Vol.515.歯がなくなると歩行速度が低下する!? リハビリ論文サマリー
目次
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タイトル
●歯がなくなると歩行速度が低下する!?
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●歯が歩行に関係するという話を聞いたことはあるが、十分学習できていなかった。高齢者では歯がない方も多く、その関係を今回まずは本論文学ぼうと思った。
内 容
背景
●歯の喪失は、慢性疾患や運動機能の低下などの健康状態の悪化に関連しています。しかし、歯の喪失と歩行速度の低下との関連についての前向きなエビデンスは欠けています。
●歯の喪失が歩行速度に与える影響を経時的に調べ、また炎症がこの関連を説明できるかどうかを調査します。
方法
●この研究には、ベースラインで重度の運動機能低下がなかった60歳以上の2695人が含まれていました。歯科の状態に関する情報は、ベースラインで看護師の面接中に自己申告を通じて評価されました。
●参加者が通常ペースで歩いたときに、歩行速度のベースラインと3年および6年のフォローアップを評価しました。
●共変量には、年齢、性別、教育、ライフスタイル関連の要因、および慢性疾患が含まれていました。血液サンプルを採取しCRPをテストしました。
結果
●2965人の参加者のうち、389人(13.1%)は部分的な歯の喪失があり、204人(6.9%)はベースライン検査で完全な歯の喪失がありました。
●歯の喪失がCRPとは無関係に時間の経過とともに歩行速度の大幅な低下と関連していることを示しました
●炎症は、歯の喪失と歩行速度の低下との関連に関与している可能性があります。
私見・明日への臨床アイデア
●口を閉じると踏ん張りが利くように、口は体の力と関係があると言える。歩行速度が低下するという事は全身の筋力などとも相関する可能性が推察される。歯というと食事や会話などとリンクしやすいが、歩行など動作とも関りがあるという事を臨床では意識していきたい。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)