Vol.426脳卒中+αが予後を変化させる!?脳卒中における変形性膝関節症の併存の影響
目次
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タイトル
●脳卒中+αが予後を変化させる!?脳卒中における変形性膝関節症の併存の影響
●原著はThe Impact of Knee Osteoarthritis on Rehabilitation Outcomes in Hemiparetic Stroke Patientsこちら
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
●脳卒中患者は脳卒中以外にも問題が併存していることが多い。OAもその一つ。脳卒中者において併存する問題による影響を学ぶべく本論文に至る。
内 容
背景
●変形性関節症(OA)の有病率は年齢と共に増加するため、変形性関節症(OA)は脳卒中患者の併存病変と見なすことができる。膝OAは痛み、こわばり、可動域の制限、および筋力低下を引き起こす可能性があるため、高齢者の歩行能力に影響を与える。脳卒中患者では、麻痺、異常な緊張、感覚喪失、運動障害によって正常な生体力学が変化すると、OAが加速する可能性があります。
●片麻痺患者の日常生活活動と運動と機能改善に対する変形性膝関節症(OA)の影響を調査すること。
方法
●この前向き症例対照研究には、脳卒中後の片麻痺を伴う60人の入院患者(女性44人、男性16人、平均年齢66.1±7.6歳、範囲51〜79歳)が参加した。
●主なアウトカムは、下肢のBrunnstrom stage、FAC、Barthel Index、VASによって評価される膝痛、およびKellgren-Lawrence(K / L)基準に基づく膝のOAのレントゲン写真の重症度が含まれた。
結果
●FACスコアの改善と脳卒中発症からの時間・Barthel Indexのスコア・安静時の膝痛・K / L放射線グレード間で弱いが有意な相関を示した。
●回帰分析により、脳卒中発症からの時間、安静時の膝痛、および放射線学的に変形性膝関節症が歩行レベルの改善に有意な影響を与えることが明らかになった。
●本研究は、膝OAが脳卒中後の片麻痺患者の歩行レベルに悪影響を及ぼしたことを示しています。したがって、安静時の膝の痛みと変形性膝関節症は、脳卒中患者の歩行レベルを改善するための機能的転帰因子として評価できます。
私見・明日への臨床アイデア
●一例として生活様式が欧米化かつ日本は超高齢社会となっており、糖尿病や脂質異常症を有している方は多く、OAをはじめ様々な疾患を有する方が左記の場合であればアテローム性の脳血栓症を発症しやすくなっていると考えられる。OAに限らず併存している疾患が脳卒中後悪化する可能性は大きい。脳卒中患者に関わる際に常に併存する疾患に対する観察・ケアを忘れぬよう関わりたい。
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018)