パーキンソン病の便秘・睡眠・痛み・意欲低下|見えにくい症状に、できること – STROKE LAB 東京/大阪 自費リハビリ | 脳卒中/神経系
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パーキンソン病

パーキンソン病の便秘・睡眠・痛み・意欲低下|見えにくい症状に、できること

NON-MOTOR SYMPTOMS

「病気のせい?」|その不調つながっています。

体は動くのに、便秘・不眠・痛み・やる気の出なさがつらい。これも病気のせい?——はい、その多くはパーキンソン病の症状です。そして、バラバラに見える症状には、まとめて効く共通の一手があります。どこから手をつけるかを、整理します。

UPDATED2026
READ約15分
FORご本人・ご家族へ
BYSTROKE LAB
本記事は、医学書院『パーキンソン病の機能促進(動作分析から自主トレーニングまで)』(2025年・448頁)の著者が執筆しています。気分の落ち込みが強いときや症状がつらいときは、自己判断せず主治医にご相談ください。

パーキンソン病説明

Quick Reference
まず知ってほしい5つのこと。
01
便秘・不眠・痛み・気分の落ち込みも、多くはパーキンソン病の症状です
02
症状はバラバラに見えて、鎖のようにつながっています
03
運動と生活リズムは、複数の症状にまとめて効く共通の一手です
04
全部を一度に抱えず、つらい症状から順に対処します
05
気分の落ち込みが強い・続くときは、我慢せず主治医や専門家へ
01
The Hidden Struggle

見えにくい症状の、つらさ。

A Patient’s Voice
「手足のことより、便秘や不眠のほうがつらいんです」

お腹が張って苦しい。夜眠れず、日中はぼんやりする。体のあちこちが痛む。何をするのもおっくうで、やる気が出ない——。これらは、周りからは見えにくく、なかなか理解されません。「歳のせい」「気の持ちよう」と片づけられ、つらさを一人で抱えてしまう方も少なくありません。

でも、知ってほしいのです。これらの多くは、パーキンソン病の立派な症状です。そして、できることがあります。

パーキンソン病というと、手のふるえや動きにくさが知られています。けれど実際には、体の動き以外にも多くの症状が現れます。便秘、睡眠の問題、痛み、気分の落ち込みや意欲の低下、立ちくらみ、物忘れなど。これらをまとめて非運動症状と呼びます。研究では、非運動症状は診断から年月が経つほど増え、多くの方が経験するとされています。中には、手足の症状より先に現れるものもあります。

これらの症状は、見えにくいぶん、つらさが理解されにくいという問題があります。だからこそ、まず「これは病気の症状であって、自分のせいではない」と知ることが第一歩です。そのうえで、この記事では非運動症状の全体像を整理し、数ある症状に、どこから手をつければよいかをお伝えします。リハビリの全体像はリハビリ完全ガイドにまとめています。

02
The Whole Picture

非運動症状の、全体像。

非運動症状は種類が多く、全体を見渡すと圧倒されるかもしれません。でも、大きく分けると整理できます。まず、自分にどの症状が出ているかを知ることが、対策の出発点になります。次の表で、代表的なものを見てみましょう。すべてが全員に出るわけではなく、人によって大きく異なります。

グループ 主な症状 この記事で扱う章
自律神経の症状 便秘、立ちくらみ、頻尿、発汗の異常 第5章で実践を紹介
睡眠の問題 寝つけない、途中で起きる、日中の眠気、寝言 第6章で実践を紹介
痛み 肩や腰の痛み、こわばりによる痛み 第6章で実践を紹介
気分・意欲・認知 気分の落ち込み、やる気の低下、物忘れ 第7章で実践と相談の目安

こうして並べると、多くて大変に見えます。けれど、ここに大切な気づきがあります。これらの症状は、実はお互いにつながっているのです。次の章で、そのつながりと、だからこそ効く共通の一手をお伝えします。

非運動症状の全体マップ

03
Our Perspective

STROKE LABの視点:症状は、鎖でつながっている。

非運動症状に向き合うとき、多くの方は一つずつ対処しようとします。便秘には便秘の薬、不眠には睡眠の工夫、というように。もちろんそれも大切です。けれど当施設で生活を見ていて感じるのは、これらの症状は、鎖のようにつながって、お互いを悪くし合っているということです。

たとえば、こんな悪循環があります。痛みがあると、夜よく眠れない。眠れないと、気分が落ち込む。気分が落ち込むと、動くのがおっくうになる。動かないと、便秘になり、体もこわばって、また痛む。あるいは、便秘がひどいと薬の吸収が落ちて、体の動きが悪くなり、さらに動かなくなる。一つの症状が、別の症状を呼ぶ。だから、個別に追いかけると手が足りなくなるのです。

でも、鎖のようにつながっているということは、裏を返せば希望でもあります。鎖のどこか一箇所をゆるめれば、つながった他の症状も一緒にゆるみやすくなるのです。全部を一度に相手にする必要はありません。効く一手を、鎖の要になる場所に打つ。それが何かを、次の章でお伝えします。

非運動症状の悪循環

04
The Common Move

鎖をゆるめる、共通の一手。

では、鎖の要になる一手とは何か。それは、特別なことではありません。運動の習慣と、規則正しい生活リズムです。この2つは、鎖のいくつもの場所に同時に効きます。

体を動かすと、腸が刺激されて便秘が和らぎます。日中しっかり活動すると、夜の眠りが深くなります。運動は気分を明るくする働きもあり、こわばりや痛みもほぐれます。つまり、運動という一手が、便秘・睡眠・気分・痛みという鎖の複数箇所に、まとめて効くのです。加えて、朝は決まった時間に起きて光を浴び、日中は活動し、夜は休むという生活リズムを整えると、体内時計が安定し、睡眠も自律神経も整いやすくなります。

Evidence
運動が複数の非運動症状に効く、という研究

太極拳やヨガのような、体と心を一緒に使う運動が、パーキンソン病の非運動症状に与える効果を、複数の研究をまとめて分析した報告があります。それによると、こうした運動は、認知の働き、気分の落ち込み、睡眠、疲れ、生活の質といった複数の面に、まとめて良い影響を与えうると報告されています。運動が、一つの症状だけでなく、いくつもの非運動症状に幅広く効く可能性を示す結果です。ただし、これは効果の大きさに個人差があり、運動は薬や専門的な治療の代わりではありません。つらい症状があるときは、運動と並行して主治医に相談してください。

出典:Mind-Body Exercises for Non-motor Symptoms of Patients With Parkinson’s Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis. Frontiers in Aging Neuroscience. 2021;13:770920

つまり、数ある非運動症状に圧倒されたときの答えは、シンプルです。まず、運動と生活リズムという土台を整える。これが、鎖全体をゆるめる共通の一手になります。そのうえで、特につらい症状には個別の対処を足していく。次の章から、症状のグループごとに、具体的な実践をお伝えします。運動そのものの効果は体操・自主トレ大全にもまとめています。

共通の一手となる運動と生活リズム

05
Gut & Autonomic

便秘・自律神経への、実践。

便秘は、パーキンソン病でとても多い症状です。しかも、便秘が続くと薬の吸収に影響し、体の動きまで悪くなることがあります。だからこそ、鎖をゆるめる要の一つになります。運動という共通の一手に加えて、次の工夫を組み合わせましょう。

For Constipation

水分を、こまめにとる。水分が足りないと便が硬くなります。少しずつでも、一日を通して意識してとりましょう。

食物繊維を、食事に入れる。野菜、海藻、果物、豆などを取り入れます。急に増やすとお腹が張ることもあるので、少しずつ。

体を動かす。歩く、体をひねる、お腹を軽くさするなど。運動は腸の動きを助けます。

決まった時間に、トイレに座る。特に朝食後は腸が動きやすい時間です。出なくても、同じ時間に座る習慣が排便のリズムを作ります。

立ちくらみ(起立性低血圧)も、自律神経の症状としてよくみられます。急に立ち上がらず、ゆっくり動く。立つ前に足首を動かす。水分と塩分を適度にとる、といった工夫が役立ちます。ただし、つらい便秘が続く、立ちくらみで転びそうになるといった場合は、我慢せず主治医に相談してください。生活の工夫に、必要なら薬を組み合わせます。

便秘、自律神経への実践

06
Sleep & Pain

睡眠・痛みへの、実践。

睡眠と痛みは、鎖の中でも特にお互いを悪くし合うペアです。痛くて眠れない、眠れないから痛みに敏感になる。この悪循環を断つには、両方に働きかけます。まず睡眠から見ていきましょう。

場面 工夫のポイント
朝と日中 朝は決まった時間に起きて光を浴びる。日中はしっかり体を動かす。体内時計が整い、夜眠りやすくなる
昼寝 とるなら短く、午後の早い時間まで。長い昼寝は夜の睡眠を妨げる
寝る前 強い光や刺激を避け、体を落ち着ける。カフェインは控える
寝る環境 寝返りしやすい寝具にする。夜間のトイレ動線を安全に整える

痛みへの対策は、こわばりをためないことが基本です。パーキンソン病の痛みは、筋肉のこわばりや同じ姿勢が続くことから来ることが多いためです。日中こまめに体を動かし、ストレッチで筋肉をゆるめ、姿勢を整える。痛む場所を温めるのも役立ちます。運動は、痛みそのものにも良い影響があります。ただし、夜間に体が動かせず目が覚める、大声で寝言を言う、強い痛みが続くといった場合は、主治医に伝えてください。薬や別の対処が必要なことがあります。姿勢からくる痛みには体操・自主トレ大全も参考になります。

睡眠、痛みへの実践

Watch & Practice
体を動かす体操を、動画で。

脳リハ.comのYouTube(登録者約6.4万人)では、便秘や睡眠の土台になる、体を動かす体操を配信しています。無理のない範囲で毎日の習慣にしてみてください。

体を動かす体操動画を見る

07
Mood, Drive & Mind

気分・意欲・認知への、実践。

気分の落ち込み、やる気の低下、物忘れ。これらは、非運動症状の中でも特にデリケートな領域です。まず、大切なことをお伝えします。これらは気の持ちようや性格の問題ではなく、脳の変化が関わる症状です。だから、自分を責めないでください。そのうえで、生活の側からできることと、専門家に頼るべき目安をお伝えします。

生活の側からできることの中心は、やはり運動です。体を動かすことは、気分を明るくする働きがあることが報告されています。無理のない範囲で、できれば人と一緒に、体を動かす機会を持つとよいでしょう。あわせて、やる気が出ないときほど、小さな活動を予定として決めておくのが助けになります。散歩、買い物、趣味など、何でも構いません。やる気が湧くのを待つのではなく、先に予定を作り、体を動かしてみる。動くことで、気分があとからついてくることがあります。

When to Seek Help
こんなときは、我慢せず専門家へ

気分の落ち込みが強い、または長く続くとき。楽しめていたことが楽しめないとき。

つらくて、日常の活動ができないとき。眠れない、食べられないが続くとき。

物忘れや段取りの悪さで、生活に支障が出てきたとき。家族が心配しているとき。

これらは、運動や生活の工夫だけで抱え込む問題ではありません。気分や認知のつらさは、適切な治療で楽になることがあります。主治医や、心の専門家に相談してください。一人で、あるいは家族だけで抱え込まないことが、何より大切です。運動と生活リズムは土台として続けながら、専門的な支えも合わせて使いましょう。

気分意欲、認知への向き合い方

08
What to Avoid

やってはいけないこと。

避けたいこと 理由 代わりに
非運動症状を歳のせいと放置する 病気の症状のことが多く、対処で楽になる可能性を逃す 病気の症状かもしれないと考え、主治医に伝える
気分の落ち込みを気合で乗り切ろうとする 脳の変化が関わる症状で、気合の問題ではない。悪化することも 強い・続くときは主治医や専門家に相談する
便秘を我慢して市販薬だけで対処し続ける 薬の吸収や別の病気に関わることがある 生活の工夫を土台に、つらいときは主治医に相談する
症状を全部一度に完璧に直そうとする 手が足りず、疲れて続かなくなる 運動と生活リズムの土台から。つらい症状を優先する
見えにくい症状も、あなたのせいではありません。全部を一度にではなく、鎖の要から。
09
Professional Rehab

専門リハで、できること。

専門のリハビリでは、その人にどの非運動症状が出ていて、どうつながっているかを一緒に整理し、鎖の要になる一手を見つけます。運動の内容や生活リズムを、その人の症状と体力に合わせて設計し、便秘・睡眠・痛み・気分に働きかけます。気分や認知については、必要に応じて主治医や専門家への橋渡しもします。当施設は、運動と生活設計を通じて土台を支える役割です。薬や心の専門的な治療とは、役割を分けて連携します。睡眠障害の改善法を、動画でもご覧いただけます。

パーキンソン病と睡眠障害の改善法(脳リハ.com)。効果には個人差があります。

より専門的に、非運動症状の神経メカニズムや、評価・治療のアプローチを知りたい医療者の方は、医療者向けの解説記事もあわせてご覧ください。

10
FAQ

よくある質問。

Q. 便秘や不眠も、パーキンソン病の症状なのですか?

はい。手足のふるえや動きにくさといった運動症状のほかに、便秘・睡眠の問題・痛み・気分の落ち込みなど、体の動き以外に現れる症状があり、これらを非運動症状と呼びます。中には、運動症状より先に現れるものもあります。便秘はパーキンソン病の方の多くにみられ、運動症状が出るより前から始まることも少なくありません。これらは加齢や性格のせいと思われがちですが、病気の一部であることが多いのです。気になる症状は、主治医に伝えてください。

Q. 症状が多すぎて、どこから手をつければよいか分かりません。

気持ちはよく分かります。非運動症状は種類が多く、一つずつ対処しようとすると手が足りません。そこでおすすめなのが、多くの症状に共通して良い影響を与える土台から始めることです。具体的には、運動の習慣と、規則正しい生活リズムです。体を動かすことは、便秘・睡眠・気分など、いくつもの症状にまとめて良い影響を与えることが報告されています。全部を一度に抱えず、まず土台づくりから始めましょう。詳しくは主治医や療法士に相談してください。

Q. 気分が落ち込む・やる気が出ないのは、気の持ちようですか?

いいえ、気の持ちようではありません。気分の落ち込みや意欲の低下は、パーキンソン病でよくみられる症状で、脳の変化が関係していると考えられています。性格や努力の問題ではないので、自分を責めないでください。運動が気分に良い影響を与えることは報告されていますが、落ち込みが強い、長く続く、つらくて動けないといった場合は、我慢せず主治医や専門家に相談してください。適切な治療で楽になることがあります。一人で抱え込まないことが大切です。

Q. 便秘がひどいのですが、運動で良くなりますか?

便秘はパーキンソン病でとても多い症状です。運動は腸の動きを助けるので、対策の一つとして役立ちます。あわせて、水分を十分にとる、食物繊維をとる、決まった時間にトイレに座る習慣をつけることも大切です。ただし、便秘が続くと薬の吸収に影響し、運動症状が悪化することもあります。また、重い便秘は別の病気につながることもあるため、つらい便秘が続くときは主治医に相談してください。運動と生活の工夫に、必要なら薬を組み合わせます。

Q. 夜よく眠れません。どうすればよいですか?

睡眠の問題もパーキンソン病で多くみられます。まず、日中にしっかり体を動かし、朝は光を浴びて、生活のリズムを整えることが土台になります。昼寝は短めにし、夜は寝る環境を整えましょう。夜間に体が動かしにくくて目が覚める、大声で寝言を言うといった場合は、薬や別の睡眠の問題が関わることがあるので、主治医に伝えてください。睡眠は、痛みや気分とも影響し合うので、整えると他の症状も楽になることがあります。

Q. 非運動症状は、みんなに出るのですか?

すべての症状が全員に出るわけではありません。どの症状がどのくらい出るかは、人によって大きく違います。まったく気にならない方もいれば、運動症状より非運動症状のほうがつらいという方もいます。大切なのは、自分に出ている症状を知り、つらいものから対処していくことです。多くの症状は、運動と生活リズムという共通の土台づくりで和らぐ可能性があります。そのうえで、症状ごとに主治医や専門家と相談しながら向き合っていきましょう。
11
STROKE LAB

見えにくい症状の相談は、STROKE LABへ。

STROKE LAB(東京・大阪)は、脳卒中とパーキンソン病を中心とする神経疾患専門の自費リハビリ施設です。便秘・睡眠・痛み・気分といった非運動症状は、運動や生活リズムと深くつながっています。当施設では、症状のつながりを整理し、鎖の要になる運動と生活設計を一緒に組み立てます。気分や認知のことは専門家と連携し、薬の調整は主治医を尊重します。見えにくいつらさに、運動と生活の側から寄り添います。保険リハとの併用も歓迎です。

書籍『パーキンソン病の機能促進 動作分析から自主トレーニングまで』(医学書院)の表紙
Book
パーキンソン病の機能促進
動作分析から自主トレーニングまで
医学書院/2025年/448ページ

運動を通じて心身の状態を整える考え方を、動作分析の視点から体系化。本文と連動するYouTube動画62本で、実際の動きも確認できます。

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Message from CEO
見えにくい症状こそ、
一つずつ、一緒にほどきます。
STROKE LAB代表 金子唯史

便秘、不眠、痛み、気分の落ち込み。これらは周りから見えにくく、つらさが理解されにくい症状です。「歳のせい」「気の持ちよう」と片づけられ、一人で抱えてしまう方をたくさん見てきました。

私がお伝えしたいのは、これらは病気の症状であって、あなたのせいではないということ。そして、鎖のようにつながっているからこそ、要になる一手から、一つずつほどいていけるということです。全部を一度に背負う必要はありません。

見えにくいつらさにお困りなら、どうぞ一度ご相談ください。どこから手をつけるかを一緒に整理し、運動と生活の側から、無理のない一歩を考えます。

株式会社STROKE LAB
代表取締役 金子 唯史

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References

本記事は、国内外の診療ガイドライン・公的情報と、STROKE LABの臨床経験および下記書籍の枠組みをもとに構成しています。気分や認知のつらさ、つらい身体症状は、必ず主治医・専門家にご相談ください(最終確認日:2026年7月5日)。

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