【2026年版】Fugl-Meyer Assessment(FMA /フーゲル・マイヤー評価法/ヒューゲルメイヤー評価法)上肢評価|手順・採点・脳卒中の予後予測を解説 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2026年版】Fugl-Meyer Assessment(FMA /フーゲル・マイヤー評価法/ヒューゲルメイヤー評価法)上肢評価|手順・採点・脳卒中の予後予測を解説

FUGL-MEYER ASSESSMENT / COMPLETE GUIDE

FMAの採点で迷わないための完全ガイド。

226点満点・155項目におよぶFugl-Meyer Assessment(FMA)を、上肢運動機能を中心に実施手順から採点基準、MCIDを使った臨床解釈まで、先輩セラピストの目線で一つずつ整理しました。

UPDATED2025
READ約22分
FORPT / OT / ST
BYSTROKE LAB

— FMA上肢評価の実技解説動画。文章だけで分かりにくい肢位・抵抗のかけ方は、まずこちらで動きを確認してください。

TOTAL SCORE
226点満点
運動・感覚・バランス・ROM・関節痛の5領域、155項目で構成。
MCID (FMA-UE)
4.25〜7.25点
Pageら(2012)による臨床的に意味のある最小変化量。
SINCE
1975
Fugl-Meyerらがブルンストロームの回復段階を定量化して開発。
Quick Reference
忙しい臨床家のための
要点5項目。
01
FMAは共同運動→分離運動→協調性という回復段階を、0・1・2点の3段階で定量化する評価法です。
02
上肢運動機能はA〜Hの区分で66点満点。全項目で30〜45分、運動項目のみなら約20分で実施できます。
03
関節可動域制限がある場合は、その範囲内での最大パフォーマンスで採点します。制限自体は減点対象ではありません。
04
FMA-UEのMCIDは4.25〜7.25点。月1回の再評価でこの変化量を超えたかが介入効果判定の目安になります。
05
FMA-UE60点以上の軽度例では天井効果があり、ARATやWMFTとの併用が推奨されます。
01
Case Vignette

臨床現場でこう出会う。

Case Vignette
「ブルンストロームはStage Ⅲなんですが、それ以上の変化が分からなくて…」

62歳男性、右被殻出血による左片麻痺。発症後6週(回復期)、NIHSS 8点、FIM運動項目48点。主訴は「左手が思うように動かせず、食事の際に器を支えられない」。

担当1年目のOTが初回評価で確認したブルンストロームステージは左上肢Stage Ⅲ。しかし「Stage Ⅲの中でどれだけ改善しているか」を月次カンファレンスで説明できず、先輩に相談したことがこの評価の見直しのきっかけでした。

新人のうちは、ブルンストロームステージやMMTのような大まかな評価だけで「変化が見えない」ことに悩む場面が多いと思います。同じStage Ⅲでも、共同運動の中でどこまで分離が進んでいるかは患者ごとに大きく違います。

FMA(Fugl-Meyer Assessment)は、この「Stage Ⅲの中身」を0〜2点の3段階で細かく数値化できる評価法です。次の章から、なぜこの評価が必要なのか、どう実施するのかを順に見ていきましょう。

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02
Definition & Background

FMA(Fugl-Meyer Assessment)とは。

FMAは”Fugl-Meyer Assessment”の略称で、脳卒中の疾患特異的な評価スケールです。1975年にスウェーデンの医師Axel Fugl-Meyerらが発表しました[観察研究](Fugl-Meyer AR, et al. Scand J Rehabil Med. 1975;7(1):13-31, n=39)。日本の脳卒中治療ガイドライン2015(追補2019)では、上肢機能評価としてグレードB(行うように勧められる)に位置づけられています。

最大の特徴は、Signe Brunnstromが提唱した運動回復段階(弛緩→共同運動→分離運動→正常に近い運動)を土台にしながら、各段階を0・1・2点の3段階で定量採点できる点です。ブルンストロームステージが6段階の大まかな区分であるのに対し、FMAは合計226点の中でより精密な変化を捉えられます。海外ではブルンストロームより主流の評価として使われ、臨床研究のアウトカム指標としても頻用されています。

Basic Spec
FMAの基本スペック

評価領域は5領域(運動機能・感覚・バランス・関節可動域・関節痛)、合計226点満点。運動機能のみなら100点満点(上肢66点+下肢34点)です。所要時間は全項目で30〜45分、運動項目のみなら約20分。採点基準は0点=実行できない、1点=部分的に実行できる、2点=完全に実行できる、の3段階です。特別な機器は打腱器・ゴニオメーター・ペン・紙・ボール程度で、大がかりな設備は不要です。

5つの評価領域の内訳

FMAは運動機能だけでなく、感覚・バランス・関節機能まで含む包括的なスケールです。各領域は単独でも使用可能で、特に上肢運動機能(FMA-UE:66点満点)は臨床・研究で最も頻用される部分です。

評価領域 配点 内訳
① 運動機能 0〜100点 上肢66点+下肢34点
② 感覚 0〜24点 触覚(上下肢各4点=8点)+位置覚(上下肢各8点=16点)
③ バランス 0〜14点 座位バランス6点+立位バランス8点
④ 関節可動域 0〜44点 上下肢各関節の他動可動域
⑤ 関節痛 0〜44点 上下肢各関節の動作時疼痛
Mentor’s Voice

「新人のうちは運動機能項目(100点)だけで十分。5領域全部を最初から完璧にやろうとすると挫折します」

「まず上肢66点だけ覚えて、慣れてきたら下肢・感覚に広げていくのが現実的な順番です」

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03
Neural Mechanism

共同運動理論と神経メカニズム。

Background Theory
なぜ「共同運動」という枠組みで採点するのか

Twitchell(1951)による片麻痺の自然経過観察[観察研究]と、それを体系化したBrunnstromの回復段階理論では、皮質脊髄路の損傷後、運動は原始的な屈筋・伸筋の共同運動パターンとして再出現し、その後に関節ごとの分離運動へと進むとされています。FMAはこの臨床観察を土台に、各段階を数値で追跡できるよう設計された評価法です。

共同運動が優位になる理由

皮質脊髄路(随意的な分離運動を担う経路)が損傷を受けると、より原始的な網様体脊髄路などの下行路が相対的に優位になり、複数関節が連動して動く共同運動パターンが出現しやすくなります[専門家合意]。FMAのA-Ⅱ(共同運動)からA-Ⅳ(分離運動)への項目配列は、この神経学的な回復順序をそのまま評価構造に反映したものです。

EVIDENCE
神経可塑性と反復練習の関係

Nudo RJ, et al. Science. 1996(動物モデル)[観察研究]:損傷後の高頻度な課題特異的反復練習が、隣接する皮質領域の運動地図再編成(神経可塑性)を促すことを示した基礎研究。FMAで共同運動から分離運動への移行を追跡することは、この可塑性の進行を臨床で捉える手段といえます。

04
Differential Points

評価時に見誤りやすい現象の鑑別。

FMAは動作の「見え方」だけで採点すると誤差が生まれやすい評価法です。同じように見える現象でも、背景にある機序が異なれば採点は変わります。代表的な4つの鑑別ポイントを整理しました。

鑑別対象 共通点(見え方) 鑑別ポイント 参考検査
真の分離運動 vs 共同運動の代償 目的の関節が動いて見える 体幹回旋・肩甲骨挙上など代償の有無 ビデオスロー再生
運動麻痺 vs 感覚性の協調運動障害 D項目で測定障害・振戦が出る 閉眼で悪化するか、H項目の結果と一致するか H項目(感覚)との照合
痙縮による制限 vs 整形外科的拘縮 他動ROMが制限されて見える 速度依存性の抵抗感(痙縮)か一定の抵抗感(拘縮)か Modified Ashworth Scale
半側空間無視 vs 真の運動麻痺 患側上肢を自発的に使わない 促した際の自発性の左右差、高次脳機能検査の結果 BIT行動性無視検査
「動いた/動かない」だけでなく、なぜそう動いたのかまで見て、初めて正確な採点になります。
05
Scoring Criteria

上肢評価の実施法と採点基準。

ここからは上肢運動機能(FMA-UE:66点満点)の具体的な評価法を項目ごとに解説します。FMAの運動評価は共同運動パターンの出現→分離運動の獲得→協調性の順に配列されており、「できる/できない」だけでなく回復の質的段階を数値で捉えられます。

A. 上肢運動機能(A-Ⅰ〜A-Ⅴ)

SCORING CRITERIA
A-Ⅰ. 深部腱反射(4点満点)

屈筋は上腕二頭筋または手指屈筋群のどちらか1つを選択、伸筋は上腕三頭筋の1つで実施します。反射の出現の有無を確認します。判定:2点=反射が出現/0点=反射が消失。

評価のコツ:反射が出現しない場合は非麻痺側も確認しましょう。両側消失なら病的変化ではなく個人差と判断できます。

A-Ⅰ深部腱反射の評価姿勢
— A-Ⅰ深部腱反射の評価姿勢。上腕二頭筋・手指屈筋群・上腕三頭筋のいずれかで反射出現の有無を確認する。
評価前の準備

A-Ⅱ以降は随意運動の評価です。事前に可動域を確認しておきましょう。可動域制限がある場合は動作可能な範囲内で評価します(例:前腕回外が不可なら回内〜中間位の範囲で、中間位まで自分で動かせれば満点)。共同運動評価は1回の動作で複数要素を同時に観察するため、ビデオ撮影での確認も有効です。

SCORING CRITERIA
A-Ⅱa. 屈筋共同運動(12点満点)

肩甲骨後退・肩関節屈曲・肩関節外転(90°)・肘関節屈曲・前腕回外・肩関節外旋の6要素を各0〜2点で評価します。実施方法:①麻痺側を非麻痺側の膝の上に置く→②後頭部に手を回していく。

判定(各要素共通):0点=関節運動なし/1点=一部分可能/2点=全可動域可能。

A-Ⅱa屈筋共同運動の評価姿勢
— A-Ⅱa屈筋共同運動。麻痺側を非麻痺側膝の上に置いた状態から後頭部へ手を回す。
屈筋共同運動の評価例
— 屈筋共同運動の評価例。6要素それぞれの可動域到達度を個別に採点する。
SCORING CRITERIA
A-Ⅱb. 伸筋共同運動(6点満点)

肩関節の内転・内旋、肘関節の伸展、前腕の回内の3要素を各2点満点で評価します。実施方法:①肩関節屈曲・外転・外旋、肘関節屈曲、前腕回外を行い麻痺側の耳の横に手を置く→②非麻痺側の膝の上に手を伸ばす。

注意:手を伸ばす際にわずかに抵抗をかけます。抵抗がないと重力による他動運動で遂行できてしまい正確な評価になりません。判定は各要素とも0点=関節運動なし/1点=一部分可能/2点=全可動域可能。

A-Ⅱb伸筋共同運動の評価姿勢
— A-Ⅱb伸筋共同運動。耳の横に置いた手を非麻痺側の膝へ伸ばす。
伸筋共同運動の評価例
— 伸筋共同運動の評価例。抵抗をかけながら肩内転・内旋、肘伸展、前腕回内を確認する。
SCORING CRITERIA
A-Ⅲa. 手を腰へ回す(2点満点)

上前腸骨棘(ASIS)を超えられるか、脊柱に届くかが評価ポイントです。肩甲骨挙上や体幹回旋などの代償運動が入ると減点となります。実施方法:①手を膝の上に乗せる→②麻痺側上肢を同側の腰に回す→③脊柱に手が触れる位置まで移動。

判定:0点=ASISに届かない/1点=(代償なく)ASISを超える/2点=(代償なく)脊柱に手が届く。

A-Ⅲa手を腰へ回すの評価姿勢
— A-Ⅲa手を腰へ回す。代償運動なくASIS・脊柱まで到達できるかを確認する。
手を腰へ回すの評価例
— 手を腰へ回す評価例。体幹回旋による代償の有無を横から確認するのがポイント。
SCORING CRITERIA
A-Ⅲb. 肩関節90°屈曲(2点満点)

実施方法:①肘関節伸展、前腕回内外中間位に置く→②その肢位のまま肩関節を90°屈曲。

判定:0点=肩関節外転位・肘関節屈曲位で開始/1点=運動に伴い肩関節外転・肘関節屈曲が出現/2点=全可動域で外転・屈曲を伴わず可能。

A-Ⅲb肩関節90°屈曲の評価姿勢
— A-Ⅲb肩関節90°屈曲。肘伸展・前腕中間位を保ったまま屈曲できるかを確認する。
肩関節90°屈曲の評価例
— 肩関節90°屈曲の評価例。外転・肘屈曲が出現するタイミングを観察する。
SCORING CRITERIA
A-Ⅲc. 前腕回内外(肩0°・肘90°屈曲位)(2点満点)

実施方法:①肩関節0°、肘関節90°屈曲位に置く→②その肢位で前腕の回内外を行う。開始肢位が取れるか、回内外がどこまでできるかが評価ポイントです。

判定:0点=回内外できない・開始肢位が取れない/1点=開始肢位は取れるが一部分の運動/2点=全可動域可能。

A-Ⅲc前腕回内外の評価姿勢
— A-Ⅲc前腕回内外。肩0°・肘90°屈曲位を保ったまま回内外できるかを確認する。
前腕回内外の評価例
— 前腕回内外の評価例。開始肢位の保持可否と可動域を合わせて確認する。
SCORING CRITERIA
A-Ⅳa. 肩関節90°外転(2点満点)

実施方法:①肘関節伸展位、前腕回内外中間位に置く→②その肢位で肩関節を90°外転。前腕回外・肘関節屈曲がどのタイミングで出現するかがポイントです。

判定:0点=開始直後から前腕回外・肘屈曲が出現/1点=運動に伴い出現/2点=全可動域で回外・屈曲を伴わず可能。

A-Ⅳa肩関節90°外転の評価姿勢
— A-Ⅳa肩関節90°外転。肘伸展・前腕中間位を保持したまま外転を行う。
肩関節90°外転の評価例
— 肩関節90°外転の評価例。分離運動が獲得されているかを判定する場面。
SCORING CRITERIA
A-Ⅳb. 肩関節90°屈曲位から180°屈曲(2点満点)

実施方法:①肩関節90°屈曲位、肘関節伸展位、前腕回内外中間位に置く→②その肢位から肩関節を180°まで屈曲。肩外転・肘屈曲がどの段階で出るかが評価ポイントです。

判定:0点=開始直後から外転・肘屈曲が出現/1点=運動に伴い出現/2点=全可動域で伴わず可能。

A-Ⅳb肩関節90→180°屈曲の評価姿勢
— A-Ⅳb肩関節90°から180°屈曲。より広い可動域での分離運動を評価する。
肩関節90→180°屈曲の評価例
— 肩関節90°→180°屈曲の評価例。
SCORING CRITERIA
A-Ⅳc. 前腕回内外(肩関節30〜90°屈曲位)(2点満点)

実施方法:①肩関節を30〜90°屈曲位にする→②その肢位で前腕回内外を行う。

判定:0点=不可または開始肢位が取れない/1点=開始肢位は取れるが一部分の運動/2点=全可動域可能。

A-Ⅳc前腕回内外の評価姿勢
— A-Ⅳc前腕回内外。肩関節30〜90°屈曲位での回内外を確認する。
前腕回内外(肩屈曲位)の評価例
— 前腕回内外(肩屈曲位)の評価例。
前提条件

次のA-Ⅴ(深部腱反射の程度)はA-Ⅳが満点の方のみ実施します。分離運動が完全にできない場合は評価対象外です。

SCORING CRITERIA
A-Ⅴ. 深部腱反射の程度(2点満点)

上腕二頭筋・手指屈筋・上腕三頭筋の3筋すべてを評価し、著明に亢進している筋肉の割合で判断します。A-Ⅰでは「どちらか1つ」でしたが、ここでは3筋すべてを評価する点に注意してください。

判定:0点=3筋中2筋以上が著明な亢進/1点=3筋中1筋が著明な亢進/2点=3筋中1筋以下が亢進(軽度亢進含む)。

A-Ⅴ深部腱反射の程度の評価姿勢
— A-Ⅴ深部腱反射の程度。3筋の亢進状態を非麻痺側と比較しながら確認する。

B. 手関節の評価(5動作・10点満点)

手関節評価の原則:肘関節は支えても問題ないが、手関節は支えないようにしましょう。手関節を支えると外部から安定性が供給され、正確な運動機能評価になりません。

SCORING CRITERIA
B-1. 手関節背屈15°(肘90°屈曲・前腕回内位)

実施方法:①テーブルに肘を乗せるか検査者が肘を支える→②手関節を背屈→③背屈位から掌屈方向へ抵抗をかける。

判定:0点=不可/1点=15°背屈できるが抵抗に抗せない/2点=15°背屈位で抵抗に抗せる。

B-1手関節背屈15°の評価姿勢
— B-1手関節背屈15°。肘90°屈曲・前腕回内位で手関節のみ支えずに評価する。
B-1評価例
— B-1評価例。背屈位からの抵抗への抗し方を確認する。
SCORING CRITERIA
B-2. 掌屈背屈の反復(肘90°屈曲・前腕回内位)

実施方法:①テーブルに肘を乗せるか検査者が肘を支える→②手関節の背屈と掌屈を反復。

判定:0点=不可/1点=一部分可能/2点=全可動域を滑らかに可能。

B-2掌屈背屈の反復の評価姿勢
— B-2掌屈背屈の反復。滑らかさと可動域の両方を観察する。
B-2評価例
— B-2評価例。
SCORING CRITERIA
B-3. 手関節背屈15°(肩関節軽度屈曲・肘伸展・前腕回内位)

B-1との違いは肘関節が伸展位であること。共同運動パターンの影響をより明確に評価できます。実施方法:①肩関節軽度屈曲位、肘関節伸展位、前腕回内位に置く→②手関節を背屈→③背屈位から掌屈方向へ抵抗をかける。

判定:0点=不可/1点=15°背屈できるが抵抗に抗せない/2点=15°背屈位で抵抗に抗せる。

B-3手関節背屈15°(肩屈曲位)の評価姿勢
— B-3手関節背屈15°(肩屈曲位)。肘伸展位での背屈保持を評価する。
B-3評価例
— B-3評価例(B-4でも同一場面を参考として使用)。
SCORING CRITERIA
B-4. 掌屈背屈の反復(肩関節軽度屈曲・肘伸展・前腕回内位)

実施方法:①肩関節軽度屈曲位、肘関節伸展位、前腕回内位に置く→②手関節の背屈と掌屈を反復。

判定:0点=不可/1点=一部分可能/2点=全可動域を滑らかに可能。

B-4掌屈背屈の反復(肩屈曲位)の評価姿勢
— B-4掌屈背屈の反復(肩屈曲位)。
SCORING CRITERIA
B-5. 手関節回転運動(2点満点)

実施方法:①肘関節90°屈曲、前腕回内位をとる→②手関節の回転運動(circumduction)を行う。

判定:0点=不可/1点=不完全でぎこちない/2点=滑らかに可能。

B-5手関節回転運動の評価姿勢
— B-5手関節回転運動。circumductionの滑らかさを評価する。
B-5評価例
— B-5評価例。

C. 手指の評価(7項目・14点満点)

手指の評価は、集団屈曲・集団伸展(随意運動)と、把握パターン(かぎ握り・母指内転・指尖つまみ・筒握り・球握り)に分かれます。把握パターンでは「保持できるか」に加え「抵抗に抗せるか」が採点の鍵になります。

SCORING CRITERIA
C-1. 集団屈曲

肘関節90°屈曲位、他動的に伸展位を保持した状態からスタートします。実施方法:①肘関節90°にし前腕を支える→②他動的に手指を伸展→③手指を握るように屈曲。

判定:0点=不可/1点=一部分可能/2点=全可動域可能。

C-1集団屈曲の評価姿勢
— C-1手指の集団屈曲。他動伸展位からの自動屈曲を評価する。
C-1評価例
— C-1評価例。
SCORING CRITERIA
C-2. 集団伸展

手指屈曲位からスタートし、すべての指を同時に伸展していきます。実施方法:①肘関節90°にし前腕を支える→②他動的に手指を屈曲→③手指を伸展。

判定:0点=不可/1点=一部分可能/2点=全可動域可能。

C-2集団伸展の評価姿勢
— C-2手指の集団伸展。
C-2評価例
— C-2評価例。
SCORING CRITERIA
C-3. かぎ握り(2〜4指)

第2〜4指のPIP・DIPを屈曲、MCPを伸展した肢位を自動運動で保持し、抵抗をかけます。実施方法:①肘関節90°にし前腕を支える→②第2〜4指のPIP・DIP屈曲、MCP伸展位を保持→③手指を伸展する方向へ抵抗。

判定:0点=不可/1点=可能だが抵抗に抗せない/2点=抵抗に抗せる。

C-3かぎ握りの評価姿勢
— C-3かぎ握り。第2〜4指のPIP・DIP屈曲位保持を評価する。
C-3評価例
— C-3評価例。
SCORING CRITERIA
C-4. 母指内転(紙を挟む)

母指と第2指のMCP関節で紙を母指の内転で挟み、抵抗に抗せるかを評価します。実施方法:①母指を外転→②紙を母指と第2指のMCP関節で把持→③紙を引っ張り抵抗をかける。

判定:0点=不可/1点=保持可能だが抵抗に抗せない/2点=抵抗に抗せる。

C-4母指内転の評価姿勢
— C-4母指内転。紙を挟んだ状態で引っ張り抵抗に抗せるかを確認する。
C-4評価例
— C-4評価例。
SCORING CRITERIA
C-5. 指尖つまみ

実施方法:①母指と第2指でペンをつまむように持つ→②ペンを上に引っ張るように抵抗をかける。抵抗をかける方向にも注意しましょう。真上に引き抜く方向が基本です。

判定:0点=不可/1点=保持可能だが抵抗に抗せない/2点=抵抗に抗せる。

C-5指尖つまみの評価姿勢
— C-5指尖つまみ。母指・示指でペンをつまみ真上への抵抗に抗す。
C-5評価例
— C-5評価例。
SCORING CRITERIA
C-6. 筒握り

評価方法は文献により2種報告されています。施設で統一した方法がある場合はそちらに従ってください。方法①:母指とすべての指で筒状のものを握り上へ引っ張り抵抗。方法②:母指と示指でのつまみ動作に抵抗。

判定:0点=不可/1点=保持可能だが抵抗に抗せない/2点=抵抗に抗せる。

C-6筒握りの評価姿勢
— C-6筒握り。肘90°屈曲位で手を支え、筒状物への把持力を評価する。
C-6評価例
— C-6評価例。
SCORING CRITERIA
C-7. 球握り

実施方法:①全指を外転し、母指と対立した状態でボールを持つ→②斜め下方向に引っ張り抵抗をかける。

判定:0点=不可/1点=保持可能だが抵抗に抗せない/2点=抵抗に抗せる。

C-7球握りの評価姿勢
— C-7球握り。斜め下方向への抵抗に抗せるかを評価する。
C-7評価例
— C-7評価例。

D. 協調性の評価(6点満点)

SCORING CRITERIA
D. 協調性 ― 振戦・測定障害・所要時間

振戦と測定障害の有無、非麻痺側と麻痺側の所要時間差の3観点で評価します。分離運動が獲得された後の「運動の質」を捉える項目です。実施方法①:示指を立て膝の上に置き、目を閉じ、膝と鼻を交互に5回往復。実施方法②:示指を立て肩外転90°・肘屈曲で鼻を触り、目を閉じ、肩外転位のまま肘の屈伸を反復。

振戦:0点=著明/1点=わずか/2点=なし。

測定障害:0点=顕著・一定しない/1点=わずか・程度が一定/2点=なし。

所要時間(非麻痺側との差):0点=6秒以上遅い/1点=2〜5秒遅い/2点=差が2秒以下。

D協調性の評価姿勢
— D協調性。閉眼での指鼻試験・肘屈伸反復で振戦と測定障害を確認する。
D協調性の評価例
— D協調性の評価例。

H. 感覚の評価(上肢12点満点)

SCORING CRITERIA
H-1. 触覚(上肢4点満点)

感覚の正確な評価のため、なるべく服の上でなく直接触れましょう。上腕(または前腕)と手掌面の2か所を評価し、非麻痺側と比較して判定します。実施方法:①上腕または前腕と手掌面を検査者の手で触る→②非麻痺側と比較して評価。

判定(各部位):0点=感覚脱失/1点=感覚鈍麻・異常感覚/2点=正常。

H-1触覚の評価姿勢
— H-1触覚。上腕(前腕)・手掌面を非麻痺側と比較しながら評価する。
SCORING CRITERIA
H-2. 受動運動覚(上肢8点満点)

肩関節、肘関節、手関節、母指IPの4部位を評価します。各部位で運動方向の判別を行い、正答率で採点します。実施方法:①内側・外側を持つ(上下で挟まない、触圧覚での判断を避けるため)→②上に動かしたか下に動かしたかを判断してもらう。

判定(各部位):0点=正答数2/4以下/1点=正答数3/4/2点=正常(全問正答)。非麻痺側でもわからないほど微小に動かさないよう注意しましょう。

H-2受動運動覚(肩)の評価姿勢
— H-2受動運動覚(肩関節)。
H-2受動運動覚(肘)の評価姿勢
— H-2受動運動覚(肘関節)。
H-2受動運動覚(手関節)の評価姿勢
— H-2受動運動覚(手関節)。
H-2受動運動覚(母指IP)の評価姿勢
— H-2受動運動覚(母指IP関節)。

I. 関節可動域 / J. 関節痛

関節可動域はゴニオメーターを使用して測定し、同時に動作時の疼痛の有無も評価します。この2項目は同時に実施するのが効率的です。評価部位は肩関節(180°屈曲、90°外転、内旋・外旋)、肘関節(屈曲・伸展)、前腕(回内・回外)、手関節(掌屈・背屈)、指節間関節(DIP・PIP・MCP)です。

I. RANGE OF MOTION
関節可動域の判定基準
— 他動ROMを非麻痺側と比較
0点=わずかなROM
1点=制限あり
2点=非麻痺側と同じ
J. JOINT PAIN
関節痛の判定基準
— 動作時の疼痛有無を確認
0点=著明な痛み
1点=わずかな痛み
2点=なし

評価例(各関節の実施場面)

肩関節:180°屈曲

肩関節180°屈曲のROM測定

肩関節:90°外転

肩関節90°外転のROM測定

肩関節:内外旋(肘関節90°屈曲位)

肩関節内外旋のROM測定

肘関節:屈曲・伸展

肘関節屈曲伸展のROM測定

前腕:回内・回外

前腕回内回外のROM測定

手関節:背屈・掌屈

手関節背屈掌屈のROM測定

手指:DIP・PIP・MCP関節

手指DIP PIP MCP関節のROM測定

— 各関節のROM・疼痛評価は同時に実施すると効率的。
MEASUREMENT PROPERTIES
FMAの測定特性(信頼性・妥当性・MCID)

信頼性・妥当性[SR/MA]:Gladstone DJ, et al. Neurorehabil Neural Repair. 2002;16(3):232-240. FMAの測定特性に関する系統的レビューで、検者間・検者内信頼性が高いこと、ARATやBox and Block Testとの併存的妥当性が確認されています。

MCID(FMA-UE)[単独RCT/コホート]:Page SJ, et al. Phys Ther. 2012;92(6):791-798. 慢性期の軽度〜中等度障害者を対象に、臨床的に意味のある最小変化量を4.25〜7.25点と算出しています。

妥当性の実証[観察研究]:Baker K, et al. Stroke. 2011;42(6):1787-94. 脳卒中のアウトカム評価尺度を比較検討し、FMAが運動機能の変化を高感度に検出できる尺度であることを支持しています。

下肢運動機能評価の概要(34点満点)

本記事では上肢を中心に解説しましたが、下肢運動機能評価(34点満点)の構成も把握しておきましょう。上肢と同様、共同運動→分離運動→協調性の順で配列されています。

項目 評価内容 配点
E-Ⅰ.深部腱反射 膝蓋腱反射・アキレス腱反射 4点
E-Ⅱa.屈筋共同運動 股関節屈曲・膝関節屈曲・足関節背屈 6点
E-Ⅱb.伸筋共同運動 股関節伸展・膝関節伸展・足関節底屈 6点
E-Ⅲ.分離運動 膝関節屈曲(立位)・足関節背屈(座位) 4点
E-Ⅳ.分離運動 膝関節屈曲(座位)・足関節背屈(立位) 4点
E-Ⅴ.深部腱反射の程度 膝蓋腱・アキレス腱反射の亢進 2点
F.協調性 振戦・測定障害・所要時間 6点
下肢FMAと歩行予後

下肢FMAスコアは歩行自立度の予測に有用と報告されています[観察研究]。上肢と下肢のスコアは相関するものの独立した指標として扱うべきで、合算して100点満点とする際は回復が均一でないことに注意が必要です。下肢FMAのMCIDは上肢ほどコンセンサスがありませんが、約5〜6点が目安として用いられることがあります[専門家合意]

臨床でFMAを活用する5つのコツ

01
評価のタイミング:入院時・退院時に加え、月1回程度の定期再評価が推奨されます。MCIDを超える変化の有無でプログラムの有効性を客観的に判断できます。
02
部分的な使用も有効:全項目実施が難しい場合、上肢運動機能(66点)のみの使用も妥当性が確認されています。忙しい現場でも運動項目だけは評価する習慣が重要です。
03
ビデオ撮影の活用:共同運動パターンの複数要素を1回の動作で同時に観察するのは困難です。ビデオ撮影後にスロー再生で確認する方法が信頼性を高めます。
04
可動域制限への対応:制限がある場合は動作可能な範囲内で評価します。可動域の制限自体は運動機能の問題ではないため、その範囲内での最大パフォーマンスで採点するのがルールです。
05
天井効果に注意:軽度障害者では天井効果が報告されています。FMA-UE60点以上ではARATやWMFTとの併用で微細な変化を捉えることが可能です。
STROKE LAB代表 金子唯史
Message from CEO
スコアの先にある「その人らしい生活」まで、一緒に考えませんか。

FMAで運動機能の現在地が分かっても、そこからどう介入するかが回復を左右します。STROKE LABでは脳科学の知見に基づき、評価結果を具体的なプログラムへ落とし込みます。

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06
Intervention Evidence

介入エビデンスとパラメータ。

FMAで現在地を把握したら、次は「どの介入をどれだけ行うか」です。ここでは上肢麻痺に対して質の高いエビデンスが蓄積されている3つの介入と、実践に必要なパラメータ(時間・回数・頻度・強度)を整理します。

01
課題指向型トレーニング[SR/MA]

French B, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2016. 課題特異的な反復練習が上肢機能を改善させることを示すコクランレビュー。パラメータ:1回30〜60分、週3〜5回、実際の動作(コップを持つ、ボタンをかける等)を高頻度に反復することが要点です。

02
修正CI療法(mCIMT)[複数RCT]

Wolf SL, et al(EXCITE trial). JAMA. 2006;296(17):2095-2104. 非麻痺側の使用を抑制しながら麻痺側を集中的に使わせる介入。パラメータ:2週間、1日3時間程度の訓練、日中起床時間の一定割合で非麻痺側を拘束(施設の方針に応じ調整)。A-Ⅳの分離運動がある程度獲得された症例が適応です。

03
ミラーセラピー[SR/MA]

Thieme H, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2018. 鏡に映した非麻痺側の動きを見せることで運動イメージを促す介入。パラメータ:1回15〜30分、週5回程度、共同運動優位の重度例(A-Ⅱ段階)でも導入しやすい点が特徴です。

04
促通反復療法[単独RCT]

Kawahira K, et al. Int J Rehabil Res. 2010;33(4):298-305. 特定の運動パターンを他動的に誘発し高頻度に反復する介入。パラメータ:1動作あたり50〜100回の反復を目標に、共同運動から分離運動への移行を狙って実施します。

07
Interprofessional Collaboration

多職種連携と環境調整。

FMAの結果は誰と共有するか

FMAは運動・感覚・バランスにまたがる評価のため、PTだけで完結させず多職種で共有することで初めて活きてきます。特にC項目(手指)とH項目(感覚)の結果はADL自立度に直結するため、OTや看護師との情報共有が重要です。

Clinical Insight

「FMAのスコアだけをカンファレンスで読み上げても、他職種には伝わりません。『共同運動は出ているが分離運動がまだ』のように、患者さんの動きが目に浮かぶ言葉に変換して伝えましょう」

「特に病棟看護師には、C項目の結果から『どの持ち方ならこぼさず食事できるか』を具体的に伝えると、実際のADL場面で活きてきます」

職種 この場面での評価項目 主な介入内容 他職種との連携ポイント
PT 下肢FMA・バランス項目、歩行分析 起居動作・歩行練習、下肢促通 OTへ座位・立位保持能力を共有し上肢課題の難易度設定に活用
OT 上肢FMA・手指・感覚項目 ADL訓練、上肢促通、自助具選定 STへ注意・失行など高次脳機能の情報共有を依頼
ST 構音・嚥下・高次脳機能評価 摂食嚥下訓練、言語訓練 OT・PTへ半側空間無視の有無を共有(第04章の鑑別に直結)
看護師 病棟ADL場面での実行状況観察 病棟内ADL誘導、安全管理 セラピストへ病棟での実際の麻痺側使用状況をフィードバック
医師 神経学的所見、画像診断 薬剤調整、装具処方の判断 リハビリスタッフへ禁忌・注意事項を共有
MSW 退院後の生活環境・社会資源 退院支援、福祉サービス調整 全スタッフへFMAスコアを踏まえた退院時期・目標を共有
08
Pitfalls

新人が陥りやすいつまずき。

FMAは採点ルールが細かいぶん、慣れないうちは判断に迷う場面が多い評価法です。よくある3つのつまずきを先に知っておくと、実施がぐっとスムーズになります。

Pitfalls — よくある失敗パターン
新人臨床家が陥りやすい3つのつまずきポイント
!
代償運動を見逃して過大評価する:A-Ⅱ〜A-Ⅳの共同運動評価は、体幹回旋や肩甲骨挙上を使えば見かけ上「できて」しまいます。可能な限りビデオ撮影を行い、後から代償の有無を確認する習慣をつけましょう。
!
抵抗のタイミングと方向を誤る:B項目・C項目は「保持できるか」だけでなく「抵抗に抗せるか」が採点を分けます。抵抗をかける方向(真上、斜め下など)を項目ごとに正しく理解しておく必要があります。
!
可動域制限時の採点ルールを誤解する:他動ROM制限がある関節を「動かせないから0点」としてしまうミスです。動作可能な範囲内での最大パフォーマンスで採点するのが正しいルールです。

先輩からのひとこと

Mentor’s Voice

「完璧に採点できなくても大丈夫。まずは同じ患者さんを同じ検者(あなた自身)が繰り返し評価することから始めましょう。検者内の一貫性があれば、変化は十分に追えます」

「迷ったら『非麻痺側と比べてどうか』を基準にすること。FMAの多くの項目はこの相対評価の発想で判断できます」

採点基準を暗記するより先に、「何を確認するための項目か」を理解すると、迷いは驚くほど減ります。
09
Prognosis & Goal Setting

重症度分類と予後・ゴール設定。

FMAの運動機能スコア(100点満点)には、Duncanら(1994)による重症度分類が広く用いられています[観察研究](Duncan PW, et al. Stroke. 1994;25(6):1181-1188)。このカットオフ値はリハビリの目標設定や予後予測に活用できます。

運動機能スコア 重症度 解釈・ゴール設定の目安
0〜35点 非常に重度(Severe) 共同運動の獲得が優先目標。ミラーセラピー等の導入を検討
36〜55点 重度(Severe-Moderate) 分離運動の獲得へ移行。促通反復療法の適応を検討
56〜79点 中等度(Moderate) 課題指向型トレーニングやmCIMTの導入を検討
80点以上 軽度(Mild) 天井効果に注意。ARAT・WMFT併用で微細な変化を追う
Goal Setting
MCIDを使ったゴール設定の実践

FMA-UEのMCID(4.25〜7.25点)を超える変化は臨床的に有意な改善と解釈できます。月1回のFMA再評価でMCIDを超える改善が確認できれば、現在のプログラムが有効と判断できます。逆にMCIDに達しない場合は、介入内容・頻度・強度の見直しを検討するタイミングです。ゴール設定の際は「◯週間で+5点(1つ上の重症度分類へ)」のように、期間とスコア変化を具体的に組み合わせることをおすすめします。

重症度分類は「今どこにいるか」、MCIDは「次の一歩をどう測るか」を教えてくれます。
10
FAQ

よくある質問。

Q.FMAとFIMの違いは何ですか。
A.

FMAは運動機能・感覚・バランス・関節可動域・関節痛という身体機能を定量評価するスケールです。一方FIMは食事や移動などADLの自立度を評価する指標であり、評価対象の階層が異なります。FMAで機能障害を把握し、FIMで生活での実行状況を把握するという役割分担で併用されることが一般的です。

Q.FMAは何分くらいかかりますか。
A.

全226項目を実施すると30〜45分程度かかります。運動機能項目のみ(上肢66点・下肢34点)であれば約20分程度で実施可能です。忙しい臨床現場では運動項目のみの部分実施も妥当性が確認されています。

Q.FMA-UEのMCIDはどのくらいですか。
A.

Pageら(2012)の報告では、慢性期の軽度〜中等度障害者においてFMA上肢運動スコア(FMA-UE)のMCIDは4.25〜7.25点とされています。この数値を超える変化があれば、臨床的に意味のある改善と判断できます。

Q.FMAとブルンストロームステージはどちらを使うべきですか。
A.

どちらか一方を選ぶというより目的に応じた使い分けが推奨されます。ベッドサイドでの簡便なスクリーニングにはブルンストローム、研究や定量的な経過観察にはFMAが適しています。日常臨床では併用することで質的変化と量的変化の両方を捉えられます。

Q.関節可動域制限がある場合の採点はどうすればよいですか。
A.

被験者が他動的に動かせる範囲内で、その範囲の中での最大パフォーマンスを採点します。可動域制限そのものは運動機能の問題として減点しないというルールを理解しておくことが重要です。

Q.FMAだけで上肢機能を十分に評価できますか。
A.

FMA-UEが60点以上の軽度障害者では天井効果が報告されており、微細な変化を捉えにくくなります。ARAT(Action Research Arm Test)やWMFT(Wolf Motor Function Test)など他の評価法との併用が推奨されます。

11
Our Program

STROKE LABのプログラム。

FMAスコアは「現在地」を示す地図です。しかし、スコアだけでは回復の道筋は見えません。STROKE LABでは、FMAの各サブスコアを分析し、脳科学の知見に基づいたリハビリプログラムに直結させています。療法士の育成にも力を入れており、専門的な評価技術の教育や、自費リハビリとしての個別プログラムをご提供しています。

STROKE LAB式
FMAスコアから個別プログラムを設計
— 回復段階に合わせた課題設定
共同運動パターンの分析から回復段階を臨床推論
MCID(4.25〜7.25点)を活用した具体的な目標設定
C項目の結果に基づく把握パターン別の個別練習メニュー
月1回のFMA再評価で進捗を可視化
Multidisciplinary
脳の可塑性と多職種連携
— チームで支える回復
反復量・課題複雑性・フィードバックを可塑性研究に基づき最適化
PT・OT・STがチームとして統合的にプログラムを設計
ご家族への説明・セルフトレーニング指導も実施
Voice from Mentors

「発症4ヶ月の利用者さんで、FMA-UEが52点から改善しない時期がありました。共同運動評価(A-Ⅱ)は満点でしたが、分離運動(A-Ⅳ)がほぼ0点だったんです。そこでミラーセラピーと促通反復療法を1日30分ずつ、週5回に切り替えました。3ヶ月後、A-Ⅳの複数項目が2点に到達し、FMA-UEは61点まで改善。MCIDの2倍近い変化が出て、利用者さん自身が『腕が自分のものに戻ってきた』とおっしゃったのが印象的でした」— 作業療法士・臨床経験8年・脳卒中上肢機能専門

「新人時代、FMAの共同運動評価で代償運動を見抜けず、実際より高い点数をつけてしまったことがあります。先輩にビデオで指摘され、体幹のわずかな回旋が採点を狂わせていたと気づきました。それ以来、A-Ⅱ〜A-Ⅳは必ず横からも動画を撮るようにしています。この経験があったからこそ、後輩指導では『真横からの確認』を口を酸っぱくして伝えています」— 理学療法士・臨床経験6年・回復期病棟勤務

Message from CEO
スコアが伸び悩む時期があっても、
諦めないでください。
STROKE LAB代表 金子唯史 ポートレート

FMAスコアの数字は、努力の全てを表すわけではありません。共同運動から分離運動へ移る過程には、目に見えにくい神経学的な変化が積み重なっています。

私たちSTROKE LABは、その見えにくい変化を数値と専門知識で可視化し、次の一手につなげることを使命としています。

東京・大阪の施設で、一人ひとりの回復フェーズに寄り添ったプログラムをご用意してお待ちしています。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

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References

参考文献。

01Fugl-Meyer AR, Jaasko L, Leyman I, et al. The post-stroke hemiplegic patient. 1. a method for evaluation of physical performance. Scand J Rehabil Med. 1975;7(1):13-31.
02Baker K, Cano SJ, Playford ED. Outcome measurement in stroke: a scale selection strategy. Stroke. 2011;42(6):1787-94.
03Gladstone DJ, Danells CJ, Black SE. The Fugl-Meyer assessment of motor recovery after stroke: a critical review of its measurement properties. Neurorehabil Neural Repair. 2002;16(3):232-240.
04Duncan PW, Goldstein LB, Horner RD, et al. Similar motor recovery of upper and lower extremities after stroke. Stroke. 1994;25(6):1181-1188.
05Page SJ, Fulk GD, Boyne P. Clinically important differences for the upper-extremity Fugl-Meyer Scale in people with minimal to moderate impairment due to chronic stroke. Phys Ther. 2012;92(6):791-798.
06Twitchell TE. The restoration of motor function following hemiplegia in man. Brain. 1951;74(4):443-480.
07Nudo RJ, Milliken GW, Jenkins WM, Merzenich MM. Use-dependent alterations of movement representations in primary motor cortex of adult squirrel monkeys. J Neurosci. 1996;16(2):785-807.
08French B, Thomas LH, Coupe J, et al. Repetitive task training for improving functional ability after stroke. Cochrane Database Syst Rev. 2016;(11):CD006073.
09Wolf SL, Winstein CJ, Miller JP, et al. Effect of constraint-induced movement therapy on upper extremity function 3 to 9 months after stroke: the EXCITE randomized clinical trial. JAMA. 2006;296(17):2095-2104.
10Thieme H, Morkisch N, Mehrholz J, et al. Mirror therapy for improving motor function after stroke. Cochrane Database Syst Rev. 2018;(7):CD008449.
11金子唯史. 脳卒中の動作分析. 医学書院. 2018.
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