vol.362:急な姿勢調整時に横隔膜はどう収縮するのか? 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
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カテゴリー
療法士専門系
タイトル
急な姿勢調整における横隔膜の収縮
Contraction of the human diaphragm during rapid postural adjustments.PubMed P. W. Hodges , J. E. Butler, D. K. McKenzie and S. C. Gandevia Journal of Physiology (1997)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・APAsと横隔膜の関係を知りたかったため。
内 容
背景・目的
・横隔膜は主要な吸気筋であることに加え、姿勢の安定性にも寄与している。
・本研究では、上肢の急速な動きに対する準備的姿勢調整の一因子として、横隔膜の収縮が生じたかどうかを調べた。
・さらに、上肢の運動を開始する前に腹腔内圧が上昇したかどうか、およびこれに横隔膜の収縮が寄与しているかどうかを調べた。
方法
・男性4名、女性1名が参加(25~44歳)
・立位にて、視覚刺激に応じて上肢を急激に屈曲し、その際の横隔膜EMGおよび三角筋EMG、各圧力(経横隔膜圧;Pdi、腹腔内圧;Pga、食道内圧;Poes)を測定した。
結果
・横隔膜EMGは、三角筋EMGが観察される前に増加した。またそれは、呼吸の位相には影響されなかった。
・腹腔内圧は上肢運動に先行して増加した。また腹腔内圧の増加に先行して、横隔膜EMGが増加した。
考察
・この研究の結果は、上肢の運動開始前に、横隔膜が収縮し、それが腹腔内圧の上昇に寄与することを示している。
・横隔膜は、体幹を直接動かすことはできないが、その収縮が腹腔内増加を介して体幹の安定性に寄与すると考えられる。
・収縮は呼吸位相とは関係しなかった。これは、横隔膜が呼吸筋としての役割に加えて、姿勢制御に寄与していることを示している。また、横隔膜の姿勢機能が呼吸活動を妨害する可能性も示唆している。
私見・明日への臨床アイデア
・姿勢コントロールが不良な方に対して呼吸訓練を行う場合、むやみに座位や立位を治療姿勢として選択することは、横隔膜の呼吸機能のして働きをを阻害する可能性がある。呼吸訓練を効果的に行うためには、姿勢コントロールの能力や治療目的に合わせて、姿勢やポジショニング、リファレンスの与え方などをその都 度検討する必要がある。
職種 言語聴覚士
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1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 4万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)