がModified Ashworth Scale(MAS)・上肢機能スコアの改善に寄与する可能性を報告している。用量はonabotulinumtoxinA換算で肘屈筋群75〜200U等が目安だが、施設・製品により異なり添付文書に従う。12週以上の間隔で反復投与する。

Clinical Insight

「BoNTは筋緊張の窓を開けるための道具。その窓をリハビリでどう活用するかが、私たちの仕事です。」

「除脳硬直・除皮質硬直に特化した大規模RCTはまだ限られています。痙縮管理の一般的なエビデンスを外挿している段階だと理解した上で、個々の反応を丁寧に見ていきましょう。」

STROKE LAB代表 金子唯史
Message from CEO
拘縮になる前に、専門家と一緒に動き出しましょう。

ROM訓練・BoNT後リハビリ・姿勢管理・嚥下ケアなど、急性期後の一貫したプログラムをSTROKE LABでご相談いただけます。神経学的な状態を丁寧に評価した上で、ご本人・ご家族の生活に即したゴールを一緒に設定します。

無料相談を予約する→

07
Multidisciplinary Team

多職種連携と環境調整。

MDTカンファレンスで共有すべき情報

毎日:GCS(E・V・M別)・姿勢反応(M2/M3・左右差)・バイタル・ICP・排泄・褥瘡・栄養状態。
週1回:ROM計測値・筋緊張評価(Modified Ashworth Scale)・嚥下機能・意識回復の徴候・家族の心理状態・退院先の検討。
必要時:姿勢パターンの変化(除皮質→除脳への移行)・新たな合併症・BoNT注射のタイミング検討。

Clinical Insight

「PT・OT・STがバラバラに評価するのではなく、同じ患者の同じ関節を、同じ言葉(M2/M3・MAS)で語れるようにする。それがMDTの一番の価値です。」

職種 評価項目 主な介入内容 他職種との連携ポイント
PT 下肢ROM・筋緊張・呼吸機能・離床可否 ROM訓練・段階的離床・下肢スプリント・呼吸理学療法・DVT予防 看護師と体位変換スケジュールを共有
OT 上肢ROM・ADL・認知機能 上肢スプリント製作・ADL訓練・感覚刺激・BoNT後の上肢機能訓練 医師とBoNT注射タイミングを調整
ST 嚥下機能・言語・高次脳機能 嚥下訓練・誤嚥性肺炎予防・代替コミュニケーション導入 看護師と経口摂取開始基準を共有
看護師 GCS・姿勢反応・バイタル・褥瘡 24時間モニタリング・体位変換・患者家族教育 姿勢反応の変化を即時PT/OT/医師へ共有
医師 神経学的所見・ICP・画像所見 診断・ICP管理・外科的介入判断・BoNT処方 セラピストからの評価変化報告を治療方針に反映
MSW 退院先・介護保険・家族の負担 退院調整・福祉制度案内・家族への心理的支援 回復期病院・在宅サービスとの橋渡し

08
Pitfalls

つまずきポイントと臨床判断のコツ。

除脳硬直・除皮質硬直の評価は、上肢の姿勢だけに注目しがちですが、それだけでは重大な変化を見落とすことがあります。新人が陥りやすい3つのつまずきを紹介します。

Pitfalls — よくある失敗パターン
新人臨床家が陥りやすい3つのつまずきポイント
!
上肢の動きだけで判断してしまう:姿勢パターンは重要な指標ですが、瞳孔・呼吸パターン・血圧の変化を同時に確認しないと、ヘルニア進行の全体像を見誤ります。姿勢+瞳孔+バイタルの3点セットで評価する習慣をつけましょう。
!
左右差があるとき「悪い方」を記録してしまう:GCS運動スコアは左右差がある場合、より良い(スコアが高い)側を採用するのが標準的運用です。左右それぞれの反応も併記し、経時変化を追える記録にしましょう。
!
ROM訓練を「早く多く」動かしてしまう:痙縮は速度依存性のため、速く動かすとかえって筋緊張を誘発します。ゆっくり一定のテンポで、1日2〜3回・各10〜15回の原則を徹底しましょう。

緊急報告の3徴候を覚えておく

Clinical Insight

「①姿勢パターンの変化(屈曲→伸展)、②瞳孔変化、③Cushing三徴(血圧上昇・徐脈・不規則呼吸)。この3つのどれか一つでも気づいたら、迷わずすぐに看護師・医師へ報告してください。」

「『様子を見よう』ではなく『まず報告してから一緒に様子を見る』が正解です。新人のうちは判断に自信が持てなくて当然ですから。」

迷ったら報告する。「報告しすぎ」で怒られることより、見逃す方が怖い。

09
Prognosis & Goal Setting

予後とゴール設定。

予後は「損傷の原因・部位」「治療開始までの時間」「GCSと姿勢パターンの推移」「年齢・合併症・リハビリへのアクセス」という複数の因子の組み合わせで決まります。橋出血・DAI・低酸素脳症による除脳硬直は予後不良の傾向がありますが、代謝性原因による除脳硬直は原因除去で改善する可能性があります。

Important
予後は「単一の指標」では決まらない

除脳硬直=必ず致死的というわけではありません。原因疾患・治療の質・全身管理・リハビリの充実度によって転帰は大きく変わります。除皮質(M3)→除脳(M2)→無反応(M1)への悪化は脳ヘルニア進行を示す一方、除脳(M2)→除皮質(M3)への改善は脳圧管理が奏効しているポジティブなサインです。早期の段階で「回復の見込みなし」と断定することは避け、経時的な記録と変化の把握を続けましょう。

ゴール設定は「今日の反応」ではなく、数日〜数週間の推移で見直す。

10
FAQ

よくある質問。

Q.「徐脳硬直」と「除脳硬直」はどちらが正しい表記ですか?
A.

正しくは「除脳硬直(じょのうこうちょく)」です。「徐」はゆっくりの意味ですが、「除」は取り除くの意味で、脳幹機能が失われた状態を指します。カルテ・申し送りでは除脳硬直・除皮質硬直と表記してください。

Q.除脳硬直と除皮質硬直を最短で見分ける方法はありますか?
A.

痛み刺激に対する上肢の反応を見るのが最も速い方法です。上肢が伸展すれば除脳硬直(GCS M2)、上肢が屈曲すれば除皮質硬直(GCS M3)です。下肢はどちらも伸展することが多く鑑別には使えません。

Q.意識障害のある患者への声かけには臨床的な意味がありますか?
A.

意味があるとされています。意識障害があっても聴覚経路が保たれている場合があり、慣れ親しんだ声や音楽などの感覚刺激は覚醒レベルの向上に寄与する可能性が報告されています。ただし強い刺激は頭蓋内圧を上昇させうるため、穏やかな声かけが基本です。

Q.除脳硬直を呈した患者が回復する可能性はありますか?
A.

あります。低血糖・薬物中毒など可逆性の代謝性原因や、早期の頭蓋内圧管理が奏効した症例では除脳硬直から除皮質硬直、さらに正常な運動パターンへ改善することが報告されています。広範な脳幹損傷や低酸素脳症では回復が困難な傾向があります。

Q.痙縮(スパスティシティ)と硬直(リジディティ)は同じものですか?
A.

異なる概念です。痙縮は速度依存性の筋緊張亢進(速く動かすほど抵抗が増す)で上位運動ニューロン損傷後に生じます。硬直は速度非依存性で主に基底核疾患に見られます。除脳・除皮質硬直は名称に硬直とありますが、臨床的には両方の要素を含む複合的な筋緊張亢進状態です。

Q.評価のたびにGCS運動スコアが左右で異なる場合はどちらを記録しますか?
A.

左右差がある場合は、より良い(スコアが高い)側を記録するのが国際的な標準的運用です。記録には左右それぞれの反応も併記し、経時変化を追えるようにしておくことが重要です。

11
Our Program

STROKE LABのプログラム。

STROKE LABは、脳卒中・脳外傷後の拘縮予防・痙縮管理・機能回復に特化した自費リハビリ施設です。急性期・回復期を経て退院された後も、神経学的な状態の変化に合わせて継続的にプログラムを見直しながら、ご本人・ご家族の生活の質の向上を目指します。

Strength
STROKE LABの強み
— 脳神経リハビリ専門チーム
→神経解剖学に基づいた個別評価
→拘縮予防・痙縮管理の専門プログラム
→関節可動域を数値で追う継続的な評価体制
Program
取り組める内容
— 状態に合わせた個別設計
→ROM訓練・ポジショニング指導
→BoNT注射後の集中的な機能訓練
→ご家族向けの介助・ポジショニング指導

— STROKE LABでの個別リハビリテーションの様子

Voice from Mentors

「担当した被殻出血後の除皮質硬直の方は、上肢屈曲拘縮が強く、爪が手のひらに食い込む寸前でした。まず手関節背屈スプリントを24時間装着に切り替え、ROM訓練を1日3回・ゆっくり10回に統一。3ヶ月後には自力で手のひらを開けるようになり、家族が爪切りをできるようになったことが一番の喜びでした。」— OT・臨床経験6年目・脳血管疾患担当

「除脳硬直から除皮質硬直へ改善した外傷性脳損傷の方を担当した際、当初はGCS M2でしたが、脳圧管理が奏効しM3へ改善。そのタイミングを逃さず離床訓練を強化したところ、半年後には介助歩行まで到達しました。『姿勢パターンの改善は治療のサイン』という視点を持てたことが転機でした。」— PT・臨床経験9年目・急性期脳神経外科担当

Message from CEO
意識障害・拘縮の先にある回復を、
諦めないでください。
STROKE LAB代表 金子唯史 ポートレート

除脳硬直・除皮質硬直という言葉を最初に聞いたとき、多くのご家族が強い不安を感じられます。しかし、姿勢パターンは「今の脳の状態」を映す一つの指標にすぎず、それがすべてを決めるわけではありません。

私たちは、拘縮を防ぎながら、その先の可能性を一緒に探すことを大切にしています。急性期からの地道なケアが、数ヶ月後の小さな変化につながることを、私たちは数多くの現場で見てきました。

退院後のリハビリで悩まれたら、どうぞ一度ご相談ください。ご本人・ご家族のペースに合わせて、一緒に歩んでいきます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

無料相談を予約する→

References

参考文献。

01Sherrington CS. Decerebrate rigidity, and reflex coordination of movements. J Physiol. 1898;22(4):319-332.
02Teasdale G, Jennett B. Assessment of coma and impaired consciousness: a practical scale. Lancet. 1974;2(7872):81-84.
03Posner JB, Saper CB, Schiff ND, Plum F. Plum and Posner’s Diagnosis of Stupor and Coma. 4th ed. Oxford University Press; 2007.
04Vanhaesebrouck AE, Roberts DJ. Decerebrate and decorticate posturing. StatPearls. NCBI Bookshelf. Updated 2024.
05Edlow BL, Rabinstein A, Hirsch KG, et al. Coma and disorders of consciousness. Neurology. 2021;97(18):S183-S195.
06Wijdicks EFM. The Clinical Practice of Critical Care Neurology. 3rd ed. Oxford University Press; 2016.
07Wissel J, Ward AB, Erztgaard P, et al. European consensus table on the use of botulinum toxin type A in adult spasticity. J Rehabil Med. 2009;41(1):13-25.
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12Carney N, Totten AM, O’Reilly C, et al. Guidelines for the management of severe traumatic brain injury. 4th ed. Neurosurgery. 2017;80(1):6-15.
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14Cook N, Trout R, Waterhouse C, et al. The Glasgow Coma Scale: an international standard for education and practice with adults. Br J Neurosci Nurs. 2025;21(Sup1):S1-S28.
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