vol.33:深部感覚からみたバランス修正に関わる筋群の特徴とは?:脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー – 脳卒中/神経系 自費リハビリ施設 東京 | STROKE LAB
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vol.33:深部感覚からみたバランス修正に関わる筋群の特徴とは?:脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー

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カテゴリー

感覚,姿勢制御

 

 

 

タイトル

バランス修正の発現と代償戦略 Triggering of balance corrections and compensatory strategies in a patient with total leg proprioceptive loss?PubMedへ Bloem BR et al:Exp Brain Res. 2002 Jan;142(1):91-107. Epub 2001 Nov 14.

 

 

 

nなぜこの論文を読もうと思ったのか?

バランスについて学んでいたが、特に深部感覚との関係が知りたいと思った。また、各々のバランス戦略同士がどのように関与しているか知りたかったため、今回に至る。

 

 

 

内 容

概 要

●バランスの修正は体幹と下肢の両方からの固有感覚入力が引き金となる

 

●最近の調査では骨盤や体幹の中枢部の固有感覚入力(中殿筋や脊柱起立筋など)が体幹や下肢の修正において実際の引き金となると呈示されている

 

●中枢神経系は傾斜よりも揺れ(横揺れ)に反応しやすい

 

●今回,total proprioceptive loss in the legs(ToLPL):下肢全体の固有感覚麻痺と,lower-leg proprioceptive loss(LLPL):下腿の固有感覚麻痺と正常人を比較

 

●Weakness Muscleを持つ患者は反射ができなくなるため対象者からはずす

 

●ToLPLの患者は感覚がないだけで筋力は問題ない

 

 

 

方 法

①傾斜台で様々な動揺を足部に入力することによる下肢筋群の反応をみる ②傾斜や横揺れを使用することによって上部体幹の直結した感覚情報に焦点を当てる

 

●両方の実験が足部のトルク,体幹と大腿部周囲の角振幅を体幹と殿部と下肢の表層筋電図で測定

 

 

 

結 果

●①の実験にて,ToLPL患者の足関節や膝の伸長反射は認められなかった

 

●しかし,大腿四頭筋の活動は正常人よりも大きく遅れは見られなった → 前庭脊髄反射

 

●②の実験にて大部分の下肢の筋や体幹筋群の筋活動の準備的な発火は強く認められた

 

●正常人と比較するとToLPLの患者の中殿筋の発火は遅れた キャプチャ2

Fig1:各筋における筋活動パターンと生体力学的反応

 

 

●体幹が横揺れする30ms前に反対方向に脊柱起立筋群の活動が認められた

 

●いくつかの傾斜方向にて筋の不活性(deactivation strategy)が認められた

 

●この活動は足部や殿部からの固有感覚にもとづくバランス修正における新たな見解とも言える キャプチャ1

Fig2:健常群・ToLPL群におけるバランス修正への応答時間の比較

 

 

 

考 察

●足関節や膝からの固有感覚情報が入力されなくても股関節周囲や体幹の反応に遅れは認められない

 

●これは下腿のバランス修正反応は体幹や殿部による固有感覚入力が引き金になることを意味する

 

●求心路の遮断された患者は横揺れや傾斜に対してヒップの反射が遅れるが,これは前庭脊髄路や頚部の固有感覚入力を用いることで代償される → ToLPLの大腿四頭筋の反応が大きい

 

●足関節筋群のストレッチがバランス制御により重要なのかということに関しては議論が続いているが,膝の固有感覚入力には下腿三頭筋の早期の発火が明らかである

 

●下腿麻痺ではバランスの修正の際,ガストロとヒラメ筋の反応は正常と変わらなかったが,全体的な下肢麻痺では40mS遅れた

 

●なぜなら,ToLPLはヒップの固有感覚を利用できたなかったからである

 

●前かがみ姿勢がマルチな姿勢コントロールの同影響するのかはっきりとわからないが,姿勢セットの減弱は一般的に引き起こしてしまう

 

●ToLPL患者は2つの代償戦略を使用 1.特に体幹を硬くする筋活動の増大 2. 筋の不活性を介してバランスを修正する反応を高める(腰背部や殿筋が揺れる際に素早く筋活動を弱める → toneのreleasing)→ おそらくこの戦略により頚部や前庭脊髄路の発火が高まりやすくなる

 

●スティフネス戦略を呈した患者は,空間での固有感覚情報を得られにくくなる

 

●また,体幹の固定は静止した状況下での揺れの減少には役に立つが予測不能な揺れに対してはむしろ転倒方向にからだを向けてしまうという転倒を助長させる結果となってしまいバランスにならなくなる

 

●転倒への恐怖心による認知の変化は床からの固有感覚情報の受け入れがうまくできなくなる

 

●横揺れは下腿のシグナルで修正され,傾斜は体幹のシグナルで修正されるという実験結果もあり,横揺れと縦揺れのシステムは分かれていると仮説を立てた

 

●下肢の固有感覚の欠如は横揺れに対しては過敏になり,縦揺れに対しては鈍感になる

 

●求心路系遮断の患者は様々なシステムを用いてバランスを保とうとするが,実験の患者の場合,頚部の修正が正常人よりも速く,頚部の固有感覚情報を利用して代償していることがわかる

 

 

 

明日への臨床アイデア

●proximalの固有感覚の重要性,deactivate → フェルデンのような筋のリラックスさせるアプローチでの促通方法にも繋がるのではないか?

 

●Hip周囲の筋活動はAnkle strategyに必要な足部周囲の筋活動状態を担保するうえでの重要性を伺わせる

 

●Hip筋活動から足部筋活動へと深部覚の知覚の連鎖を構築できない場合,Hipまたは腰部周囲の筋活動を意図的に抜いて(tone releasing),頭部・体幹動揺に伴う前庭脊髄路系の代償を用いようとする傾向を読み取れる

 

●Hipから足部の知覚的連鎖を構築していくことは,同時的に筋活動的の連結も構成されていくことを意味するため,過度の努力・出力を伴わず安定したバランス戦略をとれるようになると考えられ,狭小化された足部のStability limitと股関節の活動がリンクする範囲内で,徐々にその幅を拡大していくような手続きが必要であると感じた

 

執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表

・国家資格(作業療法士)取得

・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務

・海外で3年に渡り徒手研修修了

・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆

 

 

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