2016.12.08脳科学系
vol.59:ワレンベルグ症候群における治療とラテロパルジョン 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
脳科学,姿勢制御
タイトル
ワレンベルグ症候群の治療後の静止立位バランス改善について Improvement of Quiet Standing Balance in Patients with Wallenberg Syndrome after Rehabilitation?PubMedへ Eun Hye Na, M.D et al:Ann Rehabil Med. 2011 Dec; 35(6): 791–797
内 容
目 的
●ワレンベルグ症候群患者の静止立位を治療前後で比較すること
方 法
●6名の延髄外側の梗塞を呈したワレンベルグ症候群発症後一ヶ月の患者を対象としてリハビリ治療を実施
●posturography(平衡障害の定量的検査法)を用いて,開眼/閉眼時の静止立位バランスを評価
●評価は治療中の3ヶ月,9ヶ月に行い,二つの評価が比較された
Fig.1:静止立位バランス評価方法(Eun Hye Na, M.D et al:2011)
結 果
●静止立位でのバランス評価には,圧中心(CoP)運動が用いられた
●はじめの時点では,内外側点数,前後方向への速度,加速度運動,内外側と前後方向へのCoPの距離の平均点は全て高値となった
●これは,静止立位のバランス障害を示している
●リハビリ治療後では,前後方向速度と範囲,内外側方向への速度と範囲,質量中心の加速度などは開眼時に有意に減少した(p<0.05)
●閉眼時も減少したが,統計的に有意な差は見られなかった
Fig.2:CoP偏位の比較(Eun Hye Na, M.D et al:2011) A:治療前 B:治療後
結 論
●本研究では,ワレンベルグ症候群患者のリハビリテーションにおける前後方向の静止立位バランスの改善を示している
●ワレンベルグ症候群患者の障害側への体幹lateropulsion(側方突進)は,脳梗塞急性期に続く障害側への異常な傾斜と定義される
●質量中心(CoP)の内外側への動揺は,最も重要な転倒予測指標である
●ワレンベルグ症候群患者は障害側への転倒リスクが高い
●ワレンベルグ症候群患者のバランス障害は,軽度の不安定性を持つ症例から座位保持が困難な症例まで多岐にわたる
私見・明日への臨床アイデア
●ワレンベルグ症候群は,下小脳脚の障害による四肢の失調・前庭障害による平衡機能障害・網様体の障害による体幹の低緊張などが重複しており,どの症状が強く障害を受けたのかによって様相 が異なる
●治療では,一言にバランス練習といっても,バランスが取れる位置を探らせるのか?動揺を戻させる練習をしているのか?低緊張を改善しているのかなどを考える必要がある
所属 訪問リハビリ
職種 理学療法士
塾講師陣が個別に合わせたリハビリでサポートします