痙直型脳性麻痺|つっぱりを運動から理解する – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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痙直型脳性麻痺|つっぱりを運動から理解する

SPASTIC CEREBRAL PALSY

痙直型のつっぱりを、筋緊張と動作パターンから理解する

「足がつっぱる」「つま先立ちになる」「片方の手だけ使いにくい」——痙直型脳性麻痺では、筋肉の硬さだけでなく、姿勢、動く速さ、足裏の接地、骨盤や体幹の使い方が重なって、動きの中でつっぱりが見えます。大切なのは、硬さを責めることではありません。つっぱりが出にくい姿勢と動作の流れをつくり、生活で使える動きへ変えていくことです。

UPDATED2026
READ約14分
FOR痙直型脳性麻痺のお子さんの保護者へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』(2024年・408頁)の著者が執筆しています。診断、投薬、ボツリヌス療法、SDR、整形外科手術、装具処方などの医学的判断は主治医・専門医の領域です。STROKE LABは、医療・健診を先にしながら、生活と動きの側から併走します。

歩行訓練

Quick Reference
痙直型を理解する5つの視点。
01
痙直型は、筋肉が硬くなりやすく、速く動かすほどつっぱりが出やすいタイプです
02
両麻痺は両足、片麻痺は片側の手足に課題が見えやすいですが、実際は全身の連鎖で見ます
03
無理に伸ばすだけではなく、つっぱりが出にくい姿勢と動作の流れをつくることが大切です
04
リハビリは、本人と家族の目標に合わせた課題練習、家庭・園・学校との連携が鍵になります
05
顔色、呼吸、けいれん様の動き、急な片麻痺、哺乳・食事の急な悪化は医療優先です
01
What It Means

痙直型脳性麻痺とは、「硬い子」ではなく「動きの制御が難しい子」。

痙直型脳性麻痺は、脳性麻痺の中でも筋肉の緊張が高くなりやすいタイプです。医学的には、速く動かしたときに筋肉が反応して、つっぱりや抵抗が出やすい状態として説明されます。保護者の方の言葉では、「足がピーンと伸びる」「膝が曲がりにくい」「つま先立ちになる」「片方の手をあまり使わない」と表現されることが多いです。

ただし、痙直型を「筋肉が硬いだけ」と捉えると、関わりがストレッチだけに偏りやすくなります。実際には、姿勢を保つ力、足裏で支える感覚、骨盤の向き、手を出すタイミング、怖さや疲れでも、つっぱりの出方は変わります。つまり、つっぱりは「筋肉そのもの」だけでなく、「動き全体の結果」として見る必要があります。

A Parent’s Voice
「伸ばせばよい」と思っていたけれど、動きの中でまた硬くなる。

この悩みはとても自然です。痙性は、静かに寝ているときよりも、立つ、歩く、急ぐ、怖い、疲れるといった場面で強く出ることがあります。だからこそ、リハビリでは関節を柔らかくするだけでなく、つっぱりが出にくい「入り方」と、実際に使える「動き方」を一緒に見ていきます。

02
Diplegia And Hemiplegia

痙性両麻痺と痙性片麻痺では、見えやすい課題が違う。

痙直型の中でも、主に両足に影響が出る場合を痙性両麻痺、片側の手足に影響が出る場合を痙性片麻痺と呼びます。両麻痺では、立つ、歩く、階段、しゃがむ、またぐなど、下肢と骨盤の使い方に課題が見えやすくなります。片麻痺では、片方の手を使いにくい、片側に体重を乗せにくい、歩くと左右差が出るなど、体の左右差として見えやすくなります。

ただし、ここで大切なのは、名称だけでリハビリを決めないことです。両足が中心に見えるお子さんでも、体幹や手の支え方が歩きに影響していることがあります。片側の手が使いにくいお子さんでも、骨盤や足部の支えが整うと手を出しやすくなることがあります。STROKE LABでは、診断名だけでなく、今どの動きが育とうとしているかを、姿勢と動作の連鎖から見ます

痙性両麻痺と痙性片麻痺

タイプ 見えやすい課題 関わりの視点
痙性両麻痺 つま先立ち、はさみ足、膝が伸びきる、しゃがみにくい、歩幅が小さい 骨盤、股関節、膝、足部の連鎖を見て、立つ・歩く・移る動作につなげる
痙性片麻痺 片方の手を使いにくい、片足に乗りにくい、歩くと左右差が出る 左右差を責めず、体幹・骨盤・肩甲帯・手の使い方を生活動作へつなげる
03
Why Spasticity Appears

つっぱりは、筋肉だけでなく「姿勢の入り口」で変わる。

痙性は、筋肉を速く伸ばされたときに反応しやすい特徴があります。そのため、急に足を動かす、急いで立つ、怖さで体を固める、疲れて姿勢が崩れると、足や手のつっぱりが強く見えることがあります。これは「本人が頑張っていない」からではありません。体を守ろうとして、いつもの力の入り方が出ていることがあります。

たとえば、足裏が床を捉えにくいまま立とうとすると、ふくらはぎや太ももの前側に力が入り、つま先立ちや膝の伸びきりが出やすくなります。骨盤が後ろへ倒れたまま座ると、手を前に出しにくくなり、片麻痺側の手がさらに使いにくく見えることがあります。だから、痙直型のリハビリでは、どの筋肉が硬いかだけでなく、どの姿勢から動き始めているかを見ます。

つま先歩きや動きのこわばりは動きの連鎖から生まれる

Clinical Point
「硬いところを伸ばす」から、「硬くなりにくい使い方を探す」へ。

ストレッチが不要という意味ではありません。関節可動域、痛み、装具、医療的治療との連携は大切です。ただし、生活で変化を出すには、柔らかくした範囲を、立つ・歩く・遊ぶ・着替える・書くといった実際の動作で使えるようにする必要があります。

04
Evidence

研究でわかっていること。

脳性麻痺のリハビリでは、本人と家族にとって意味のある目標を決め、その動作を生活に近い形で練習することが重視されています。単に受け身で動かされるだけではなく、子ども自身が「やってみる」経験を重ね、家庭・園・学校で続けられる形にすることが大切です。

Research Translation
硬さそのものより、「目標の動作をどう使うか」が重要です。

Jackmanらの国際臨床実践ガイドラインでは、脳性麻痺の子ども・若者の身体機能を高める介入として、本人と家族が選んだ目標、実際の動作全体の練習、環境や個人差を踏まえた計画が重視されています。

限界注記:研究の対象、年齢、GMFCSレベル、合併症、練習量、家庭環境によって効果は異なります。リハビリは診断・投薬・手術・装具処方の代替ではありません。医学的判断は主治医・専門医と相談してください。出典:Jackman M, et al. Developmental Medicine & Child Neurology. 2022;64(5):536-549. Novak I, et al. Current Neurology and Neuroscience Reports. 2020;20(2):3.

痙性片麻痺の上肢では、使いにくい手を引き出す練習や、両手を協力させる練習が研究で扱われています。ただし、本記事では具体的なCIMTの手順までは踏み込みません。片麻痺の手のリハビリは、別記事で詳しく扱うのが適切です。

05
What We Work On

専門リハで取り組めること。

Role Sharing

診断、投薬、ボツリヌス療法、SDR、整形外科手術、装具処方は主治医・専門医の領域です。STROKE LABは医療・健診を先にしながら、生活の中で使える動きづくりを併走します。

What We Work On — At STROKE LAB
つっぱりを「生活で使える動き」に変えるために。

痙直型のお子さんでは、硬さをゼロにすることを目標にするより、必要な場面で必要な力を出せること、怖さや疲れで硬くなりすぎないこと、家庭や学校で続けられることを重視します。

1. 姿勢・足裏・骨盤の土台づくり
足だけを見ず、座る、立つ、足裏で支える、骨盤を起こす、手を出す準備を整えます。両麻痺では歩行や立位、片麻痺では左右差と手の使い方につながります。

2. 目標志向の課題ベース練習
歩く、階段を上る、遊具に乗る、着替える、食具を使うなど、本人と家族にとって意味のある動作を選び、動作全体の中で練習します。

3. 家庭・園・学校プログラムと保護者コーチング
リハビリ室だけで完結させず、椅子、靴、床遊び、移動、体育、園や学校の場面に合わせて続け方を整理します。

個人差は大きく、発達や成長、痛み、装具、医療的治療のタイミングによって変化します。私たちは医学的判断を代替せず、主治医の方針を尊重しながら、今できる動きを生活へつなげる役割を担います。

Evidence Note

Novakらのエビデンスマップでは、脳性麻痺の介入は、本人が能動的に参加する練習、目標志向、家庭プログラム、片麻痺上肢に対するCIMTや両手訓練などが整理されています。限界として、すべてのお子さんに同じ効果が出るわけではなく、年齢、重症度、目標、練習量、環境によって結果は変わります。出典:Novak I, et al. Current Neurology and Neuroscience Reports. 2020;20(2):3. Sakzewski L, et al. Pediatrics. 2014;133(1):e175-e204.

立位リーチ

06
Home And School

家庭・園・学校でできる関わり。

家庭でできることは、特別な訓練を増やすことだけではありません。椅子の高さ、足裏の接地、着替えの手順、遊びの姿勢、靴や装具の確認、疲れたときの休み方など、毎日の環境を少し整えることが、つっぱりの出方を変えることがあります。

場面 見たいポイント 関わり方
座る 骨盤が後ろに倒れすぎていないか、足裏が浮いていないか 足台や椅子の高さを調整し、手が出しやすい姿勢をつくる
立つ・歩く つま先立ち、膝の伸びきり、左右の体重差、疲れやすさ 急がせず、足裏で支える時間をつくり、必要に応じて装具や靴の状態を確認する
手を使う 片方の手を避けていないか、体を傾けて代償していないか 使いにくい手を叱らず、両手が自然に必要になる遊びや生活動作を選ぶ
園・学校 体育、移動、階段、机椅子、疲労、痛みの出方 できることと配慮が必要なことを分け、先生と共有できる言葉にする
Safety First
赤い旗は、リハビリではなく医療優先。

顔色や呼吸がおかしい、けいれん様の動きがある、意識がぼんやりする、急に片側の手足が動かしにくくなった、強い痛みや急な歩行困難がある、哺乳や食事が急に悪くなった場合は、リハビリの相談より医療機関への相談を優先してください。迷う場合も、自己判断せず主治医や救急相談に確認することが安全です。

家庭・園・学校でみたいチェック

07
FAQ

よくある質問。

Q1痙直型脳性麻痺とは何ですか?
痙直型脳性麻痺は、筋肉が硬くなりやすく、特に速く動かそうとしたときにつっぱりが出やすいタイプです。足がつま先立ちになりやすい、膝が伸びきる、はさみ足になる、片側の手足だけ使いにくいなど、見え方はお子さんによって異なります。診断や病型の判断は主治医が行います。
Q2痙性両麻痺と痙性片麻痺は何が違いますか?
痙性両麻痺は主に両足に硬さや動かしにくさが出やすく、立つ・歩く・階段などで課題が見えやすいタイプです。痙性片麻痺は体の片側に影響が出やすく、片方の手を使いにくい、左右の姿勢や歩き方が違うなどが見られます。ただし、実際には体幹や骨盤、手足の使い方が連動するため、全身の動きとして見ることが大切です。
Q3つっぱりはストレッチをすればよくなりますか?
ストレッチだけで十分とは限りません。痙性は、動く速さ、姿勢、足裏の接地、骨盤の向き、緊張や疲れなどで変わります。無理に伸ばすと、かえって力が入りやすくなることもあります。主治医や担当療法士と相談しながら、つっぱりが出にくい姿勢と、生活の中で使える動きに変える練習を組み合わせることが大切です。
Q4歩き方や手の使い方は変わる可能性がありますか?
可能性はあります。ただし、変化の出方や速度には個人差があり、年齢、GMFCSなどの運動機能レベル、筋骨格の状態、装具や医療的治療の有無、練習量、家庭や学校での環境によって変わります。大切なのは、できない動きを責めることではなく、今育とうとしている動きを見つけ、目標に合わせて練習を続けることです。
Q5ボツリヌス療法や手術、装具は必要ですか?
必要性はお子さんの状態によって異なります。ボツリヌス療法、内服、髄腔内バクロフェン、整形外科手術、SDR、装具の適応は主治医や専門医が判断します。STROKE LABでは医学的判断を代替せず、処置や装具で得られた変化を、立つ・歩く・手を使うなどの生活動作へつなげる視点で併走します。
Q6急いで医療機関へ相談すべきサインはありますか?
顔色や呼吸がおかしい、けいれんのような動きがある、意識がぼんやりする、急に片側の手足が動かしにくくなった、強い痛みや急な歩きにくさが出た、哺乳や食事が急に悪くなった場合は、リハビリより医療機関への相談を優先してください。迷う場合も自己判断せず、主治医や救急相談に確認することが安全です。
Consultation
つっぱりを、生活の動きとして整理したい方へ。

医療機関での診断・治療を大切にしながら、「歩き方をどう見ればよいか」「手をどう引き出すか」「家庭や学校で何を続けるか」を一緒に整理します。

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Message & Clinical Backbone
硬さを、
使える動きへ。
STROKE LAB代表 金子唯史

痙直型脳性麻痺のお子さんを前にすると、どうしても「硬さをなくしたい」という気持ちになります。その思いは自然です。

私たちが大切にしているのは、硬さを否定することではなく、硬さの背景にある姿勢・感覚・運動の連鎖をほどき、その子が生活の中で使える動きに変えていくことです。

医療機関での治療とあわせて、家庭・園・学校での関わりを整理したい方は、どうぞ一度ご相談ください。お子さんの育ちに寄り添いながら、一緒に組み立てます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史
書籍『脳の機能解剖とリハビリテーション』の表紙
Book
脳の機能解剖とリハビリテーション
医学書院/2024年/408頁|脳の領域別からリハビリテーション方法を提案する専門書

脳の領域別の働きから、臨床で行うリハビリテーション方法を提案する専門書です。痙直型脳性麻痺の動きを、筋肉の硬さだけでなく、姿勢・感覚・運動の連鎖として見る視点にもつながります。

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References
  1. Centers for Disease Control and Prevention. About Cerebral Palsy. Updated 2026.
  2. NHS. Cerebral palsy – Symptoms. Page last reviewed 31 May 2023.
  3. National Institute for Health and Care Excellence. Cerebral palsy in under 25s: assessment and management. NICE guideline NG62. Published 2017, last reviewed 2024.
  4. National Institute for Health and Care Excellence. Spasticity in children and young people with non-progressive brain disorders. NICE clinical guideline CG145 and evidence update.
  5. Jackman M, Sakzewski L, Morgan C, et al. Interventions to improve physical function for children and young people with cerebral palsy: international clinical practice guideline. Developmental Medicine & Child Neurology. 2022;64(5):536-549.
  6. Novak I, Morgan C, Fahey M, et al. State of the Evidence Traffic Lights 2019: Systematic Review of Interventions for Preventing and Treating Children with Cerebral Palsy. Current Neurology and Neuroscience Reports. 2020;20(2):3.
  7. Sakzewski L, Ziviani J, Boyd RN. Efficacy of upper limb therapies for unilateral cerebral palsy: a meta-analysis. Pediatrics. 2014;133(1):e175-e204.
  8. 医学書院『脳の機能解剖とリハビリテーション』2024年、408頁。

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