脳性麻痺の子どもの経過の見方|乳児期から学童期まで年代別の関わり – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
  1. HOME
  2. ブログ
  3. 小児リハビリ
  4. 脳性麻痺の子どもの経過の見方|乳児期から学童期まで年代別の関わり
小児リハビリ

脳性麻痺の子どもの経過の見方|乳児期から学童期まで年代別の関わり

CEREBRAL PALSY COURSE

乳児期から学童期まで、成長に合わせて支援の焦点を変える

「この先、どんなふうに成長していくのだろう」。脳性麻痺と診断されたあと、保護者の方が最も知りたいのは、今日の状態だけでなく、これからの見通しです。脳性麻痺は非進行性の脳の損傷に由来しますが、成長に伴って、姿勢・手・歩行・学校生活で困りごとの見え方が変わることがあります。だからこそ、年代ごとに「今育てる動き」を見直す視点が大切です。

UPDATED2026
READ約13分
FOR脳性麻痺のお子さんの保護者へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』(2024年・408頁)の著者が執筆しています。医療・健診が先、私たちは併走する立場です。診断、投薬、ボツリヌス療法、手術、装具処方などの医学的判断は主治医の領域です。顔色や呼吸の異常、けいれん様の動き、哺乳不良、急な片麻痺がある場合は、リハビリより先に医療機関へご相談ください。

机上訓練

Quick Reference
年代別に見直したい5つのポイント。
01
脳性麻痺は非進行性ですが、成長に伴って症状の見え方は変わります
02
乳児期は、姿勢・左右差・抱っこ・うつ伏せでの支え方を見ます
03
幼児期は、座る・立つ・歩く・手を使う動きが生活の中で増えます
04
学童期は、疲労・痛み・学校参加・装具や環境の見直しが重要になります
05
GMFCSは見通しの手がかりですが、生活動作と個人差を合わせて見ます
01
A Parent’s Question

この先どうなるのか、不安な保護者へ。

The Course Is Not A Straight Line
「歩けるか」だけでなく、「どの年齢で何に困るか」を見る。

脳性麻痺の経過を考えるとき、保護者の方は「将来歩けるのか」「手は使えるようになるのか」「学校生活は大丈夫か」と、先のことを一度に心配します。その不安は自然なものです。

ただ、経過は一直線ではありません。乳児期には姿勢や左右差が中心でも、幼児期には移動や遊び、学童期には疲労や参加が目立つことがあります。大切なのは、年齢ごとに評価の焦点を変え、目標を更新し続けることです。

脳性麻痺は、胎児期から乳幼児期の発達の早い時期に起きた脳の損傷により、姿勢や運動に影響が出る状態です。損傷そのものが年齢とともに進行していく病気ではありません。一方で、成長に伴って体重、身長、活動量、学校生活、友人関係が変わるため、困りごとの見え方は変わります。

たとえば、乳児期には「抱っこで反り返る」「片手を握りこむ」が気になっていた子が、幼児期には「つま先立ち」「転びやすさ」「片手を使わない」として見えてくることがあります。さらに学童期には、授業中の姿勢、書字、体育、通学時の疲れやすさ、痛み、装具や靴の合いにくさが問題になることもあります。

乳児期から学童期

02
Non Progressive, But Changing

経過は「進行」ではなく、見え方の変化。

脳性麻痺の説明で混乱しやすいのが、「非進行性」と「症状が変わる」という2つの言葉です。非進行性とは、原因となる脳の損傷そのものが進行していくわけではない、という意味です。ただし、運動の使い方、筋緊張、関節の硬さ、疲れやすさ、活動量は、成長とともに変化します。

そのため、「前より歩き方が硬く見える」「小学校に入ってから疲れが目立つ」「身長が伸びて装具が合わなくなった」といった変化は、脳の損傷が進んだというより、成長した体と生活環境の中で、運動課題が変わった結果として見えることがあります。

Key Point
「何歳で何ができるか」だけでなく、「どの条件で崩れるか」を見る

発達のチェックでは、月齢や年齢に対して何ができるかも大切です。しかし脳性麻痺のお子さんでは、疲れたとき、急いだとき、片手で物を持ったとき、床が変わったときなど、条件が変わったときの動きも重要です。そこに、次に支えるべき動きのヒントがあります。

03
Infancy

乳児期に見ること。姿勢・左右差・支え方。

乳児期は、診断名だけを見る時期ではありません。首すわり、寝返り、うつ伏せ、座位といった運動発達を見ながら、どの姿勢で安心して体を使えるかを確認します。抱っこで反り返る、片側ばかり向く、片手を握り込みやすい、うつ伏せで肘が前に出にくい、といった小さなサインが、後の動きにつながることがあります。

この時期の関わりで大切なのは、強く矯正することではなく、赤ちゃんが安心して体を預けられる姿勢をつくることです。骨盤や胸郭が安定すると、肩甲骨や手が前に出やすくなり、見る、触る、口に運ぶといった探索が増えます。探索が増えることは、運動だけでなく認知やコミュニケーションの土台にもなります。

見るポイント 家庭での関わり
反り返り・抱きにくさ 頭だけを押さえず、骨盤と胸郭が丸くまとまる抱き方を探します
手の左右差 使いにくい側を無理に開かせず、肩甲骨が前に出る姿勢で手を見せます
うつ伏せの支え 肘が体の下に入りすぎないよう、胸の下に薄いタオルを入れて支えを助けます
04
Toddler And Preschool

幼児期に見ること。移動・手・遊び。

幼児期になると、寝返りや座位だけでなく、立つ、歩く、階段、遊具、着替え、食事など、生活の中で求められる動きが一気に増えます。この時期は、できるかできないかだけでなく、どの姿勢ならできるか、どこで力が入りすぎるか、どの動きで片側が参加しにくいかを見ることが大切です。

歩行では、つま先立ち、膝の突っ張り、はさみ足、体幹の傾き、転びやすさが見えてくることがあります。手では、使いやすい側ばかり使う、両手で支えにくい、袖通しやスプーン操作で片側が参加しにくいといった形で現れます。ここで必要なのは、苦手な筋肉だけを鍛えることではなく、姿勢の土台から動作全体を組み立てる視点です。

脳性麻痺の就学前は座る、立つ、歩く、手を使うが育ちあう

Clinical View
遊びは、子どもにとって最も自然な課題練習

幼児期のリハビリでは、単調な運動をくり返すより、積み木、ボール、ままごと、着替え、遊具など、本人が意味を感じる活動の中で動きを引き出すことが大切です。遊びの中に、立つ、手を伸ばす、両手を使う、体をひねる、待つ、選ぶといった要素を入れていきます。

05
School Age

学童期に見ること。疲労・参加・環境。

学童期では、運動だけでなく、生活と社会参加の視点が強くなります。授業中に姿勢を保てるか、給食で手を使えるか、トイレや着替えをどうするか、体育や通学で疲れすぎないか、友達との遊びに参加できるか。学校生活は、脳性麻痺の経過を見直す大きな場面です。

また、体が大きくなることで、筋肉や関節への負担も変わります。以前は合っていた装具や靴が合わなくなる、椅子や机の高さが合わない、長距離歩行で痛みが出る、夕方になると歩き方が崩れる、といった変化もあります。学童期のリハビリでは、体の機能だけでなく、学校・家庭・移動手段・休憩の取り方を含めて組み立てます。

学童期に出やすい悩み 見る視点
授業中に姿勢が崩れる 机・椅子の高さ、足底の接地、骨盤の支え、疲労の時間帯を確認します
体育や通学で疲れやすい 距離、速度、坂道、階段、荷物、装具の適合、休憩の取り方を見直します
手を使う課題が増える 書字、はさみ、給食、ランドセル、着替えで、両手の役割分担を整理します

立位と坐位の場面

06
Evidence

研究でわかっていること。

脳性麻痺の経過を考えるうえで、GMFCSは重要な手がかりになります。GMFCSは、座る、移動する、歩くといった粗大運動機能を5段階で整理する分類です。将来を一つに決めるものではありませんが、年齢ごとの見通しや支援内容を考える際の共通言語になります。

Evidence
GMFCS別の発達曲線は、経過を一緒に見るための地図になる

Rosenbaumらは、脳性麻痺児の粗大運動発達をGMFCS別に整理し、運動発達の見通しを考えるための曲線を示しました。これは「この子はここまで」と決めるためではなく、今の位置と次に支えるべき課題を家族と専門職が共有するための地図として役立ちます。

限界注記:研究は集団の傾向を示すもので、個々のお子さんの経過を一つに決めるものではありません。対象年齢、GMFCSレベル、合併症、治療歴、発達段階、家庭・学校環境によって変動します。医学的治療の代替ではありません。

出典:Rosenbaum PL, et al. JAMA. 2002;288(11):1357-1363.

介入については、目標志向の課題練習、家庭プログラム、環境調整など、生活の中の具体的な目標に沿った練習が重視されています。脳性麻痺のリハビリは、年齢とGMFCSレベル、本人と家族の希望、学校や家庭の環境を合わせて選ぶ必要があります。

Evidence
「本人と家族が選ぶ目標」と「実際の課題練習」が鍵

Jackmanらのレビューでは、脳性麻痺の子ども・若者の身体機能を高める介入では、本人や家族が選んだ目標と、その目標に近い全体課題の練習を含めることが重要とされています。年代別に目標を見直すNo.79の考え方と相性がよいエビデンスです。

限界注記:研究は集団の傾向を示すもので、個々のお子さんの経過を一つに決めるものではありません。対象年齢、GMFCSレベル、合併症、治療歴、発達段階、家庭・学校環境によって変動します。医学的治療の代替ではありません。

出典:Jackman M, et al. Dev Med Child Neurol. 2022;64(5):536-549. / Novak I, et al. Curr Neurol Neurosci Rep. 2020;20(2):3.
07
What We Work On

専門リハで取り組めること。

Bridge Message
診断・医学的治療は主治医。STROKE LABは、生活と動きの側から併走します。
What We Work On — At STROKE LAB
年代ごとに、目標を更新する。
乳児期・幼児期・学童期で、「今育てる動き」は変わります。

1. 姿勢・運動の土台づくり。乳児期から幼児期にかけて、骨盤、体幹、胸郭、肩甲帯、足部の関係を見ながら、安心して体を支えられる姿勢を探します。反り返りや左右差を、単なる癖ではなく運動の入り口として見ます。

2. GMFCSと生活目標を合わせた設計。GMFCSは見通しの地図ですが、生活は一人ひとり違います。歩行、座位、手の使い方、移動手段、学校での参加を合わせて、その時期に必要な目標を具体化します。

3. 家庭・学校プログラムと保護者コーチング。リハビリの時間だけでなく、毎日の抱っこ、遊び、着替え、通学、休憩の取り方が経過に関わります。家庭や学校で無理なく続けられる形に落とし込みます。

STROKE LABが大切にするのは、機能解剖と動作分析で「今育とうとしている動き」を見極め、年齢と生活に合わせて目標を更新することです。効果や経過には個人差があり、発達の段階で目標も変わります。診断、投薬、ボツリヌス療法、手術、装具処方などの医学的判断は主治医の役割です。私たちは生活と動きの側から併走します。

Evidence
十分な量の練習は、生活の目標とつながるほど続きやすい

脳性麻痺の介入エビデンスでは、目標志向、課題ベース、家庭プログラムなど、生活に近い練習が重視されています。年代別に「今の生活で何を増やしたいか」を決めることで、練習が日常に入りやすくなります。

限界注記:研究は集団の傾向を示すもので、個々のお子さんの経過を一つに決めるものではありません。対象年齢、GMFCSレベル、合併症、治療歴、発達段階、家庭・学校環境によって変動します。医学的治療の代替ではありません。

出典:Novak I, et al. Curr Neurol Neurosci Rep. 2020;20(2):3. / Jackman M, et al. Dev Med Child Neurol. 2022;64(5):536-549.
08
FAQ

よくある質問。

Q. 脳性麻痺の経過は、年齢とともに悪くなっていくのですか?

脳性麻痺そのものは、発達の早い時期に起きた脳の損傷に由来する非進行性の状態です。ただし、体が大きくなる、活動量が増える、学校生活が始まるなどの変化により、姿勢・歩行・手の使い方・疲れやすさの見え方は変わります。悪くなったと決めつけず、成長に合わせて評価し直すことが大切です。

Q. 乳児期は、何を見ておくとよいですか?

乳児期は、首すわりや寝返りの時期だけでなく、抱っこのしやすさ、反り返り、左右差、手を開くか、うつ伏せで肘が支えになるかを見ます。顔色、呼吸、けいれん様の動き、哺乳不良、急な片側の動きにくさがある場合は、リハビリより先に医療機関へ相談してください。

Q. 幼児期は、どんな関わりが大切ですか?

幼児期は、座る、立つ、歩く、遊ぶ、着替えるなど、生活の中で動きが増える時期です。姿勢の土台を整えながら、遊びの中で手を使う、立つ、移動するなど、本人がやりたい課題に近い形で練習します。無理に伸ばす、嫌がる練習を長く続けるより、動きやすい環境と成功しやすい課題をつくることが大切です。

Q. 学童期になると、リハビリの目標は変わりますか?

変わります。学童期は、歩けるかどうかだけでなく、通学、体育、授業中の姿勢、書字、給食、トイレ、友達との遊び、疲労や痛みまで含めて目標を見直します。成長に伴って装具や靴、椅子、机の高さが合わなくなることもあるため、学校生活とつなげて評価することが大切です。

Q. GMFCSは、経過を見るうえで必要ですか?

GMFCSは、脳性麻痺のお子さんの粗大運動機能を大まかに整理する分類です。将来を一つに決めるものではありませんが、年齢ごとの見通しや、練習量、移動手段、環境調整を考える手がかりになります。同じGMFCSレベルでも個人差があるため、実際の生活動作と合わせて見ます。

Q. STROKE LABでは、脳性麻痺の経過にどう関わりますか?

診断、投薬、ボツリヌス療法、手術、装具処方などの医学的判断は主治医の領域です。STROKE LABでは、姿勢・手・歩行・生活動作を機能解剖と動作分析で見直し、年齢に合わせて目標を更新します。医療・健診が先、私たちは生活と動きの側から併走する立場です。
09
STROKE LAB

STROKE LABの小児リハビリ。

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。脳性麻痺のお子さんに対しても、診断名だけでなく、姿勢、手、歩行、生活動作、学校生活を機能解剖と動作分析の視点で見直します。医療・健診が先、私たちは併走する立場です。医療機関でのリハビリとの併用も歓迎です。

Message & Clinical Backbone
不安を、
年代別の見通しへ。
STROKE LAB代表 金子唯史

脳性麻痺の経過は、保護者の方にとって見通しにくいものです。乳児期に気になったことが、幼児期には歩き方として、学童期には学校生活や疲労として見えてくることがあります。

私たちは、年齢ごとの変化を不安として終わらせず、次に育てる動きへ翻訳することを大切にしています。姿勢、手、歩行、学校生活を一つながりで見て、家庭で続けられる形に整えます。

医療機関での評価や治療と合わせて、今の生活で何を優先すべきかを整理したい方は、一度ご相談ください。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史
書籍『脳の機能解剖とリハビリテーション』の表紙
Book
脳の機能解剖とリハビリテーション
医学書院/2024年/408頁|脳の領域別からリハビリテーション方法を提案する専門書

小児の運動発達を考えるうえでも、脳の機能解剖と動作分析の視点は重要です。STROKE LABでは、医学的な診断を尊重しながら、生活の中で動きをどう引き出すかを丁寧に見ていきます。

書籍を見る

自宅ので訓練

Related Articles
関連記事
  • 脳性麻痺のリハビリ全体像
  • GMFCSとは|運動機能レベルと見通し
  • 脳性麻痺の子どもの歩き方
  • 脳性麻痺の子どもの装具と靴
References
  1. Centers for Disease Control and Prevention. About Cerebral Palsy. 2026.
  2. National Institute for Health and Care Excellence. Cerebral palsy in under 25s: assessment and management. NICE guideline NG62. 2017.
  3. Rosenbaum PL, Walter SD, Hanna SE, et al. Prognosis for gross motor function in cerebral palsy: creation of motor development curves. JAMA. 2002;288(11):1357-1363.
  4. Novak I, Morgan C, Fahey M, et al. State of the Evidence Traffic Lights 2019: Systematic Review of Interventions for Preventing and Treating Children with Cerebral Palsy. Curr Neurol Neurosci Rep. 2020;20(2):3.
  5. Jackman M, Sakzewski L, Morgan C, et al. Interventions to improve physical function for children and young people with cerebral palsy: international clinical practice guideline. Dev Med Child Neurol. 2022;64(5):536-549.
  6. 金子唯史. 脳の機能解剖とリハビリテーション. 医学書院. 2024. 408頁.
CATEGORY

 

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

FOLLOW US

STROKE LABの記事は各種ソーシャルメディアでも配信中。今すぐフォローして最新情報をチェックしてください。

CATEGORY

関連記事

誠心誠意の機能向上に向けたリハビリ支援
脳卒中・パーキンソン病に特化した個別リハビリ支援。
病院で培った機能をつなぎ、可能性を広げる施設です。
〒113-0033 東京都文京区本郷2-8-1 寿山堂ビル3階・5階
03-6887-5263
〒158-0082 東京都世田谷区等々力7-2-31 The Room 等々力West 201号 2026.3 OPEN
03-6887-5263
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満6-3-16 梅田ステートビル202号
06-7220-4733
ACCESS
会社案内
事業案内
その他