【2024年版】骨盤の傾斜が腹筋・脊柱起立筋に与える影響とは?効果的なリハビリアプローチと筋活動の関係性を徹底解説! – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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【2024年版】骨盤の傾斜が腹筋・脊柱起立筋に与える影響とは?効果的なリハビリアプローチと筋活動の関係性を徹底解説!

骨盤傾斜角度と体幹筋活動

金子先生(リハビリテーション医師):豊富な臨床経験を持つ指導医。

丸山さん(新人療法士):リハビリ現場に配属されたばかりで、基本的な知識を学んでいる。

金子先生:「丸山さん、今日は骨盤の前後・左右傾斜角度と、それに関連する脊柱起立筋群や腹筋群について話しましょう。このテーマは姿勢制御、歩行、さらには腰痛予防まで幅広い応用があるんですよ。」

丸山さん:「よろしくお願いします!骨盤の傾きと筋活動がどのように関連しているのか、理解を深めたいです。」

骨盤の基礎解剖と傾斜角度

金子先生:「まず、骨盤の動きには大きく4つの傾斜があるのを覚えていますか?」

  1. 前傾(Anterior Tilt):骨盤が前方に傾く動き。
  2. 後傾(Posterior Tilt):骨盤が後方に傾く動き。
  3. 側方傾斜(Lateral Tilt):片側が上下する動き。
  4. 回旋(Pelvic Rotation):水平面での回転運動。

丸山さん:「はい、前後左右に動くイメージですね。」

金子先生:「その通り。そして、それぞれの動きに関与する筋が異なるんです。」

骨盤前後傾と筋群の役割

骨盤前傾:Anterior Tilt

金子先生:「前傾では、主に腸腰筋(Iliopsoas)と脊柱起立筋群(Erector Spinae)が活性化します。特に腰部脊柱起立筋(Longissimus thoracisやIliocostalis lumborum)が重要です。」

  • 腸腰筋
    • 作用:股関節屈曲と骨盤前傾の主動筋。
    • 臨床的意義:腸腰筋が短縮すると骨盤の過剰前傾や腰椎過前弯(Hyperlordosis)が起きやすい。
  • 脊柱起立筋群
    • 作用:脊椎の伸展と安定。骨盤の前方引き上げをサポート。
    • 臨床的意義:筋力低下があると骨盤の安定性が失われ、腰部負担が増加。

丸山さん:「腸腰筋と脊柱起立筋が骨盤の前傾を引っ張るようなイメージですね。」

骨盤後傾:Posterior Tilt

金子先生:「逆に後傾では、腹直筋(Rectus Abdominis)、外腹斜筋(External Oblique)、大殿筋(Gluteus Maximus)、そしてハムストリングスが活性化します。」

  • 腹直筋・外腹斜筋
    • 作用:骨盤を後傾させると同時に、胸郭を骨盤に引き寄せる。
    • 臨床的意義:体幹の前方屈曲と安定性に寄与。
  • 大殿筋
    • 作用:骨盤の後方引き下げと股関節伸展。
    • 臨床的意義:立位安定性や歩行時のプッシュオフに重要。
  • ハムストリングス
    • 作用:膝屈曲と股関節伸展、骨盤の後方引き下げ。
    • 臨床的意義:柔軟性低下で骨盤後傾が制限され、腰痛のリスク増大。

骨盤左右傾斜と筋群の関係

側方傾斜:Lateral Tilt

金子先生:「側傾には、腰方形筋(Quadratus Lumborum)が重要です。」

  • 腰方形筋
    • 作用:片側収縮で同側の骨盤を引き上げる。両側収縮で脊柱の安定性を提供。
    • 臨床的意義:側弯や歩行の不安定性に関連。特に片麻痺患者では代償運動が生じやすい。

丸山さん:「骨盤の左右のバランスを保つための筋ですね。」

金子先生:「その通り。そして、側傾では中殿筋(Gluteus Medius)も活性化します。歩行時に骨盤が下がらないようにする役割が大きいです。」

臨床応用:骨盤傾斜角度の評価と介入

評価方法

  1. 骨盤の前後傾角度の評価
    • 骨盤傾斜計姿勢評価アプリを用いる。
    • 臨床的にはASIS(上前腸骨棘)とPSIS(上後腸骨棘)の高さ差を見る。
  2. 筋力評価
    • 主動筋(例:腸腰筋、腹筋)の筋力と柔軟性を徒手筋力検査(MMT)やストレッチテストで評価。

介入のポイント

  1. 骨盤前傾が強い場合
    • アプローチ:腸腰筋のストレッチ、腹筋群の強化(特に腹横筋)。
    • 方法:ドローインエクササイズで体幹の安定性を改善。
  2. 骨盤後傾が強い場合
    • アプローチ:大殿筋とハムストリングスのリリース、脊柱起立筋の強化。
    • 方法:ヒップブリッジ運動や腰部伸展エクササイズ。
  3. 左右の不均衡がある場合
    • アプローチ:腰方形筋や中殿筋の筋力バランスを調整。
    • 方法:片脚立位トレーニングや側方体幹エクササイズ。

講義のまとめと臨床応用

金子先生:「骨盤の前後左右傾斜角度と関連筋の活動を理解することで、患者の姿勢改善や疼痛管理がより的確に行えるようになります。丸山さん、今日学んだことを早速臨床で試してみてください。」

丸山さん:「はい!骨盤の動きと筋の関係を意識しながら、患者さんの評価と介入に活かします。」

論文内容

タイトル

●骨盤傾斜角と脊柱起立筋の筋活動の関係性とは?

●原著はCorrelation between Pelvic Tilt Angle and Erector Spinaeこちら

なぜこの論文を読もうと思ったのか?

●骨盤の傾斜角度に伴う細かな脊柱起立筋の活動の変化のイメージが十分でなく、学習が必要と感じ本論文に至った。

内 容

背景

●座位生活は現代社会で増加しました。この変化は多くの筋骨格系障害を引き起こす可能性があります。座位は骨盤後方傾斜を引き起こし、腰椎の通常の曲線を逆転させ、椎間板圧を上昇させます。座位では、椎間板圧は立位の3倍、側臥位の7倍です。脊椎と骨盤は解剖学的に脊椎と骨盤の複合体で構成されているため、骨盤の位置と角度は脊椎に重要な影響を及ぼします。

●研究目的は、骨盤傾斜角による脊柱起立筋活動を調査し、姿勢に影響を与える筋を特定することでした。

方法

●30人の健康な若年成人がこの研究に参加しました。脊柱起立筋の筋活動と骨盤傾斜は、筋電図と慣性センサーを使用して測定されました。一元配置分散分析を使用して、骨盤傾斜角に従って各筋肉の筋活動を比較しました。

●微小な電気機械システム(MEMS)センサーを使用して、骨盤傾斜角を測定しました。センサーは、3軸加速度計、地磁気センサーおよびジャイロスコープで構成されています。センサーデータは40Hzで記録されました。センサーはASISに取り付けられ、関節角度の値は、ロール(Z軸)、ヨー(Y軸)、ピッチ(X軸)の3つの軸を設定することによって計算されました。表面筋電図(EMG)を使用して、骨盤運動中の脊柱起立筋の活動を測定しました。電極の取り付け位置は胸腸肋筋(IT)胸最長筋(LT)腰腸肋筋(IL)でした。

結果

●脊椎の3つの筋活動は、骨盤の後傾と前傾間に有意差を示しました。言い換えれば、それは前傾でより高い筋活動を示しました。腰腸肋筋は座位での筋活動が低かったが、立位よりも座位の方が骨盤の可動域が大きかった。腰椎の体重負荷の軽減と脊椎の筋骨格系障害の予防のために、座位での腸肋筋の適切な筋活動を考慮する必要があります。

●この研究は、脊柱起立筋(IT、LT、およびIL)の筋活動は、骨盤前傾中に最も高い筋活動を示しました。骨盤後傾中の筋活動は中立位置よりも高かったが、骨盤前傾よりは低かった。ITとLTの活性化は座位で最も高く、ILのそれは明確に示されていませんでした。

●脊柱起立筋、腸腰筋、縫工筋、大腿直筋などの筋活動は、骨盤前傾に関与しています。一方、外腹斜筋、腹直筋、大殿筋、ハムストリングスなどの筋肉は、後傾に関与しています。LTの筋活動は、骨盤前傾時に脊柱起立筋の中で最も高く、IL筋活動は骨盤後傾時に最も高かった。筋活動は、立位での骨盤前傾中に最も高かった。この研究は、ILが座位で適切に活性化されると、椎間板の圧迫が減少するという議論を支持しています。

 

明日への臨床アイデア

骨盤コントロールの改善を目指すリハビリでは、骨盤周囲筋群(脊柱起立筋群、腸肋筋、腹筋群)を3次元的に評価し、個別の機能改善に繋がるエクササイズを段階的に組み込みます。以下に専門的かつ具体的な手順を示します。

1. 事前準備

評価

  1. 姿勢評価(静的観察)
    • 患者の骨盤前傾・後傾、左右の傾斜、回旋を確認。
    • ASIS(上前腸骨棘)とPSIS(上後腸骨棘)の高さ差を視診。
  2. 筋力評価
    • 腹筋群:ドローインテストや腹直筋の徒手筋力検査(MMT)。
    • 脊柱起立筋群:体幹伸展時のMMT、棘筋や腸肋筋の個別評価。
    • 柔軟性:腸腰筋やハムストリングスの短縮をエリーテストやトーマステストで評価。
  3. 動作評価(動的観察)
    • 四つ這いでの骨盤の前後傾動作。
    • 片脚立位や歩行時の骨盤安定性。

目標設定

  • 例:「骨盤前傾過多を解消し、中立位での保持を強化する。」
  • 例:「左右傾斜を抑え、歩行時の骨盤の水平移動を改善する。」

2. リハビリ手順

ステージ1:基礎的な骨盤コントロール訓練(体幹の安定化)

A. ドローインエクササイズ(腹横筋活性化)
  1. 姿勢:仰臥位で膝を立てた状態。
  2. 方法
    • 息を吐きながらお腹を軽く引き込む。
    • ASISと恥骨がフラットになるよう意識。
    • 骨盤を過度に動かさないことがポイント。
  3. 目的:腹横筋を活性化し、骨盤を安定させる基盤を作る。
B. 四つ這いでの骨盤ロール(Cat-Cow Movement)
  1. 姿勢:四つ這い(肩の真下に手、股関節の真下に膝)。
  2. 方法
    • 骨盤を意識的に前傾(Catポーズ)と後傾(Cowポーズ)に動かす。
    • それぞれの端で2~3秒静止し、動作範囲を確認。
  3. 目的:骨盤の可動性を高め、筋の柔軟性を評価しながら改善。

ステージ2:筋群ごとの分離と統合的な筋力向上

A. 側腹筋(外腹斜筋・内腹斜筋)の強化
エクササイズ:サイドプランク(Side Plank)
  1. 姿勢:横向きに寝て肘を肩の真下に配置。
  2. 方法
    • 腰を持ち上げて体を一直線に保つ。
    • 骨盤が回旋や側傾しないように維持。
  3. 目的:体幹の側方安定性を高め、左右の骨盤傾斜を改善。
B. 腸肋筋の強化
エクササイズ:スフィンクスポーズからの体幹リフト(Prone Extension)
  1. 姿勢:うつ伏せで肘を肩の下に置く。
  2. 方法
    • 背中を軽く伸ばしながら脊柱を伸展する。
    • 腸肋筋を意識し、骨盤の過剰な前傾を防ぐ。
  3. 目的:腸肋筋を鍛え、骨盤の後傾コントロールを向上。
C. 多裂筋の再教育
エクササイズ:バードドッグ(Bird Dog)
  1. 姿勢:四つ這い。
  2. 方法
    • 対側の腕と脚を伸ばし、体幹の回旋を防ぐ。
    • 骨盤が傾斜しないように注意。
  3. 目的:多裂筋と体幹安定筋群を鍛える。

ステージ3:3次元的な骨盤コントロール訓練

A. 回旋動作の統合
エクササイズ:メディシンボールツイスト(Standing Medicine Ball Twist)
  1. 姿勢:軽く膝を曲げた立位。
  2. 方法
    • 骨盤を安定させ、メディシンボールを左右に回旋。
    • 骨盤が動きすぎないよう腹筋群でコントロール。
  3. 目的:腹筋群と脊柱起立筋群の協調性を高める。
B. ダイナミックバランスと骨盤安定性
エクササイズ:片脚スクワット(Single Leg Squat)
  1. 姿勢:片脚立位。
  2. 方法
    • ゆっくりと膝を曲げながら骨盤を水平に保つ。
    • 中殿筋を意識。
  3. 目的:歩行時の骨盤の水平維持を強化。

3. 臨床での応用ポイント


  1. 骨盤の中立位維持の教育

    • 動作中に中立位を確認させることで意識を高める。

  2. 負荷の調整

    • 初期は低負荷から始め、患者の筋力向上に応じて負荷を増加。

  3. 視覚的フィードバック

    • 鏡や動画を用い、患者自身が骨盤の動きを視覚的に確認。

4. 終わりに

骨盤コントロールの改善は、静的なアライメント調整だけでなく、動的な筋協調性を高めることが重要です。上述のエクササイズを段階的に導入し、患者の目標に応じたプログラムを柔軟に作成してください。

新人療法士が骨盤コントロール訓練を行うポイント

片麻痺患者では、骨盤コントロールが歩行、バランス、日常生活動作に大きな影響を与えます。以下に、臨床現場で役立つ専門的なポイントをまとめました。

1. 骨盤アライメントの評価

  • 患者の骨盤が前傾・後傾、または左右に傾斜しているかを静的・動的に評価する。
  • ASIS(上前腸骨棘)とPSIS(上後腸骨棘)の高さや骨盤の回旋を触診で確認。

2. 麻痺側と健側の筋活動バランスの把握

  • 麻痺側の筋力低下(中殿筋・腸腰筋・腹筋)や健側の過剰な筋緊張を把握。
  • 表面筋電図(EMG)を活用することで、左右差を視覚的に理解できる。

3. 骨盤の中立位の再教育

  • 骨盤の「中立位」を患者に理解させ、ドローイン(腹横筋の活性化)を用いて中立位を保持する訓練を行う。
  • 鏡や体感フィードバックを用いると効果的。

4. 骨盤の可動域拡大

  • 骨盤の前後傾、側方移動、回旋を意識的に行うエクササイズを導入。
  • 例: 四つ這いでの骨盤前後傾動作(Cat-Cowエクササイズ)。

5. 麻痺側の中殿筋強化

  • 中殿筋の筋力低下は、立位や歩行時の骨盤の左右傾斜につながる。
  • クラムシェルエクササイズ片脚立位で麻痺側の中殿筋を強化。

6. 多裂筋と腹横筋の協調性向上

  • 骨盤の安定には、深部体幹筋(多裂筋・腹横筋)の協調が重要。
  • バードドッグエクササイズを用いて体幹筋の協調性を向上させる。

7. 健側の過緊張緩和

  • 健側の腸腰筋や脊柱起立筋が過緊張している場合、緩和を優先。
  • 手技療法や筋膜リリースを用い、リラクゼーションを促す。

8. 姿勢保持における骨盤の安定性向上

  • バランスボールや不安定な台を用いたトレーニングで骨盤の安定性を高める。
  • 例: 座位で骨盤を動かしながら左右の重心移動を練習。

9. 歩行中の骨盤動作の再教育

  • 歩行時、骨盤が健側へ過度に振れる場合は、ステップ訓練や骨盤の前後傾のタイミングを調整。
  • トレッドミル上で骨盤の動きをビデオで記録し、患者にフィードバックする。

10. 麻痺側の筋感覚を活性化

  • 骨盤周囲の麻痺側筋肉(中殿筋・腸腰筋など)に対し、タッピングや電気刺激を行い感覚入力を強化。
  • 筋収縮を視覚化し、患者の意識を高める。

補足アドバイス

  • 患者ごとに骨盤の問題点が異なるため、評価をもとにプログラムをカスタマイズする。
  • 進捗に応じて負荷や動作の複雑性を調整し、患者に達成感を与える。

以上のポイントを段階的に取り入れれば、骨盤コントロールの改善に向けた効果的なリハビリを実施できます。

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