Vol.497.地域在住の高齢者における握力と全体的な筋力の関係
目次
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カテゴリー
タイトル
●地域在住の高齢者における握力と全身の筋力との関係性とは?
●原著はRelationship Between Grip Strength and Global Muscle Strength in Community-Dwelling Older Peopleこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●定期的に握力を測る機会があるが、概ね下肢の左右差と比例しているような印象がある。どの程度相関があるのか学ぶべく本論文に至る。
内 容
背景
●高齢者の握力と全身の筋力の関連については相関する結果があります。したがって、本研究の目的は、握力と全体的な筋力の間、および握力と個々の体幹、股関節、膝、および足関節の筋力間の関連を決定することでした。
方法
●150人の平均年齢68歳の男女において手動筋力計および等速性筋力計による体幹、股関節、膝、足関節の筋力を評価し、それと握力の関係を評価しました。握力と全体的な筋間、および握力の強さと各筋間の関連はピアソンの積率相関分析によって決定され、その後性別、年齢、BMI、身体活動レベルおよび併存症の数を調整した多変量線形回帰を用いて関係性を評価した。
結果
●高齢者の握力と全体的な筋力間に正の有意な関連が見られた。すべての筋群と握力の間には低から中程度の関連があった。ただし、性別、年齢、BMI、身体活動のレベル、および併存症の数を調整すると関連性がなくなったため、体幹と下肢の特定の筋力を表すために握力を臨床使用することは慎重に行う必要があります。
●モデルを調整すると、握力と足関節背屈筋のピークトルクの関係は有意性を失いました。
私見・明日への臨床アイデア
●例えば、左手で何かに手を伸ばしたり、作業したりする際に、左へのweight shift・荷重が必要な事が多い。そのように文脈上で、片側が繋がっていることで、結果的に筋力が相関してくるという仮説も部分的にあり得る。片側の四肢を強化していく際に、上肢か下肢かどちらかのみを訓練するだけでなく、繋がりを考慮するのも大事と思われる。
執筆監修|金子 唯史 STROKE LAB代表
・国家資格(作業療法士)取得
・順天堂大学医学部附属順天堂医院10年勤務
・海外で3年に渡り徒手研修修了
・医学書院「脳卒中の動作分析」など多数執筆
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)