3歳で片足立ち・ケンケンが苦手|バランス発達と家庭遊び
片足立ちが不安定な子へ|体幹・足部・バランス反応を育てる遊び
3歳になったけれど、片足立ちがすぐ崩れる。ケンケンをしようとしても両足で着いてしまう。よく転ぶ、階段やジャンプも少し不安——。片足立ちやケンケンは、脚力だけでなく、足裏感覚・骨盤と体幹・視線・怖さ・リズムが重なる運動です。この記事では、心配しすぎず、でも見逃したくないポイントを整理します。

片足立ち・ケンケンが苦手で、心配になる場面。
公園で片足ポーズをまねしてもすぐ足をつく。ケンケンをしようとしても、片足で跳べず両足で着地する。走るとよく転ぶ、階段や段差で怖がる。こうした姿を見ると、「体幹が弱いのかな」「発達の遅れなのかな」と不安になることがあります。
3歳前後は、両足ジャンプ、段差、走る・止まる、片足で一瞬支える経験が増えていく時期です。ケンケンはさらに複雑な運動なので、できる・できないだけで決めつけず、どの要素でつまずいているかを見ます。
片足立ちやケンケンは、脚の筋力だけでは決まりません。片足に体重を乗せる足裏の感覚、骨盤と体幹の安定、目線、怖さ、リズム、左右差が重なります。家庭では、秒数や回数よりも、挑戦しようとするか、左右差があるか、ふらついたときに戻れるかを見ることが大切です。
片足立ちとケンケンは、別の力です。
片足立ちは、片方の足で体を支え、数秒でも止まる力です。支える足の上に骨盤と体幹が乗り、視線を安定させ、ふらついても足をついて戻れることが大切です。ケンケンは、さらにその状態から跳び、着地し、もう一度片足で支える運動です。
つまり、片足立ちがまだ不安定な段階でケンケンだけを繰り返すと、怖さや失敗経験が増えることがあります。最初は、線の上を歩く、片足を少し上げる、片足でマーカーを踏む、両足ジャンプで着地するなど、準備段階の遊びから始めます。
STROKE LABの視点:「上げている足」より「支えている足」を見る。
片足立ちを見るとき、保護者の方は上げている足や秒数に注目しがちです。しかし臨床では、上げた足よりも、支えている足に体重が乗っているかを見ます。足裏の内側・外側・かかと・指先がどう使われるか、骨盤が横へ逃げないか、目線が床ばかりにならないかが重要です。
この視点にすると、家庭遊びも変わります。いきなり「10秒止まって」ではなく、床の線の上を歩く、丸いマーカーを片足で踏む、片足を少し浮かせて親とハイタッチする、音楽が止まったらポーズを取るなど、支える足に体重が乗る経験を遊びの中で増やします。

バランスを支える4つの力。
片足立ちやケンケンには、少なくとも4つの力が関わります。1つ目は足裏の感覚です。床を押す場所が分かることで、体重を乗せやすくなります。2つ目は骨盤と体幹の安定です。骨盤が大きく横へ逃げると、足だけで支えようとして崩れやすくなります。
3つ目は視線と頭の安定です。下ばかり見ている、周囲が気になって目線が動き続けると、体も揺れやすくなります。4つ目は運動計画とリズムです。ケンケンでは、跳ぶ前の準備、着地、次の一歩の切り替えが必要になります。
| 要素 | 家庭で見える姿 | 遊びへの落とし込み |
|---|---|---|
| 足裏感覚 | 片足に乗ると指が浮く、足が内外へ倒れる | 裸足で線歩き、マーカー踏み、足裏で床を感じる遊び |
| 骨盤・体幹 | 片足を上げると体が大きく横へ倒れる | 壁タッチ片足ポーズ、親と手をつないで片足スタンプ |
| 視線 | 床ばかり見る、周囲に気を取られて崩れる | 前の絵やシールを見ながらポーズ、音楽ストップ遊び |
| リズム・運動計画 | 跳ぶ前に固まる、着地後に次へ進めない | 両足ジャンプ、片足で軽くトントン、動物まね遊び |
研究でわかっていること。
幼児期の基本的な運動スキルは、日々の身体活動と関連します。片足立ちやケンケンだけを繰り返すより、走る、跳ぶ、止まる、またぐ、リズムに合わせるなど、いろいろな遊びの中で体を使う経験を増やすことが大切です。
CDCは、30か月頃の運動発達の目安として「両足で地面からジャンプする」、5歳頃の目安として「片足でケンケンする」を示しています。3歳でケンケンが安定しないことだけで判断するのではなく、両足ジャンプ、片足で少し支える、段差を越えるなど、準備となる動きを見ていきます。
様子見と相談の目安。
| 見るポイント | 様子を見ながら遊べることが多い | 相談を考えたい |
|---|---|---|
| 片足立ち | 一瞬でも片足に乗ろうとする、左右どちらも試す | 片側だけ極端に嫌がる、まったく体重を乗せようとしない |
| ケンケン | 両足ジャンプや片足ポーズはできる | 両足ジャンプも難しい、着地で毎回大きく崩れる |
| 転び方 | 疲れたときや急いだときに転ぶ | 平地で頻繁に転ぶ、けがが多い、左右差が目立つ |
| 生活 | 遊びの中で少しずつ挑戦できる | 階段、着替え、園庭遊びなど生活で困りごとがある |
| 怖さ | 手をつなぐと試せる | 強く怖がり、遊び参加が極端に少ない |
健診・相談で伝えるためのメモ。
相談時は、「片足立ちができません」だけでなく、どの場面で、どちらの足で、どんな崩れ方をするかが分かると整理しやすくなります。動画を短く撮っておくと、家庭での様子を専門職に伝えやすくなります。
年齢別に、見方を変えます。
年齢は目安です。達成時期には幅があり、早産や既往歴がある場合は発達の見方が変わることもあります。大切なのは、今の年齢で「どの要素が育ってきているか」を見ることです。

| 年齢の目安 | 見たい動き | 家庭での関わり |
|---|---|---|
| 2歳半〜3歳頃 | 両足ジャンプ、段差、短い片足ポーズへ挑戦 | 線歩き、両足ジャンプ、親と手をつないだ片足スタンプ |
| 3〜4歳頃 | 片足に体重を乗せる、数秒止まる、左右を試す | 片足ポーズ、マーカー踏み、音楽ストップ遊び |
| 4〜5歳頃 | 片足立ちの安定、ケンケンの入口、リズム運動 | 片足ジャンプ、ケンケンまね、リズムに合わせて跳ぶ |
| 5歳以降 | ケンケンや片足支持が遊びの中で使いやすくなる | 園・学校での困りごとがあれば具体的に相談 |
※年齢は目安です。発達には幅があります。心配な場合は小児科、乳幼児健診、理学療法士・作業療法士などへ相談してください。
家庭でできる遊びと、避けたい関わり。
家庭では、成功しやすい遊びから始めることが大切です。最初からケンケンを何回も求めると、失敗や怖さが増えることがあります。支えている足に体重が乗る、目線が安定する、楽しく止まれる経験を増やします。

| おすすめの遊び | 目的 | 避けたい進め方 |
|---|---|---|
| 線の上を歩く | 足裏で床を感じ、視線を前に向ける | 細い線だけを長時間歩かせる |
| 片足スタンプ | 片足に体重を乗せる入口を作る | できない足だけを繰り返す |
| 両足ジャンプ | 跳ぶ・着地する準備を作る | 高い場所から何度も跳ばせる |
| 音楽ストップ遊び | 止まる・再開するリズムを作る | 失敗を注意して遊びの楽しさを下げる |
| 動物まね | 低い姿勢や片足支持を楽しく経験する | 形を正確にさせすぎる |
STROKE LABでは、片足立ち・ケンケンを脚力だけでなく、足裏感覚、骨盤・体幹、視線、左右差、怖さ、運動計画から確認します。
よくある質問。
3歳で片足立ちが苦手なだけで、すぐに発達の遅れとは判断できません。片足立ちは、足裏の感覚、支える足への体重移動、骨盤と体幹の安定、視線、怖さ、左右差が重なる動きです。数秒でも挑戦できる、遊びの中で少しずつ止まれる時間が増えている場合は、家庭遊びで様子を見ることもあります。ただし、転び方が極端に多い、左右差が強い、階段やジャンプも大きく苦手、園生活で困りごとがある場合は相談すると安心です。
ケンケンは、片足で支える、跳ぶ、着地してもう一度支えるという複雑な運動です。3歳ではまだ難しい子もいます。CDCでは30か月頃の目安に両足で地面からジャンプすること、5歳頃の目安に片足でケンケンすることが示されています。そのため、3歳ではケンケンそのものを急がず、両足ジャンプ、片足を少し上げる遊び、段差遊び、リズム遊びを通して準備を作ることが大切です。
秒数だけで判断しすぎないことが大切です。3歳前後では、長く止まれるかよりも、片足に体重を乗せようとするか、左右どちらも試せるか、ふらついたときに足をついて戻れるかを見ます。4〜5歳にかけて片足立ちの時間やケンケンの安定性が伸びてくる子も多いため、秒数より変化と左右差を見ましょう。
関係することがあります。片足立ちが苦手な子は、歩く・走る・段差を越える場面で、片足に体重が乗る時間が短くなり、ふらつきやすく見えることがあります。ただし、転ぶ理由は視力、靴、環境、注意、疲れ、足の使い方などさまざまです。転倒が多い、けがが多い、左右差が強い、園生活で困る場合は相談の目安になります。
いきなりケンケンを繰り返すより、線の上を歩く、片足を少し上げてポーズを取る、床のマーカーを片足で踏む、低い段差を上り下りする、両足ジャンプ、動物まね、音楽に合わせて止まる遊びなどがおすすめです。安全な床、裸足または滑りにくい靴、短時間で楽しく終えることを大切にします。
片足立ちやケンケンだけでなく、よく転ぶ、階段が極端に苦手、両足ジャンプが難しい、左右差が強い、つま先歩きが続く、動きがぎこちない、怖がって遊びに参加しにくい、着替えや園生活にも困りごとがある場合は相談の目安です。小児科、乳幼児健診、理学療法士・作業療法士などへ相談すると、足裏感覚、体幹、左右差、運動計画の視点から整理できます。
STROKE LABでは、動きの背景まで見ます。
STROKE LABの小児リハビリでは、片足立ちやケンケンを「できる・できない」だけで見ません。支えている足に体重が乗るか、骨盤と体幹がどう動くか、視線や怖さが影響していないか、左右差があるかを丁寧に確認します。
お子さんの発達は一人ひとり違います。平均と比べて焦るより、今のお子さんにとって挑戦しやすい遊びの入口を見つけることが大切です。園生活や遊びで困りごとがある場合は、姿勢と動きの専門的な観察もご検討ください。
できる入口を一緒に探します。

片足立ちやケンケンが苦手なとき、必要なのは「もっと頑張らせること」ではなく、どこで怖いのか、どこに体重が乗りにくいのかを見つけることです。
STROKE LABでは、足裏、骨盤、体幹、視線、左右差、運動計画を一つの姿勢連鎖として評価し、家庭で続けやすい遊びへ落とし込みます。
代表取締役 金子 唯史

幼児のバランスを、脚力だけでなく脳・感覚・姿勢連鎖として見る視点は、家庭での遊びを考えるうえでも重要です。
- 小児(脳性麻痺児/発達障害など)のリハビリ — STROKE LAB
- 体幹が弱い・姿勢が崩れる子|家庭で見たい姿勢のサイン
- 子どもがよく転ぶ|足裏感覚とバランス発達の見方
本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療に代わるものではありません。お子さんの状態についての判断は、かかりつけの小児科医や専門職にご相談ください(最終確認日:2026年7月6日)。
- CDC: Milestones by 30 Months
- CDC: Milestones by 5 Years
- American Academy of Pediatrics / HealthyChildren.org: Developmental Milestones 4 to 5 Year Olds
- Canadian Paediatric Society: Developmental Coordination Disorder
- Jones D, Innerd A, Giles EL, Azevedo LB. Association between fundamental motor skills and physical activity in the early years: A systematic review and meta-analysis. Journal of Sport and Health Science. 2020;9(6):542-552.
- 金子唯史:脳の機能解剖とリハビリテーション.医学書院,2024,408頁。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)