【2026年版】家屋調査って何?住宅改修の目的と方法!訪問リハビリや退院後に知っておくべき知識
退院後の安全な暮らしは、家屋調査から始まる。
退院が近づくと、「本当にこの家で暮らしていけるのだろうか」という不安が、ご家族の心に静かに広がっていきます。家屋調査は、その不安に向き合うための専門的な評価です。住み慣れた我が家を、安全な暮らしの場へと整えていく最初の一歩について、一緒に見ていきます。

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こんなお悩みはありませんか。
入院中のリハビリが少しずつ進み、退院の話が出はじめると、ご家族の頭には新しい不安が浮かんできます。「この家で、また以前のように暮らしていけるのだろうか」。麻痺(まひ:体の一部が思うように動かせなくなる状態)や歩行の不安定さを抱えたまま、住み慣れたはずの自宅が、急に「未知の場所」のように感じられることもあります。
この記事では、家屋調査がどのようなものか、何を見て何を提案してもらえるのか、そしてご家族として知っておきたい公的な支援制度まで、順を追ってお伝えします。
家屋調査とは。
家屋調査(ホームアセスメントと呼ばれることもあります)とは、理学療法士や作業療法士が中心となって行う、生活環境全体の評価です。病気や怪我、手術のあと、あるいは脳卒中の後遺症を抱えながら、自宅で自立して安全に暮らせるかどうかを、専門の目で確認していきます。

転倒や事故につながる潜在的な障壁(バリア)を見つけ出すことは、もちろん大切な役割の一つです。
それと同じくらい大切なのは、ご本人が「自分の力でできること」を最大限に活かせる環境を一緒に考えることです。
主に確認される7つの場所
出入り口が車椅子や歩行器に対して十分な広さか、問題となる段差や階段がないか、必要な場所にスロープがあるかを確認します。
緩いカーペット、不均等な床、照明の不足、通路の散らかりなど、転倒や事故につながる要因を一つずつ確認していきます。
シャワーや浴槽、トイレに安全にアクセスできるかを確認します。手すりの設置や、便座の高さ調整を提案することもあります。
道具に手が届きやすい配置への変更や、片手でも扱いやすい調理器具など、自分で食事を準備できる工夫を考えます。
ベッドの高さや、周囲に移動するための十分なスペースがあるかを確認し、必要に応じて電動ベッドなどを提案します。
家具がしっかり支えになる高さか、必要なものに無理なく手が届くか、転倒の危険がないかを確認します。
リーチャーや手すり、車椅子、歩行器など、ご本人の自立を支える道具を、生活に合わせて選定します。

機能制限の評価:移動能力、バランス機能、認知機能、感覚機能を統合的に把握した上で、住環境における潜在的な障壁を特定する視点が求められます。
人間工学の知識:家具や家電の高さ・位置を見直すことで、介助者・本人双方の身体的負担を軽減する提案が可能になります。
疾患進行の理解:進行性疾患の合併がある場合、現在の能力だけでなく将来の機能変化を見据えた、可変性のある改修提案が必要です。
— ご本人・ご家族の状況を丁寧にお伺いします
STROKE LABは、脳科学と徒手技術に特化した脳神経系専門の自費リハビリ施設です。在宅生活を見据えたご相談にも、専門スタッフが丁寧にお応えします。
なぜ家屋調査が必要なのか。
入院前の自宅は、入院前の体に合わせて作られた「服」のようなものです。麻痺やバランスの変化があった後、その服がそのまま体に合うとは限りません。家屋調査は、新しい体に合わせて服を仕立て直す作業に近いといえます。
調査を受けないまま退院した場合
玄関の段差でつまずく、浴室で滑る、トイレで立ち上がれないなど、入院中には見えなかった困りごとが、自宅に戻った瞬間に表面化することがあります。転倒は、せっかく積み重ねたリハビリの成果を後退させてしまう可能性もあります。
在宅高齢者を対象とした系統的レビューでは、環境評価と改修の組み合わせが転倒予防に有効である可能性が示されています(Clemson L, et al. Inj Prev. 2008)。理学療法士・作業療法士による評価を伴う住宅改修は、改修単独よりも効果が高い傾向が報告されています(Pighills AC, et al. J Am Geriatr Soc. 2011)。
一般的なリフォームとの違い。
「リフォーム」と聞くと、見た目や使い勝手の改善を思い浮かべる方も多いかもしれません。家屋調査に基づく住宅改修は、出発点がまったく異なります。
| 観点 | 家屋調査に基づく改修 | 一般的なリフォーム |
|---|---|---|
| 出発点 | 本人の身体機能・動作能力 | 見た目・デザイン・使い勝手 |
| 担当者 | 理学療法士・作業療法士が中心 | 建築・工務店が中心 |
| 支援制度 | 介護保険の住宅改修費が利用できる場合がある | 原則として全額自己負担 |
評価の方法。
評価は、家庭環境の改善、必要な用具の提案、そして安全かつ効果的に自宅を移動し使用する能力の向上に、すべてつながるよう行われます。
評価では現在の身体機能だけでなく、リハビリによる今後の回復や、加齢による変化も視野に入れます。将来も使い続けられる、柔軟性のある提案が望まれます。

学際的コミュニケーション:建築士や工務店、ケアマネジャー、ホームヘルパーなど多職種と連携し、全員が共通認識を持って改修を進められるよう調整します。
地域資源・制度の知識:地域の住宅改修サービスや、関連する規制・資金援助制度に精通していることが、現実的な提案の鍵になります。
調査から改修までの道のり。
家屋調査から実際の改修まで、おおよそ次のような流れで進みます。施設や地域によって細部は異なりますが、大きな道筋として参考にしてください。
担当の療法士やケアマネジャーに、退院の見通しと自宅の不安を相談し、調査の日程を調整します。
療法士が自宅を訪問し、本人の動作を実際に確認しながら、危険箇所や改修の可能性を洗い出します。
改修案や福祉用具の提案、概算費用について、ご本人・ご家族に分かりやすく説明されます。
工事業者による施工や、福祉用具の搬入・設置が行われます。退院日に合わせて完了を目指します。

住環境を整えることは、本人の「できる」を引き出すための土台づくりです。当施設では、リハビリと並行して在宅生活のご相談にも対応しています。
ご家族ができるサポート。
調査の際、確認しておきたい6つのこと
担当の療法士への伝え方の例
「玄関の段差が高くて、本人が一人で上がれるか心配です。実際に見ていただけますか」
「費用がどのくらいかかるか、助成制度も含めて教えていただけますか」
家族だけで気をつけたいことの比較
| 場面 | 家族でできる工夫 | 専門家への相談が必要 |
|---|---|---|
| 廊下・通路 | 物を置かない・コード類を整理する | 手すりの設置位置 |
| 浴室 | 滑りやすいマットを外す | 浴槽の出入り方法・福祉用具の選定 |
| 寝室 | 夜間の照明・足元灯の用意 | ベッドの高さ・電動ベッドの要否 |

在宅復帰と公的支援制度。
家屋調査の結果をもとに在宅復帰を準備する際は、利用できる公的支援制度をあわせて知っておくと、費用面の不安を和らげられます。
在宅復帰チェックリスト
主な公的支援制度
| 制度名 | 主な内容 | 主な窓口 |
|---|---|---|
| 介護保険 住宅改修費 | 手すり設置・段差解消など上限20万円、7〜9割支給 | 市区町村介護保険窓口 |
| 福祉用具貸与・購入費 | 車椅子・歩行器などのレンタル費の一部給付 | ケアマネジャー・福祉用具事業所 |
| 身体障害者手帳 | 各種福祉サービス・税の優遇措置を受けられる | 市区町村福祉窓口 |
| 障害福祉サービス | 居宅介護・訪問系サービスなどの利用 | 市区町村障害福祉窓口 |
| 自立支援医療(更生医療) | 医療費の自己負担を軽減 | 市区町村福祉窓口 |
| 高額療養費・障害年金 | 医療費負担の軽減・所得保障 | 健康保険組合・年金事務所 |
改修完了までの期間の目安。
調査から改修完了までの期間は、内容の規模や業者の都合によって幅があります。小規模な手すり設置であれば数週間、大掛かりな改修では1か月以上を見込む場合もあります。
退院直前になって慌てて手配すると、希望する改修や用具が間に合わないこともあります。リハビリの経過がある程度見えた段階で、早めに相談を始めることが望ましいとされています。
よくあるご質問。
多くの場合、退院の1か月前後が目安です。麻痺の程度や回復のスピードによって最適な時期は変わるため、早めに担当の療法士やソーシャルワーカーへ相談しておくと安心です。
調査自体は追加費用がかからないことが多いですが、改修や用具購入には費用が発生します。介護保険の住宅改修費を利用すれば、上限20万円まで7〜9割の支給を受けられる場合があります。
義務ではありませんが、転倒や事故を防ぐために強く推奨されています。麻痺やバランス低下がある場合、調査を受けないまま退院すると思わぬ危険に直面することがあります。
病院や施設の理学療法士・作業療法士が中心となります。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員、建築の専門家が同行することもあります。
可能性はあります。回復の経過や加齢に伴う変化によって、必要な環境は時間とともに変わります。将来を見据えた柔軟な提案を受けておくことが望ましいです。
家具の配置を見直す、廊下に物を置かない、滑りやすいマットを外すなど、できる工夫はたくさんあります。気になる点は写真に撮って療法士に見てもらうのも有効です。
STROKE LABのプログラム。
STROKE LABは、脳科学(のうかがく:脳の働きをもとにした研究)と徒手技術(としゅぎじゅつ:手を使った専門的な施術)に特化した、脳神経系専門の自費リハビリ施設です。在宅生活を見据えた身体機能の改善に向き合い、ご本人とご家族双方に寄り添う支援を行っています。
— STROKE LABでのリハビリプログラムの様子
「退院前の家屋調査で、玄関のスロープを提案してもらいました。実際に自宅で動いてみせてもらえたので、退院後の生活が具体的にイメージできて安心できました」— 60代女性・脳梗塞・発症後5か月
「母の介助方法を一緒に練習してもらえたことが、何より心強かったです。家の中の不安が一つずつ減っていきました」— 40代女性・ご家族(脳出血・発症後8か月)
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諦めないでください。

退院が近づくにつれ、ご家族の不安は大きくなっていくものです。「この家で、本人らしい暮らしを取り戻せるのか」。その問いに、私たちは何度も向き合ってきました。
家屋調査は、決して特別な人だけのものではありません。不安を一つずつ具体的な準備に変えていく、誰にでも開かれたプロセスです。
STROKE LABは、脳科学と徒手技術の専門性をもって、ご本人とご家族の「これから」に伴走します。一人で抱え込まず、どうぞ私たちにお声がけください。
代表取締役 金子 唯史
参考文献。

1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023) 脳の機能解剖とリハビリテーション:医学書院 (2024) パーキンソン病の機能促進:医学書院 (2025)