vol.260:筋骨格系へのスリングセラピーの基礎 脳卒中/脳梗塞のリハビリ論文サマリー
脳神経系論文に関する臨床アイデアを定期的に配信中。 Facebookで更新のメールご希望の方はこちらのオフィシャルページに「いいね!」を押してください。」 臨床に即した実技動画も配信中!こちらをClick!!(YouTube)
STROKE LABでは療法士向けの脳科学講座/ハンドリングセミナーを行っています!?上記写真をClick!!?
カテゴリー
リハビリ機器
タイトル
筋骨格系へのスリングセラピーの基礎
Sling Suspension Therapy Utilization in Musculoskeletal Rehabilitation?scientific research Mohammad Nasb et al.(2016)
なぜこの論文を読もうと思ったのか?
・レッドコードを使用することがあり、基礎を学ぶために本論文に至る。
内 容
背景・目的
・スリングセラピー(SET)は、評価から治療まで多く使用されてきた筋骨格系疾患のリハビリにおいて最も効果的なツールの1つです。多くの先行研究が、呼吸および胸部の拡張の改善に加え、脳卒中およびLBP後の筋骨格機能の回復に対するSETの有意な効果を報告しています。SETはこれまでに理解されてレビューされたことはありません。したがって、様々な治療的な適応におけるSETの役割をさらに理解することが強く求められます。このレビューは、治療および評価用途におけるSETの最も重要な知見をまとめたものである。
SETについて
・治療および評価の両方において最大の効果を可能とするために大切なSETの要素があります。ロープのレベル、振動、および位置がそれに含まれます。マルチポイントサスペンションとシングルポイントサスペンションおよびプーリーを含む3つの主なタイプがあり、ケースに対して調整することができます。
例えば、マルチポイントサスペンションは、様々な症状にとってより良い治療効率をもたらします。マルチポイントサスペンションは、自重を免荷し、安全性を保証し、痛みを伴わずに目標筋を刺激します。
これとは対照的に、シングルポイントサスペンションは、運動中および体重を支える際の安全性が低いです。 SETに使用されるコードの弾力性は、筋肉の動きを助けたり、抵抗したり、容易に復元を可能にすることができ、それらは注目に値します。
・Kanehisaらは、マルチサスペンションSETを介してLBP患者において筋肉が良好に活性化されると報告した。具体的には、プランクexにて上肢および腹部筋の活性化は、床でのSETなしでの運動に比べて有意に改善された。
・ 振動は、筋肉の収縮に対するその独特な能力のために、SETにおける別の重要な要素です。これは、筋活動を高める上で実質的な効果を有するだけでなく、痛みを軽減します。マット運動とは異なり、SET中の振動を加えることで、筋活動を筋肉の痛みなく増加させます。
kangらは、体幹筋の刺激(例えば、内腹斜筋、腹直筋、多裂筋、および腹横筋)は、振動周波数値および運動タイプを調整することにより、 SETと振動を利用することで、ただSETを行う事と比較して有意に優れていました。Yoo博士らは、様々な振動数の影響が前鋸筋刺激に及ぼす影響を研究しました。 50Hzの振動での刺激は、それぞれ30Hzと90Hzの刺激よりも有意に高いことを示しました。
・SETは、感覚運動訓練によるバランス障害の治療のための最も効率的なツールの1つです。感覚運動系の究極的な刺激を得るため、不安定な支持物を利用したCKCを用いることによって達成されます。特に、マッスルインバランスの再学習(再分布)、バランス調整能力の活性、および神経系と筋系の両方の釣り合いによる感覚フィードバックの増加に効果的な不安定な支持物による感覚運動トレーニングとなります。その結果、モーターシステムのフィードバック応答の向上、co-activation能力の向上、および関節の安定性が改善され、結果的にバランスが改善されます。
・SETは、生体力学的な連鎖障害を診断するためのツールとして機能することができます。(ニュートラルな位置で保持する能力を診るなど)
私見・明日への臨床アイデア
・様々なリハビリのための器具が世の中には溢れています。それを有効活用できるかは人次第です。基本原理を知り、道具と仲良くなり、治療アイデアの幅が広がればと思います。
氏名 覚正 秀一
職種 理学療法士
脳卒中自主トレ100本以上 一覧はこちら
病院内 スタッフ育成サポート
スタッフ教育を効率的に進めてみませんか?
ハンドリングや中枢神経系への教育は、STROKE LABへご相談ください。
1981 :長崎市生まれ 2003 :国家資格取得後(作業療法士)、高知県の近森リハビリテーション病院 入職 2005 :順天堂大学医学部附属順天堂医院 入職 2012~2014:イギリス(マンチェスター2回,ウェールズ1回)にてボバース上級講習会修了 2015 :約10年間勤務した順天堂医院を退職 2015 :都内文京区に自費リハビリ施設 ニューロリハビリ研究所「STROKE LAB」設立 脳卒中/脳梗塞、パーキンソン病などの神経疾患の方々のリハビリをサポート 2017: YouTube 「STROKE LAB公式チャンネル」「脳リハ.com」開設 現在計 9万人超え 2022~:株式会社STROKE LAB代表取締役に就任 【著書,翻訳書】 近代ボバース概念:ガイアブックス (2011) エビデンスに基づく脳卒中後の上肢と手のリハビリテーション:ガイアブックス (2014) エビデンスに基づく高齢者の作業療法:ガイアブックス (2014) 新 近代ボバース概念:ガイアブックス (2017) 脳卒中の動作分析:医学書院 (2018) 脳卒中の機能回復:医学書院 (2023)