【2026年版】第5頚髄損傷(C5) リハビリテーション/ 評価・治療・脊髄損傷・できることは?
C5頸髄損傷は、どこまで回復できるのか。
「もう動かないのか」「これからどうなるのか」——受傷直後、ご家族の多くがそう感じます。しかし、C5頸髄損傷は適切なリハビリと支援によって、日常生活の質を大きく改善できる可能性があります。本記事では、症状・評価・リハビリ・生活支援制度まで、ご家族に必要な情報をすべてお届けします。
— C5頸髄損傷の全体像と、リハビリで何ができるかをわかりやすく解説しています。
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こんなお悩みはありませんか?
「突然の事故で、家族がC5の頸髄損傷と診断された」——そう告げられたとき、多くのご家族は頭が真っ白になると言います。「これから先、どうなるのか」「何をしてあげればいいのか」「退院後の生活は成り立つのか」。見通しのなさが、最大の不安を生みます。
本記事はそんなご家族のために書きました。C5頸髄損傷(だいごけいずいそんしょう)の特徴・症状・リハビリ・生活支援制度まで、最新のエビデンス(科学的根拠)をもとにわかりやすく解説します。「知識」が「希望」に変わるまで、一緒に読み進めてください。
C5頸髄損傷とは。
脊髄(せきずい)は、脳と体をつなぐ「情報の幹線道路」です。首の部分には頸椎(けいつい)と呼ばれる7つの骨があり、上からC1〜C7と番号が付いています。C5はその5番目にあたります。
C5レベルで脊髄が損傷されると、そこから下への神経信号が途絶えます。肩を横に上げる動作(外転)や肘を曲げる動作(屈曲)はある程度残りますが、手首・手指の動作は失われることが多いです。
ただし、完全損傷か不完全損傷かによって状態は大きく異なります。同じ「C5損傷」でも、個人差は非常に大きいです。
C5が支配する主要な筋肉と機能障害。
C5神経根は、主に肩・上腕の筋肉を支配しています。以下の5つの筋肉がC5と深く関係しており、損傷によってそれぞれの機能に障害が生じます。
| 筋肉名 | 主な働き | 損傷による影響 |
|---|---|---|
| 三角筋(さんかくきん) | 肩の外転(横に上げる) | 腕を横に上げる動作が困難になる |
| 上腕二頭筋(じょうわんにとうきん) | 肘の屈曲(肘を曲げる) | 肘を曲げる動作が困難になる |
| 棘上筋(きょくじょうきん) | 肩の外転補助 | 肩を外側に動かす動作が弱くなる |
| 上腕筋(じょうわんきん) | 肘の屈曲補助 | 肘を曲げる力が弱まる |
| 腕橈骨筋(わんとうこつきん) | 前腕の屈曲・回外 | 前腕を曲げる・手首を返す動作が困難になる |
ASIA分類:損傷の程度を理解する。
脊髄損傷の程度は、米国脊髄損傷協会(ASIA)が定めたASIA機能分類で評価されます。A(完全損傷)からE(正常)まで5段階あります。
腕神経叢への関与:C5はC6とともに頸部神経叢・腕神経叢に寄与します。腕神経叢は肩・腕・手の感覚と運動を支配し、C5損傷では特に腋窩神経(三角筋支配)と筋皮神経(上腕二頭筋・上腕筋支配)への影響が顕著です。
脊髄ショック:受傷直後の脊髄ショック(損傷部位以下の反射消失・弛緩性麻痺)は、通常数日〜数週間で解消されます。ショック期に評価したASIA分類は、解消後に再評価することが必要です。
自律神経障害:C5損傷では自律神経(血圧調節・体温調節・膀胱直腸機能)への影響も生じます。起立性低血圧、体温調節障害、自律神経過反射(AD)に注意が必要です。
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STROKE LABは脳神経系・脊髄損傷リハビリに特化した自費リハビリ施設です。ご本人の残存機能を最大限に引き出す個別プログラムを、専門セラピストが丁寧にご提案します。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
なぜ起こるのか。
電線が切れると、そこから先に電気が届かなくなります。C5の高さで脊髄が損傷されると、「そこより下」への指令が途絶え、筋肉が動かず・感覚も届かなくなります。
「完全に切れた(完全損傷)」か「一部残っている(不完全損傷)」かで、残る機能は大きく変わります。
主な原因。
C5頸髄損傷の原因は、大きく「外傷性(けがによるもの)」と「非外傷性(病気によるもの)」に分けられます。外傷性では、自動車事故・転倒・転落・スポーツ外傷が多く、特に頸椎に強い圧迫や過伸展の力がかかった際に生じます。非外傷性では、頸椎症(骨の変形による脊髄の圧迫)・腫瘍・炎症性疾患などが原因になります。
一次損傷後の生化学的カスケード:外傷による直接的な一次損傷の後、細胞壊死・虚血・炎症・グルタミン酸毒性などによる二次損傷が進行します。この二次損傷が損傷の拡大を引き起こすため、急性期の神経保護(コルチコステロイド等)が議論されています。ただしメチルプレドニゾロンの使用は現在も議論が続いており、施設の方針に従うことが推奨されます。
急性期の外科的介入:脊髄の減圧(圧迫物の除去)と脊椎固定(金属ロッド・スクリュー等による安定化)が急性期の主な外科的治療です。早期減圧(受傷後24時間以内)が予後改善に関与するとの報告があります(Wilson et al., 2017)。
他の損傷レベルとの違い。
「C4とC5では何が違うの?」「C6になると手が使えるの?」——損傷レベルによって残る機能は大きく変わります。以下の比較表で確認してください。
| 損傷レベル | C5(本記事) | C4(上位) | C6(下位) |
|---|---|---|---|
| 肩の外転 | 残存する | 困難 | 残存する |
| 肘の屈曲 | 残存する | 困難 | 残存する |
| 手首の背屈 | 困難 | 困難 | 残存する |
| 手指の操作 | 困難 | 困難 | 困難(一部残存も) |
| 人工呼吸器 | 通常不要 | 必要なことが多い | 通常不要 |
評価方法。
C5頸髄損傷の正確な評価は、リハビリ計画の土台となります。以下の2種類の評価が行われます。
担当の医師やセラピストに「ASIA分類は何ですか?」「完全損傷ですか・不完全損傷ですか?」と確認しましょう。この情報がリハビリ目標を立てる出発点になります。
受傷直後の評価より、脊髄ショックが解消した後の評価の方が、予後をより正確に反映します。数週間後に再評価が行われることを覚えておきましょう。
回復への道のり。
C5損傷のリハビリは、多職種が連携して進める長期的なプロセスです。急性期から在宅復帰後まで、段階に応じたアプローチが必要です。
三角筋・上腕二頭筋など残存する筋肉の筋力強化訓練を行います。関節の拘縮(こうしゅく:関節が固まってしまうこと)を予防するための受動的な関節可動域訓練も重要です。バランス訓練・姿勢訓練を通じて、座位の安定性を高めます。機能的電気刺激(FES)を使って筋肉を収縮させ、筋力増強を図る手法も用いられます。
食事・着替え・整容などのADL(日常生活動作)訓練を行います。適応具(特別なスプーン・フォーク等)や補助具の活用方法を習得します。電動車椅子の操作訓練や、環境制御装置(照明・家電を音声や視線で操作)の導入も支援します。手の微細運動(ボタンの留め外し・ジッパー操作等)の訓練も含まれます。
話すことが難しい場合は、文字盤・電子機器・視線追跡デバイスなどの代替コミュニケーション手段(AAC)の活用を支援します。嚥下(えんげ:飲み込む機能)が低下している場合は、誤嚥(ごえん:食べ物が気道に入ること)を防ぐ嚥下訓練も行います。
慢性疼痛(まんせいとうつう:長期的な痛み)の管理には、薬物療法(神経痛薬・抗てんかん薬等)と非薬物療法(理学療法・行動療法)を組み合わせます。膀胱・腸の管理プログラム(排泄スケジュール・カテーテル等)の導入も、日常生活の質向上に不可欠です。定期的な体位変換による褥瘡(じょくそう:床ずれ)予防も重要です。

脊髄損傷後の回復は、退院後もずっと続きます。残存機能を最大限に活かすリハビリを、私たちは専門家チームで継続的にサポートします。まずはご状況をお聞かせください。
ご家族ができるサポート。
日常生活サポートのチェックリスト。
励ます言葉・声かけの例。
「今日できたこと、昨日より確実に増えているね。」
「ゆっくりでいいよ。あなたのペースで進んでいこう。」
「私はずっとここにいるから、何かあればすぐ言って。」
やってはいけないこと・気をつけたいこと。
| 避けたいこと | 代わりにできること |
|---|---|
| 「もう良くならないんでしょ」と否定的に言う | 「今できることを一緒に増やしていこう」 |
| 過度に何でも手伝いすぎる(廃用の促進) | できる動作は自分でやってもらい、見守る |
| ご自身の休息を後回しにする | レスパイト入院・デイサービスを積極活用する |
在宅復帰と公的支援制度。
退院後の生活を安心して始めるためには、住環境の整備と公的支援制度の活用が欠かせません。「どんな制度があるか知らなかった」という方が多い分野ですが、活用できる支援は思ったより多くあります。
在宅復帰チェックリスト(7項目)。
主な公的支援制度。
| 制度名 | 主な内容 | 相談先 |
|---|---|---|
| 身体障害者手帳 | 障害福祉サービス・税控除・交通機関割引等を受けられる | 市区町村の障害福祉窓口 |
| 障害者総合支援法 | 居宅介護・重度訪問介護・生活介護・短期入所等が利用できる | 市区町村の障害福祉窓口 |
| 補装具費支給制度 | 電動車椅子・装具などの購入費用の一部が支給される | 市区町村の障害福祉窓口 |
| 自立支援医療(更生医療) | 機能回復に必要な医療費の自己負担が軽減される(原則1割) | 市区町村・医療ソーシャルワーカー |
| 高額療養費制度 | 1ヶ月の医療費自己負担に上限が設けられ、超過分が払い戻される | 加入している健康保険の窓口 |
| 障害年金 | 障害の程度により障害基礎年金(1・2級)または障害厚生年金が支給される | 年金事務所・社会保険労務士 |
回復までの期間と予後。
C5頸髄損傷後の回復には、損傷の程度(完全か不完全か)と損傷後の時期によって大きな違いがあります。一般的に、神経学的な回復は受傷後6ヶ月〜1年が最も活発とされています。しかし、1年以上が経過した後も機能改善が続く方は少なくありません。
ロボット支援トレーニングに関する研究では、反復運動訓練が運動回復と機能的能力の向上に寄与することが示されています(Springer, 2023)。硬膜外刺激については、頸髄損傷者の自律機能改善と運動機能回復への有効性が報告されています(Louisville.edu)。
多職種リハビリアプローチ(理学療法・作業療法・先進技術の組み合わせ)が、C5損傷患者の複雑なニーズに対応する上で重要であることも強調されています(MDPI, 2024)。
よくあるご質問。
C5頸髄損傷とは、首の5番目の椎骨(頸椎)の高さで脊髄が損傷された状態です。肩の外転(横に上げる動作)と肘の屈曲(曲げる動作)を担う三角筋・上腕二頭筋などに影響が出ます。
手・指の機能が失われることが多く、日常生活動作に広範な介助が必要になります。
完全損傷では損傷部位より下の感覚・運動機能が全くなくなります。不完全損傷では、損傷部位より下に一部の感覚や運動機能が残っています。
不完全損傷の方が回復の可能性は高く、ASIA分類(B〜D)で評価されます。同じC5損傷でも個人差が大きいため、専門家による詳細な評価が重要です。
C5損傷のリハビリは、理学療法・作業療法・言語療法を組み合わせた多職種アプローチで行います。三角筋や上腕二頭筋の筋力強化、関節可動域の維持、食事・着替えなどのADL訓練、電動車椅子の操作練習、補装具の活用などがあります。
機能的電気刺激(FES)やロボット支援訓練などの先進技術も活用されます。
ご家族のサポートとして、日常生活の介助(食事・更衣・整容)、排泄ケアの補助、定期的な体位変換(褥瘡予防)、通院・リハビリへの同行、精神的な励ましが挙げられます。
一方でご自身も燃え尽きないよう、介護者のレスパイト(休息)も大切です。レスパイト入院やデイサービスなどの福祉制度も積極的に活用してください。
主な公的支援として、身体障害者手帳(肢体不自由)の取得により障害福祉サービスが利用できます。介護保険(65歳以上または40歳以上で特定疾病)、障害者総合支援法による居宅介護・重度訪問介護、自立支援医療(更生医療)、補装具費支給、高額療養費制度、障害年金などがあります。
市区町村の障害福祉窓口または医療ソーシャルワーカーにご相談ください。
脊髄損傷後の神経学的な回復は、受傷後6ヶ月〜1年が最も活発とされています。ただし1年以降も機能回復が続く方も多く、継続的なリハビリが重要です。
不完全損傷では、適切なリハビリにより上肢機能や日常生活動作の改善が期待できます。完全損傷でも、残存機能の最大化と生活の質向上を目指したリハビリが有効です。
STROKE LABのプログラム。
STROKE LABは、脳神経系・脊髄損傷リハビリに特化した自費リハビリ施設です。病院・施設リハビリでは時間が限られる「個別・集中・継続」のリハビリを、専門セラピストチームが一貫して提供します。退院後も諦めず、残存機能の最大化と生活の質向上を目指します。
— STROKE LABでのリハビリの実際の様子です。

「退院後に『もうリハビリはできない』と言われたときは絶望しました。でもSTROKE LABに来て、諦めていた肩の動きが少しずつ戻ってきて、自分でコップを持てるようになりました。継続することの大切さを実感しています。」— 40代男性・C5不完全損傷・受傷後1年6ヶ月
「息子がC5損傷で帰ってきたとき、何をどうしてあげればいいかまったくわかりませんでした。無料相談から始めて、具体的な介護の方法から制度のことまで丁寧に教えていただいて、家族全員で前を向けるようになりました。」— 70代女性(ご家族)・息子が30代・C5完全損傷・受傷後8ヶ月
あわせて読みたい: C4頸髄損傷のリハビリテーション完全ガイド
諦めないでください。

C5頸髄損傷は、確かに重篤な損傷です。しかし「これ以上は回復しない」という壁が、リハビリによって動き始めた方を、私たちは何人も見てきました。
大切なのは、「まだできることがある」と信じて、専門家と一緒に続けることです。ご本人だけでなく、ご家族も疲れないように。私たちはそのためにいます。
まずは一度、無料相談にお越しください。現在の状態を伺い、できることとできないことを正直にお伝えします。その上で、一緒に前に進む方法を考えましょう。
代表取締役 金子 唯史
参考文献。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)