10か月で伝い歩きしない赤ちゃん|立位バランスと足の使い方 – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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10か月で伝い歩きしない赤ちゃん|立位バランスと足の使い方

10-MONTH CRUISING

横へ進むには、片足で支えながら反対側の足を軽くできることが必要です

「つかまり立ちはするのに、横へ動かない」「同じ月齢の子はもう伝い歩きしている」——10か月は、立つ力から横へ移動する力へ変わる途中です。伝い歩きは、足を横へ出すだけではありません。支える足へ体重を預け、反対側の足を軽くする準備が必要です。月齢だけで判断せず、家庭で見たい姿勢と相談目安を整理します。

UPDATED2026
READ約14分
FOR10か月前後の保護者へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』(2024年・408頁)の著者が執筆しています。10か月で伝い歩きをしないことだけでは、発達の遅れや病気とは判断できません。まず乳幼児健診や小児科で発達と安全を確認し、STROKE LABは姿勢・運動・家庭環境を整理する立場から併走します。

自宅での様子

Quick Reference
最初に知ってほしい5つのこと。
01
10か月で伝い歩きをしないことだけでは、発達の遅れと判断できません
02
伝い歩きは、立位保持、横への重心移動、手の持ち替えがつながった動きです
03
最初の横一歩では、動かす足よりも反対側の足で支えられるかが重要です
04
家庭では、歩かせるよりも安全に自分で試せる家具と床を整えます
05
退行、強い左右差、荷重できない、痛みがある場合は月齢を待たず相談します
01
Not A Deadline

10か月で伝い歩きをしなくても、すぐ遅れとはいえません。

A Parent’s Voice
「立てるのに、どうして横へ歩かないの?」

同じ10か月でも、つかまり立ちを始めたばかりの赤ちゃんもいれば、家具に沿って移動する赤ちゃんもいます。伝い歩きは、公的な日本の乳幼児身体発育調査では独立した項目として調べられていません。

そのため、10か月で伝い歩きがないという一点だけで、発達の遅れを判定することはできません。今ある準備動作と、増えている変化を見ます。

令和5年乳幼児身体発育調査では、つかまり立ちができる割合は9〜10か月未満で81.3%、10〜11か月未満で88.1%、11〜12か月未満で96.3%でした。10〜11か月未満では、約12%がまだつかまり立ちをしていない計算です。一方、ひとり歩きは同じ10〜11か月未満で9.0%でした。10か月は、立位と歩行の間にある多様な準備を経験している時期と考えられます。

Evidence
研究・公的情報から分かる範囲。

日本の調査:10〜11か月未満のつかまり立ち通過率は88.1%です。ただし、伝い歩きは調査項目ではありません。

WHOの多国籍研究:支えを使った歩行の達成時期は、健康児でも1〜99パーセンタイルで5.9〜13.7か月と幅がありました。家具沿いの伝い歩きと完全に同じ定義ではありません。

CDC:家具につかまって歩く動作は1歳のマイルストーンに含まれます。ただし、マイルストーン表は正式な発達スクリーニングの代わりではありません。

限界:月齢の統計は個人の診断を行うものではありません。早産児では修正月齢を考慮し、持病、出生歴、全身状態、発達全体によって見方が変わります。公的情報は診察や健診の代わりではありません。
02
Movement Chain

伝い歩きは、「立つ」から「横へ移る」までの連鎖です。

伝い歩きでは、両足を同時に動かすわけではありません。最初に横のおもちゃや移動先へ視線を向け、手を持ち替え、体重を片足へ移します。その結果、反対側の足が軽くなり、横へ置き直せます。

01 視線
横の目標を見る
おもちゃや保護者へ顔と目を向けます。
02 手
支える手を持ち替える
胸を家具へ預けず、片手を動かす余裕を作ります。
03 支持脚
片足へ体重を預ける
骨盤が支える足の上へ移り、姿勢を保ちます。
04 遊脚
反対の足を横へ置く
軽くなった足を持ち上げ、着地点へ置きます。

掴まりだtから横歩きへのステップ

03
Five Conditions

立てるのに横へ進まないとき、5つに分けて見ます。

1. 立位を保つだけで精いっぱい

両手で強くつかみ、胸やお腹を家具へ押しつけている場合は、手や足を動かす余裕がまだ少ないことがあります。

2. 横へ体重を移す経験が少ない

立ったまま体が中央で固まり、横のおもちゃへ手を伸ばしても骨盤が動かないと、片足を軽くしにくくなります。

3. 手を持ち替えると不安定になる

両手支持から片手支持へ変わる瞬間に不安が強いと、足の移動より先に手が家具へ戻ります。

4. 足裏より、つま先へ体重が集まる

家具が高い、体が前へ倒れている、床が滑るなどの条件で、足裏全体を使いにくいことがあります。

5. 左右で支えやすさが違う

一方向だけ進む、同じ足だけを先に出す、片側へ体重をかけたがらない場合は、左右を別々に観察します。

04
STROKE LAB’s View

動かす足よりも、「支える足」を先に見ます。

Clinical Reasoning
横へ出ない足を、無理に動かすだけでは分かりません。

最初の一歩で重要なのは、反対側の足に体重を預けられるかです。支える足の股関節、膝、足首が安定し、骨盤がその足の上へ移ると、動かしたい足が軽くなります。

さらに、足が動く直前に家具を握る力が強くなるかを見ます。手の緊張が急に増える場合、足の問題だけでなく、片手支持や横方向のバランスへの不安が背景にあるかもしれません。

もう一つは、最初の数回と疲れた後の違いです。始めは足裏全体で立てても、疲れると胸を家具へ預け、つま先立ちや左右差が増えることがあります。できたかどうかだけでなく、どの条件で動きが変わるかを見ます。

05
Home Setup

家庭では、歩かせるより「自分で試せる条件」を整えます。

赤ちゃんが起きていて、保護者が手の届く範囲で見守れる時間に行います。嫌がる、疲れる、転倒が増える場合は中止します。完成した伝い歩きを反復させるのではなく、横を見る、片手を離す、少し体重を移すといった小さな試行を大切にします。

家具を安定させる
押して動く椅子ではなく、転倒や移動のない低い家具を使います。角や硬い縁も確認します。
足裏が床につく高さ
胸を高く持ち上げすぎず、足裏全体を床へ置きやすい高さを選びます。
おもちゃは真横へ少しだけ
届かなすぎる位置ではなく、手を持ち替えれば届きそうな場所に置きます。
左右を分けて観察する
右方向と左方向を別々に試し、支えやすさや足の出方の違いを見ます。

掴まり立ち・伝い歩きの環境を整えよう

避けたい関わり。

避けたいこと 理由と代わりの方法
両腕を上へ引いて歩かせる 自分で重心を移す経験が少なくなります。家具での片手支持や横リーチを優先します。
足を大人が横へ運ぶ 支える足への荷重が整う前に形だけを作ることがあります。足が軽くなる条件を待ちます。
長時間立たせ続ける 疲労で胸を預ける、つま先立ちが増えることがあります。短く、遊びの中で行います。
車輪付き歩行器を練習に使う AAPは安全性の問題と、歩行学習に役立たない点から推奨していません。固定された安全な遊び場を使います。
同月齢と回数を比べる 発達の順序と時期には幅があります。本人の準備動作が増えているかを見ます。
06
Watch Or Ask

「できたか」より、変化・左右差・全身状態で相談を考えます。

経過を見やすい変化 早めに相談したい様子
つかまり立ちが少しずつ安定する
横のおもちゃへ手を伸ばす
片手を短く離すことがある
しゃがもうと膝を曲げる
左右の足をどちらも使う
以前できた動きが減った
片側へほとんど体重をかけない
足で体重を支えられない
いつも強く突っ張る、極端に崩れる
立つと痛がる、機嫌や全身状態が悪い
医療を優先するサイン
顔色や呼吸の異常、けいれんのような動き、急な片側の脱力、意識の変化、強い痛みや外傷後の異常がある場合は、発達相談を待たず医療機関へ連絡してください。
07
Assessment

専門的な評価では、「横へ進まない」を分けて考えます。

評価の目的は、伝い歩きを無理に完成させることではありません。立位保持、手の支持、左右への重心移動、足裏接地、座る・立つ姿勢変換、視線や意欲を分け、どの条件なら本人が動きやすいかを確認します。

見える様子 評価で分けること
立てるが両足が動かない 立位保持の余裕、家具への預け方、側方への重心移動を確認します。
一方向だけ進む 左右それぞれの支持脚、手の持ち替え、骨盤と体幹の向きを比べます。
足を出すと転ぶ 支える足へ十分に乗れているか、着地点を見ているか、手の支持が残るかを見ます。
いつもつま先立ち 家具の高さ、胸と家具の距離、足首の動き、足裏への荷重、左右差を確認します。
立てるが座れない 膝を曲げて重心を下げる力、手を離す不安、床までの距離への反応を見ます。
Medical First, Rehabilitation Alongside
診断や医学的な確認は、乳幼児健診・小児科が先です。
STROKE LABでは、保護者の「横へ進まない」という不安を、姿勢、支持、重心移動、左右差、環境条件へ翻訳し、家庭で観察しやすい形に整理します。

小児リハビリについて見る

Consultation Memo
健診や小児科で伝える7項目。
  • つかまり立ちを始めた時期
  • 家具につかまって立てる時間と、胸やお腹の預け方
  • 右方向・左方向で手や足の出方が違うか
  • 足裏全体がつくか、つま先立ちが続くか
  • 座る、はいはい、膝立ち、しゃがむなど他の動き
  • 以前できた動きが減っていないか、痛がらないか
  • 普段の動きを撮影した短い動画
Why Early Assessment Matters

乳児期の運動発達で強い左右差、退行、筋緊張の偏りなどが気になる場合、標準化された発達・神経学的評価を組み合わせて早期に確認する重要性が報告されています。

限界:Novakらの2017年レビューは、主に脳性麻痺の早期診断を扱った研究です。10か月で伝い歩きをしない健康児全体に、疾患や特定の介入効果を当てはめる根拠ではありません。この記事では、明らかな懸念がある場合に早めに専門評価へつなぐ考え方の根拠として引用しています。
08
Developmental Range

月齢ごとに、「完成」ではなく準備の広がりを見ます。

月齢の目安 増えやすい経験 家庭で見ること
8〜9か月頃 座位、床での移動、膝立ち、低い台への手の支持 左右へ手を伸ばし、姿勢を変えられるか
9〜10か月頃 つかまり立ち、立位で両足へ体重をかける 家具への預け方、足裏接地、立った後の降り方
10〜11か月頃 片手支持、横への重心移動、伝い歩きの始まり 支える足へ乗り、反対の足が軽くなるか
11〜12か月頃 伝い歩き、家具間の移動、短い片手離し 左右差、方向転換、しゃがんで戻る動き
12〜15か月頃 ひとり立ち、一歩、支えなし歩行への移行 移動方法が増えるか、転倒後に再び試せるか

月齢は目安であり、すべての赤ちゃんが同じ順序・時期で進むわけではありません。早産の場合は修正月齢を考慮します。伝い歩きの有無だけではなく、発達全体、左右差、全身状態を含めて判断します。

赤ちゃんの運動発達の目安

09
FAQ

よくある質問。

Q. 10か月で伝い歩きをしないのは遅いですか?

10か月で伝い歩きをしていないことだけで、発達が遅れているとは判断できません。令和5年乳幼児身体発育調査では、10〜11か月未満でつかまり立ちができる割合は88.1%でしたが、同調査に伝い歩きの項目はありません。立つ準備、左右への体重移動、手の持ち替え、足裏の支持が少しずつ増えているかを一緒に見ます。

Q. つかまり立ちはできますが、横へ歩きません。何を見ればよいですか?

家具につかまって立てる場合は、横のおもちゃへ手を伸ばせるか、骨盤が左右へ動くか、片足へ体重を預けたときに反対側の足が軽くなるかを見ます。両足が動かないように見えても、手の持ち替えや横への体重移動が増えていれば、伝い歩きの準備が進んでいることがあります。

Q. ハイハイをしないと、伝い歩きも遅れますか?

ハイハイをしないことだけで、伝い歩きが遅れるとは限りません。発達の順序には幅があり、WHOの研究でも手と膝を使うハイハイを経験しない健康児がいました。ただし、床での移動経験、座位から立位への移行、左右の手足を使う経験が少ない場合は、全体の動きとして健診や小児科で相談すると安心です。

Q. つま先立ちで家具につかまるのは大丈夫ですか?

一時的につま先へ体重が移ることはあります。家具が高い、体を前へ預けている、興奮して伸び上がっているなど、環境によって変わることもあります。一方で、いつもかかとが下がらない、片側だけ強い、足をつくと痛がる、体が強く突っ張る場合は、月齢を待たずに小児科や乳幼児健診で相談してください。

Q. 手を持って歩かせる練習は必要ですか?

完成した歩行を大人が何度も作る必要はありません。安定した家具につかまり、自分で横へ手を伸ばす、片足へ体重を移す、しゃがんで戻るなど、本人が試せる遊びを優先します。手を支える場合も、腕を強く引き上げず、転倒しない範囲で短く行い、嫌がるときは中止してください。

Q. どのような場合に小児科や健診で相談すべきですか?

以前できていた動きができなくなった、片側の手足をほとんど使わない、足へ体重をかけられない、痛がる、強い左右差や突っ張りが続く場合は早めの相談が安心です。顔色や呼吸の異常、けいれんのような動き、急な脱力や意識の変化がある場合は、発達相談を待たず医療機関へ連絡してください。
10
STROKE LAB

STROKE LABの小児リハビリ。

STROKE LAB(東京・大阪)では、「伝い歩きをしない」という結果だけでなく、家具への預け方、手の支持、骨盤の移動、支える足、足裏、左右差、疲れた後の変化を確認します。診断や医学的判断は小児科・主治医を尊重し、私たちは生活と運動の側から併走します。

Message & Clinical Backbone
月齢の不安を、
今日見られる動きへ。
STROKE LAB代表 金子唯史

発達の節目が近づくと、「まだできない」という言葉が大きく見えます。しかし、動きは突然完成するのではなく、視線、手、体幹、骨盤、足裏の小さな変化がつながって生まれます。

私たちは、できない動きを繰り返すのではなく、次の動きが出やすくなる条件を探すことを大切にしています。

乳幼児健診や小児科での確認とあわせて、姿勢や家庭での関わりを整理したい場合はご相談ください。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史
書籍『脳の機能解剖とリハビリテーション』の表紙
Book
脳の機能解剖とリハビリテーション
医学書院/2024年/408頁|脳の領域別からリハビリテーション方法を提案する専門書

姿勢や運動を一つの筋肉だけで見ず、感覚、支持面、身体各部の連鎖として考える専門書です。乳児の動きを、結果ではなく条件から理解する視点にもつながります。

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References

本記事は、公的な発達情報、一次研究、AAPの安全情報と、STROKE LABの臨床的な動作観察をもとに構成しています。診断や治療に代わるものではありません。お子さんの状態についての判断は、乳幼児健診、かかりつけの小児科医、主治医へご相談ください(最終確認日:2026年7月28日)。

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