【2026年版】腕神経叢損傷のリハビリとは?原因、痛み、評価、回復・後遺症の改善に必要な知識まで詳細に解説!
腕神経叢損傷は、どこまで回復できるのか。
腕が動かない、手に力が入らない——突然の事故や外傷で腕神経叢を損傷された方とご家族にとって、この先どうなるのかは最大の不安です。神経の回復は数年単位に及ぶこともありますが、適切なリハビリと知識があれば、回復の可能性を最大限に引き出すことができます。
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こんなお悩みはありませんか?
突然、腕が思うように動かせなくなった——。交通事故やスポーツ中の転倒などで、そんな経験をされた方とそのご家族は、「これは元に戻るのか」「リハビリをどう続ければいいのか」と、深い不安を抱えておられることと思います。
この記事では、腕神経叢損傷(うでしんけいそうそんしょう)の基本的な知識から、回復への道のり、ご家族ができるサポート、公的支援制度まで、わかりやすくお伝えします。
腕神経叢損傷とは。
腕神経叢(うでしんけいそう / Brachial Plexus)とは、首の骨(頸椎)から出た神経が複雑に入り組み、腕・手指全体の動きと感覚を支配する神経の束です。この神経ネットワークが外傷などで損傷されることを「腕神経叢損傷」と呼びます。
— 腕神経叢の解剖図。頸椎から腕へと続く複雑な神経ネットワーク(図引用:visible body)
腕神経叢は、2つの例外(僧帽筋・腋窩付近の皮膚)を除いて、上肢のすべての皮膚と筋肉を支配しています。神経叢は「根・幹・分枝・索・枝」の5つの階層で構成されています。
損傷の重症度・原因は多様です。残念ながら外傷性の腕神経叢損傷は増加傾向にあり、深刻な社会的・経済的困難を引き起こし、生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼします。
損傷の型による分類。
腕神経叢損傷は、損傷している神経根の部位によって以下の4つに分類されます。ご家族が状態を理解するうえで重要な知識です。
第5頚椎〜第1胸椎神経根まで麻痺する型です。肩から手指まで全く動かなくなります。肩甲骨を動かす神経は一部別の経路で支配されているため、肩甲骨だけわずかに動くことがあります。
主に肩の外転・外旋、肘の屈曲が障害されます。C7の損傷程度によっては、手首より先が動く場合もあります。「チップをもらう動作」のような特徴的な腕の姿勢(Policeman’s tip hand)がみられます。
手首から先は動かないが、肩・肘は動きます。全型が不完全回復した場合にこの型を呈することも多いです。爪が割れやすい・皮膚が乾燥するなどの栄養変化もみられることがあります。
主にC7神経根が関与する第4の型です。手首は動くが指の動きが乏しいなど、上位型と下位型の中間的な症状を示します。
— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします
STROKE LABでは、神経系のリハビリを専門とする経験豊富なセラピストが、適切な負荷量を見極めながら個別のプログラムを組み立てます。まずは現在の状態をお聞かせください。
なぜ起こるのか。
腕神経叢の神経は、引き伸ばされたり・圧迫されたり・切断されたりすることで損傷します。鎖骨と第1肋骨の間で押しつぶされたり、周囲の筋肉の腫れで圧力が加わったりすることもあります。
外傷性(交通事故・接触スポーツなど)と非外傷性(産科麻痺・パーソネイジ・ターナー症候群など)に大別されます。
2つの主要なメカニズム。
腕神経叢損傷は、主に「牽引(けんいん)」と「衝撃」という2つのメカニズムで起こります。
ワーラー変性(Wallerian degeneration):末梢神経線維が損傷して神経細胞との連絡が断たれた際に生じる変化です。損傷部に最も近いランビエ絞輪から遠位に変性が起こり、変性した軸索とミエリンは2〜3日はシュワン細胞の、その後は遊走マクロファージの食作用で処理されます。
軸索の発芽・伸長:増生したシュワン細胞列(Bungner band)を足場として軸索が発芽・伸長し、再ミエリン化・標的組織への再結合・神経成熟が進みます。血中・細胞体・グリア細胞・シュワン細胞・効果器で生成される神経栄養因子が化学的誘導因子として機能します。
再生の遅延リスク:損傷部位から効果器までの距離が長い場合、再生までの時間がかかることでシュワン細胞列の萎縮・神経栄養因子の枯渇・神経筋接合部変性が生じ、有効な機能回復が得られないことがあります。神経切断端のギャップがあるケースも再生の妨げとなります。
型による特徴の違い。
損傷の型によって、麻痺する筋肉・現れる変形・感覚障害の部位が異なります。ご家族が目で見てわかる特徴をまとめました。
上位型(Erb麻痺)の特徴。
損傷部位:腕神経叢の上部の幹(鎖骨上窩の「Erb点」)。6本の神経がここで合流しています。
主な原因:出生時の怪我・転倒による肩への衝撃・麻酔時のポジショニング。
麻痺する主な筋肉:上腕二頭筋・三角筋・上腕筋・腕橈骨筋(わんとうこつきん)。一部:棘上筋・棘下筋・回外筋。
特徴的な変形:「Policeman’s tip hand(ポーターズチップハンド)」。肩が内旋・内転し、肘が伸びた状態で腕がぶら下がる姿勢。上腕二頭筋反射・腕橈筋反射の消失がみられます。
— Erb麻痺の特徴的な変形「Policeman’s tip hand」(図引用:imedscholar.com)
下位型(Klumpke麻痺)の特徴。
損傷部位:腕神経叢の下幹部(C8・T1神経根)。
主な原因:高所からの転落時に手で掴んだ際の急激な外転、出産時の外傷。
麻痺する筋肉:手指の内在筋(T1)・尺側(しゃくそく)の手首と指の屈筋(C8)。
特徴的な変形:「クローハンド(かぎ爪手)」。指の長い屈筋と伸筋が反対方向に作用することで、中手指節関節が過伸展し、指節間関節が屈曲した状態。
ホルネル症候群:T1神経を通じる交感神経線維の損傷により、眼瞼下垂(まぶたが下がる)・縮瞳(瞳孔が小さい)・患側顔面の発汗低下を伴うことがあります。
| 特徴 | 上位型(Erb麻痺) | 下位型(Klumpke麻痺) |
|---|---|---|
| 神経根 | C5・C6(〜C7・C8) | C8・T1 |
| 主な麻痺 | 肩外転・外旋、肘屈曲、前腕回外 | 手指内在筋、手関節・手指屈筋 |
| 特徴的変形 | Policeman’s tip hand | クローハンド(かぎ爪手) |
| 合併症 | 三角筋下部の感覚消失 | ホルネル症候群・皮膚乾燥・爪の変化 |
評価方法。
腕神経叢損傷の評価は、どの神経根がどの程度損傷されているかを精密に見極めるために行われます。適切なリハビリの負荷量を決めるためにも、評価は非常に重要です。
— 精度の高い筋電図検査で、適切なリハビリの負荷量を判断します(引用:Medical Expo)
回復への道のり。
腕神経叢損傷後のセラピーは、損傷の種類・重症度によって大きく異なります。軽症はリハビリで回復を図りますが、重症の場合は手術や装具が必要になることもあります。文献では軽運動負荷群が非運動群に比べて機能改善が早く、神経伝導速度の早期回復も報告されています。
関節可動域訓練・ポジショニング・スプリントにより、神経を失った皮膚・筋筋膜を保護します。拘縮(かたまり)予防が最初の重要課題です。
筋力・柔軟性・スタミナ・協調性の向上を目的とした機能訓練です。運動強度が強すぎるとストレスとなり再生に不利になるため、負荷量の見極めが最も重要です。切断・縫合後の直後は特に注意が必要です。
TENSや物理療法による痛みの管理、弾性包帯やマッサージによる浮腫の管理を行います。強い痛みはセラピーの妨げになるため、薬物療法(担当医と相談)との並行も重要です。
スプリント・装具で関節を支えながら、食事・更衣などの日常動作(ADL)を練習します。システマティックレビューでは、拘束性運動療法・キネシオテープ・電気療法・バーチャルリアリティ・スプリント使用が肯定的な結果をもたらすと示されています。

腕神経叢損傷は、適切な負荷量の見極めと長期的な継続が回復の鍵です。STROKE LABでは、神経系リハビリに精通したセラピストが個別の状態を評価し、「その方だけのプログラム」をご提案します。保険期間が終了した後も、ともに歩み続けます。
ご家族ができるサポート。
回復には数年単位の時間がかかることもあります。ご家族の存在と声かけは、患者さんの意欲に直結します。日々のサポートで意識してほしいことをまとめました。
日常生活でのサポートポイント。
声かけの例。
「今日できたこと、ちゃんと見てたよ。すごいね。」
「無理しなくていい。一緒にゆっくりやっていこう。」
「痛かったら教えてね。痛みを我慢しなくていいから。」
リハビリ手段の比較。
| 治療方法 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 筋力強化・運動療法 | 筋力・関節・柔軟性・協調性が向上。低コストで非侵襲。個別カスタマイズ可能。 | 時間と継続が必要。負荷量の見極めが不可欠。密接な指導が必要。 |
| 電気療法(TENS等) | 神経・筋肉を刺激。痛みや炎症を軽減。他療法と併用可能。 | 全患者に効果があるわけではない。特定の病歴では不適合な場合あり。 |
| 装具療法 | 関節の支持と安定。さらなる怪我の予防。個別カスタマイズ可能。 | 単独使用より他療法との併用が望ましい。定期調整・コスト面の考慮が必要。 |
在宅復帰と公的支援制度。
腕神経叢損傷による後遺症が残る場合でも、公的な支援制度を活用することで、生活の質を維持・向上させることができます。ご家族がまず知っておいてほしい制度をまとめました。
在宅復帰チェックリスト。
主な公的支援制度。
| 制度名 | 主な内容 | 相談窓口 |
|---|---|---|
| 身体障害者手帳 | 補装具費支給・交通費割引・税控除などに活用 | 市区町村の福祉窓口 |
| 障害福祉サービス | 自立訓練・生活訓練・居宅介護支援など | 市区町村の福祉窓口 |
| 高額療養費制度 | 月の医療費が一定額を超えた分を後から払い戻し | 加入している健康保険窓口 |
| 障害年金 | 一定の障害が認定された場合に年金が支給 | 年金事務所・社会保険労務士 |
回復までの期間と予後。
腕神経叢損傷からの回復には、数ヶ月から数年の時間がかかります。「いつ治るのか」という問いに明確な答えはありませんが、現時点でわかっていることをお伝えします。
神経は1日あたり約1mm・1ヶ月あたり約3cmのペースで再生します。損傷部位から目的の筋肉までの距離が長いほど、回復には時間がかかります。たとえば鎖骨上部の損傷から手指の筋肉まで再生するには、数十センチ分の距離をかけて回復が進みます。
医療保険のリハビリが終了しても、神経の回復は続いています。保険終了後も継続したリハビリを受けることが、長期的な回復に直結します。
よくあるご質問。
腕神経叢損傷とは、首から腕に伸びる神経の束(腕神経叢)が外傷や圧迫などで損傷を受け、腕・手の麻痺・感覚障害・疼痛を引き起こす疾患です。
交通事故やスポーツ外傷が主な原因で、損傷部位によって全型・上位型(Erb麻痺)・下位型(Klumpke麻痺)などに分類されます。
回復の可能性は損傷の種類・重症度によって異なります。神経の再生速度は1日あたり約1mmとされており、損傷部位から筋肉までの距離が長いほど回復に時間がかかります。
リハビリは数週間ではなく、数年単位で継続することが重要です。医療保険期間内で十分な回復が得られない場合は、自費リハビリの活用も選択肢の一つです。
Erb麻痺(上位型)はC5・C6神経根の損傷で、肩の外転・外旋と肘の屈曲が障害されます。腕が「チップをもらう動作」のような特徴的な姿勢をとります。
Klumpke麻痺(下位型)はC8・T1神経根の損傷で、手指の内在筋が麻痺してクローハンド変形が生じます。ホルネル症候群(眼瞼下垂・縮瞳など)を伴うことがあります。
神経損傷後のリハビリでは「負荷量の見極め」が最も重要です。軽い運動負荷は神経の再生を促進しますが、強すぎる運動はストレスとなり逆効果になる可能性があります。
特に切断・縫合術後は直後の関節運動が神経再生の妨げになる報告もあり、タイミングと強度の管理が必要です。専門家の指導のもとで行うことが大切です。
急性期にはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの薬物療法が用いられます。慢性の神経障害性疼痛にはガバペンチン・カルバマゼピンなどの抗てんかん薬や三環系抗うつ薬が使われますが、有意な効果が得られる患者は3分の1以下とされています。
TENSなどの電気療法も疼痛管理に活用されます。痛みの管理は主治医と相談しながら進めることをお勧めします。
後遺障害の程度によって、身体障害者手帳の取得が可能です。手帳を取得すると、障害福祉サービス(訓練等給付・自立支援給付)・補装具費支給・障害年金・高額療養費制度などを利用できます。
お住まいの市区町村の福祉窓口または病院のソーシャルワーカーにご相談ください。
STROKE LABのプログラム。
STROKE LABは、脳神経疾患・神経系疾患のリハビリに特化した自費リハビリ施設です。腕神経叢損傷に対しても、厳しい採用基準を通過した熟練のセラピストが、個別性に応じた介入を行います。型にはまった画一的なプログラムではなく、「その方だけの回復を実現するプログラム」を提案します。
— STROKE LABでの個別に合わせた自主トレーニング指導の実際の様子です。
「保険のリハビリが終わって途方に暮れていたところ、STROKE LABに相談しました。負荷の量を細かく調整してもらいながら続けることで、少しずつ指が動くようになってきました。」— 40代・男性・腕神経叢損傷(バイク事故)・受傷から1年半
「セラピストの先生が丁寧に説明してくれて、家族として何をすべきかがわかりました。本人の意欲も戻ってきたように思います。」— 50代・女性(患者の妻)・腕神経叢損傷(転倒)・受傷から8ヶ月
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諦めないでください。

腕神経叢損傷からの回復は、「どれだけ長く・正しいリハビリを継続できるか」に尽きます。神経の回復は、見えないところで着実に進んでいます。
STROKE LABでは、保険終了後も諦めないという信念のもと、個別のプログラムで長期的な回復を支援します。「ここでできることはやり尽くした」と思える日まで、ともに歩みます。
「適切なリハビリを選べているか不安」「保険が終わってしまった」「もっとできることはあるはず」——そう感じたら、まず話してください。無料相談でお待ちしています。
代表取締役 金子 唯史
参考文献。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)